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第二章
第19話 南竜の岩山
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私はコップを借り魔法が使える騎士の方に魔法で水を出してもらい、一粒の大きなひよこ豆のタネをその中に入れた。
それを真ん中に置きしっかりと願う。
竜人王の為にこの国の為にみんなで輪になって手を繋ぎ合わせて願う。
「シャルロット嬢頼む」
「シャルロットちゃん!」
「シャルロット様!」
「はい!行きますよ!!」
私は大きな声を出した。
「せーの!ひよこ豆よ、大きくなーれ!!」
声の後にみんなで手を上げた、一回、二回続けたその願いが届いたのかな?
キラキラと光を放ちひよこ豆はにょきにょきと芽を出す。タネを入れていたコップは割れてしまったけど天高く大きな葉を出して実った。
「すごい、すごいよシャルロットちゃん!」
「これは…なんと、大きなひよこ豆に育ちました」
「ありがとう、みんなの願いが詰まったひよこ豆が出来たわ!」
「そうだな…これは、沢山詰まったな」
実ったひよこ豆の莢を1つ取り剥くと中には大きな緑色をした卵くらいの大きさの、採れたてのひよこ豆がコロリと2つ採れた。
みんな余りにも大きなひよこ豆を見て唖然とした…でも、これがみんなの願い。
「待っていてね竜人王、明日これを持っていくからね!!」
《ああ、小娘…待っておる》
竜人王の声がした。
「絶対に絶対に行くからね!」
「そうだ、待っていてくれ竜人王様」
「絶対に行こう!」
「そうですね」
「竜人王様!」
「私達もあなたを助けます」
「絶対に助けます」
私が出した声の後にシーラン様、リズ様、リオさん騎士の皆さんが声を上げる。
《我の子孫たちは良き国を作ったのだな…不甲斐ない王で済まぬ》
「みんなで頑張ろ!!」
☆☆☆
みんなが一致団結した後は明日の為にと仮眠をとっている、静かな広間にみんなの寝息が聞こえる。
《小娘、小娘》
私を呼び眠りを覚ます竜人王…。
シーラン様の隣で眠っていた私は竜人王に呼ばれて目を覚ました。ぐっすりと眠る彼を起こさないようにそっと竜人王の声に耳を貸す。
《起こして済まぬな、どうしてもこれだけ伝えたかったんだ小娘よ。声を出さずに聞いてくれ、もし、もしだ…瘴気の濃度が濃く、みんなが傷つきどうにもならなくなったらその時は……国を捨てる事を選択してくれる様にお前の隣で眠る王子に言ってくれ》
みんなが一致団結をしたのに、そんな事を私に頼まないで私は黙って首を振った絶対にしないと…諦めないと。
《我かてそうはなりたくはない……しかし、瘴気は体を蝕み、体を滅ぼす…のだ、だから小娘よ、最後の選択肢としてこの事を覚えておいてくれ》
最後の選択肢……私はわかったと頷き声を出さないように手を口に当て歯を食いしばった。
竜人王にとってもシーラン様にとってもそれは辛い選択、彼はこの国が好きで助けたくて自分の魔力を使いみんなの瘴気を吸い取っていた。
リズ様やリオさんもだ、コッホ騎士団長達だってこの国が好きだろう。
みんながこの国が好きで、この国の為に頑張っているのだもの。
その夜、私は声を出さないように泣いた。
☆☆☆
「準備は出来たか!」
「はっ!」
「シーラン王子準備は出来ております」
準備の出来たみんなは固まりシーラン様に防御魔法と反射魔法をかけてもらう。
「【ホースフィールド】【ミラーシールド】」
シーラン様が唱えると一人一人体全体が光り、透明な盾が体の前で光ると消えていった。
「ふぅ、これで少しは瘴気に耐えるであろう、では南竜の岩山に向かおう!」
「「おー!」」
っとみんなに気合が入る。
シーラン様にリズ様、リオさん達は昨日とは違い、ジュストコールや燕尾服の上に鎧を付け腰に剣をさしていた。
私は何時ものお団子ヘアーに、忘れずに青い石の付いたヘアピンを付けた。
マリーさんにホットタオルを用意してもらって体を拭き魔女の秘薬を新しく塗った。
