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第四章 獣人の国に咲いた魔女の毒花(竜人王祭編)
第6話
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「一人では行かさないからな」
と言ったシーラン様に抱えられて、今空を飛んでいる。
リズ様は疲れたからと、リオさんは夕食の準備がありますのでと、一緒に来なかった。
指の怪我のこと、一人で出ようとしたことの説明を拒んだから、不機嫌なシーラン様。
話しかけても素っ気ない返事しか返ってこない。
「ごめんなさい、シーラン様」
彼を見上げて謝る。シーラン様はぐっと言いたいことを息を呑み込み、わたしを強く抱きしめた。
「指の怪我もそうだが……ほんとうなら、シャルロットに森の鍵も開けさせたくない」
少し強めの声で言われた。
「それは大丈夫。手の甲に印されたドラゴンの鍵に反応して、門が開くとお父様が言っていたから魔法は使っていないの」
「……そうか、それならいい」
やはり、まだ不機嫌のようだ。
森に着き鍵を開けて中に入る、シーラン様はその後に続く。わたしはあまり時間をかけないように、早足で行こうとしたのだけど。
「待て、シャルロット」
シーラン様が止めて横に並ぶと、わたしの手を握った。
「シーラン様?」
「ふっ、今日は邪魔をする兄上たちがいないし、森を出るまでずっとこのままだ」
彼はここに来た目的を知らないはず、なのに、わたしの手を引いて走り出した。
森の中をどんどん走り、奥の湖までくると足が止まった。
「ふぅーっ、ここまで来たけど……どこにいくんだ?」
「……えっ! もうシーラン様は、聞いてから走ってください」
「ごめん。シャルロットと手を繋いだら、妙に気分が上がってしまった……」
「シーラン様ったら……ふふっ、わたしも楽しかった」
笑って返すと、シーラン様は微笑みわたしを引き寄せ、抱きしめた。
……熱い。
走ったせいなのか? 別の何かか……二人ともに体が熱く鼓動も早くなっていく。
その音を聞きなが彼はわたしを抱きしめた。
「ふうっー疲れた。しばらくここで休もう」
二人で湖の近くに腰を下ろすと、隣のシーラン様の大きな手が重なった。
「まだ、俺は怒っているからな」
そう言った、彼の表情はどこも怒ってはなく、優しく微笑んでいた。
しばらく休み「そろそろ行くか」と、重なった手が握り締められる。
「今度からはゆっくりだな」ときおり風に揺れるラベンダー畑を見ながら。
彼はわたしの速度に合わせて歩いてくれた。
♢
しばらく歩き、森の奥の壁の前に着く。この先はシーラン様の国だ。
シーラン様は壁を見上げて。
「シャルロットはここにきて、何をするきなんだ? ……まさか?」
壊すのか? と眉をひそめた。
「シーラン様ぁ! 壊しませんよ。もう、そんな必要ありません」
「そうだよな」
二人で見上げた壁に描かれたドラゴンの絵、その下には竜人王様が修理された穴。
「じゃー、ここに何をしにきたんだ?」
「えっと、この辺にシロツメクサやクローバーがないか……見にきたんです」
「シロツメクサやクローバーなら、俺たちの国に行けばいいんじゃないのか?」
そう言うと思っていたから、一人で来ようと思っていた、わたしは首を振り辺りを見回した。
「みんな疲れて帰ってきているのに、そんなわがままは言わない」
「まったく、シャルロットは普段から言わないくせに、少しくらいは言ってもいいんだぞ」
と、シーラン様も辺りを探す。
二人で数分探したけど、シロツメクサとクローバーは見つからない。
前に枯れてしまったのかな……魔法が使えれば試してみるのに。
立ち尽くすわたしの横にシーラン様が立ち。
「シャルロット、魔法を使っちゃダメだぞ」
「うん、わかってる」
無いものはしかたがない。
四つ葉のクローバーは諦めて、違うものを探さないと……
あ、湖に咲くラベンダーや花たち。
それに、青桜の花びらも一緒に入れてポプリなんでどうかな? いい香りがして安らぐし、みんなを守ってくれる。
(そうよ、ポプリ入りのお守りよ)
「シーラン様、湖に戻ってラベンダーとその周りの花を摘んで帰りましょう」
「シロツメクサやクローバーは、いいのか?」
「はい、さぁ行きますよ」
