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ジェイデン視点(皇帝との談笑)
「それで、ジェイ。お前の運命の伴侶にはいつ会わせてくれるんだ?」
ここは皇宮の最上階にある皇帝陛下の執務室。
「――私は会わせるとは、一言も申し上げておりませんが?」
「ほぉ……、出し惜しみでもしているのか。面白いな……」
「とんでもございません。陛下に貴重なお時間を取らせるわけにはまいりませんので」
「お前の伴侶に会うためならば、いくらでも時間を作るぞ」
「尊き御身を煩わすような真似は臣下としてできかねます」
「俺がいいと言っている」
「でしたらそのお時間を、ぜひ公務に割いていただけませんか? そうしましたら私が皇宮に泊まり込む必要もないのですが……」
「はははっ! それは無理な話だな!」
応接用の豪華なソファーに座りながら、ジェイデンと皇帝であるロウエンが雑談をしていた。
個人的な話のため、部屋には二人しかおらず、臣下も下がらせていた。
にこやかに話し合っているが、互いに腹の探り合いをしている。
ジェイデンとロウエンは従兄弟同士。
昔から知っている仲だった。
「私のことはお構いなく……」
「はぁ……、公務ばかりではつまらん。悪い噂しかなかったお前に、ようやく待望の春がやってきたのだ。私にも紹介くらいするのが礼儀だろう」
「彼女を怖がらせたくないので、もう少しお時間をいただきたい所存ですね」
「俺が取って食うわけでもあるまい」
「取って食えるのは私だけです」
「――っ。おぉ、怖い……お前が、そんな台詞を言うとはな」
七色の宝石眼を細め、にこりと余裕で笑うジェイデンを、ロウエンはさも楽しげに見ている。
「仕方ない……、俺は寛大だからな。少しだけなら待ってやるさ」
「えぇ。陛下の寛大なお気持ちに感謝いたします」
余裕な発言で足を組み直したジェイデンに、ロウエンは訝しげな眼差しを送る。
「おい、本当に少しだけだぞ!」
「えぇ、承知しております」
「しかしお前は幸運の持ち主だな。長い歴史のあるハミルトン大公家の中でも、運命の伴侶を見つけられた当主は数えるほどしかいない」
「仰る通りですね。その昔は“番”などと呼ばれておりましたが、先祖の中でも私は稀ですね。先代も先々代も、見つけることは叶いませんでしたから…」
応接用の硝子テーブルに置かれたカップを持ち、ジェイデンはお茶を一口優雅に飲む。
「うむ……。ますます会いたくなってきたぞ」
「ふふふっ。彼女はわりと警戒心が強いのです。いきなり陛下を紹介しては驚いてしまいますからね」
「俺が皇帝だと言わなければいいだろう?」
「それは無理なお話ですね。陛下のご尊顔を知らない貴族はおりません」
「くそっ……」
朗らかに話し合いは進んでいる。
ジェイデンはロウエンに余裕を見せながら、こう考えていた。
アリシアはまだ少し警戒しているが、抱かれているときには素直に感じていたし、自分との行為に満足しているのはずだ。
生まれ持っての高貴な血筋、誰もが羨む大公という高い地位、極めつけにジェイデンは女性を虜にできる優れた容姿をしている。
これまで女など望まなくとも勝手に寄ってきていたし、ジェイデンを拒む者など誰一人いなかった。
今はまだアリシアは抵抗があるだけで、そのうち他の女のように自分が欲しくなり、懇願するように寄ってくるのだろう、と。
すべては自分の思い通りに動いている。
歴代のハミルトン大公家において、運命の伴侶を見つけられた自分はとても幸運だった。
「仕事が一段落しましたら、改めて紹介いたしましょう」
「本当か? 俺を欺こうなどと考えるなよ」
「えぇ、もちろんです。そんな無礼なことなどいたしません」
