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第二章
第3話 ほこほこひよこ豆
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[ねえ、ほんとうに私が見えている?]
一気にまくし立てたせいではーはーと息切れをして、白銀の髪サファイアの目の女の人は私の近くでもう一度聞いた。
彼女が歩くたびにシャリシャリと音が鳴る何の音かと見ると、彼女の足首には白く光る鎖が付いていた。
その鎖は何処からと目線でたどると、この広間の奥にある王座に繋がれていた。
[ねえ、見える?]
もう一度聞いてきた彼女の目を見て私は、隣のシーラン様に気付かれないように頷く。
私の頷く姿を見て彼女のサファイア色の目が大きくなった。
[ああ、見つけた。あなたに頼みたいことがあるの]
いますぐにでもここで話そうとする彼女に、私は小声で「いまは無理…時間ができた時に聞く」と彼女に言うと微笑み頷いた。
[…わかった]
そう言い広間からシャリシャリと音を出し、壁をすり抜け消えていった…でも、王座から伸びる鎖があるから彼女は近くにはいるのだろう。
この事をいまのシーラン様やリズ様、リオさんには言えない。
リズ様やリオさんは崩れた箇所を見に言ったり竜人の人々に声をかけたりと、休まず動いているいつの間にかマリーさんもリズ様について行き竜人の人に声を掛けていた。
さっき「私は聖女」と言っていたモフカさんに至っては、一部の人々に聖女と持ち上げられて踏ん反り返っている姿が見える。
シーラン様はコッホ騎士団長に何らかの方法で連絡を取り、いまは地鳴りが無いことや今日は瘴気が薄いと聞いていたのかな?
いま、この状況を見て手を握りしめ眉をひそめた。
彼は私達を危ない目に合わせてしまったこんな事態になるなんて、みんなを危ない目に合わす為に呼んだわけでは無い…と呟きギリっと唇を噛む。
その様子を見て私はそっと彼の手に自分の手を添えた。
「シャルロット嬢?」
「大丈夫だよ、シーラン様」
彼を見上げて微笑む、一瞬だけ表情が緩みかけ、眉をひそめて微笑んだ。
ガジャガジャと金属の擦れる音がして、扉が勢い良く開き探しに出ていた騎士達が戻って来た。
「コッホ騎士団長!」
「クレア殿下は見つかったのか?」
「いいえ、団長が言われていたクレア殿下は、何処を探しても見当たりません」
彼らも城の中を走り、探し回ったのだろう、鎧の下は汗だくになっていた。
「それともう1つ報告があります、先程の地鳴りで、肖像画が飾られていた廊下の石壁が激しく崩れた模様です」
3番隊の人達が大声を上げコッホ騎士団長に報告をしている。
報告でクレア殿下はまだ見つからないと言っていた、こんな時に彼は何処に行ってしまったのだろう?
コッホ騎士団長と3番隊の人を見ていると、そんな中にカゴを持っている人を見つけた。
「あ、あれはひよこ豆が入ったカゴだわ!」
竜人のみんなに食べてもらおうと思って、昨日種を植え芽を出し、今日の朝みんなで収穫をしたひよこ豆だ。
私はシーラン様の手を強く握りしめ。
「シーラン様、ひよこ豆!ひよこ豆を茹でて、みんなで食べましょう」
いまはそんな時じゃ…私に困惑した表情を見せたけど、シーラン様は頷いた。
「ああ…そうだな食べようか。コッホ騎士団長!」
コッホ騎士団長に、水の魔法で飲み水を出せる補給隊の人を、紹介してもらった。
「マリーさん!」
「はい。どうされました、シャルロットお嬢様」
竜人の人々と話をしていたマリーさんを呼びよせ、広間から近くにある調理室に移動をしてもらい、持ってきたひよこ豆で、茹で豆とスープを作ろうとマリーさんに話した。
「畏まりました、シャルロットお嬢様」
私は料理が出来ないから料理はマリーさんに任せて、私はお湯を沸かすついでに騎士の人にタオルを用意してもらって、ホットタオルを用意してそれ広間に持っていく事にした。
黙々とタオルを絞りたくさんのホットタオルを作った。シーラン様に「くれぐれも1人では移動をするな」と言われ、一緒に来てもらう騎士の人にもホットタオルを持てもらった。
