【R18】復讐を決意した傷もの令嬢は、魅惑の王弟殿下に甘く翻弄される 〜契約結婚の条件に夜伽が含まれていたなんて聞いてません!〜

ウリ坊

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前途多難

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 そのままライアーロードまでどうにか馬を走らせた。

 城に着くとすぐに自分の部屋へ行き、まとめてあった荷物を取り出した。

 自分の机の上には、この前摘んできたハレノニチ草が花瓶の中で花開いていた。

 花瓶を手に取ると、そっと持ち上げて匂いを嗅いだ。かすかな甘い香りが鼻をくすぐる。

 この花のおかげでイクシオンと共にいることができ、復讐を果たすこともできた。

(これは、このままでいいか。あの時はまだ蕾だったのに、もう花が咲いてる) 
  
 花瓶を机に戻すと、残したものがないか部屋を見渡した。
 半年間暮らしていた部屋に、自分の痕跡が残っていないかを確認する。

 確認を終えると、部屋の扉まで足を進めた。
 部屋を出る時はぐッと込み上げるものがあったが、振り返ることはせずにまた外へと向かった。

「オリビア様、また出かけられるのですか?」
 
 ここで声をかけたのは門兵のマルコスだった。
 戻ってすぐ城を出て行くオリビアに、外出するのか訪ねてきている。

「えぇ。しばらく、城を空けると思います」
 
「そうなのですか? ずいぶん急ですね。一体どちらまで?」

 つい先ほど帰って来たばかりのオリビアが、時間を置かずにまた馬に乗っていることに疑問を覚えたのだろう。
 不思議そうに聞いているマルコスに曖昧に答えていく。

「少し……遠出をするので」

「そうですか。では、どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」

 よく外出するオリビアを知っているからこそ、マルコスも疑問には思わないのだろう。
 ピシッとした姿勢で、笑顔で見送ってくれている。

「……はい。ありがとう、ございました」

 馬に乗ったままぼそっと呟くと、オリビアは手綱を握り締めて馬を走らせた。


 ◇◆◇

 
 しばらくして着いた場所はユニットを送り出したライアーロードから一番近い港だった。

(リュビーナ行きの定期船はたしか三日後だった。とりあえず近くに宿を取って、少し休みたい)

 念の為フードを被り、ガーゼの貼ってある顔を隠した。
 馬から降りると手綱を引いて宿屋までやってくる。
 ここは港町ということもあり、宿屋はたくさん建ち並んでいた。

「すみません。数日部屋をお借りしたいのですが。空いてますか?」

「あぁ、空いてるよ。前払いだけどいいかい?」

「わかりました。馬は小屋に繋いでいいですか?」

「そうしてくれ。干し草は別料金だよ」

「ではそちらも払っておきます」

 ひとまず三日分の宿賃と干し草代を払うと、二階の部屋へ案内された。
 部屋まで来ると鍵をかけ、荷物を床に置いて狭くて硬いベッドへ横たわった。

(疲れた……さすがに、抱かれたあとで動くのはしんどいな)

 ベットに体を沈めて瞳を閉じると、知らない間に眠りについていた。
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