【R-18】冬来たりなば春遠からじ外伝 〜朝まで愛して…愛したい!

ウリ坊

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そう簡単にはいかないか

 それからは実験実験の日々……
 まず映像石から魔法陣を描き写して、外に出て地面に描いて離れた場所にも同じように描いた。
 その上に物を置いて、禁書に書かれた魔法を唱えた。

空間移動ムーブザワールド

 わざわざ魔法の杖まで借りて、魔法陣に魔力を込めて発動させてるんだけど――

「ハァ……またダメか」

 何度も魔法陣を見直して、聖王様にも見てもらって、禁書も何度も見返したんだけど……ぜんっぜん、発動しない。
 試しに聖王様にもやってもらったのに、それでもダメだった。
 てことはたぶん、何かが間違ってるってことなんだよね。
 ただ、その何かがわからなくて、禁書とにらめっこしてる。
 ドラコニス大公国から離れて、もう一ヶ月が経とうとしてる。てことはアルファルドともう一ヶ月以上シテないってことなんだよ!?
 会えないことも、エッチできないことも、もう限界まできてる。私の欲求不満が最高潮まで達してて、焦りもあってかなりイライラしてきてた。

「くそッ……! 一体何が気に入らないんだよッ!」

「――シリウス公妃様、大丈夫ですの? 少しお休みになられたほうがよろしいのでは?」

 私が魔法陣に向かってぶつくさ文句言ってるのを見かねたのか、近くで控えてたカテリーナが心配そうに声をかけてきた。

「……いや。休んでる暇はない。一刻も早く完成させないとっ!」

 早く移動魔法習得して、アルファルドのとこに帰って、速攻で押し倒してめちゃくちゃに襲いたいもん!
 そのために休んでる暇なんてないんだよっ!

「す、すごい執念ですわ……! さすが公妃様! 世の中の皆さまのためにここまで全力で取り組むなんて、素晴らしすぎますわっ!!」

 私の鬼気迫る迫力に押されたのか、カテリーナも圧倒されてた。
 勘違いさせて悪いけど、今は自分の欲望のことしか考えてないから。  

「しかし、何が間違っているんでしょうか? もう一度最後の村まで見に行けばわかりますかね?」

 同じく控えてたハダルがポソッと呟いた。
 
「よしっ、それだ! ちょっと村まで行ってくるっ!」

「え……? 公妃殿下っ――!?」

 ハダルの話してたことなんて最後まで聞かずに、その場ですぐに跳躍した。
 身体強化でその辺の木々を蹴って、どんどん加速していく。
 やっぱり一人だと移動速度も速くて、数時間で最南端の村までやって来た。
 他の村人に見つかると厄介だから、こっそり石碑の前まで移動して上から眺めてる。
 補助魔法で落ち葉を退かして、改めて実物を観察した。
 うーん……、やっぱり、間違ってるとこなんてないと思うんだけど。
 そう思ってじっくり眺めてたら、あることに気づいた。

「――ん?」

 魔法陣の一部がまだ汚れてて、慌てて持ってたハンカチでその汚れを拭いた。
 そしたら、そこから別の模様が出てきた!

「これかっ……! ここが間違ってたから、今まで発動しなかったのか!」

 ようやく原因がわかって一人で喜んでた。
 改めてタイピン外して魔法陣を記録してる。
 
「だ、だれ……!? ――あっ、あなたは、シリウス、様?」

 そこにいたのはこの前助けた村の女の子だった。
 重症者だった子だったと思う。最後に治したから覚えてる。
 辺りに誰もいないことを確認して、ゆっくりその子の前まで歩いた。

「ここに俺が来てたこと、みんなには内緒にしてくれるかな? もう戻る予定なんだ」

 騒がれると面倒だから、女の子の前まで行って、人さし指を口元に当ててしゃがんで話した。
 そしたら女の子も口元を抑えて、慌てて辺りをキョロキョロ見回してから頷いてた。

「ありがとう。元気そうで良かったよ」

「もしかして……私のこと、覚えてるんですか?」

「あぁ、もちろん」

 私が答えたら、その子はびっくりしたのか目を大きく開いて驚いてた。

「あ、あの……! 私、魔法が、発現したんです! だから、もっと、大きくなって、いっぱい魔法覚えたら、シリウス様のところで、働いてもいいですか……?!」

「――っ!」

 まだ十歳くらいの子かな?
 両手を握りしめて、必死の形相で訴えてる。
 まさかこんなこと言われるなんて思わなかったなぁ。
 けど、気持ちは嬉しいよね。
 
「そうだな。君がもっと大きくなって、それでもまだ気持ちが変わらなかったら、その時はドラコニス大公国に来るといいよ」

 ニコリと笑ったら、女の子がパァーって明るい表情に変わって、ものすごく嬉しそうな笑顔になった。

「はいっ! 絶対、頑張りますっ! 私、ミルファって言います」

「そうか。じゃあ頑張れよ、ミルファ」

「は、はい!」

 立ち上がって頭を一撫でして、その場から思い切り跳躍した。
 
「――わッ!」
 
 原因がわかったから、ゆっくり話してられないんだ。
 アルファルド不足でおかしくなりそうだから!
 何度も跳躍を繰り返して、脇目も振らずに急いで城に戻った。


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