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配送履歴#5 配達物『容疑者』
第35話 容疑者同士の再会
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「ヒポ、しゅっぱーつ」
ユウヒの掛け声に合わせて、カバが走り出す。
時速は先ほどと同じく時速三十km程度だ。
「こ、れは、なかなか、揺れるものだな」
馬に騎乗するよりもタイミングが不規則で、一回一回の揺れが激しい。
ユウヒが平然としているのは、乗っている回数が多くてカバ慣れしているだけである。
兵士も乗せてくれと言った手前とプライドで耐えているが、中々きつい。
「うーん、でも今日はマシなほうだよ?」
「あの、青年の、時はもっと、酷かった、のか?」
「あの時はもっと速く走ってたからねー」
「あー、なる、ほど」
ユウヒいわくのゆっくり速度で訓練を受けている自分でもこの有様なのだ。
年配の兵士は、もっと早い速度で走るカバに揺れに一般人にはさぞ辛かっただろうと同情した。
ある程度走ってくると、兵士も揺れるリズムに慣れてきて辺りを見渡せるくらいに落ち着きを取り戻す。
次々に後ろに流れていく風景を見ながら、兵士はユウヒに問いかける。
「運び屋、先日も我々の街に来たことがあるのだよな」
「うん、領主様にもあったよ」
「その時は同じように行ったのか?」
「ううん、森の中走ってた」
せっかく落ち着いたのに再び顔が引き攣る兵士。
整備された街道を走っていてこの有様である。
全く整備されていない森の中をより高速で走っているカバの上はまさに地獄絵図だ。
青年が必死に首を横に振った理由をようやく体感できたのと同時に、森林破壊の犯人は間違いなくこの少女であることを確信した瞬間でもあった。
「まあ、だとしてなんの罪になるのかはわからんのだがな」
ぽつりと呟く兵士。
森を壊してはいけません、などという法律があるわけでもない。
そのため、罪としては街を騒がせた、くらいなのだ。
年配の兵士には会話のやり取りでこの少女が悪意を持ってないことがわかったし、悪人でもなさそうだと感じている。
何か山賊の仲間でないことを証明できれば良いかな、と思い兵士はユウヒに尋ねる。
「ところで、山を抜けたときに山賊には遭遇しなかったのか?」
「ふぁい?」
兵士が考え事をしている最中に、しれっとサンドイッチタイムを再開していたユウヒ。
ごくんと飲み込んで聞き直した。
「はい、なんですか?」
「ああ、山を抜けたときに山賊には遭遇しなかったか?」
同じ質問を繰り返す兵士にユウヒはサラッと答えた。
「ゴブリンの集団と、山小屋に怪しい人がいるのは見たよ」
「なんだと?」
「多分、ゴブリン操ってたんじゃないかなあ。山小屋襲ってなかったし」
「領主様にそれを言ったか?」
「言ってないよ?」
「なぜ?」
「聞かれなかったから」
がっくりと肩を落とす兵士。
ユウヒは兵士に反応に気づいてないのか気にしていないのかスルーしていたが、ちょうど何かを見つけたようで声をかけた。
「あ、あそこだよ。前来たときにボクが通ってきたところ」
森の一角で不自然に木々が倒されており、山奥へと続いているのが見える。
木々が倒れているところにカバで二人が近づくと、木の影に隠れていた人が街道に出てきた。
轢かないようにカバを減速するユウヒ。
速度が落ちた様子を見て、その人物はユウヒに声をかけた。
「お嬢さん、困ると言ったんですがね」
「お仕事だからね」
「ん? 誰か後ろに人が乗っているのですかね」
年配の兵士は揺れる視界をなんとか収めてその人物を視認する。
「お前は、薬を納めていた商人じゃないか!」
「!? なんで、兵士がカバに乗っているんです? くっ」
そこにいた人物は、領主夫人に対して旧来の薬を納品し続け、新薬を飲ませないためにメイドに毒薬を渡した人物である。
領主の令によって指名手配されており、兵士からすると捕まえなければならない容疑者だ。
しかし、指名手配されている商人は舌打ちすると身を翻して森の中に去っていく。
兵士が追いかけるため、固定している紐を外そうとするとユウヒが声をかけた。
「うーんと、とりあえず配達続けてもいいかな?」
