「悪役令嬢は愛おしきモフモフ♡へ押しかけたい‼︎」(完結)

深月カナメ

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 なんだか首がむずむずして、痒くて、目が覚めた。

 ん、んん?

「ここは、どこ?」

 森の中。大きな木の幹でコアラの様にしがみ付いて、寝ていたはずなんだけど。
 目が覚めると何処かの洞窟で寝ていた。
 近くにある焚き木あとは、まだ温から、さっきまでここに誰かいたんだと分かる。


 でも。

「……ここって、洞窟の中だよね?」


 でも、想像の中にある洞窟は蜘蛛の巣が張り壁が崩れる、といったことはなく。
 掃除が行き届いていてる綺麗な洞窟だった。

 洞窟を見回していると、枯れ草と枯葉を踏む足音が近づいて来た。
 誰かがこの洞窟に戻ってきたようだ。
 わたしは息を飲みその音に耳を傾けていたけど。
 その足音は付近まで来ると足を止めた。
 
 どうやら、わたしが起きていることに気が付いたみたい。黙っていると向こうから話しかけてきた。

「おはよう、目が覚めたみたいだね」

「はい、おはようございます」

 それはよく通った、低音のいい声の方だった。



 + 



 わたしが居るここからは、彼の姿は見えなかった。
 たぶん、そこにいる人が私をここまで、運んてくれた人なんだろう。
 
 どうしてここに連れてきたの、と聞いてもいい? 
 もし、変な人だったら襲われてしまうかもしれない。

 なんて言ったって。

 カルノは美人でナイスバディだもの。

 確か胸のサイズはcカップで、腰は細く、お尻もキュッと上がっていて形がいいはず。

 言うなら、ぼっきゅぼんよ。
 公式にも、そう書いてあった。


「怪我していたみたいだけど大丈夫? 鼻と足の怪我、痛くない?」

 鼻? 足? 足首に包帯が巻いてあった。
 あっ、昨日、森の中で思いっきり転んで、できた怪我だ。

「痛くありません、手当をありがとう」

「いいや、本当はちゃんと冷やしたほうが、いいんだけどね」

 優しい。

 見知らぬわたしに手当てしてくれるなんて、なんていい人なのだろう。

「大丈夫です。……でも、どうして、ここに連れてきたのですか?」

『わたしに何かしようとしたの?』とは彼に言わなかった。
 彼がわたしの側に近付いてきているのがわかったから。

「どうしてって? あんな変な場所で寝ているし、迷子か、遭難者だと思ったんだ。夜の森はそんな格好だと、凍えてしまうからね」

 迷子、遭難……それに夜を森で過ごすに、このドレスではダメだったのか迂闊だった。

「そうだったのですね、ご迷惑をおかけしました」

 お礼を言おうと顔を上げた。 

(虎の獣人だ)

 彼は上半身フサフサな毛で覆われていた。服装はズボンを履き、足に鋭い爪、お尻の尻尾は何かを探り横に揺れていた。

 彼はルイだ……ゲームのスチルと同じ、虎の獣人のルイ。彼に会えた。

 でも、いきなり名前を呼んで警戒されたくないけど。

 彼に会えたのだ。
 いちばんのお気に入りの彼。

 言わなくちゃ、あなたのお嫁になりたいと告白するために、立ち上がったのだけど。


「⁉︎」


 アレ? 
 どうなっているの? 

 わたしとルイさんの身長差がおかしいくない?

 大人と子供? いやそんなはずはない。
 悪役令嬢カルノの身長は167センチだと公式に書いてあった。
 ルイさんは公式はなかったけど、スチルで見たところ、180センチくらい? 
 身長差せいぜい13センチぐらいになるはずなんだけど……

(彼が大きい)

 見上げてる首が辛くなってきた。

 あれ、なんで? 
 こんなにも彼との身長差が違うの? 

 いいや、どうして、わたしは転生したと気付いた後に気付かなかったの?

(わたしってぼっきゅぼんだから~)

 自分がナイスバディの悪役令嬢のカルノだと知って。
 勝手に雑誌とゲームでのカルノだと思い込んだ。

 ゲームでのカルノはモデル級のスタイルと美貌だったもの。

 だってカルノだよ。
 あのカルノ。

 そうだと思うじゃない。
 でも実際にはそうじゃなかった。

 もしかして前世の自分と同じサイズ? 
 それも違う前世のわたしは160センチあったもの。

 それよりも小さい。
 わたしは誰? 

 カルノだとは呼ばれていたから、カルノだろうけど。
 悪役令嬢のカルノだと思ったけど、もしかしてモブ、カルノ?

 いやいや、うち公爵家だったし。
 モブだと、なにかない限り王子の婚約者候補に選ばれないはず。

 ちょっと待って。
 乙女ゲームのカルノのみたいに、美人ではないと、彼に愛してもらえないじゃないのでは?
 
 わたしは愛する人と家族が欲しいのに……抱きしめられたいのに……

 そんなのないよ。


「「やだぁーー!」」


 わたしはパニックで頭を抱えて丸まった。今からでも遅くないです。
 乙女ゲームのナイスバディーのカルノにしてよ。


 神様、女神様、仏様! 


 何でもします肩をお揉みしますから!

 
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