箒を持ちマリーさんのカゴからアル様特製のポーションを3本とマリーさんに焼いてもらったひよこ豆をタオルにくるんだら、大きな布を借りて巻いて肩掛けにして持てるだけ持った。
シーラン様やみんなは確認を終えて南の南竜の岩山に飛んで向かうからと、私は箒に跨ったけど「ダメだ!」と後ろから来たシーラン様に脇を抱えられて降ろされ、箒をリズ様に取られた。
「えっ、え、なんで?」
「また、目の前で箒から落ちられては困るからね」
「うんうん、行く前にびっくりしたくないからシーラン、シャルロットちゃんをそのまま抱えろ!」
「一瞬冷っとしました、行く前に怪我をされては困ります」
みんなに色々言われて私はおとなしく従いシーラン様に抱えられた。
「じゃー、マリーさん行ってきまーす」
「シャルロットお嬢様、ご無理はなさらない様に行ってらっしゃいませ」
「わかってます」
[気を付けて、いってらっしゃい]
王座の近くにいる彼女に「行ってきます」と言い頑張るねと頷いた。
出発と時に外に見送りに来たマリーさんに手を振り、私はシーラン様に抱えられたまま飛び上がりると、ここから15分かかると聞いた南竜の岩山に向う。
「シャルロット嬢、大丈夫か?」
「大丈夫です、少し緊張はしてますけど」
「俺達もいるし、腕利きがいるコッホ騎士団長が率いる騎士達もいるから安心するといい」
城から出てシーラン様に抱えられて南に向かっている、次第に地響きや瘴気で殆どの家が潰れ、周りの多くの畑は陥没して植えられた食物が瘴気で全て枯れていた。
余りの酷さに驚き目が離せなかった。…あの大きな地響きの後に竜人の人々はこの中で暮らしていたんだ。
「…先を急ごう」
「そうだな、行くぞ!」
シーラン様はいまの国の姿を余り私には見せたくないのか、飛ぶ速度を速めにその場所から離れた。
そしてついた南竜の岩山に着きみんな森の前に降りる。
大きく広がる森の奥にゴツゴツした岩山や尖った岩山が見える、この何処かの山頂に竜人王がいるのだろう。
でも、城の周りとは違い肌がピリピリと痛い、ここは濃度の濃くドス黒い瘴気が森の中を漂い、岩山を黒く染めている。
コッホ騎士団長の支持で、どのルートで山頂まで行くか私達は森の前で待ち、騎士達が辺りを確認していた。
「こんなに瘴気が濃いとわな」
「ああ、肌がピリピリする」
「シャルロット様大丈夫ですか?」
「ええ、肌がピリピリするけど大丈夫」
騎士達から報告を受け、騎士の一人が南竜の岩山の地図を出し、騎士達で話し合い決まるとコッホ騎士団長は私達に報告した。
「シーラン王子この森は瘴気が濃く危険です、避けていたった方が良いでしょう」
コッホ騎士団長の言う通り森は溢れた瘴気で木々が黒く染まり葉は枯れていてる。
森の中は此処よりも暗そうだし、それはまるで私の苦手なお化け屋敷の様。
みんな飛んで森を避けて岩山の方に行こうとしたけど、瘴気の濃度のせいなのか羽を動かしても高く飛べなかった。
「すまない、羽が重くこの森以上に高くは飛べない…」
「それでは森の中を通りましょう、先程シーラン王子にかけて頂いた魔法の効果もありますし」
シーラン様が森を見上げると、横からリズ様が前に出て森の入り口に行き振り向く。
「俺がコッホ騎士団長と先に行く、シーランとリオはシャルロットちゃんを守りながら、俺達の後から来るといい…行くぞ付いて来い」
「はい!」
リズ様は腰の剣に手を当てながら、合図をするとコッホ騎士団長達を引き連れて森の中に入って行く。
「シャルロット嬢、俺達も行こう」
「はい」
シーラン様と森に入る前に、このお化け屋敷の様な森を見上げて、私の喉はゴクリと鳴った。
それを真ん中に置きしっかりと願う。
竜人王の為にこの国の為にみんなで輪になって手を繋ぎ合わせて願う。
「シャルロット嬢頼む」
「シャルロットちゃん!」
「シャルロット様!」
「はい!行きますよ!!」
私は大きな声を出した。
「せーの!ひよこ豆よ、大きくなーれ!!」
声の後にみんなで手を上げた、一回、二回続けたその願いが届いたのかな?
