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グスタフの屋敷は郊外にあった。
流石、公爵と言う爵位を持ってるだけあって立派な屋敷だった。
──昔は、子爵だったんだがな。
大方、上の連中を上手いこと騙したんだろう。
──奴のやりそうな事だ。
「コルネリア、今ミュラーは出かけてるみたいです」
「今がチャンスだね。ルー、おいで」
「うん!」
ルーの首には魔石が入った袋が括り付けてある。
「姿隠」
ルーの体が淡く光、姿が見えなくなる。
「これでお前の姿は見えない。しかし、ここの主にはこの魔法は効かないんだ。用心して行動してくれ」
「分かった!!行ってくる!!」
そう言うと、ルーは風を切りながら屋敷へと向かった。
「……ブラウは屋敷に入ったら、バジャーを探してくれ」
「はい」
ブラウにはバジャーを見つける事を優先させる。
「コルネリア、私達もそろそろ向かいますよ?」
「ああ、グスタフが戻ってくる前に片が付けばいいがな」
そう言うと、私達も屋敷へと向かった。
※
屋敷の中を覗くと、公爵家の割に使用人の数が少なかった。
そう言えば、あいつはあまり人が好きではなかったな。
使用人も最低限しか雇っていなのだろう。
「……よし、ここで分かれよう。それぞれ気をつけて行ってくれ」
「コルネリアも、無理しないでくださいよ?」
「必ずバジャーを見つけ出します」
ラルスとブラウが、それぞれ別の方へ消えて行った。
「さて、私も動くか……」
今私がいる場所は、丁度グスタフの執務室。
窓を開け、執務室へと入る。
机の上は書類で溢れかえっていたが、その書類に目をやると、『至急、女奴隷望む』『人体実験に使用する人間、数人頼む』『珍しい獣、宜しく』虫唾が走る様な事ばかり書かれていた。
「ん?」
その中に『大魔女が蘇った』と書かれた物があった。
「ふん。くだらん」
私は書類に火を放ち燃やし尽くした。
そして、執務室をぐるりと見渡し、一箇所気になるところがあった。
それは暖炉。
昼間は暖かいとはいえ、夜はまだ冷える。
それなのに、この暖炉は使われた形跡がない。
──まあ、単に暑がりだと言えばそれまでだが……
暖炉に手をかざすと、バチンッと弾かれた。
──やはり
「公開」
すると、魔法陣が浮かび上がった。
「破壊」
パリーンッ!
魔法陣が消えると、暖炉のあった場所には地下へと続く階段が現れた。
ゆっくり下に降りていくと、そこはまさに地獄絵図だった。
床には大きく魔法陣が描かれ、辺りには人らしき死体数人分と、数匹の魔獣が首を斬られ死んでいた。
「これは、まさか……」
「──おやおや、屋敷に鼠が入り込んだと思ったら、久しい顔だな」
後ろから声が掛かり、振り向いた。
「貴様……」
「久しぶりだな、コルネリア。まさか、お前にこんなこそ泥の様な趣味があるとはな」
ここの当主、グスタフ・ミュラーのお出ましだ。
「お前こそ、不老魔法を駆使しながら私を待っていたのか?」
「これを見ただけで分かるとは、流石だな」
不老魔法。字のごとく歳を取らない魔法。
だが、永遠ではない。一定期間歳を取らなくなる。
この魔法は転生魔法共に禁忌とされているもの。
しかも、この不老魔法には毎回大量の血がいる。
──この惨状やグスタフの姿を見る限り、定期的に行われてたのだろう。
「……何故、そうまでして人の理をねじ曲げる?」
「何故?おかしな事を聞くな。私は神の領域に足を踏み入れたのだ。見てみろ、この私の姿を。お前と出会った頃と何ら変わりないだろう?」
「まるで自分が神になったような言い草だな」
「ああ、私は神になるのだ。この国を、この世界すら私の手の内になる。そうだ、お前も私の傘下に加えてやろうか?」
グスタフは私に、そんなくだらん事を言ってきた。
「……くだらん事を抜かすな」
深い溜息をした後、ここから出ようとしたが、グスタフに止められた。
「お前は何故その姿のままだ?あの時確かにお前の魔力は消えたはず」
「……貴様に話す筋合いはない。そこを退け、私はやる事がある」
「相変わらずだなコルネリア。しかし、ここは私の屋敷だ。簡単には帰せんな」
そう言うグスタフの手からは黒い炎が揺らめいていた。
