(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

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四十四

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「「リ、リチャード様!」」


 私の叫び声に「どうされました!」と隣の給湯室と、入り口が開き、エプロン姿の側近リルと近衛騎士アラン様ともう1人、王子の近衛騎士が部屋に入ってきた。

 彼らは、燃え上がる王子を止めようとした。

「リチャード様、落ち着いてください」

「リチャード、やめろ!」

「リチャード王子殿下、荒ぶる、気持ちを抑えてください!」


「うるさい、うるさい! 落ち着いてなどおれるか!」


 王子の声と共に炎は勢いを増した。
 みんなは炎の熱さに吹き飛ばされて、王子に近付けないでいた。


「……リチャード様」


「ミタリア様とリリネ君は少しでも離れて、炎が当たらない部屋の隅に避難してください」

 側近リルに部屋の隅に行くように指示さてれた。

(目の前で燃え上がる炎ーー獣化する私たちは16歳ぐらいで特殊能力が芽生える。王子の特殊能力は火なんだ、彼の怒りの感情に魔力が暴走してる)

 止めなくちゃ!

「リチャード様、落ち着いて」

 私は怒り狂う王子を腕の中に抱きしめた。


「「ミタリア様」」


(嘘! 炎が熱くない、これならば王子を止められる!)


「私は平気。……み、みんなはしばらく耳を塞いで、目を瞑って!」

 と、みんなにお願いした。彼らは「かしこまりました」と、もふもふの耳を両手で押さえて、目を瞑ってくれた。

(いまからすることは恥ずかしいけど。そんなこと、言っている場合じゃない)

「リチャード様、好きだよ。だあぁい好き」

 ちゅっと怒りに燃える王子の唇を奪った。いきなりのキスに驚いた王子に、もう一度キスして離れようとしたのだけど、ガシッと後頭部を掴まれた。

「んっ、んん!」

 王子にちゅ、ちゅと何度も唇を奪われる。

「……っ」

「はぁっ、はぁっ、ミタリア、ミタリア好きだ。俺は君を愛してやまない……すまない、まだ、怒り狂う気持ちが収まらない……収めるのに君のが必要だ!」

「へっ?」

 いまだ火を纏う王子に肩に担ぎ上げられた。

「ちょ、ちょっ! リチャードさま、まあぁってぇー!」

 給湯室とは逆の扉を開けて入ると、私の腕輪を外してポイッと投げた。猫になった私はくるっと一回転して綺麗に着地した。

 もふん。

 この感触と、ふんわり感は高級オフトゥン⁉︎

「ミタリア!」

「う、ぎゃっ!」

 狼王子にのっかかられた。ぎゅっと、もふもふの胸に抱きしめられて、ほっぺをベロン、ベロン舐められた。

(うにゃっ!)

 ベロン、ベロンして、気持ちが落ち着いてきたのか、王子の火は消えていった。でも、まだ足りないらしく、ぐりぐり、ぐりぐり鼻でほっぺを力一杯に押された。王子よりも、かなり小さい私には少し痛い。

「あ、あの、リ、リチャード様落ち着くにゃ」

「ごめん、ミタリア……気持ちが膨れ上がって、押さえきれなかった。くそっ、ミタリアとみんなを危険な目に合わせてしまった……一歩間違えれば、うわぁっーー!」

 今度は王子がガタガタ震えて、絞り出すように声を出した。

「ほんとうに、よかった……っ、父上の部隊が俺が燃え上がったき『レジスト』をみんなにかけてくれた。俺に特殊能力が現れたときに、こんな事にならぬよう日々訓練してきたのに。怒りに我を忘れるなんて……ぐっ」
 
 歯を食いしばり、いまに泣いてしまいそうで、肩を落として落ち込む王子。彼の頬を両手でモミモミして、頬を擦り寄せてスリスリした。

「……ミタリア、ごめん。リル、トム、アランは俺のことを怖がるだろうな」

「悪い方に考えてはダメにゃ! その事は自分で考えるよりも、みんなにちゃんと聞かなくちゃ。私はリチャード様を怖がっていないし、怒ってもいない。あんなに怒るほどの愛を貰ったから。私は許す! にゃっ!」

「ミタリアは許すか……はははっ」

 ポロ、ポロッと彼の瞳から涙が落ちた。
 肉球で涙を拭いたけど、王子の涙は止まらない。

 しばらく王子は「……よかった」と嗚咽を漏らして、体を震わせ泣いていた。

 私はそんな王子の側に寄り添った。









 泣いて、落ち着いてきた王子と、並んでベッドに寝そべっていた。

「ねぇ、リチャード様」

「ん、なんだ?」

「リチャード様の、特殊能力が判明しましたのにゃ」

「えっ? あ、あぁ、そうだな、俺は火属性か……はぁ、1度、獣化研究所に行き調べないと……な」

 渋い顔の王子。わかる、研究所には嫌な思い出しかない。

「だったら、一緒に行くかにゃ?」

「えっ、一緒に行ってくれるのか?」

「いいにゃ。私、5月生まれだから、調べれば私の特殊能力わかると思うにゃ」

「そうだな、わかるな。よし、学園の休みの日に一緒に行こう……」

「はい、にゃっん!」

 もうすぐ私にも特殊能力が身に付くはず……ヒロインの手紙にあった通り、私の特殊能力は闇属性なのにゃ?
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