「え、シャルロット?」
まだ探しているシーラン様の手を握り、今度はわたしが走り出した。
と言ったシーラン様に抱えられて、今空を飛んでいる。
リズ様は疲れたからと、リオさんは夕食の準備がありますのでと、一緒に来なかった。
指の怪我のこと、一人で出ようとしたことの説明を拒んだから、不機嫌なシーラン様。
話しかけても素っ気ない返事しか返ってこない。
「ごめんなさい、シーラン様」
彼を見上げて謝る。シーラン様はぐっと言いたいことを息を呑み込み、わたしを強く抱きしめた。
「指の怪我もそうだが……ほんとうなら、シャルロットに森の鍵も開けさせたくない」
少し強めの声で言われた。
「それは大丈夫。手の甲に印されたドラゴンの鍵に反応して、門が開くとお父様が言っていたから魔法は使っていないの」
「……そうか、それならいい」
やはり、まだ不機嫌のようだ。
森に着き鍵を開けて中に入る、シーラン様はその後に続く。わたしはあまり時間をかけないように、早足で行こうとしたのだけど。
「待て、シャルロット」
シーラン様が止めて横に並ぶと、わたしの手を握った。
「シーラン様?」
「ふっ、今日は邪魔をする兄上たちがいないし、森を出るまでずっとこのままだ」
彼はここに来た目的を知らないはず、なのに、わたしの手を引いて走り出した。
森の中をどんどん走り、奥の湖までくると足が止まった。
「ふぅーっ、ここまで来たけど……どこにいくんだ?」
「……えっ! もうシーラン様は、聞いてから走ってください」
「ごめん。シャルロットと手を繋いだら、妙に気分が上がってしまった……」
「シーラン様ったら……ふふっ、わたしも楽しかった」
笑って返すと、シーラン様は微笑みわたしを引き寄せ、抱きしめた。
……熱い。
走ったせいなのか? 別の何かか……二人ともに体が熱く鼓動も早くなっていく。
その音を聞きなが彼はわたしを抱きしめた。
「ふうっー疲れた。しばらくここで休もう」
二人で湖の近くに腰を下ろすと、隣のシーラン様の大きな手が重なった。
「まだ、俺は怒っているからな」
そう言った、彼の表情はどこも怒ってはなく、優しく微笑んでいた。
しばらく休み「そろそろ行くか」と、重なった手が握り締められる。
「今度からはゆっくりだな」ときおり風に揺れるラベンダー畑を見ながら。
彼はわたしの速度に合わせて歩いてくれた。
♢
しばらく歩き、森の奥の壁の前に着く。この先はシーラン様の国だ。
シーラン様は壁を見上げて。
「シャルロットはここにきて、何をするきなんだ? ……まさか?」
壊すのか? と眉をひそめた。
「シーラン様ぁ! 壊しませんよ。もう、そんな必要ありません」
「そうだよな」
二人で見上げた壁に描かれたドラゴンの絵、その下には竜人王様が修理された穴。
「じゃー、ここに何をしにきたんだ?」
「えっと、この辺にシロツメクサやクローバーがないか……見にきたんです」
「シロツメクサやクローバーなら、俺たちの国に行けばいいんじゃないのか?」
そう言うと思っていたから、一人で来ようと思っていた、わたしは首を振り辺りを見回した。
「みんな疲れて帰ってきているのに、そんなわがままは言わない」
「まったく、シャルロットは普段から言わないくせに、少しくらいは言ってもいいんだぞ」
と、シーラン様も辺りを探す。
二人で数分探したけど、シロツメクサとクローバーは見つからない。
前に枯れてしまったのかな……魔法が使えれば試してみるのに。
立ち尽くすわたしの横にシーラン様が立ち。
「シャルロット、魔法を使っちゃダメだぞ」
「うん、わかってる」
無いものはしかたがない。
四つ葉のクローバーは諦めて、違うものを探さないと……
あ、湖に咲くラベンダーや花たち。
それに、青桜の花びらも一緒に入れてポプリなんでどうかな? いい香りがして安らぐし、みんなを守ってくれる。
(そうよ、ポプリ入りのお守りよ)
「シーラン様、湖に戻ってラベンダーとその周りの花を摘んで帰りましょう」
「シロツメクサやクローバーは、いいのか?」
「はい、さぁ行きますよ」
「え、シャルロット?」
まだ探しているシーラン様の手を握り、今度はわたしが走り出した。
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