──やはり、通してくれんか……
流石、公爵と言う爵位を持ってるだけあって立派な屋敷だった。
──昔は、子爵だったんだがな。
大方、上の連中を上手いこと騙したんだろう。
──奴のやりそうな事だ。
「コルネリア、今ミュラーは出かけてるみたいです」
「今がチャンスだね。ルー、おいで」
「うん!」
ルーの首には魔石が入った袋が括り付けてある。
「姿隠」
ルーの体が淡く光、姿が見えなくなる。
「これでお前の姿は見えない。しかし、ここの主にはこの魔法は効かないんだ。用心して行動してくれ」
「分かった!!行ってくる!!」
そう言うと、ルーは風を切りながら屋敷へと向かった。
「……ブラウは屋敷に入ったら、バジャーを探してくれ」
「はい」
ブラウにはバジャーを見つける事を優先させる。
「コルネリア、私達もそろそろ向かいますよ?」
「ああ、グスタフが戻ってくる前に片が付けばいいがな」
そう言うと、私達も屋敷へと向かった。
※
屋敷の中を覗くと、公爵家の割に使用人の数が少なかった。
そう言えば、あいつはあまり人が好きではなかったな。
使用人も最低限しか雇っていなのだろう。
「……よし、ここで分かれよう。それぞれ気をつけて行ってくれ」
「コルネリアも、無理しないでくださいよ?」
「必ずバジャーを見つけ出します」
ラルスとブラウが、それぞれ別の方へ消えて行った。
「さて、私も動くか……」
今私がいる場所は、丁度グスタフの執務室。
窓を開け、執務室へと入る。
机の上は書類で溢れかえっていたが、その書類に目をやると、『至急、女奴隷望む』『人体実験に使用する人間、数人頼む』『珍しい獣、宜しく』虫唾が走る様な事ばかり書かれていた。
「ん?」
その中に『大魔女が蘇った』と書かれた物があった。
「ふん。くだらん」
私は書類に火を放ち燃やし尽くした。
そして、執務室をぐるりと見渡し、一箇所気になるところがあった。
それは暖炉。
昼間は暖かいとはいえ、夜はまだ冷える。
それなのに、この暖炉は使われた形跡がない。
──まあ、単に暑がりだと言えばそれまでだが……
暖炉に手をかざすと、バチンッと弾かれた。
──やはり
「公開」
すると、魔法陣が浮かび上がった。
「破壊」
パリーンッ!
魔法陣が消えると、暖炉のあった場所には地下へと続く階段が現れた。
ゆっくり下に降りていくと、そこはまさに地獄絵図だった。
床には大きく魔法陣が描かれ、辺りには人らしき死体数人分と、数匹の魔獣が首を斬られ死んでいた。
「これは、まさか……」
「──おやおや、屋敷に鼠が入り込んだと思ったら、久しい顔だな」
後ろから声が掛かり、振り向いた。
「貴様……」
「久しぶりだな、コルネリア。まさか、お前にこんなこそ泥の様な趣味があるとはな」
ここの当主、グスタフ・ミュラーのお出ましだ。
「お前こそ、不老魔法を駆使しながら私を待っていたのか?」
「これを見ただけで分かるとは、流石だな」
不老魔法。字のごとく歳を取らない魔法。
だが、永遠ではない。一定期間歳を取らなくなる。
この魔法は転生魔法共に禁忌とされているもの。
しかも、この不老魔法には毎回大量の血がいる。
──この惨状やグスタフの姿を見る限り、定期的に行われてたのだろう。
「……何故、そうまでして人の理をねじ曲げる?」
「何故?おかしな事を聞くな。私は神の領域に足を踏み入れたのだ。見てみろ、この私の姿を。お前と出会った頃と何ら変わりないだろう?」
「まるで自分が神になったような言い草だな」
「ああ、私は神になるのだ。この国を、この世界すら私の手の内になる。そうだ、お前も私の傘下に加えてやろうか?」
グスタフは私に、そんなくだらん事を言ってきた。
「……くだらん事を抜かすな」
深い溜息をした後、ここから出ようとしたが、グスタフに止められた。
「お前は何故その姿のままだ?あの時確かにお前の魔力は消えたはず」
「……貴様に話す筋合いはない。そこを退け、私はやる事がある」
「相変わらずだなコルネリア。しかし、ここは私の屋敷だ。簡単には帰せんな」
そう言うグスタフの手からは黒い炎が揺らめいていた。
──やはり、通してくれんか……
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