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あれからブラウとリラは本当の兄妹の様に仲良く過ごしている。
角兎親子とも仲が良い。
親角兎は自分の子供の様に可愛がってくれる。

リラの薬草の知識は、思ったほど間違ってはいなかった。
元々頭のいい子なんだろう。
この才能を知らなかったなんて、馬鹿な父親やつだよ。

さて、今日はそんな二人に頼みがある。

「ブラウにリラ。お前達に薬草を取ってきて欲しい。出来るか?」

「それぐらい楽勝ですよ。なぁリラ」

「……………」

相変わらず喋ることは出来ないが、任せろと言っている顔だった。

「じゃあ頼むよ。リラ、痛み止めの薬草だ。分かるな?」

首を勢いよく縦に振った。
うん。リラがいれば大丈夫だ。
念の為、ブラウには予備の剣を渡しておいた。

「じゃあ、行ってきます!!」

「気をつけて行くんだよ!!」

二人は私に大きく手振りながら、森の中へと入って行った。

──ふふっ、私が子供の心配をするとはね。

まったく、人生とは分からないものだね……



「あの子達遅いね」

外は日が落ち始めていた。

キュー………

ルーが心配して、私に近寄ってくる。

「心配かい?大丈夫だよ。ブラウはお前の母さんに稽古つけてもらってるんだからね」

そうは言っても、遅すぎる。
あの薬草は比較的近場にある筈なんだが……

バンッ!!!

勢いよく扉が開き、リラが飛び込んできた。

「何だ、リラ!!?お前一人か?ブラウはどうした?」

扉の前にいるのは、リラ一人だけだ。ブラウの姿がない。

「どうした?何かあったのか?」

リラの姿は泥だらけだった。
そして、リラは今にも泣きそうな顔で、こちらを見ている。
しかし、喋らないから何があったのか分からない。

「どうしたんだ?ブラウは何処にいる?」

悲痛な顔をするだけで何も伝わらない。
苛立ちが募るが、怒鳴ってはいけない。

──ゆっくり、落ち着いて聞くんだ。

自分に言い聞かせ、深呼吸をして、もう一度聞く。

「……ブラウはどこだ?」

身振り手振りで何かを伝えようとするが、何一つ分からん。

「はぁ~……仕方ない。そのうち戻ってくるだろう。リラ、お前は風呂に入っちゃいな」

そんな遠くには行っていないはずだ。
ほっといてもその内戻ってくるだろ。
そう思い、私は家の奥に戻ろうとした。

「………て」

「ん?」

何か声がしたような気がして、立ち止まった。

「……ブラウ……を……て」

小さな声だが、リラが喋っている。

「お前……」

「ブラウ、助けて!!!お願い!!!」

リラが大声で助けを求めた。

──そうか、私に助けを求めに来たのか……

ブラウを助ける為に、締め切っていた心の扉を開けたんだな。

「……ブラウの所まで飛ぶ。掴まりな」

そこまでして頼まれちゃ、行かない訳にいかないからね。
ブラウの気配を察知して、その場所まで飛んだ。

そこには血だらけのブラウと白狼二頭。

「ブラウ!!!」

リラがブラウの側に駆け寄った。

「リラ!?お前喋るようになったのか!!?」

「ブラウ、よく頑張ったね」

二頭とは言え、こいつらの攻撃力は並大抵なものじゃない。
稽古の成果が出たと見える。

「コルネリアさん……」

私を見た途端、泣き顔になる。
白狼に追われ私に拾われたブラウは、白狼を人一倍怖がっている。
それでも、リラを守ろうと頑張ったらしい。

「お前は大した男だよ。後は任せな」

「……コルネリアさん……」

私はブラウを庇うように前に出て、白狼と対面した。

「さあ、今からは私が相手だよ」
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