【R18】復讐を決意した傷もの令嬢は、魅惑の王弟殿下に甘く翻弄される 〜契約結婚の条件に夜伽が含まれていたなんて聞いてません!〜

ウリ坊

文字の大きさ
87 / 99

前途多難


 そのままライアーロードまでどうにか馬を走らせた。

 城に着くとすぐに自分の部屋へ行き、まとめてあった荷物を取り出した。

 自分の机の上には、この前摘んできたハレノニチ草が花瓶の中で花開いていた。

 花瓶を手に取ると、そっと持ち上げて匂いを嗅いだ。かすかな甘い香りが鼻をくすぐる。

 この花のおかげでイクシオンと共にいることができ、復讐を果たすこともできた。

(これは、このままでいいか。あの時はまだ蕾だったのに、もう花が咲いてる) 
  
 花瓶を机に戻すと、残したものがないか部屋を見渡した。
 半年間暮らしていた部屋に、自分の痕跡が残っていないかを確認する。

 確認を終えると、部屋の扉まで足を進めた。
 部屋を出る時はぐッと込み上げるものがあったが、振り返ることはせずにまた外へと向かった。

「オリビア様、また出かけられるのですか?」
 
 ここで声をかけたのは門兵のマルコスだった。
 戻ってすぐ城を出て行くオリビアに、外出するのか訪ねてきている。

「えぇ。しばらく、城を空けると思います」
 
「そうなのですか? ずいぶん急ですね。一体どちらまで?」

 つい先ほど帰って来たばかりのオリビアが、時間を置かずにまた馬に乗っていることに疑問を覚えたのだろう。
 不思議そうに聞いているマルコスに曖昧に答えていく。

「少し……遠出をするので」

「そうですか。では、どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」

 よく外出するオリビアを知っているからこそ、マルコスも疑問には思わないのだろう。
 ピシッとした姿勢で、笑顔で見送ってくれている。

「……はい。ありがとう、ございました」

 馬に乗ったままぼそっと呟くと、オリビアは手綱を握り締めて馬を走らせた。


 ◇◆◇

 
 しばらくして着いた場所はユニットを送り出したライアーロードから一番近い港だった。

(リュビーナ行きの定期船はたしか三日後だった。とりあえず近くに宿を取って、少し休みたい)

 念の為フードを被り、ガーゼの貼ってある顔を隠した。
 馬から降りると手綱を引いて宿屋までやってくる。
 ここは港町ということもあり、宿屋はたくさん建ち並んでいた。

「すみません。数日部屋をお借りしたいのですが。空いてますか?」

「あぁ、空いてるよ。前払いだけどいいかい?」

「わかりました。馬は小屋に繋いでいいですか?」

「そうしてくれ。干し草は別料金だよ」

「ではそちらも払っておきます」

 ひとまず三日分の宿賃と干し草代を払うと、二階の部屋へ案内された。
 部屋まで来ると鍵をかけ、荷物を床に置いて狭くて硬いベッドへ横たわった。

(疲れた……さすがに、抱かれたあとで動くのはしんどいな)

 ベットに体を沈めて瞳を閉じると、知らない間に眠りについていた。

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」 新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。 それもそのはず。 2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。 でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。 美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。 だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。 どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。 すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?  焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。