キラキラと光を放ちひよこ豆はにょきにょきと芽を出す。タネを入れていたコップは割れてしまったけど天高く大きな葉を出して実った。
「すごい、すごいよシャルロットちゃん!」
「これは…なんと、大きなひよこ豆に育ちました」
「ありがとう、みんなの願いが詰まったひよこ豆が出来たわ!」
「そうだな…これは、沢山詰まったな」
実ったひよこ豆の莢を1つ取り剥くと中には大きな緑色をした卵くらいの大きさの、採れたてのひよこ豆がコロリと2つ採れた。
みんな余りにも大きなひよこ豆を見て唖然とした…でも、これがみんなの願い。
「待っていてね竜人王、明日これを持っていくからね!!」
《ああ、小娘…待っておる》
竜人王の声がした。
「絶対に絶対に行くからね!」
「そうだ、待っていてくれ竜人王様」
「絶対に行こう!」
「そうですね」
「竜人王様!」
「私達もあなたを助けます」
「絶対に助けます」
私が出した声の後にシーラン様、リズ様、リオさん騎士の皆さんが声を上げる。
《我の子孫たちは良き国を作ったのだな…不甲斐ない王で済まぬ》
「みんなで頑張ろ!!」
☆☆☆
みんなが一致団結した後は明日の為にと仮眠をとっている、静かな広間にみんなの寝息が聞こえる。
《小娘、小娘》
私を呼び眠りを覚ます竜人王…。
シーラン様の隣で眠っていた私は竜人王に呼ばれて目を覚ました。ぐっすりと眠る彼を起こさないようにそっと竜人王の声に耳を貸す。
《起こして済まぬな、どうしてもこれだけ伝えたかったんだ小娘よ。声を出さずに聞いてくれ、もし、もしだ…瘴気の濃度が濃く、みんなが傷つきどうにもならなくなったらその時は……国を捨てる事を選択してくれる様にお前の隣で眠る王子に言ってくれ》
みんなが一致団結をしたのに、そんな事を私に頼まないで私は黙って首を振った絶対にしないと…諦めないと。
《我かてそうはなりたくはない……しかし、瘴気は体を蝕み、体を滅ぼす…のだ、だから小娘よ、最後の選択肢としてこの事を覚えておいてくれ》
最後の選択肢……私はわかったと頷き声を出さないように手を口に当て歯を食いしばった。
竜人王にとってもシーラン様にとってもそれは辛い選択、彼はこの国が好きで助けたくて自分の魔力を使いみんなの瘴気を吸い取っていた。
リズ様やリオさんもだ、コッホ騎士団長達だってこの国が好きだろう。
みんながこの国が好きで、この国の為に頑張っているのだもの。
その夜、私は声を出さないように泣いた。
☆☆☆
「準備は出来たか!」
「はっ!」
「シーラン王子準備は出来ております」
準備の出来たみんなは固まりシーラン様に防御魔法と反射魔法をかけてもらう。
「【ホースフィールド】【ミラーシールド】」
シーラン様が唱えると一人一人体全体が光り、透明な盾が体の前で光ると消えていった。
「ふぅ、これで少しは瘴気に耐えるであろう、では南竜の岩山に向かおう!」
「「おー!」」
っとみんなに気合が入る。
シーラン様にリズ様、リオさん達は昨日とは違い、ジュストコールや燕尾服の上に鎧を付け腰に剣をさしていた。
私は何時ものお団子ヘアーに、忘れずに青い石の付いたヘアピンを付けた。
マリーさんにホットタオルを用意してもらって体を拭き魔女の秘薬を新しく塗った。
箒を持ちマリーさんのカゴからアル様特製のポーションを3本とマリーさんに焼いてもらったひよこ豆をタオルにくるんだら、大きな布を借りて巻いて肩掛けにして持てるだけ持った。
