モブの聖女に転生したのですが、18禁BL主人公を私が癒してもよろしいのですか?

矢間カオル

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35話 隠されたパン

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子どもたちが、ぞろぞろとやって来た。
どの子も痩せていて、ろくに食べさせてもらっていないのだと、思えるような子どもたち。

一度に入れるのは三十人ほど。
食堂内に入った子どもたちは、料理の匂いに目を輝かせた。

騎士様が、子どもたちを順番に座らせていく。

今日のメニューは、肉と野菜が入ったシチューとパン、それに牛乳。

目の前に出された料理を見て、子どもたちは歓声を上げた。
「わー、お肉だ! お肉なんて久しぶりー。」

貴族にとっては質素なメニューであっても、貧民街の子どもたちにとっては、最高のごちそうである。

「さあ、みんな、よく噛んで食べるんだよ。」
アンナさんも、とても嬉しそうだ。

私も嬉しくなって、子どもたちを見ていたのだけれど、キョロキョロと目を動かしている挙動不審な男の子を見つけた。

やせ細った腕が今にも折れそうなその子は、七歳くらいだろうか?

いったい何に怯えているのか、不安げな目とブルブル震える手で、その子はパンを食べずに、サッと服の中に隠した。

食堂に来る子どもたちには、出された料理を全部食べてもらうために、持ち帰ってはいけないことを知らせている。

食べきれない場合は、残った料理をまた煮込んで、次の子どもに回すことにしているし、パンも食べかけであっても、次の子どもに食べてもらう。

前世のように、食べ残したら捨てるなんてことは、この貧民街では考えられないことなのだ。

持って帰ってはいけないから、カバンを持ってくることを禁じている。

その子は服の中にパンを隠したまま、シチューを食べ牛乳を飲んだ。
だけど、隠したパンには、一切手を付けなかった。

食べ終わった子どもから、食器を使用済み棚に片付け、次の子どもが入ってくることになっている。

私はその子が食器を片付けた際に、声を掛けた。

「ぼうや、ちょっとお話ししてもいい?」

男の子はビクッとして、目をキョロキョロと動かした。

「じゃあ、あっちのお部屋に行こうか?」

私は隣の控室に、子どもを連れて行った。
ガトーさんも心配してついてきた。

私はしゃがんで、目線を子どもに合わせた。

「ぼうや、パンを隠してたけど、それはあなたのパンなのに、どうして食べなかったの?」

男の子は下を向き、こちらを見ようとはしない。

「あの・・・、僕のおばあさんが病気なので・・・持って帰ろうと・・・」

私はアンナさんを呼んだ。
「アンナさん、この子には病気のおばあさんがいますか?」

「いいえ、この子のおばあさんは三年前に亡くなりましたよ。今は父親と二人暮らしです。」

「ぼうや、どうして嘘をついたのかな? 怒らないから、正直にお話してくれる?」
私はできるだけ優しい声を出して、男の子に問うた。

男の子は、ポロポロと涙を零して泣き出した。
「ご、ごめんなさい。パンを持って帰らないと、父さんに怒られるんだ。食べずに持って帰れって言われたんだ。本当にごめんなさい。」

「そっか・・・。お父さんに言われたことをしたのね。あなたのせいじゃないから、泣かないでいいのよ。ねえ、お姉さんに身体を見せてくれないかな?」
私はできるだけ優しく、男の子を刺激しないように言った。

「う、うん・・・」

男の子が服を脱いで見せてくれた身体には、あちこちに無数のあざがあった。


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