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三十
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黄昏とき、馬車が屋敷の前に止まり、コンコンと部屋の扉が叩かれた。
「ロレッテお嬢様、オルフレット様が屋敷にご到着されました」
「ほんと! リラ、ありがとう」
部屋を出てエントランスに走って彼を迎えに行く。ちょうど馬車からこちらに向かって歩く、執事姿のオルフレット様の姿が見えた。
彼はエントランスにいる私に気が付き微笑んだ。
「ロレッテ、ただいま」
「お帰りなさい、オルフレット様」
〈のんびりとはいかないが……毎日、ロレッテと過ごせる〉
(はい!)
オルフレット様に王城に戻り国王陛下に報告があると、すぐに戻らなくてはならないと言われた。
視察の話、橋のこと、薬草のことかな?
「すまない、ロレッテ」
「謝らないでください。明日、王城にお父様と向かいますわ」
「そうだな、明日、王城で待っている。あ、ロレッテに土産というか、似合いそうな髪飾りを見つけたんだ」
と、胸ポケットから白い花飾りを出された。
「可愛い、ありがとうございます。オルフレット様」
「んっ、ロレッテの髪に付けてもいい?」
はい、と付けやすく彼に近寄り、結い上げた髪に白い花の髪飾りを付けてもらった。
「似合ってる、また明日」
「はい。明日、王城でお会いしましょう」
会釈の後、彼の影が近寄り唇に軽くキスされた。驚きもあったけど、もう一度と目を瞑るとさいど唇が重なった。
唇が離れたあと2人、見つめあって微笑んだ。
〈喜ぶ顔が見れて幸せだ〉
(それは私もですわ)
オルフレット様が王都に帰られる馬車を見送った。
♢
2週今後。橋の修理も終わり元のように商人たちが行き交っていた。
その中にあの馬車が通った事を誰も気付けずにいた。
大量に薬草を乗せて、その馬車は王都に向かって走り去っていった。
王城に戻ったオルフレット、視察とは変わっていた母上が城に戻り、兄上、一行を追い出した後だった。
「執務もせず遊び呆ける王子は邪魔な存在です。今すぐにここから出て行きなさい!」
「母上、そんなぁ!」
「「出て行きなさい!」」
国王陛下に取り入れられなかった彼ら。いくら訴え、文句を言っても王妃にやり返されてしまい。
彼らは出ていくしか道はなかった。
メアリス一家は元、住んでいた家を売り払った後で行く宛のない。
彼らは取り壊し予定の古別荘に居着いたようだと、父上と母上は呆れていた。
その一行の中には隣国のセルバン王子もいたらしい。
彼らが屯っていた部屋に大量の薬草が見つかり、全て捨てられて王城の中は一掃された。
オルフレットもメアリスの来襲がなくなり、執務室の場所を兄上が使うはずだった部屋へと移した。
彼の隣に立つ為には、彼の仕事を理解しなくてはならなくて、側で勉強する日々を送っている。
「オルフレット様、何が手伝う事はありますか?」
「ロレッテ、この書類の整理とこの書類を隣に届けてくれる?」
「はい、かしこまりました」
まだ色々と問題は残るが、オルフレットとロレッテはあいも変わらず、仲良く執務室で過ごしていた。
国王陛下と王妃は奴らによって止まってしまった交易、隣国との交渉に日々、走り回っている。
しかし、カトリア亭は閉めず週一に店を開けて、王妃自らお客に料理を振舞っている。
もちろんロレッテもそのお手伝いをしている。
みんなの努力もあり、徐々に王城の中は平穏を取り戻していった。
♢
それは夜半ごろ。
一台のランタンを灯した荷馬車が古びた屋敷の裏口に止まる。
その持ち主は隣国の商人の荷馬車だった。屋敷の裏口で呼び鈴を鳴らすと扉が開き屋敷の主人らしい人物が現れた。
商人は頼まれた品物を男に見せて、深深く頭を下げた。
「貴方様に頼まれた品物をお持ちいたしました」
男は商人が持ってきた品物を見て口角を上げ。
「中々の良い品物だな。手間賃と料金だ受け取れ」
「ありがとうございます。今後ともご贔屓のほどよろしくお願いいたします」
商人は料金を受け取ると荷馬車を走らせて館を後にした。
その館の主は目の下に濃い隈、真っ黒なローブを着た人物だった……。
「ロレッテお嬢様、オルフレット様が屋敷にご到着されました」
「ほんと! リラ、ありがとう」
部屋を出てエントランスに走って彼を迎えに行く。ちょうど馬車からこちらに向かって歩く、執事姿のオルフレット様の姿が見えた。
彼はエントランスにいる私に気が付き微笑んだ。
「ロレッテ、ただいま」
「お帰りなさい、オルフレット様」
〈のんびりとはいかないが……毎日、ロレッテと過ごせる〉
(はい!)
