竜人さまに狂愛される悪役令嬢には王子なんか必要ありません!

深月カナメ

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番外・シャルロットの休暇 (短編)

竜人の森に旅館を作ろう!(3)お餅とお赤飯を食べよう

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 村の一軒家の土間で、杵と臼でもち米をついていた。
 この世界で餅つきが見れるなんて、それも手慣れた亜人種の方の餅つきに感動する。

 餅のつきかたはシンさんが教えたんだろう。手際よく餅がつきあがると片栗粉を引いた上に乗せて、ちぎり丸めていく。
 
「伸びる、真っ白な食べ物?」

 お餅を初めて見たシーラン様は驚きを隠せない。それはアル様とラーロさんもだった。

 みんなは黙ってその餅つきの作業を眺めていた。

「赤飯が炊き上がったぞ」

 キッチンで作業をしていた、獣人の一人が声を上げた。

 お赤飯だって⁉︎ 大好きだ! ごま塩をかけて食べる、もちもち、小豆がホクホク。

 コンビニのもおにぎりで売っていたから、あるとよく買ってたなぁ。

「小豆なのか? この前、シャルロットとマリーさん、リオであんことかにしていたよな」

「うん、あんこは小豆と砂糖を煮込んで作ったんだよ」

「見学もいいけど、食べてみてくれ!」

 そこにシンさんがおぼんに餅と赤飯を持ってくる。お赤飯はおにぎりになっていた。

「初めて見る食べ物ですね」

「不思議な食べ物だな」

 不思議そうにおぼんを見るアル様とラーロさんに向けて。

「理屈は抜きにしてまず食べてみて、つきたての餅と赤飯は美味いぞ、沢庵と大根の味噌汁もだ」

「それは、そうですね。まずはいただきましょうか」

「前の料理もうまかった、今度のも美味しそうだ!」

「シンさんいただきまーす!」
「いただきます」

 桜の下にシンさんが用意してくれた敷き物に座りつきたてのお餅をいただく。
 失礼だけど、エルフのアル様がお餅を食べる姿は、少し不思議な光景だと思ってしまった。

 ここは異世界なのにね。
 シンさんと出会い綺麗な桜が見れて、お米に出会い、日本食が食べれるなんて思いもしなかった。

「お餅に大根おろしが合う」

「シャルロット、きな粉も美味いぞ」

「次に食べる!」

 シーラン様はきな粉がお気に入りみたい。アル様は大根おろしで、ラーロさんは砂糖とお醤油をまぶして海苔を巻く磯部巻きが好きみたい。

 お赤飯とたくあん、お味噌汁も最高。
 お味噌があるからお雑煮が作れるわね。

 昆布で取った出汁にお味噌を溶かして、その中に焼かずに丸餅を入れて煮込むの。

 食べるときにかつお節をかける。
 お母さんがお正月に作ってくれたよね。

 もし、ここで作るなら椎茸の出汁にお味噌と餅? かつお節と昆布だしはないよね?

 あったらいいのだけど。

 きな粉の香ばしいさと甘塩っぱい磯部巻きも格別。
 美味しくって、お餅ってついつい食べ過ぎちゃうんだよなぁ。

「そうだシャルちゃん。後でチシャの葉を少し貰えるかな?」

「あー! アル様ずるいぞ。俺は枝豆とひよこ豆がいいな、お酒のおつまみにする」

「はい、わかりました。食べ終わったら畑で実らせますね」

 ついでに私も梨と大根、さつまいもとあと何にしようかな? 長芋、里芋もいいわね。

 シンさんに頼んで、マリーのお土産にお餅とお味噌、お米を分けてもらおうっと。

 バサバサと羽音が聞こえてきて空を見上げた。竜人の国から戻ったリズ様とリオさんだ。

 わたしはその二人に手を振って呼んだ。

「リズ様、リオさん!」

「よっ、シャルロットちゃん、シーランただいま!」

「戻りました、シャルロット様、シーラン様」

 わたしの声に気が付き降りてきた。
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