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配送履歴#4 配達物『薬』
第25話 薬受け取りいざ試飲
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領主邸宅は広く、門には複数の門番が立っている。
用事がある場合は、門番に声をかけて中に取り次いでもらうのだ。
ユウヒは近くにいた門番に声をかけて用件を伝える。
「領主様にお届け物です」
「ご苦労、預かろう」
「すみません、領主様に直接渡す依頼なんです。これを領主様に渡してもらえますか?」
配達時に渡すように伝えられていた手紙を渡すユウヒ。
その手紙には、ユウヒの住む町を治める領主の家紋をかたどられた封がしてある。
門番はその家紋を見て重要性は感じ取った様子で応えた。
「わかった、ちょっとまってくれ」
「わかりました」
封された手紙をもって邸宅内に入っていく門番。
ユウヒがそれを見送っていると、先ほど声をかけてきた商人が目に入る。
商人は顔見知りの門番に話しかけた様子で、すぐに邸宅内に連れられて行った。
取り残されたユウヒが引き続きぼーっと待っていると、先ほど確認に行った門番が戻ってきた。
「隣街からの運び屋だな、中に入ってくれ。領主様がお会いするそうだ」
「わかりました」
邸宅内に入ると、そこで執事が迎えて執務室に案内される。
依頼主と届け先の領主邸宅は似た様な大きさ、作りで不思議と安心感をユウヒに与えていた。
執務室の前に着くと、ノック。
執事が入室を打診すると中から男の声で入室を促される。
「入れ」
「失礼します」
ユウヒが頭を下げつつ部屋に入ると、届け先と思われる領主が執務机に向かって座っていた。
引き締まった体つきに鋭い眼差しで、年齢以外の面では中年と呼ぶのは抵抗がある風貌の領主がユウヒに尋ねる。
「薬を持ってきた、とのことだが本当か?」
「はい、これです」
箱を差し出すユウヒ。
領主は慎重に箱を受け取ると、家紋でされた封を切って箱を開ける。
中には文書と小さな小箱が入っている。
文書を開いて読み進める領主は、次第に怪訝な表情となっていく。
しまいには、一人ぶつぶつとつぶやきだした。
「信じてよいものかどうか……長らく争っている敵を……」
「荷物問題なければ受け取りのサインいただますでしょうか」
荷物受け取って考え込む様子の領主に、ユウヒが受け取りのサインを要求する。
しかし、領主は気づかない様子で引き続きぶつぶつ言いながら考えに耽っていた。
「毒を盛るにしては律儀で悠長なやり方だ。そして今毒を盛る理由も見当たらん」
「あの」
「ということは本当に貸しを作りたい、そして手を組もうということか」
「えっと」
「それもありか。どの道今のままではあいつを治してやる見込みもない。この薬を試す価値はあるな」
「さいん……」
完全に一人思考の海に泳ぎに行ってしまった領主。
何とか戻ってきてサインをもらいたいユウヒ。
「サインおねがいします!」
「お、すまんな。意外な送り主だったので戸惑っていた」
思考の海から帰ってきた領主は、おもむろに立ち上がると、ユウヒについてくるように指示する。
「この薬を試してみたい。こちらにきてくれ」
「サインは」
「もしこれが悪意の品であれば受け取れないからな。こっちだ」
「わかりました……」
サインを受け取れずに項垂れるユウヒ。
ユウヒの両脇には衛兵が二人つき、挟み込んだ状態で別室へと案内される。
ドアをあけるとそこには領主夫人と思われる女性がベッドに臥せており、メイドが看病していた。
時折咳き込む仕草も見せる夫人に領主が声をかける。
「どうだ、調子は」
「ええ、なんとか」
領主と夫人が言葉を交わす。
衛兵にサンドイッチされたユウヒもその様子を見守る。
「隣街の領主がな、新しい薬をよこしてきた」
「隣街の?」
「ああ、長年の敵ではあるが、姑息な真似をしてくるような人間ではない。試してみようと思う」
「喜んで。ありがたいことですわね」
言うと、領主はユウヒから受け取った箱の中から薬を取り出してメイドに渡す。
「これを水に溶かしてくれ」
「かしこまりました」
メイドは薬を受け取ると、領主と夫人に背を向けて水差しがある机に向かう。
「これで少しは良くなるとよいのだがな」
「もしよくなれば隣街の領主様にも感謝させていただかないといけないですね」
「まったくだ。癪に障るがな」
「仲良くできるといいですわね」
領主と夫人は引き続き他愛ない会話をしている。
ユウヒをサンドイッチ中の衛兵は、変な動きをとらないようにロックしてユウヒを監視する。
その中でただ1人、自分の届けた薬が気になるユウヒだけはメイドの動きを目で追っていた。
コップに水をそそぐと、渡された薬を水にいれてかき混ぜて溶かすメイド。
そのまま夫人の元に持っていくかとユウヒが思っていると、メイドがためらうそぶりを見せる。
「?」
メイドは少し震える手で別の包みを懐から取り出した。
領主達に背を向けるメイドの横顔がこわばっているのがユウヒに見える。
