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アレッシオとの話を無理やり終わらせ、私はパウルの待つ部屋へ戻ってきた。
パウルはベッドに横になり眠っていた。
起こすのは悪いと思い、パウルはそのまま寝かせておいて、私は窓の外に目を向けた。
私達の部屋からは騎士演習場が見渡せた。
久々に騎士達の演習を見ると、ついつい口を出したくなる。
こればっかりは昔の癖が抜けない。
「コルネリア~!!」
「──ぬおっ!?」
いきなり後頭部に衝撃が走った。
声を聞く限りドランの様だが、相変わらず姿が見えんから不便だ。
「ドランか!?戻ったのか!?」
「はいっす。アルベールの居場所は掴めたっすよ!!南棟の地下にいるっすね」
ドランは無事にアルベールの居場所を突き止めて来てくれたらしい。
「そうか。ありがとな」
ドランの頭を撫でたくても、姿が見えないので撫でることが出来ない為、笑顔で感謝を伝えた。
「アルベールは元気だったっす。コルネリアが来たことを伝えると驚いてたっすよ」
「そうか。元気そうなら良かった」
まあ、アルベールは転んでも団長だからな。そんな簡単に衰弱するような奴ではないかのは分かっていたが、やはり元気だと聞くと安心する。
「今から行くっすか!?」
すぐにでも助け出したい所だが、多分私らは見張られている。
ここにいる以上、下手な動きは出来ん。
「……いや、今はまだ動かん。決戦は三日後。ここを去る瞬間だ」
「……そうっすか」
ドランは何処が残念そうだったが、ここは我慢してくれ。
私一人なら行動に移していたかもしれんが、今回はパウルが一緒だ。
私の行動がパウルを危険に晒すことになりえる。
「そんな焦るな。奴らはアルベールを殺しはしない。殺したら自分たちの命が危うくなる事ぐらい勘づいているだろう?」
「もういっそ城ごと潰した方が早そうっすよ?」
「……お前は本当に父親に似てるな」
ラコードはどんな育て方をしたんだ?
そんな物騒な話をしていると、パウルが目を覚ました。
パウルは、私の姿を目にするとホッとした様だ。
「……コルネリアさん、おかえりなさい」
「あぁ、パウルは大丈夫か?」
ゆっくりと体を起こすパウルに問いかけた。
「……えぇ、何とか……」
「夕食までゆっくりしていろ。私もここにいるから」
「自分もいるっすよ-」と、ドランも声を掛けてきた。
パウルはここに来てようやく笑顔が戻った。
「……そう言えば、アルベールさんの居場所は分かったんですか?」
パウルが水差しの水を飲みながら聞いてきた。
「あぁ、南棟の地下にいるらしい」
私はベッドに腰掛けて、アルベールの居場所を伝えた。
パウルは「じゃあ、すぐに助けに行かないと!!」と、立ち上がった。
──どいつもこいつも、急ぐんじゃない。
私はドランにも伝えたことをパウルにも同様に伝えた。
「そうですよね……。焦っても、解決するとは限らないですものね」
物分りが良くて助かるな。
これが、ブラウやラルスならばまだ揉めている所だ。
「……しかし、クラウディアは安心させてやらねばな」
私はそう言うと、机の上に置かれたペンと髪にクラウディア宛の手紙を書き、それを鳥の姿に変えた。
「おぉ!!流石はコルネリアさん!!」
「へぇ、こんな事も出来るっすねぇ~」
パウルは鳥に変わった手紙を穴が開きそうなほど眺めていた。
私は、それを窓の外に飛ばしクラウディアに届けるよう伝えた。
──これで、少しは安心するはずだ。
パウルはベッドに横になり眠っていた。
起こすのは悪いと思い、パウルはそのまま寝かせておいて、私は窓の外に目を向けた。
私達の部屋からは騎士演習場が見渡せた。
久々に騎士達の演習を見ると、ついつい口を出したくなる。
こればっかりは昔の癖が抜けない。
「コルネリア~!!」
「──ぬおっ!?」
いきなり後頭部に衝撃が走った。
声を聞く限りドランの様だが、相変わらず姿が見えんから不便だ。
「ドランか!?戻ったのか!?」
「はいっす。アルベールの居場所は掴めたっすよ!!南棟の地下にいるっすね」
ドランは無事にアルベールの居場所を突き止めて来てくれたらしい。
「そうか。ありがとな」
ドランの頭を撫でたくても、姿が見えないので撫でることが出来ない為、笑顔で感謝を伝えた。
「アルベールは元気だったっす。コルネリアが来たことを伝えると驚いてたっすよ」
「そうか。元気そうなら良かった」
まあ、アルベールは転んでも団長だからな。そんな簡単に衰弱するような奴ではないかのは分かっていたが、やはり元気だと聞くと安心する。
「今から行くっすか!?」
すぐにでも助け出したい所だが、多分私らは見張られている。
ここにいる以上、下手な動きは出来ん。
「……いや、今はまだ動かん。決戦は三日後。ここを去る瞬間だ」
「……そうっすか」
ドランは何処が残念そうだったが、ここは我慢してくれ。
私一人なら行動に移していたかもしれんが、今回はパウルが一緒だ。
私の行動がパウルを危険に晒すことになりえる。
「そんな焦るな。奴らはアルベールを殺しはしない。殺したら自分たちの命が危うくなる事ぐらい勘づいているだろう?」
「もういっそ城ごと潰した方が早そうっすよ?」
「……お前は本当に父親に似てるな」
ラコードはどんな育て方をしたんだ?
そんな物騒な話をしていると、パウルが目を覚ました。
パウルは、私の姿を目にするとホッとした様だ。
「……コルネリアさん、おかえりなさい」
「あぁ、パウルは大丈夫か?」
ゆっくりと体を起こすパウルに問いかけた。
「……えぇ、何とか……」
「夕食までゆっくりしていろ。私もここにいるから」
「自分もいるっすよ-」と、ドランも声を掛けてきた。
パウルはここに来てようやく笑顔が戻った。
「……そう言えば、アルベールさんの居場所は分かったんですか?」
パウルが水差しの水を飲みながら聞いてきた。
「あぁ、南棟の地下にいるらしい」
私はベッドに腰掛けて、アルベールの居場所を伝えた。
パウルは「じゃあ、すぐに助けに行かないと!!」と、立ち上がった。
──どいつもこいつも、急ぐんじゃない。
私はドランにも伝えたことをパウルにも同様に伝えた。
「そうですよね……。焦っても、解決するとは限らないですものね」
物分りが良くて助かるな。
これが、ブラウやラルスならばまだ揉めている所だ。
「……しかし、クラウディアは安心させてやらねばな」
私はそう言うと、机の上に置かれたペンと髪にクラウディア宛の手紙を書き、それを鳥の姿に変えた。
「おぉ!!流石はコルネリアさん!!」
「へぇ、こんな事も出来るっすねぇ~」
パウルは鳥に変わった手紙を穴が開きそうなほど眺めていた。
私は、それを窓の外に飛ばしクラウディアに届けるよう伝えた。
──これで、少しは安心するはずだ。
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