「マリーさん、広間に行ってきます」
「はい、シャルロットお嬢様」
「シャルロット様をしっかり守れよ」
「はい、コッホ騎士団長」
マリーさんの近くには料理長をやっていた、コッホ騎士団長も付いていてくれるから、安心して調理場を後にした。
やはり広間から離れた時も戻る時にも聞こえてくる。
広間の中にいた時とは違い、聞こえる声が大きくなる、誰がを探し誰がを怨むそんな声が聞こえていた。
(あっ…)
タオルを持って広間に戻る前…広間近くのはめ殺しの窓から外を見つめる彼女を見つけた…彼女は遠くを見つめ、いまにも泣きそうな顔で、胸を押さえていた。
そんな彼女の姿を見て、私の胸も苦しくなる。
よし、後で彼女の話をしっかり聞かないと、彼女を気にしつつ、私は広間に戻り竜人の人々にホットタオルを配った。
「これで顔や体を拭いてください」
「ありがとう!」
「ああ、気持ちいい」
「こっちにも頂戴!」
「はい、いま持っていきます」
みんな喜んでホットタオルを受け取ってくれた。
それを見てモフカさんは声を上げた。
「さあ、みなさん。タオルを受け取って」
それはまるで自分が「指示を出してたのよ!」と言わんばかりな振る舞いだ。
「ありがとう聖女様」
「なんとお優しい人だ」
周りの竜人の人達に言われて彼女は有頂天。
タオルを配りながら、だったらあなたも手伝いなさいと、キッと、彼女を見ても彼女は知らん振りだ。
(もう、放っておこう…)
彼女に聖女としての力が開花していたのなら、モフカさんもあの声や女性の姿が見えていたのだろうか?
実際に彼女には聖女としての、力が開花していないから、こればかりはなんとも言えないのけど…。
「ふう、これで良し」
タオルをみんなに配り終え、私は一緒に来てくれた騎士の人と調理場に戻ると、丁度ひよこ豆も茹で上がったみたい。
ほこほこに茹で上がった、ひよこ豆が湯気を出し、ザルに上がっていた。
「シャルロットお嬢様!」
「ご苦労様マリーさん、皆さん。スープの味付けはマリーさんに任せて、莢は私が剥くわ」
そのまま食べる用と、スープ用に分けて貰い、スープ用は少し冷まして莢から実を取る。
マリーさんはキッチンでスープの下準備を始め、私は椅子に座り莢を剥く。
冷ましてもまだ熱い莢を剥くと、コロコロと大きな粒のひよこ豆が2つ取れた、私はそれを見て我慢できずに、その一粒を摘んで口に入れた。
「熱、うん。ホクホクして美味しいわ」
もう一粒と手を伸ばすと。
「美味しそうだね、シャルロットちゃん」
「あ、リズ様!」
何故か丁度、調理場の入り口に来ていたリズ様に、バッチリつまみ食いを見られた。
リズ様はあちこちと走り回っているのか、着ているジュストコールには破けた箇所や、砂埃が付いている。
少し離れた位置で埃を払い、調理場に入ると、補給隊の人の近くに行った。
「忙しいとこ悪いけど、コップにお水を一杯くれ」
「はい、畏まりました」
補給隊の人に頼んでお水を貰って、私の隣に座り、それを一気に飲んだ。
ふうっと息を吐き飲み終わると、コトっとコップを置く。
「シャルロットちゃん…大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ。リズ様は?」
と、聞き返すと少し黙り微笑んで、私が剥いたひよこ豆を、一粒取って食べた。
「本当だ美味しいな…さて、俺はもう少し城の見回りをしてくるよ、クレア殿下がまだ、見つからないみたいなんだ」
少しの休憩を取っただけで、リズ様は席を立つ。
「リズ様…お気を付けて、行ってらっしゃい」
リズ様は振り向き「うん、行ってくる」と、微笑み調理場を後にした。
一気にまくし立てたせいではーはーと息切れをして、白銀の髪サファイアの目の女の人は私の近くでもう一度聞いた。
彼女が歩くたびにシャリシャリと音が鳴る何の音かと見ると、彼女の足首には白く光る鎖が付いていた。
その鎖は何処からと目線でたどると、この広間の奥にある王座に繋がれていた。
[ねえ、見える?]
