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第一章
46話
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魔法都市サングリアの家の庭先、サタ様とパパ達は三百年ぶりに感動の再会を果たす。サタ様が祝いだと、肉を焼くぞと私の頭の上で騒ぐ。
「いたっ、イタタターっ!!! サタ様いたい……また、頭に爪がささる!」
「エルバ、はやく、あのナイフをだすのだ!」
「ううっ、わかりましたよ……」
――サタ様、私のナイフお気に入り過ぎる!
マジックバッグに手を突っ込み、涙目でナイフを取り出し渡すと、彼は元の姿に戻ることなく自分のアイテムボックスからビッグベアを取り出すと、庭先で器用にさばき始めた。
パパとママ、サタ様の友はビッグベアをさばく、サタ様をみて喉を鳴らした。
「まあ、ここでは珍しいビッグベアだわ。食べ応えのあるいい大きさね」
「ああ、脂が乗って美味そうだ」
「ドロシア、今日は久々にいいお肉が食べれそうだねぇ~これに似合うお酒が欲しくならない? そうだ! 近くにできた鬼人直売店でお肉少しもらってお酒と交換してこよう~!」
「いい案だな。エバァ、交換に行こう」
いいお肉とお酒かぁ……キャンプの時、焚き火でいい肉を焼き、たまにアルコールゼロのビールを飲んでいたなぁ。あのひとときがほっこりして癒されるんだ。
そして、エバァさんとドロシアさんが言った鬼人直売店が凄く気になる、あとでママに聞こうっと。
2人は肉を黙々と捌くサタ様に話しかけた。
「サタナス様、ビッグベアのお肉を少しもらうねぇ~」
「ああ、いいぞ」
肉を貰ったエバァさんとドロシアさんは、鬼人直売店というところに捌いてばかりのビッグベアの肉を持って、お酒、野菜の物々交換に向かった。
2人と入れ違いに長い黒髪、黒い瞳の美人が、一羽のカラスを肩に乗せて現れた。そのカラスに『ここまでの護衛ありがとう』と話しかけ『帰りもよろしくね』と見送った。
「あら、来てくれたの。ミネルバ、いらっしゃい」
「あたりまえじゃない。でもごめんね、魔法都市の結界を強化していて遅れてわ」
「いつも、ご苦労さま」
ママとフレンドリーに話す、こ、この方が……この都市を護る大魔女ミネルバ様? 肌は艶々、黒髪もサラサラ――凄く美人だ。ポカーンと眺めていた私を見て、ミネルバ様は微笑んだ。
「貴方がカルデアの娘、エルバさんね。エバァを助けてくれてありがとう。今回のお礼に今、都市で人気のコメを炊いてくるわね」
慌てて頭を下げると、ミネルバ様はフフッと優雅に笑い、パパ、ママと家のキッチンに消えていった。
ママも年齢不詳だけど、ミネルバ様も美人でお若い。
「エルバ!」
「なに?」
庭先でサタ様は捌いたビッグベアの肉を見て、臭みがあるからなのか――チラチラ、こっちをみてくる。何度も出す所を見てるのだから、畑からだしてと言えばいいのに。
まさか、パパとママに言っていない秘密のスキルだと思っているとか? 私はエルバの畑を開き"ポポポーン"と、お望みのローズマリーンとニンニククを一束ずつ採取した。
「はい、サタ様。お望みのローズマリーンとニンニククだよ」
「ありがとう、それにしても便利なスキルだな」
その言葉に反応するように、サタ様の手伝いをしていたアール君も。
「ええ、エルバ様のスキルは便利ですよね」
「うん、凄く便利だよ。それにこれは(神様がくれた)私だけの特別なスキルだもの」
これから、ずっと一緒にいる家族だから隠さない。
あとで、パパとママにも話すんだ。
「ビッグベアのお肉を焼く、コンロを出すね」
と、私はマジックバッグではなく、アイテムボックスを開き。神様仕様の六角形のデザインがおしゃれ、真っ赤な色合いがよく、外観が可愛いバーベキューコンロを取り出した。
サタ様に貸しているナイフもだけど、このコンロもネットで一目惚れして買ったもの。前にアパートでアール君のフカフカ椅子、ダマスカスナイフの次に選んだコンロだ。
「ふむ、前の小さなコンロとは違うな。それで、使い方は一緒なのか?」
「大体一緒だけど……あ、ここに薪がない!」
どうするかな、メスティン用の火の魔石を使う? か悩んでいた。そこにパタパタと羽音をだして、ビッグベアのお肉を捌き終えた、サタ様が隣に来てコンロを観察した。
「そのコンロ、火の魔法陣が施されているな。外側に施されているその魔法陣に魔力を込めるだけで、火の魔法が発動する仕組みになっている」
魔法陣? もう一度コンロを見ると側面に幾何学模様が浮かんでいた。
「これに触ればいいんだ」
なにも考えず魔法陣に触れて、コンロから『ゴォォォッ』ととてつもない火柱があがった。ヒェ――なにこれ、まさか魔力のくわえすぎ? け、け、消し方は? ともう一度、魔法陣を触ると火柱が消えた。
もう一回『ゴォォォ!』
もう一回……何回やってもゴォォォっと火柱がたつ。
「これ、火の調整が難しい!」
「そうだろうな……今のエルバの魔力少しはその大きさなんだ。もっと的確に操作できるようにならないと――いざというときに3人とも倒れることになる」
「え、3人とも倒れる……? それは嫌だ……だったら、もっと訓練して、魔力量の調節を覚えないといけない」
「うむ、時間はいくらでもある。焦らずゆっくり訓練を行えばいい」
「そうです、エルバ様は魔法を使い始めだばかりです、一緒に訓練いたしましょう。今回は火魔法の得意な僕がコンロに火をつけますね」
アール君が魔法陣に触れると『ボッ』と、コンロに火がついた。
「いたっ、イタタターっ!!! サタ様いたい……また、頭に爪がささる!」
「エルバ、はやく、あのナイフをだすのだ!」
「ううっ、わかりましたよ……」
――サタ様、私のナイフお気に入り過ぎる!