硝子テーブルにカップを置き、両手を組んだジェイデンは、ロウエンに向かい余裕の笑みを浮かべていた。
ここは皇宮の最上階にある皇帝陛下の執務室。
「――私は会わせるとは、一言も申し上げておりませんが?」
「ほぉ……、出し惜しみでもしているのか。面白いな……」
「とんでもございません。陛下に貴重なお時間を取らせるわけにはまいりませんので」
「お前の伴侶に会うためならば、いくらでも時間を作るぞ」
「尊き御身を煩わすような真似は臣下としてできかねます」
「俺がいいと言っている」
「でしたらそのお時間を、ぜひ公務に割いていただけませんか? そうしましたら私が皇宮に泊まり込む必要もないのですが……」
「はははっ! それは無理な話だな!」
応接用の豪華なソファーに座りながら、ジェイデンと皇帝であるロウエンが雑談をしていた。
個人的な話のため、部屋には二人しかおらず、臣下も下がらせていた。
にこやかに話し合っているが、互いに腹の探り合いをしている。
ジェイデンとロウエンは従兄弟同士。
昔から知っている仲だった。
「私のことはお構いなく……」
「はぁ……、公務ばかりではつまらん。悪い噂しかなかったお前に、ようやく待望の春がやってきたのだ。私にも紹介くらいするのが礼儀だろう」
「彼女を怖がらせたくないので、もう少しお時間をいただきたい所存ですね」
「俺が取って食うわけでもあるまい」
「取って食えるのは私だけです」
「――っ。おぉ、怖い……お前が、そんな台詞を言うとはな」
七色の宝石眼を細め、にこりと余裕で笑うジェイデンを、ロウエンはさも楽しげに見ている。
「仕方ない……、俺は寛大だからな。少しだけなら待ってやるさ」
「えぇ。陛下の寛大なお気持ちに感謝いたします」
余裕な発言で足を組み直したジェイデンに、ロウエンは訝しげな眼差しを送る。
「おい、本当に少しだけだぞ!」
「えぇ、承知しております」
「しかしお前は幸運の持ち主だな。長い歴史のあるハミルトン大公家の中でも、運命の伴侶を見つけられた当主は数えるほどしかいない」
「仰る通りですね。その昔は“番”などと呼ばれておりましたが、先祖の中でも私は稀ですね。先代も先々代も、見つけることは叶いませんでしたから…」
応接用の硝子テーブルに置かれたカップを持ち、ジェイデンはお茶を一口優雅に飲む。
「うむ……。ますます会いたくなってきたぞ」
「ふふふっ。彼女はわりと警戒心が強いのです。いきなり陛下を紹介しては驚いてしまいますからね」
「俺が皇帝だと言わなければいいだろう?」
「それは無理なお話ですね。陛下のご尊顔を知らない貴族はおりません」
「くそっ……」
朗らかに話し合いは進んでいる。
ジェイデンはロウエンに余裕を見せながら、こう考えていた。
アリシアはまだ少し警戒しているが、抱かれているときには素直に感じていたし、自分との行為に満足しているのはずだ。
生まれ持っての高貴な血筋、誰もが羨む大公という高い地位、極めつけにジェイデンは女性を虜にできる優れた容姿をしている。
これまで女など望まなくとも勝手に寄ってきていたし、ジェイデンを拒む者など誰一人いなかった。
今はまだアリシアは抵抗があるだけで、そのうち他の女のように自分が欲しくなり、懇願するように寄ってくるのだろう、と。
すべては自分の思い通りに動いている。
歴代のハミルトン大公家において、運命の伴侶を見つけられた自分はとても幸運だった。
「仕事が一段落しましたら、改めて紹介いたしましょう」
「本当か? 俺を欺こうなどと考えるなよ」
「えぇ、もちろんです。そんな無礼なことなどいたしません」
硝子テーブルにカップを置き、両手を組んだジェイデンは、ロウエンに向かい余裕の笑みを浮かべていた。
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