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あれからブラウとリラは本当の兄妹の様に仲良く過ごしている。
角兎親子とも仲が良い。
親角兎は自分の子供の様に可愛がってくれる。
リラの薬草の知識は、思ったほど間違ってはいなかった。
元々頭のいい子なんだろう。
この才能を知らなかったなんて、馬鹿な父親だよ。
さて、今日はそんな二人に頼みがある。
「ブラウにリラ。お前達に薬草を取ってきて欲しい。出来るか?」
「それぐらい楽勝ですよ。なぁリラ」
「……………」
相変わらず喋ることは出来ないが、任せろと言っている顔だった。
「じゃあ頼むよ。リラ、痛み止めの薬草だ。分かるな?」
首を勢いよく縦に振った。
うん。リラがいれば大丈夫だ。
念の為、ブラウには予備の剣を渡しておいた。
「じゃあ、行ってきます!!」
「気をつけて行くんだよ!!」
二人は私に大きく手振りながら、森の中へと入って行った。
──ふふっ、私が子供の心配をするとはね。
まったく、人生とは分からないものだね……
※
「あの子達遅いね」
外は日が落ち始めていた。
キュー………
ルーが心配して、私に近寄ってくる。
「心配かい?大丈夫だよ。ブラウはお前の母さんに稽古つけてもらってるんだからね」
そうは言っても、遅すぎる。
あの薬草は比較的近場にある筈なんだが……
バンッ!!!
勢いよく扉が開き、リラが飛び込んできた。
「何だ、リラ!!?お前一人か?ブラウはどうした?」
扉の前にいるのは、リラ一人だけだ。ブラウの姿がない。
「どうした?何かあったのか?」
リラの姿は泥だらけだった。
そして、リラは今にも泣きそうな顔で、こちらを見ている。
しかし、喋らないから何があったのか分からない。
「どうしたんだ?ブラウは何処にいる?」
悲痛な顔をするだけで何も伝わらない。
苛立ちが募るが、怒鳴ってはいけない。
──ゆっくり、落ち着いて聞くんだ。
自分に言い聞かせ、深呼吸をして、もう一度聞く。
「……ブラウはどこだ?」
身振り手振りで何かを伝えようとするが、何一つ分からん。
「はぁ~……仕方ない。そのうち戻ってくるだろう。リラ、お前は風呂に入っちゃいな」
そんな遠くには行っていないはずだ。
ほっといてもその内戻ってくるだろ。
そう思い、私は家の奥に戻ろうとした。
「………て」
「ん?」
何か声がしたような気がして、立ち止まった。
「……ブラウ……を……て」
小さな声だが、リラが喋っている。
「お前……」
「ブラウ、助けて!!!お願い!!!」
リラが大声で助けを求めた。
──そうか、私に助けを求めに来たのか……
ブラウを助ける為に、締め切っていた心の扉を開けたんだな。
「……ブラウの所まで飛ぶ。掴まりな」
そこまでして頼まれちゃ、行かない訳にいかないからね。
ブラウの気配を察知して、その場所まで飛んだ。
そこには血だらけのブラウと白狼二頭。
「ブラウ!!!」
リラがブラウの側に駆け寄った。
「リラ!?お前喋るようになったのか!!?」
「ブラウ、よく頑張ったね」
二頭とは言え、こいつらの攻撃力は並大抵なものじゃない。
稽古の成果が出たと見える。
「コルネリアさん……」
私を見た途端、泣き顔になる。
白狼に追われ私に拾われたブラウは、白狼を人一倍怖がっている。
それでも、リラを守ろうと頑張ったらしい。
「お前は大した男だよ。後は任せな」
「……コルネリアさん……」
私はブラウを庇うように前に出て、白狼と対面した。
「さあ、今からは私が相手だよ」
角兎親子とも仲が良い。
親角兎は自分の子供の様に可愛がってくれる。
リラの薬草の知識は、思ったほど間違ってはいなかった。
元々頭のいい子なんだろう。
この才能を知らなかったなんて、馬鹿な父親だよ。
さて、今日はそんな二人に頼みがある。
「ブラウにリラ。お前達に薬草を取ってきて欲しい。出来るか?」
「それぐらい楽勝ですよ。なぁリラ」
「……………」
相変わらず喋ることは出来ないが、任せろと言っている顔だった。
「じゃあ頼むよ。リラ、痛み止めの薬草だ。分かるな?」
首を勢いよく縦に振った。
うん。リラがいれば大丈夫だ。
念の為、ブラウには予備の剣を渡しておいた。
「じゃあ、行ってきます!!」
「気をつけて行くんだよ!!」
二人は私に大きく手振りながら、森の中へと入って行った。
──ふふっ、私が子供の心配をするとはね。
まったく、人生とは分からないものだね……
※
「あの子達遅いね」
外は日が落ち始めていた。
キュー………
ルーが心配して、私に近寄ってくる。
「心配かい?大丈夫だよ。ブラウはお前の母さんに稽古つけてもらってるんだからね」
そうは言っても、遅すぎる。
あの薬草は比較的近場にある筈なんだが……
バンッ!!!
勢いよく扉が開き、リラが飛び込んできた。
「何だ、リラ!!?お前一人か?ブラウはどうした?」
扉の前にいるのは、リラ一人だけだ。ブラウの姿がない。
「どうした?何かあったのか?」
リラの姿は泥だらけだった。
そして、リラは今にも泣きそうな顔で、こちらを見ている。
しかし、喋らないから何があったのか分からない。
「どうしたんだ?ブラウは何処にいる?」
悲痛な顔をするだけで何も伝わらない。
苛立ちが募るが、怒鳴ってはいけない。
──ゆっくり、落ち着いて聞くんだ。
自分に言い聞かせ、深呼吸をして、もう一度聞く。
「……ブラウはどこだ?」
身振り手振りで何かを伝えようとするが、何一つ分からん。
「はぁ~……仕方ない。そのうち戻ってくるだろう。リラ、お前は風呂に入っちゃいな」
そんな遠くには行っていないはずだ。
ほっといてもその内戻ってくるだろ。
そう思い、私は家の奥に戻ろうとした。
「………て」
「ん?」
何か声がしたような気がして、立ち止まった。
「……ブラウ……を……て」
小さな声だが、リラが喋っている。
「お前……」
「ブラウ、助けて!!!お願い!!!」
リラが大声で助けを求めた。
──そうか、私に助けを求めに来たのか……
ブラウを助ける為に、締め切っていた心の扉を開けたんだな。
「……ブラウの所まで飛ぶ。掴まりな」
そこまでして頼まれちゃ、行かない訳にいかないからね。
ブラウの気配を察知して、その場所まで飛んだ。
そこには血だらけのブラウと白狼二頭。
「ブラウ!!!」
リラがブラウの側に駆け寄った。
「リラ!?お前喋るようになったのか!!?」
「ブラウ、よく頑張ったね」
二頭とは言え、こいつらの攻撃力は並大抵なものじゃない。
稽古の成果が出たと見える。
「コルネリアさん……」
私を見た途端、泣き顔になる。
白狼に追われ私に拾われたブラウは、白狼を人一倍怖がっている。
それでも、リラを守ろうと頑張ったらしい。
「お前は大した男だよ。後は任せな」
「……コルネリアさん……」
私はブラウを庇うように前に出て、白狼と対面した。
「さあ、今からは私が相手だよ」
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