竜人さまに狂愛される悪役令嬢には王子なんか必要ありません！

第三章 獣人の国に咲いた魔女の毒花編

閑話 モフカのタネ

「モフカはこの世界のヒロインなのに！」

魔力を持ちそれに自惚れて、なんの努力もしなかったモフカ。

それに近づく黒い影。

「お、嬢さんなぁーに、泣いてんのぉ？」

「ううっ…私の力が無くなったの、取られたの」

モフカは聖女の力を奪われて、屋敷へと帰らず王都の街の隅に座り1人で泣いていた。

そこに袖に丈が長い黒いローブをジャケットのように着た、白のTシャツに黒い短パン、赤い髪に黒い目の男が近づいた。男が動くたびにジャラジャラと首に腰に耳につけている、銀のアクセがぶつかり合い音を鳴らす。

「そぉれうゎ悲しいねぇ、俺っちに任せれば、あたるぁしい力をあなたにやってもいいよーん」

「新しい力を私にくれるの？」

「そぅぉだよーん」

やたらと変な喋りだをする男にふふっと笑いがこぼれた。

「ウォウォ、やあっと笑ったねぇ…いる、いらない？復讐する？復讐したい？」　

復讐？

「復讐はしたい」

「契約成立ツゥだね、よろしく俺の名前はさぁ、マルっーの、よロロシクお嬢さーんあんたは？」

「モフカだよ」

マルと言った男はゴソゴソ何かを探し出した。

「モフカにはこのタネをあげるジャーン、飲んでね、恨んでね、恨みマクーってね」

男に1センチほどの黒い種をもらうと何のためらいもせずに飲んだ。

「これでいい？」

「ああ、いいよ」

男は飲み込んだのを見て、モフカに見えない様に口角を上げた。

「じゃぁー、そのタネが発芽すルーまで1ヶ月後にモフカまた会うジャーン」

そう言うと男はうるさくその場で足踏みをする「【テレポ】」と、真っ赤な血のような魔法陣が現れてその中にスーッと消えていった。

「まっ、タネ！」