シーラン様やみんなは確認を終えて南の南竜の岩山に飛んで向かうからと、私は箒に跨ったけど「ダメだ!」と後ろから来たシーラン様に脇を抱えられて降ろされ、箒をリズ様に取られた。
「えっ、え、なんで?」
「また、目の前で箒から落ちられては困るからね」
「うんうん、行く前にびっくりしたくないからシーラン、シャルロットちゃんをそのまま抱えろ!」
「一瞬冷っとしました、行く前に怪我をされては困ります」
みんなに色々言われて私はおとなしく従いシーラン様に抱えられた。
「じゃー、マリーさん行ってきまーす」
「シャルロットお嬢様、ご無理はなさらない様に行ってらっしゃいませ」
「わかってます」
[気を付けて、いってらっしゃい]
王座の近くにいる彼女に「行ってきます」と言い頑張るねと頷いた。
出発と時に外に見送りに来たマリーさんに手を振り、私はシーラン様に抱えられたまま飛び上がりると、ここから15分かかると聞いた南竜の岩山に向う。
「シャルロット嬢、大丈夫か?」
「大丈夫です、少し緊張はしてますけど」
「俺達もいるし、腕利きがいるコッホ騎士団長が率いる騎士達もいるから安心するといい」
城から出てシーラン様に抱えられて南に向かっている、次第に地響きや瘴気で殆どの家が潰れ、周りの多くの畑は陥没して植えられた食物が瘴気で全て枯れていた。
余りの酷さに驚き目が離せなかった。…あの大きな地響きの後に竜人の人々はこの中で暮らしていたんだ。
「…先を急ごう」
「そうだな、行くぞ!」
シーラン様はいまの国の姿を余り私には見せたくないのか、飛ぶ速度を速めにその場所から離れた。
そしてついた南竜の岩山に着きみんな森の前に降りる。
大きく広がる森の奥にゴツゴツした岩山や尖った岩山が見える、この何処かの山頂に竜人王がいるのだろう。
でも、城の周りとは違い肌がピリピリと痛い、ここは濃度の濃くドス黒い瘴気が森の中を漂い、岩山を黒く染めている。
コッホ騎士団長の支持で、どのルートで山頂まで行くか私達は森の前で待ち、騎士達が辺りを確認していた。
「こんなに瘴気が濃いとわな」
「ああ、肌がピリピリする」
「シャルロット様大丈夫ですか?」
「ええ、肌がピリピリするけど大丈夫」
騎士達から報告を受け、騎士の一人が南竜の岩山の地図を出し、騎士達で話し合い決まるとコッホ騎士団長は私達に報告した。
「シーラン王子この森は瘴気が濃く危険です、避けていたった方が良いでしょう」
コッホ騎士団長の言う通り森は溢れた瘴気で木々が黒く染まり葉は枯れていてる。
森の中は此処よりも暗そうだし、それはまるで私の苦手なお化け屋敷の様。
みんな飛んで森を避けて岩山の方に行こうとしたけど、瘴気の濃度のせいなのか羽を動かしても高く飛べなかった。
「すまない、羽が重くこの森以上に高くは飛べない…」
「それでは森の中を通りましょう、先程シーラン王子にかけて頂いた魔法の効果もありますし」
シーラン様が森を見上げると、横からリズ様が前に出て森の入り口に行き振り向く。
「俺がコッホ騎士団長と先に行く、シーランとリオはシャルロットちゃんを守りながら、俺達の後から来るといい…行くぞ付いて来い」
「はい!」
リズ様は腰の剣に手を当てながら、合図をするとコッホ騎士団長達を引き連れて森の中に入って行く。
「シャルロット嬢、俺達も行こう」
「はい」
シーラン様と森に入る前に、このお化け屋敷の様な森を見上げて、私の喉はゴクリと鳴った。
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