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 目の前の彼はひとしきり笑った。
 私はそれを茫然と眺めていた。もしかして……その優しい琥珀色の瞳って、まさかね。

(レオさん?)

「ティーさんはまだ気付かない? 僕だ、レオだよ」

 やはり、この人は……えぇ、レオさんなのたてがみにもふもふが無いわ。
 彼は私が驚くたびに嬉しそうに、身振り手振りで説明してくれる。

「ティーさん見て」

 まず、先に頭耳を指して、次にしなやかな尻尾を見せた。

「そうか、まだわからないかぁ? 僕の耳に尻尾を触る?」
「え、触ってもいいのですか?」

 いいよと、私が届くように前にしゃがんでくれた、その耳を触る。
 触り心地のよ良いふさふさ。
 ライオンさんの可愛い見た目から、こんなに素敵な男の人にも……なるんだ。
 次に、レオさんの尻尾も撫でた。
 
「ふふっ、くすぐったい。ティーさんは僕の尻尾がお気に入り?」
「いいえ、全部お気に入りです」

「えっ」
 
 あ、思っていたことが出てしまい……両手で口元を押さえた。

「全部?」
「ちがっ、わないけど……うぅ」

 恥ずかしい。変なことばかりレオさんに言ってる。
 でも、彼は嫌がるところか大きな手で髪を撫でてくれた。
 
「ティーさんありがとう。僕の全部を気に入ってくれて嬉しいよ」

 彼は嬉しそうに笑った。

 ♢

 その日の夕食後。ティーさんの部屋はと言った後にレオさんは、ハッと手持ちのろうそくを持ってキッチンから部屋を見に行ってしまうを
 私もその後について行くと、奥の部屋を開けてレオさんは呆然としていた。
 私も覗こうとしたけど見えない。

「どうしたのですか?」
 
「あ、ティーさんごめん。奥の部屋なんだけど、しばらく使ってなくてここ掃除をしないと使えなさそうだ……ベッドのある部屋ってここしかないんだ。ティーさんしばらく僕の部屋で寝てください」

 の後に、この屋敷はね。僕の大きさに作り直しちゃって……あまり部屋を作らなかったんだ、と言うレオさんの困り顔に頭の耳がすまなそうに下がっていた。
 それでレオさんの部屋は大きく、家具なども合わせて大きかったんだと納得した。

「気にしないでください。明日、私がここを掃除をしますから……他の部屋の掃除も任せてください」
「そう、わかった。僕も明日の用事が終わったら手伝うからね」

「はい、レオさん」

 今日もレオさんの部屋で、彼の側で眠りに付いた。 

 ♢ 

 次の日の朝。
 朝食後に人型となったレオさんは、ビシッとした黒服を着ていて、それがまた素敵で見惚れてしまった。
 
「ティーさん、今から王城に書類を出しに行ってくるよ」
 
 王城? お城?

「ここの森と場所は国の管轄だからね。いつもの報告とティーさんをここで雇うと上に伝えてくるよ」 

「はい、お願いします」

 王城に向かうレオさんを見送りして、私は掃除道具片手に、奥の部屋の掃除を始めるのであった。
 
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