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五十八
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「「いやぁぁーー!」」
引き裂かれるスカートの音と、ビリビリと頬に当たる冷気……
な、何? この場に、得体の知れない何かが近付いている、そう感じた。
「あぁーくそっ、あの野郎! シルベスター、ロレッテを掴んで空高く飛び上がってくれ!」
ーー許さぬ。
「あいあいさぁ~! 手加減を忘れずにねぇ~!」
何処からともなく聞こえた声と心の声。
こ、この声はシルベスター君と、まさかオルフレット様?
セルバン殿下の背後に見えた、彼。
彼の身体中から冷気と怒りを感じた。
オルフレット様が纏う、冷たく、青く光る魔力が膨れ上がる。
「アルカには後で謝る。愛する女性のこの様な姿を見て、手加減など出来るかぁー!」
ーー私の大切なロレッテを守る!
彼こら放たれた凍てつく吹雪が私たちを襲う。
「きゃぁー!」
「な、なんだ……ぁあ!」
木々が、森が一瞬で凍り、この辺りを氷の世界に変えた。
私は吹雪に襲われる前に。
飛んで来たシルベスター君にドレスの首元を咥えられて、くるんと彼のもふもふな背に乗せられた。
「もっと上に飛ぶから、何処でもいいロレッテは掴んで!」
「はい!」
毛を掴み、しがみ付くと彼は吹雪を避け、空高く駆け上がる。
そして吹雪が去り、凍った大地を見て嘆いた。
「あーオルフレットはやり過ぎ、僕の森が……凍っちゃったよー」
「これ、オルフレット様がやったの?」
「そうだよ。あの男に襲われる姿と、ロレッテのあられもない姿を見て、キレちゃった~」
私の格好……セルバン殿下にドレスを引き裂かれて、胸と足が見えていた。
ーー許さぬ、殺す、あの男をヤる。
彼の怒りの声が聞こえる。
青い炎を纏う彼と、セルバン殿下は吹雪で体が凍りつき動けない。
セルバン殿下は微かに動く口で助けを求めた。
「オルフレット、やめろ。僕が悪かった。頼む、殺さないでくれ!」
「ロレッテにあの様なことをしておいて、殺さないでくれだと?」
ーー今更、命乞いか?
「だめ、やめて、オルフレット様ぁー! お願い、シルベスター君、彼の所まで連れて行って!」
「よし、わかった~!」
+
シルベスター君に2人が見合う、近くまで連れて行ってもらった。
でも、彼の近くまで行こうとしても、ヒールで凍った大地の上を上手く歩けない。
でも、私は。
「オルフレット様、だめ」
ーーロ、ロレッテ⁉︎
必死に歩き凍えるくらいに冷たい、彼の背を後ろから抱きしめた。
「ここに来るな! シルベスター、ロレッテを安全な場所まで連れて行け! 俺はこの男を始末する」
ーー私はあの男を許すことができぬ。
「許さなくていい!」
「ロレッテ?」
「でも、彼はオルフレット様の魔法でもう動けない。このまま置いていけば彼は死ぬ。それではだめよ。彼は自分の国、この国の法によって裁かれるべき、自分の罪は自分で償わせないといけないわ」
ーーそんなこと、わかるている……くっ! 君を。
「君をこんな目に合わせたんだぞ!」
ーー私の来るのがもう少し遅かったら、ロレッテは!
「あなたは来てくれたじゃない。格好はこうだけど私は何もされていない……気になるのなら確認してみる? それともあなたの心の声が聞こえる私なんか気持ち悪くて嫌?」
ーーはぁ? 確認? いいのか、触ってもいいのか? 今いいと言ったよな。ロレッテがいいのなら体の隅々まで、あそこまで触るぞ。
(あ、あそこ? ど、何処を触る気なの)
「オルフレット様?」
彼はふふっと意味深な笑みを浮かべた。
「シルベスター! その男を助けてやれ。ただし逃げれない様にしておいてくれ……ロレッテ、今言ったことは訂正させないからね」
えっ。
「了解! ほれっ、氷よ溶けてぇ~!」
シルベスター君が凍った大地に触れると、森を凍らせた氷がじわじわ水となり溶けていく。
そして、セルバン殿下の氷は溶けたけど彼の体は動かず、ガタガタ震えていた。
拘束! とシルベスター君は森のツタや木の枝で、そんな彼をぐるぐる巻にしてしまった。
「これでよし。君はこの中にいれば凍える心配はないよー。逃げれないけどね」
それを見て頷き、オルフレット様は私をお姫様抱っこすると。
「私たちは戻って、ちゃんと話そうか。今度は逃さないからね」
と言った。
引き裂かれるスカートの音と、ビリビリと頬に当たる冷気……
な、何? この場に、得体の知れない何かが近付いている、そう感じた。
「あぁーくそっ、あの野郎! シルベスター、ロレッテを掴んで空高く飛び上がってくれ!」
ーー許さぬ。
「あいあいさぁ~! 手加減を忘れずにねぇ~!」
何処からともなく聞こえた声と心の声。
こ、この声はシルベスター君と、まさかオルフレット様?
