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53話 命令に背きました
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私が自室でお茶を飲んでいるときに、フリュイ様の訪問があった。
どうも急いでいるらしく、玄関先で私を待っていると、ショコラが私を呼びに来た。
おそらく、シューク様の呪いの苦痛が発現したのだ。
私はマントを掴んで、フリュイ様のもとに走った。
前回と同じように、私はフリュイ様と一緒に馬車に乗る。
マントを着けて王宮に入ろうとしたら、フリュイ様が足を止めた。
「聖女様、シューク様は聖女様を呼ぶなと言われましたが、私はその命令に背きました。私には退勤命令が出ておりますので、一緒には行けません。どうか、おひとりでシューク様のお部屋に行ってください。どうか、どうかシューク様をよろしくお願いします。」
フリュイ様は、深く頭を下げてから立ち去った。
「シューク、入るぞ!」
まるで開けゴマの呪文のように声を張り上げて、私はシューク様の部屋の中に入り、中から鍵を閉めた。
静まり返った部屋の中には、シューク様の姿はない。
おそらく寝室にいるのだろう。
防音魔法が施された部屋で、今も苦しんでいるのかもしれない・・・。
マントを外し、寝室の中に入ったら、シューク様はベッドの端に腰を掛け、頭を抱えて必死に何かを我慢しているようであった。
「ううっ・・・」
堪え切れずに、漏れ出るうめき声が痛ましい。
私はシューク様の前に立った。
「シューク様、顔を上げてください。」
シューク様は、何故あなたが? とでも言いたげな目で私を見た。
顔色は悪く、冷汗まで流れている。
私が来るまでの間、ずっと苦痛を我慢していたのだろう。
私はシューク様の頬を両手で包んで顔を近づけた。
シューク様は、きょとんとした顔で目を見開いていたけれど、私はお構いなしに、唇を重ねた。
いつもだったら、シューク様が舌をねじ込んでくるけれど、今は私から・・・。
シューク様の唇を、舌でこじ開け忍ばせる。
シューク様の上あご、歯茎、頬へと舌で舐め回し口腔内を蹂躙して、私からシューク様の舌を誘う。
シューク様も私に応えて、舌を絡ませてきた。
ああ、私はやっぱりこのキスが好き。
シューク様のねっとりするような舌の動きに、私は翻弄される。
長い長いキスの後、銀色の糸を引いて唇が離れた。
私はこのキスの間、ずっと神聖力を流し続けたのだ。
「シューク様、苦痛はなくなりましたか?」
「あ、ああ、ありがとう。助かった。でも、何故あなたが・・・? いや、フリュイが呼びに行ったのだな。」
「フリュイ様を叱らないでください。彼はあなたのことを大切に思う忠臣ですわ。」
私は、失礼しますと、シューク様の隣に座った。
ベッドが私の重みでギシッとへこむ。
「シューク様、苦痛は収まったようですが、まだ呪いの文様は残っているのですね。」
「エクレーヌ、あなたには、それがわかるのだな。」
「はい。」
口づけで神聖力を流したけれど、私の身体は終わりを告げなかったから・・・。
「どうして苦痛を我慢してまで、私を呼びに行かせようとしなかったのですか?」
「それは・・・、あなたを困らせたくなかったから・・・言えば、きっとあなたは受け入れてくれるだろう。だからこそ、言えなかったのだ。」
「そう思うのは・・・、呪いの場所が問題なのですね。」
シューク様は驚いた顔で私を見た。
「見える文様はすべて消えました。だから残っているのなら、まだ隠されている場所だろうと思ったのです。」
どうも急いでいるらしく、玄関先で私を待っていると、ショコラが私を呼びに来た。
おそらく、シューク様の呪いの苦痛が発現したのだ。
私はマントを掴んで、フリュイ様のもとに走った。
前回と同じように、私はフリュイ様と一緒に馬車に乗る。
マントを着けて王宮に入ろうとしたら、フリュイ様が足を止めた。
「聖女様、シューク様は聖女様を呼ぶなと言われましたが、私はその命令に背きました。私には退勤命令が出ておりますので、一緒には行けません。どうか、おひとりでシューク様のお部屋に行ってください。どうか、どうかシューク様をよろしくお願いします。」
フリュイ様は、深く頭を下げてから立ち去った。
「シューク、入るぞ!」
まるで開けゴマの呪文のように声を張り上げて、私はシューク様の部屋の中に入り、中から鍵を閉めた。
静まり返った部屋の中には、シューク様の姿はない。
おそらく寝室にいるのだろう。
防音魔法が施された部屋で、今も苦しんでいるのかもしれない・・・。
マントを外し、寝室の中に入ったら、シューク様はベッドの端に腰を掛け、頭を抱えて必死に何かを我慢しているようであった。
「ううっ・・・」
堪え切れずに、漏れ出るうめき声が痛ましい。
私はシューク様の前に立った。
「シューク様、顔を上げてください。」
シューク様は、何故あなたが? とでも言いたげな目で私を見た。
顔色は悪く、冷汗まで流れている。
私が来るまでの間、ずっと苦痛を我慢していたのだろう。
私はシューク様の頬を両手で包んで顔を近づけた。
シューク様は、きょとんとした顔で目を見開いていたけれど、私はお構いなしに、唇を重ねた。
いつもだったら、シューク様が舌をねじ込んでくるけれど、今は私から・・・。
シューク様の唇を、舌でこじ開け忍ばせる。
シューク様の上あご、歯茎、頬へと舌で舐め回し口腔内を蹂躙して、私からシューク様の舌を誘う。
シューク様も私に応えて、舌を絡ませてきた。
ああ、私はやっぱりこのキスが好き。
シューク様のねっとりするような舌の動きに、私は翻弄される。
長い長いキスの後、銀色の糸を引いて唇が離れた。
私はこのキスの間、ずっと神聖力を流し続けたのだ。
「シューク様、苦痛はなくなりましたか?」
「あ、ああ、ありがとう。助かった。でも、何故あなたが・・・? いや、フリュイが呼びに行ったのだな。」
「フリュイ様を叱らないでください。彼はあなたのことを大切に思う忠臣ですわ。」
私は、失礼しますと、シューク様の隣に座った。
ベッドが私の重みでギシッとへこむ。
「シューク様、苦痛は収まったようですが、まだ呪いの文様は残っているのですね。」
「エクレーヌ、あなたには、それがわかるのだな。」
「はい。」
口づけで神聖力を流したけれど、私の身体は終わりを告げなかったから・・・。
「どうして苦痛を我慢してまで、私を呼びに行かせようとしなかったのですか?」
「それは・・・、あなたを困らせたくなかったから・・・言えば、きっとあなたは受け入れてくれるだろう。だからこそ、言えなかったのだ。」
「そう思うのは・・・、呪いの場所が問題なのですね。」
シューク様は驚いた顔で私を見た。
「見える文様はすべて消えました。だから残っているのなら、まだ隠されている場所だろうと思ったのです。」
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