竜人さまに狂愛される悪役令嬢には王子なんか必要ありません!

深月カナメ

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番外・シャルロットの休暇 (短編)

お餅とお赤飯とけんちん汁

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 バサバサと羽音が聞こえてきて空を見上げた。
 竜人の国から戻ったリズ様とリオさんだ。
 わたしは二人に手を振って呼んだ。

「リズ様、リオさん、お帰りなさい」

「兄上、リオ、おかえり」

「シャルロットちゃん、シーランただいま!」

「戻りました、シャルロット様、シーラン様」

 羽を下ろしわたし達の近くに降りてきた。

「リズ君、リオ君おかえり」
「おかえり、竜人の国はどうだった?」

「アル様、ラーロさんも来ていたんですね」

 二人は竜人の国で見てきたことを、アル様とラーロさんに報告し始めた。
 青桜は竜人の国を順調に浄化している、後一年もすれば、土地の浄化も終わるかもしれないということ……

「あと一年待てば城にいる、シーラン様とリズ様の国へ行けるのですね」

 まだ浄化の終わらない竜人の大地、わたしが国に行ってもほんの十分ぐらいしか過ごせない。

 ゆっくり双方の両親とご挨拶もできないということで、顔合わせは見送りになっていた。

 あと一年待てばわたしの両親を連れて、シーラン様とリズ様のご両親に会いに行けるんだ。

「父上と母上はシャルロットちゃんとご両親に会える日を、待ち望んでいると言っていたよ」

「はい、わたしもです」

 浄化が終われば竜人の森の壁も壊せるから、頻繁にお会いできる様になる。
 そうなればシーラン様とのこれからの話ができる。

「ところで、みんなは何食べてるんだ?」

「丸く真っ白な物ですね、こっちは赤い食べ物?」

 リズ様とリオさんはわたし達の真ん中にある、お皿に乗るお餅とお赤飯が気になったらしい。

「兄上、これはお餅という食べ物です、こっちはお赤飯のおにぎりですよ」

 聞いことのない料理名に戸惑いながらも、シーラン様の座った。
 わたしはお皿からお餅を小皿に取り二人の前に出した。

「きな粉と大根おろし、醤油とお砂糖の好きな物をかけて食べてください」

「じゃー俺は大根おろしだな、上から醤油をたらすんだな」

「私はきな粉をかけてみます」
 
 二人は恐る恐る口に運んだのだけど、一口食べて目を見開き一気に食べてしまった。

「大根おろしとあって、もちもちして美味いな、次はきな粉で食べたい! 赤飯のおにぎりも食べるぞ!」

「私は醤油と砂糖に海苔を巻いて食べます」

 動いてお腹が空いていたのだろう、次々と残っていたお餅とおにぎりが二人の口へと消えていく。

「あははっ、俺たちの分まで食べちまったな!」

「ふふっ、仕方ありませんね。彼らは若いですからね」

 アル様とラーロさんは呑気にお茶を飲んで話しているが、まだ食べ足りない私たちはそれを阻止したい!

「リズ様、リオさんお餅一つ残して!」

「俺も一つ食べたい」

 お餅の取り合いっこの中、シンさんが私たちを呼んだ。


「けんちん汁出来たけど食べる?」


 みんなの答えは決まっている。


「「食べます」」


「はははっ、元気だな。なかに用意するから入ってきて」

 食べ終わったお皿などを片付けて、それぞれが持ちシンさんのうちへ向かった。
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