セルバン殿下の背後に見えた、彼。
彼の身体中から冷気と怒りを感じた。
オルフレット様が纏う、冷たく、青く光る魔力が膨れ上がる。
「アルカには後で謝る。愛する女性のこの様な姿を見て、手加減など出来るかぁー!」
ーー私の大切なロレッテを守る!
彼こら放たれた凍てつく吹雪が私たちを襲う。
「きゃぁー!」
「な、なんだ……ぁあ!」
木々が、森が一瞬で凍り、この辺りを氷の世界に変えた。
私は吹雪に襲われる前に。
飛んで来たシルベスター君にドレスの首元を咥えられて、くるんと彼のもふもふな背に乗せられた。
「もっと上に飛ぶから、何処でもいいロレッテは掴んで!」
「はい!」
毛を掴み、しがみ付くと彼は吹雪を避け、空高く駆け上がる。
そして吹雪が去り、凍った大地を見て嘆いた。
「あーオルフレットはやり過ぎ、僕の森が……凍っちゃったよー」
「これ、オルフレット様がやったの?」
「そうだよ。あの男に襲われる姿と、ロレッテのあられもない姿を見て、キレちゃった~」
私の格好……セルバン殿下にドレスを引き裂かれて、胸と足が見えていた。
ーー許さぬ、殺す、あの男をヤる。
彼の怒りの声が聞こえる。
青い炎を纏う彼と、セルバン殿下は吹雪で体が凍りつき動けない。
セルバン殿下は微かに動く口で助けを求めた。
「オルフレット、やめろ。僕が悪かった。頼む、殺さないでくれ!」
「ロレッテにあの様なことをしておいて、殺さないでくれだと?」
ーー今更、命乞いか?
「だめ、やめて、オルフレット様ぁー! お願い、シルベスター君、彼の所まで連れて行って!」
「よし、わかった~!」
+
シルベスター君に2人が見合う、近くまで連れて行ってもらった。
でも、彼の近くまで行こうとしても、ヒールで凍った大地の上を上手く歩けない。
でも、私は。
「オルフレット様、だめ」
ーーロ、ロレッテ⁉︎
必死に歩き凍えるくらいに冷たい、彼の背を後ろから抱きしめた。
「ここに来るな! シルベスター、ロレッテを安全な場所まで連れて行け! 俺はこの男を始末する」
ーー私はあの男を許すことができぬ。
「許さなくていい!」
「ロレッテ?」
「でも、彼はオルフレット様の魔法でもう動けない。このまま置いていけば彼は死ぬ。それではだめよ。彼は自分の国、この国の法によって裁かれるべき、自分の罪は自分で償わせないといけないわ」
ーーそんなこと、わかるている……くっ! 君を。
「君をこんな目に合わせたんだぞ!」
ーー私の来るのがもう少し遅かったら、ロレッテは!
「あなたは来てくれたじゃない。格好はこうだけど私は何もされていない……気になるのなら確認してみる? それともあなたの心の声が聞こえる私なんか気持ち悪くて嫌?」
ーーはぁ? 確認? いいのか、触ってもいいのか? 今いいと言ったよな。ロレッテがいいのなら体の隅々まで、あそこまで触るぞ。
(あ、あそこ? ど、何処を触る気なの)
「オルフレット様?」
彼はふふっと意味深な笑みを浮かべた。
「シルベスター! その男を助けてやれ。ただし逃げれない様にしておいてくれ……ロレッテ、今言ったことは訂正させないからね」
えっ。
「了解! ほれっ、氷よ溶けてぇ~!」
シルベスター君が凍った大地に触れると、森を凍らせた氷がじわじわ水となり溶けていく。
そして、セルバン殿下の氷は溶けたけど彼の体は動かず、ガタガタ震えていた。
拘束! とシルベスター君は森のツタや木の枝で、そんな彼をぐるぐる巻にしてしまった。
「これでよし。君はこの中にいれば凍える心配はないよー。逃げれないけどね」
それを見て頷き、オルフレット様は私をお姫様抱っこすると。
「私たちは戻って、ちゃんと話そうか。今度は逃さないからね」
と言った。
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