マジックバッグに手を突っ込み、涙目でナイフを取り出し渡すと、彼は元の姿に戻ることなく自分のアイテムボックスからビッグベアを取り出すと、庭先で器用にさばき始めた。
パパとママ、サタ様の友はビッグベアをさばく、サタ様をみて喉を鳴らした。
「まあ、ここでは珍しいビッグベアだわ。食べ応えのあるいい大きさね」
「ああ、脂が乗って美味そうだ」
「ドロシア、今日は久々にいいお肉が食べれそうだねぇ~これに似合うお酒が欲しくならない? そうだ! 近くにできた鬼人直売店でお肉少しもらってお酒と交換してこよう~!」
「いい案だな。エバァ、交換に行こう」
いいお肉とお酒かぁ……キャンプの時、焚き火でいい肉を焼き、たまにアルコールゼロのビールを飲んでいたなぁ。あのひとときがほっこりして癒されるんだ。
そして、エバァさんとドロシアさんが言った鬼人直売店が凄く気になる、あとでママに聞こうっと。
2人は肉を黙々と捌くサタ様に話しかけた。
「サタナス様、ビッグベアのお肉を少しもらうねぇ~」
「ああ、いいぞ」
肉を貰ったエバァさんとドロシアさんは、鬼人直売店というところに捌いてばかりのビッグベアの肉を持って、お酒、野菜の物々交換に向かった。
2人と入れ違いに長い黒髪、黒い瞳の美人が、一羽のカラスを肩に乗せて現れた。そのカラスに『ここまでの護衛ありがとう』と話しかけ『帰りもよろしくね』と見送った。
「あら、来てくれたの。ミネルバ、いらっしゃい」
「あたりまえじゃない。でもごめんね、魔法都市の結界を強化していて遅れてわ」
「いつも、ご苦労さま」
ママとフレンドリーに話す、こ、この方が……この都市を護る大魔女ミネルバ様? 肌は艶々、黒髪もサラサラ――凄く美人だ。ポカーンと眺めていた私を見て、ミネルバ様は微笑んだ。
「貴方がカルデアの娘、エルバさんね。エバァを助けてくれてありがとう。今回のお礼に今、都市で人気のコメを炊いてくるわね」
慌てて頭を下げると、ミネルバ様はフフッと優雅に笑い、パパ、ママと家のキッチンに消えていった。
ママも年齢不詳だけど、ミネルバ様も美人でお若い。
「エルバ!」
「なに?」
庭先でサタ様は捌いたビッグベアの肉を見て、臭みがあるからなのか――チラチラ、こっちをみてくる。何度も出す所を見てるのだから、畑からだしてと言えばいいのに。
まさか、パパとママに言っていない秘密のスキルだと思っているとか? 私はエルバの畑を開き"ポポポーン"と、お望みのローズマリーンとニンニククを一束ずつ採取した。
「はい、サタ様。お望みのローズマリーンとニンニククだよ」
「ありがとう、それにしても便利なスキルだな」
その言葉に反応するように、サタ様の手伝いをしていたアール君も。
「ええ、エルバ様のスキルは便利ですよね」
「うん、凄く便利だよ。それにこれは(神様がくれた)私だけの特別なスキルだもの」
これから、ずっと一緒にいる家族だから隠さない。
あとで、パパとママにも話すんだ。
「ビッグベアのお肉を焼く、コンロを出すね」
と、私はマジックバッグではなく、アイテムボックスを開き。神様仕様の六角形のデザインがおしゃれ、真っ赤な色合いがよく、外観が可愛いバーベキューコンロを取り出した。
サタ様に貸しているナイフもだけど、このコンロもネットで一目惚れして買ったもの。前にアパートでアール君のフカフカ椅子、ダマスカスナイフの次に選んだコンロだ。
「ふむ、前の小さなコンロとは違うな。それで、使い方は一緒なのか?」
「大体一緒だけど……あ、ここに薪がない!」
どうするかな、メスティン用の火の魔石を使う? か悩んでいた。そこにパタパタと羽音をだして、ビッグベアのお肉を捌き終えた、サタ様が隣に来てコンロを観察した。
「そのコンロ、火の魔法陣が施されているな。外側に施されているその魔法陣に魔力を込めるだけで、火の魔法が発動する仕組みになっている」
魔法陣? もう一度コンロを見ると側面に幾何学模様が浮かんでいた。
「これに触ればいいんだ」
なにも考えず魔法陣に触れて、コンロから『ゴォォォッ』ととてつもない火柱があがった。ヒェ――なにこれ、まさか魔力のくわえすぎ? け、け、消し方は? ともう一度、魔法陣を触ると火柱が消えた。
もう一回『ゴォォォ!』
もう一回……何回やってもゴォォォっと火柱がたつ。
「これ、火の調整が難しい!」
「そうだろうな……今のエルバの魔力少しはその大きさなんだ。もっと的確に操作できるようにならないと――いざというときに3人とも倒れることになる」
「え、3人とも倒れる……? それは嫌だ……だったら、もっと訓練して、魔力量の調節を覚えないといけない」
「うむ、時間はいくらでもある。焦らずゆっくり訓練を行えばいい」
「そうです、エルバ様は魔法を使い始めだばかりです、一緒に訓練いたしましょう。今回は火魔法の得意な僕がコンロに火をつけますね」
アール君が魔法陣に触れると『ボッ』と、コンロに火がついた。
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