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三十一

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 早朝。王城の前では旅支度を終えた国王陛下と王妃、そして城を預かる第二王子オルフレットとロレッテがいた。

「オルフレット、あまり頑張りすぎないでね」

「そうじゃ、ゆっくりでいいんだぞ」

「わかっております、父上、母上。旅の無事を祈ります」

 国王陛下と王妃は長年の戦争がようやく終幕し。平和を取り戻した友好国ユートレイアの復刻祭に招かれていた。

 友好国ユートレイアまでの移動は馬車で1週間以上はかかる。約1ヶ月以上の間、国王陛下と王妃は城を開けることになった。

「ロレッテちゃん、オルフレットをよろしくね!」

「はい、王妃様」

 国王陛下と王妃が旅立った後、ロレッテに書類を頼み。オルフレットは執務室で薬草図鑑を眺めていた。

 旅立った国王陛下と王妃には伝えていないが。
 第一王子が住むボロ屋敷で事が起きたのだ。兄上を含めて、中にいたもの全ての者が昏睡状態だと言うこと。

 医者を派遣して調べてはいるものの、その原因がわからずじまい。

 それに一つ気がかりがある隣国のセルバン王子がその中にいないと、ふくろうに報告を受けた事と。

 何やらお香を焚いた跡が屋敷に残っていたと、ふくろうから届いた報告書が気になっていた。


「ただいま戻りました」

「もしかすると、このサンム草が原因か?」

 オルフレット様とちょうど言葉が重なる。
 サンム草と聞き、自分の鼓動が早くなるがわかった。

 怖いけど、私はその草が気になっている。

「おかえり、ロレッテ」

「オルフレット様。お父様に届けた書類は、1時間後に取りに来る様に言われました」

「そうか、わかった」

〈1時間か……待つ間、お茶にするか、ロレッテの癒しが欲しいな〉

(癒し?)

 ソファーで膝枕でしょうか? と、移動しようとした矢先、オルフレット様が先にソファーに座りぽんぽんと自分の足を叩いた。

「今日は頑張るロレッテに私が膝枕をしょう」

 彼の膝枕⁉︎

「ダメです、オルフレット様!」


 王子に膝枕をしていただくなんて、恐れ多いですわ。


「おいで、ロテ」

「あの、……私が膝枕します。それではダメですか?」

「うん、ダメ」

 即答された。

〈ロテはそんなに私の膝に乗るのが嫌なのか……残念だな〉

(そんな悲しい声を出さないでください)

 私は近付き彼の膝に失礼しますと寝転んだ。
 後頭部に感じる太ももの柔らかさ、なんとも言えぬこの気持ち。

 下からオルフレット様を見上げるなんて、は、恥ずかしすぎます。
 彼を見ていれなくて目を瞑った。

「そのまま、少し眠るといい」

「えっ」

「ほら、ここ隈ができてる」 

 お化粧で隠したはずの隈に気付いたと驚く、その私の頬に彼の指先が優しく触れた。

「しっかり眠りなさい」

「……はい、お言葉に甘えて少し眠りますね」

「うん」

 彼に髪を撫でられながら目を瞑った。

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