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二十二

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 早く、ロレッテに会いに行きたい。
 柔らかく、いい香りがする彼女を抱きしめたい。

 柔らかな唇にキスしたい。
 会いたいとはやる気持ち。

 それを抑える、ふくろうが届けたのは橋を警備する騎士からの報告書。
 書かれていた報告書の内容を確かめる為、馬車に揺られて話を聞きに商人が現れた橋へと向かっていた。

 何事もなければ、王都に向かっている時間。

 ロレッテは寂しがっていないか? 泣いていないといいな……私も彼女に早く会い。
 
(終わったらすぐに向かうからね)

 隣国に伝えたはずの橋の修復を知らず、現れた隣国の商人。
 その商人は父上が書いたとされる書状と、注文書を持っていた。

 いま、自由に動けるのは私しかいない。

「騎士から話を聞いた後、父上にふくろうを飛ばさないとな」

 ほんとうは王太子が行う視察。
 しかし、当の兄上は女性にうつつをぬかして使えない。
 大役を第二王子の私が任せられて、父上に軍事秘密の通達ふくろうを貸していただいているんだ、役目を果たさなくてはならない。

 ロレッテに会えると喜んでいたことを知る、カウサは私に提案した。

「オルフレット様、騎士に話を聞くのは私だけでも、いいのではないでしょうか?」

「ん?」

 カウサ……自分、一人で騎士から話を聞くと、自分を橋に置いてゆけと言っているのかな? 優しいなカウサ、しかし直に私が話を聞きなくてはならない。

「ダメだ、私が父上に任されている仕事だから、一緒に話を聞くよ」

「すみません、出過ぎた真似をいたしました」

「いや、気にするなよ。ありがとうカウサ」

 ごめんロレッテ、君のところに向かうのはもう少し後になるね。


 ♢


 修復中の橋に着き、警備をする騎士に話を聞いた。

「やはり、その商人は怪しいな」

「はっ! 私もそう思ったのですが……書状が国王陛下、直々の本物の様であった為に商人を引き止めることも、捕まえることが出来ませんでした」

 書状に何らかの不備があれば、商人を捉えることが出来た。
 しかしながら国王陛下が記した書状を持つ、商人を勝手に捕まえる事はできない。

 商人は国王陛下の命によって、薬草を運んでいるのだから……
 
 私としてはその商人の運んでいた薬草が気になるし、父上が書いたとされる書状と注文書が気になる。

 商人の男は隣国に帰ったのか? それともまだ近くの街か村にいるかもしれない。

 一応、その商人を探してみるか。
 
「報告はこれで終わりかな? 書状と注文証のことは、父上にふくろうを飛ばして聞いてみる。カウサ、商人を探しに行こう」

「はい、オルフレット様」

 騎士から聞いた報告をまとめてふくろうを飛ばし、国境近くの近くの村や町を回ってみたが商人の男は見つからない。

 しばらくして、ふくろうが父上の所から戻ってきた。

「カウサ、父上は書状と注文書、薬草のことを知らないみたいだ」

「では誰かが国王陛下に成りすまして、書状と注文書を書いたのですね」

「そうなるね。もしかすると書状と注文書を書いたのは兄上かな? 王太子として執務に必要な判とか書類などを、父上から渡されているだろう」

 ダメな人になっていく兄上を止められない。

 父上も犯人は兄上だと分かっていらが、私のことを思ってか父上と側近で調べるとおっしゃったのであとはお任せして、私達は国境付近まで商人を探し足を延ばした。

「ここから先は隣国の国境に差し掛かる、日も暮れてきたし商人探しは諦めよう」

「かしこまりました」

「カウサ、王都に戻るぞ!」

(やっと、ロレッテに会いに行ける)

 しかし、ここから王都までは遠いな。

 ロレッテに「もう少し待って欲しい」とふくろうを飛ばして、私はある事の許しを貰うべく、グラッド公爵に会いに向かった。


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