オルフレット様に王城に戻り国王陛下に報告があると、すぐに戻らなくてはならないと言われた。
視察の話、橋のこと、薬草のことかな?
「すまない、ロレッテ」
「謝らないでください。明日、王城にお父様と向かいますわ」
「そうだな、明日、王城で待っている。あ、ロレッテに土産というか、似合いそうな髪飾りを見つけたんだ」
と、胸ポケットから白い花飾りを出された。
「可愛い、ありがとうございます。オルフレット様」
「んっ、ロレッテの髪に付けてもいい?」
はい、と付けやすく彼に近寄り、結い上げた髪に白い花の髪飾りを付けてもらった。
「似合ってる、また明日」
「はい。明日、王城でお会いしましょう」
会釈の後、彼の影が近寄り唇に軽くキスされた。驚きもあったけど、もう一度と目を瞑るとさいど唇が重なった。
唇が離れたあと2人、見つめあって微笑んだ。
〈喜ぶ顔が見れて幸せだ〉
(それは私もですわ)
オルフレット様が王都に帰られる馬車を見送った。
♢
2週今後。橋の修理も終わり元のように商人たちが行き交っていた。
その中にあの馬車が通った事を誰も気付けずにいた。
大量に薬草を乗せて、その馬車は王都に向かって走り去っていった。
王城に戻ったオルフレット、視察とは変わっていた母上が城に戻り、兄上、一行を追い出した後だった。
「執務もせず遊び呆ける王子は邪魔な存在です。今すぐにここから出て行きなさい!」
「母上、そんなぁ!」
「「出て行きなさい!」」
国王陛下に取り入れられなかった彼ら。いくら訴え、文句を言っても王妃にやり返されてしまい。
彼らは出ていくしか道はなかった。
メアリス一家は元、住んでいた家を売り払った後で行く宛のない。
彼らは取り壊し予定の古別荘に居着いたようだと、父上と母上は呆れていた。
その一行の中には隣国のセルバン王子もいたらしい。
彼らが屯っていた部屋に大量の薬草が見つかり、全て捨てられて王城の中は一掃された。
オルフレットもメアリスの来襲がなくなり、執務室の場所を兄上が使うはずだった部屋へと移した。
彼の隣に立つ為には、彼の仕事を理解しなくてはならなくて、側で勉強する日々を送っている。
「オルフレット様、何が手伝う事はありますか?」
「ロレッテ、この書類の整理とこの書類を隣に届けてくれる?」
「はい、かしこまりました」
まだ色々と問題は残るが、オルフレットとロレッテはあいも変わらず、仲良く執務室で過ごしていた。
国王陛下と王妃は奴らによって止まってしまった交易、隣国との交渉に日々、走り回っている。
しかし、カトリア亭は閉めず週一に店を開けて、王妃自らお客に料理を振舞っている。
もちろんロレッテもそのお手伝いをしている。
みんなの努力もあり、徐々に王城の中は平穏を取り戻していった。
♢
それは夜半ごろ。
一台のランタンを灯した荷馬車が古びた屋敷の裏口に止まる。
その持ち主は隣国の商人の荷馬車だった。屋敷の裏口で呼び鈴を鳴らすと扉が開き屋敷の主人らしい人物が現れた。
商人は頼まれた品物を男に見せて、深深く頭を下げた。
「貴方様に頼まれた品物をお持ちいたしました」
男は商人が持ってきた品物を見て口角を上げ。
「中々の良い品物だな。手間賃と料金だ受け取れ」
「ありがとうございます。今後ともご贔屓のほどよろしくお願いいたします」
商人は料金を受け取ると荷馬車を走らせて館を後にした。
その館の主は目の下に濃い隈、真っ黒なローブを着た人物だった……。
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