メイドはわずかに震える手で包みをあけて、コップに中身をいれようとした。
「アリス!」
それを見たユウヒが叫んだ。
用事がある場合は、門番に声をかけて中に取り次いでもらうのだ。
ユウヒは近くにいた門番に声をかけて用件を伝える。
「領主様にお届け物です」
「ご苦労、預かろう」
「すみません、領主様に直接渡す依頼なんです。これを領主様に渡してもらえますか?」
配達時に渡すように伝えられていた手紙を渡すユウヒ。
その手紙には、ユウヒの住む町を治める領主の家紋をかたどられた封がしてある。
門番はその家紋を見て重要性は感じ取った様子で応えた。
「わかった、ちょっとまってくれ」
「わかりました」
封された手紙をもって邸宅内に入っていく門番。
ユウヒがそれを見送っていると、先ほど声をかけてきた商人が目に入る。
商人は顔見知りの門番に話しかけた様子で、すぐに邸宅内に連れられて行った。
取り残されたユウヒが引き続きぼーっと待っていると、先ほど確認に行った門番が戻ってきた。
「隣街からの運び屋だな、中に入ってくれ。領主様がお会いするそうだ」
「わかりました」
邸宅内に入ると、そこで執事が迎えて執務室に案内される。
依頼主と届け先の領主邸宅は似た様な大きさ、作りで不思議と安心感をユウヒに与えていた。
執務室の前に着くと、ノック。
執事が入室を打診すると中から男の声で入室を促される。
「入れ」
「失礼します」
ユウヒが頭を下げつつ部屋に入ると、届け先と思われる領主が執務机に向かって座っていた。
引き締まった体つきに鋭い眼差しで、年齢以外の面では中年と呼ぶのは抵抗がある風貌の領主がユウヒに尋ねる。
「薬を持ってきた、とのことだが本当か?」
「はい、これです」
箱を差し出すユウヒ。
領主は慎重に箱を受け取ると、家紋でされた封を切って箱を開ける。
中には文書と小さな小箱が入っている。
文書を開いて読み進める領主は、次第に怪訝な表情となっていく。
しまいには、一人ぶつぶつとつぶやきだした。
「信じてよいものかどうか……長らく争っている敵を……」
「荷物問題なければ受け取りのサインいただますでしょうか」
荷物受け取って考え込む様子の領主に、ユウヒが受け取りのサインを要求する。
しかし、領主は気づかない様子で引き続きぶつぶつ言いながら考えに耽っていた。
「毒を盛るにしては律儀で悠長なやり方だ。そして今毒を盛る理由も見当たらん」
「あの」
「ということは本当に貸しを作りたい、そして手を組もうということか」
「えっと」
「それもありか。どの道今のままではあいつを治してやる見込みもない。この薬を試す価値はあるな」
「さいん……」
完全に一人思考の海に泳ぎに行ってしまった領主。
何とか戻ってきてサインをもらいたいユウヒ。
「サインおねがいします!」
「お、すまんな。意外な送り主だったので戸惑っていた」
思考の海から帰ってきた領主は、おもむろに立ち上がると、ユウヒについてくるように指示する。
「この薬を試してみたい。こちらにきてくれ」
「サインは」
「もしこれが悪意の品であれば受け取れないからな。こっちだ」
「わかりました……」
サインを受け取れずに項垂れるユウヒ。
ユウヒの両脇には衛兵が二人つき、挟み込んだ状態で別室へと案内される。
ドアをあけるとそこには領主夫人と思われる女性がベッドに臥せており、メイドが看病していた。
時折咳き込む仕草も見せる夫人に領主が声をかける。
「どうだ、調子は」
「ええ、なんとか」
領主と夫人が言葉を交わす。
衛兵にサンドイッチされたユウヒもその様子を見守る。
「隣街の領主がな、新しい薬をよこしてきた」
「隣街の?」
「ああ、長年の敵ではあるが、姑息な真似をしてくるような人間ではない。試してみようと思う」
「喜んで。ありがたいことですわね」
言うと、領主はユウヒから受け取った箱の中から薬を取り出してメイドに渡す。
「これを水に溶かしてくれ」
「かしこまりました」
メイドは薬を受け取ると、領主と夫人に背を向けて水差しがある机に向かう。
「これで少しは良くなるとよいのだがな」
「もしよくなれば隣街の領主様にも感謝させていただかないといけないですね」
「まったくだ。癪に障るがな」
「仲良くできるといいですわね」
領主と夫人は引き続き他愛ない会話をしている。
ユウヒをサンドイッチ中の衛兵は、変な動きをとらないようにロックしてユウヒを監視する。
その中でただ1人、自分の届けた薬が気になるユウヒだけはメイドの動きを目で追っていた。
コップに水をそそぐと、渡された薬を水にいれてかき混ぜて溶かすメイド。
そのまま夫人の元に持っていくかとユウヒが思っていると、メイドがためらうそぶりを見せる。
「?」
メイドは少し震える手で別の包みを懐から取り出した。
領主達に背を向けるメイドの横顔がこわばっているのがユウヒに見える。
メイドはわずかに震える手で包みをあけて、コップに中身をいれようとした。
「アリス!」
それを見たユウヒが叫んだ。
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