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ヴゥゥゥゥ~…グルルルルル……

「さぁ、かかって来い」

グガァァァ!!

一頭が牙をむき出して飛びかかってくるが、私はギリギリまで動かない。

「コルネリアさん!!!?」

ブラウが、心配して叫ぶ。

──やれやれ、私が白狼ごときに負けると思ってるのか?

私は白狼に手をかざし「フローガ」と唱えた。
すると、一瞬にして白狼は火だるまになり、ドサッとその場に崩れ落ちた。

「……すげぇ……」

ブラウとリラがあまりの事に呆けているが、まだ呆けるには早い。
もう一頭残っている。

「さて、お前はどうするんだい?」

先程の奴と比べ物にならないぐらいデカい白狼やつだ。
出来れば、手は出したくないんだが……

『……お前、もしや大魔女か……?』

「!!!!!!??」

──なんだ!?この声は!!?白狼こいつか!?

『……やはりな、懐かしい匂いがすると思った』

「……私は、お前など知らんが?」

どうやら、この白狼は私の脳に直接話しかけている様だった。
こんな事、出来る白狼は……

「お前、長か?」

『そうだ……久しいな。大魔女よ』

この口調。やはり何処かで会ったことがあるのか?
確かに、結構な数とやり合ったが、そんなもの一々覚えていられない。

「私と何処で会ったんだ?」

『……ワシがまだ幼い頃、お主に助けてもらたんだが、覚えてないか?』

助けた?私が……?

『覚えていないのも仕方あるまい。あれから随分と時間ときが過ぎた……』

私は一度死んで、生き返ってるしな。

「……あの、コルネリアさん?……誰と喋ってるんですか?」

ブラウが怪訝な顔で聞いてきた。
どうやら、ブラウ達には聞こえていないらしい。

「ああ、この白狼と話をしている。こいつはどうやら、私と知り合いらしい」

「コルネリアさん、白狼とも知り合いなの!?すげぇな!!」

「……すごい……」

ブラウとリラがキラキラした目を私に向けてくるが、私の記憶の中にこの白狼がいないんだが……

『こいつらは、お主の子供か?』

「違う!!私の弟子だ。そもそも、結婚すらしていない」

『がはははは!!そうかそうか、お主は結婚よりも戦闘ばかりだったからな』

まさか、白狼にも言われてしまうとは……

『そう言えば、ここ最近北の山のドラゴンが騒がしい。気をつけた方がいいぞ』

ドクンッ!!

北の山のドラゴン……その言葉に私の心臓が飛び跳ねた。

──私の命を奪った奴だ。まだ生きていたのか……

生きていると言うことは、誰も倒せなかったと言うことだ。

『どうした?』

「……いや、何でもない」

ギュッと手を握りしめ、誤魔化した。

『さて、ワシはもう行くとする。お主と会えて、話が出来て良かった。また何かればワシを頼るといい』

「ああ……すまなかったね、あんたの仲間を殺っちまって……」

『……仕方ない事だ……良ければそいつの墓を作ってやってくれ。その方が、そいつも報われる』

「ああ、任せときな」

その言葉を聞き、安心したのか白狼は森の方へゆっくり歩いて行った。

その姿を見送ってから、ブラウとリラと一緒に白狼の墓を作り、小さな花を供え家へと戻った……
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