「悪役令嬢は愛おしきモフモフ♡へ押しかけたい‼︎」(完結)

深月カナメ

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 自分の容姿に驚き、叫んだわたしの近くに影落ちた。

「大丈夫かい?」

「⁉︎」

 しまった、パニックで叫んだからルイさんが心配で来ちゃった。

 嫌だ、見ないで、こんなわたしを見ないで、美人じゃないかもしれないし、幼児体型のちんちくりんなの。
 
 そのときのわたしは自分の事で、精一杯で彼の事を考えていなかった。


 しばらく沈黙の後に、彼の沈んだ声が聞こえてきた。


「あ、ごめん。俺のこの姿が怖いのか? そうだよな……獣人だから……久しぶりに父とは違う人間と会ったから忘れていたよ」

 獣人だから?

「怖がらないで、俺はなにもしないから」

「えっ?」

 ルイさん?

「そんなに震えて、僕が獣人だから怖いんだろ?」

 ルイさんが怖い? わたしのこの態度が彼にそう思わせたんだ。悲しい顔をしてるわたしが彼を傷付けてしまった。

 早くなにか言わないと。

「あ、あの違うんです。わ、わたしはあなたが怖いんじゃないの。ほんとうに違うの、あのね、そのあれなの……言うのが物凄く、恥ずかしいのだけど……いま動いたときに無理をして付けた、コルセットがぎゅっとお腹を締め付けて、ただ、それに驚いただけなの……」

 必死に身振り手振りで、彼のことが怖くないと説明したのだけど……コルセットがきついって、どんな言い訳……だよ、わたし。

 でも、あながち嘘ではないもの。
 ほんとこれはキツイし、こんなにお腹を絞めて大丈夫? と聞きたいくらいにしまってるもの。

「だから、あなたの事はぜんぜん怖くないです」

(むしろ可愛い)と言う言葉は飲み込み、「ごめんなさい」と彼を見ると、瞳が優しく細められていた。


(うわぁ、かっこいい!)


「そうか、よかった」

「驚かせてごめんなさい」

「いいや、俺のことが怖くない方が……その、嬉しいから」

 嬉しい!

 えっ、ルイさん? もしかして喜んでいる? 
 彼にお尻を向けながら、かすかに見えた彼の尻尾は、交互にリズムに乗るように動いていた。


「君はそのコルセット脱ぎたいよね」

「はい、できれば脱ぎたいです」

「うーん、君くらいの歳ならまだ恥ずかしくないかな? でも女性だものね。あっ、ちょっと待っていて」
 
 ルイさんはそれだけ言うと、洞窟の奥に走っていった。
 しばらく待っていると、手に何か持って帰ってきた。

「探してみたけど君が着れるのって、これしかなかったからこれでいいよね」

 新品の男物のシャツを貰った。
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