もう一度聞いてきた彼女の目を見て私は、隣のシーラン様に気付かれないように頷く。
私の頷く姿を見て彼女のサファイア色の目が大きくなった。
[ああ、見つけた。あなたに頼みたいことがあるの]
いますぐにでもここで話そうとする彼女に、私は小声で「いまは無理…時間ができた時に聞く」と彼女に言うと微笑み頷いた。
[…わかった]
そう言い広間からシャリシャリと音を出し、壁をすり抜け消えていった…でも、王座から伸びる鎖があるから彼女は近くにはいるのだろう。
この事をいまのシーラン様やリズ様、リオさんには言えない。
リズ様やリオさんは崩れた箇所を見に言ったり竜人の人々に声をかけたりと、休まず動いているいつの間にかマリーさんもリズ様について行き竜人の人に声を掛けていた。
さっき「私は聖女」と言っていたモフカさんに至っては、一部の人々に聖女と持ち上げられて踏ん反り返っている姿が見える。
シーラン様はコッホ騎士団長に何らかの方法で連絡を取り、いまは地鳴りが無いことや今日は瘴気が薄いと聞いていたのかな?
いま、この状況を見て手を握りしめ眉をひそめた。
彼は私達を危ない目に合わせてしまったこんな事態になるなんて、みんなを危ない目に合わす為に呼んだわけでは無い…と呟きギリっと唇を噛む。
その様子を見て私はそっと彼の手に自分の手を添えた。
「シャルロット嬢?」
「大丈夫だよ、シーラン様」
彼を見上げて微笑む、一瞬だけ表情が緩みかけ、眉をひそめて微笑んだ。
ガジャガジャと金属の擦れる音がして、扉が勢い良く開き探しに出ていた騎士達が戻って来た。
「コッホ騎士団長!」
「クレア殿下は見つかったのか?」
「いいえ、団長が言われていたクレア殿下は、何処を探しても見当たりません」
彼らも城の中を走り、探し回ったのだろう、鎧の下は汗だくになっていた。
「それともう1つ報告があります、先程の地鳴りで、肖像画が飾られていた廊下の石壁が激しく崩れた模様です」
3番隊の人達が大声を上げコッホ騎士団長に報告をしている。
報告でクレア殿下はまだ見つからないと言っていた、こんな時に彼は何処に行ってしまったのだろう?
コッホ騎士団長と3番隊の人を見ていると、そんな中にカゴを持っている人を見つけた。
「あ、あれはひよこ豆が入ったカゴだわ!」
竜人のみんなに食べてもらおうと思って、昨日種を植え芽を出し、今日の朝みんなで収穫をしたひよこ豆だ。
私はシーラン様の手を強く握りしめ。
「シーラン様、ひよこ豆!ひよこ豆を茹でて、みんなで食べましょう」
いまはそんな時じゃ…私に困惑した表情を見せたけど、シーラン様は頷いた。
「ああ…そうだな食べようか。コッホ騎士団長!」
コッホ騎士団長に、水の魔法で飲み水を出せる補給隊の人を、紹介してもらった。
「マリーさん!」
「はい。どうされました、シャルロットお嬢様」
竜人の人々と話をしていたマリーさんを呼びよせ、広間から近くにある調理室に移動をしてもらい、持ってきたひよこ豆で、茹で豆とスープを作ろうとマリーさんに話した。
「畏まりました、シャルロットお嬢様」
私は料理が出来ないから料理はマリーさんに任せて、私はお湯を沸かすついでに騎士の人にタオルを用意してもらって、ホットタオルを用意してそれ広間に持っていく事にした。
黙々とタオルを絞りたくさんのホットタオルを作った。シーラン様に「くれぐれも1人では移動をするな」と言われ、一緒に来てもらう騎士の人にもホットタオルを持てもらった。
「マリーさん、広間に行ってきます」
「はい、シャルロットお嬢様」
「シャルロット様をしっかり守れよ」
「はい、コッホ騎士団長」
マリーさんの近くには料理長をやっていた、コッホ騎士団長も付いていてくれるから、安心して調理場を後にした。
やはり広間から離れた時も戻る時にも聞こえてくる。
広間の中にいた時とは違い、聞こえる声が大きくなる、誰がを探し誰がを怨むそんな声が聞こえていた。
(あっ…)
タオルを持って広間に戻る前…広間近くのはめ殺しの窓から外を見つめる彼女を見つけた…彼女は遠くを見つめ、いまにも泣きそうな顔で、胸を押さえていた。
そんな彼女の姿を見て、私の胸も苦しくなる。
よし、後で彼女の話をしっかり聞かないと、彼女を気にしつつ、私は広間に戻り竜人の人々にホットタオルを配った。
「これで顔や体を拭いてください」
「ありがとう!」
「ああ、気持ちいい」
「こっちにも頂戴!」
「はい、いま持っていきます」
みんな喜んでホットタオルを受け取ってくれた。
それを見てモフカさんは声を上げた。
「さあ、みなさん。タオルを受け取って」
それはまるで自分が「指示を出してたのよ!」と言わんばかりな振る舞いだ。
「ありがとう聖女様」
「なんとお優しい人だ」
周りの竜人の人達に言われて彼女は有頂天。
タオルを配りながら、だったらあなたも手伝いなさいと、キッと、彼女を見ても彼女は知らん振りだ。
(もう、放っておこう…)
彼女に聖女としての力が開花していたのなら、モフカさんもあの声や女性の姿が見えていたのだろうか?
実際に彼女には聖女としての、力が開花していないから、こればかりはなんとも言えないのけど…。
「ふう、これで良し」
タオルをみんなに配り終え、私は一緒に来てくれた騎士の人と調理場に戻ると、丁度ひよこ豆も茹で上がったみたい。
ほこほこに茹で上がった、ひよこ豆が湯気を出し、ザルに上がっていた。
「シャルロットお嬢様!」
「ご苦労様マリーさん、皆さん。スープの味付けはマリーさんに任せて、莢は私が剥くわ」
そのまま食べる用と、スープ用に分けて貰い、スープ用は少し冷まして莢から実を取る。
マリーさんはキッチンでスープの下準備を始め、私は椅子に座り莢を剥く。
冷ましてもまだ熱い莢を剥くと、コロコロと大きな粒のひよこ豆が2つ取れた、私はそれを見て我慢できずに、その一粒を摘んで口に入れた。
「熱、うん。ホクホクして美味しいわ」
もう一粒と手を伸ばすと。
「美味しそうだね、シャルロットちゃん」
「あ、リズ様!」
何故か丁度、調理場の入り口に来ていたリズ様に、バッチリつまみ食いを見られた。
リズ様はあちこちと走り回っているのか、着ているジュストコールには破けた箇所や、砂埃が付いている。
少し離れた位置で埃を払い、調理場に入ると、補給隊の人の近くに行った。
「忙しいとこ悪いけど、コップにお水を一杯くれ」
「はい、畏まりました」
補給隊の人に頼んでお水を貰って、私の隣に座り、それを一気に飲んだ。
ふうっと息を吐き飲み終わると、コトっとコップを置く。
「シャルロットちゃん…大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ。リズ様は?」
と、聞き返すと少し黙り微笑んで、私が剥いたひよこ豆を、一粒取って食べた。
「本当だ美味しいな…さて、俺はもう少し城の見回りをしてくるよ、クレア殿下がまだ、見つからないみたいなんだ」
少しの休憩を取っただけで、リズ様は席を立つ。
「リズ様…お気を付けて、行ってらっしゃい」
リズ様は振り向き「うん、行ってくる」と、微笑み調理場を後にした。
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