「いや、あいつは捕まえなければならんのだ」
当然の責務として捕縛に向かおうとする兵士。
ユウヒは淡々と運び屋としての責務を告げる。
「ボクは配達しないといけないんだ」
「……く、そうだな。山賊がいるところに1人でいくわけにもいかん。報告を優先しよう」
ユウヒを巻き込むわけにもいかず、また重要参考人を領主邸宅につれていくと言う任務もある。
追跡を断念する兵士の発言を聞いて、ユウヒはほっと胸を撫で下ろした。
「よかった、置いてっちゃおうかと思ったよ」
「置いていく?」
「だって、おじさんは配達物じゃないから、置いて行っても問題ないしね」
「それは、確かに。そうだな」
ユウヒの発言に、年配の兵士は苦笑を浮かべるしか無かった。
短く話がまとまると、ユウヒは停止していたカバを再スタート。
十分ほど走ったところで、ユウヒはカバを止める。
「あんまり街に近づくとまた怒られちゃうから、ここからは歩いていくよ」
「ああ、ここまでくれば問題ないな。ここからは私が護衛しよう」
「お、やった。お願いします」
さっと降りるユウヒと、なんとか降りた兵士。
多少ふらつきがあったものの、日頃の鍛錬の成果も出て五体満足でカバから降りる偉業を達成する。
ユウヒはカバを召喚解除すると、兵士に連れられてテクテクと街に向かうのであった。
ユウヒの掛け声に合わせて、カバが走り出す。
時速は先ほどと同じく時速三十km程度だ。
「こ、れは、なかなか、揺れるものだな」
馬に騎乗するよりもタイミングが不規則で、一回一回の揺れが激しい。
ユウヒが平然としているのは、乗っている回数が多くてカバ慣れしているだけである。
兵士も乗せてくれと言った手前とプライドで耐えているが、中々きつい。
「うーん、でも今日はマシなほうだよ?」
「あの、青年の、時はもっと、酷かった、のか?」
「あの時はもっと速く走ってたからねー」
「あー、なる、ほど」
ユウヒいわくのゆっくり速度で訓練を受けている自分でもこの有様なのだ。
年配の兵士は、もっと早い速度で走るカバに揺れに一般人にはさぞ辛かっただろうと同情した。
ある程度走ってくると、兵士も揺れるリズムに慣れてきて辺りを見渡せるくらいに落ち着きを取り戻す。
次々に後ろに流れていく風景を見ながら、兵士はユウヒに問いかける。
「運び屋、先日も我々の街に来たことがあるのだよな」
「うん、領主様にもあったよ」
「その時は同じように行ったのか?」
「ううん、森の中走ってた」
せっかく落ち着いたのに再び顔が引き攣る兵士。
整備された街道を走っていてこの有様である。
全く整備されていない森の中をより高速で走っているカバの上はまさに地獄絵図だ。
青年が必死に首を横に振った理由をようやく体感できたのと同時に、森林破壊の犯人は間違いなくこの少女であることを確信した瞬間でもあった。
「まあ、だとしてなんの罪になるのかはわからんのだがな」
ぽつりと呟く兵士。
森を壊してはいけません、などという法律があるわけでもない。
そのため、罪としては街を騒がせた、くらいなのだ。
年配の兵士には会話のやり取りでこの少女が悪意を持ってないことがわかったし、悪人でもなさそうだと感じている。
何か山賊の仲間でないことを証明できれば良いかな、と思い兵士はユウヒに尋ねる。
「ところで、山を抜けたときに山賊には遭遇しなかったのか?」
「ふぁい?」
兵士が考え事をしている最中に、しれっとサンドイッチタイムを再開していたユウヒ。
ごくんと飲み込んで聞き直した。
「はい、なんですか?」
「ああ、山を抜けたときに山賊には遭遇しなかったか?」
同じ質問を繰り返す兵士にユウヒはサラッと答えた。
「ゴブリンの集団と、山小屋に怪しい人がいるのは見たよ」
「なんだと?」
「多分、ゴブリン操ってたんじゃないかなあ。山小屋襲ってなかったし」
「領主様にそれを言ったか?」
「言ってないよ?」
「なぜ?」
「聞かれなかったから」
がっくりと肩を落とす兵士。
ユウヒは兵士に反応に気づいてないのか気にしていないのかスルーしていたが、ちょうど何かを見つけたようで声をかけた。
「あ、あそこだよ。前来たときにボクが通ってきたところ」
森の一角で不自然に木々が倒されており、山奥へと続いているのが見える。
木々が倒れているところにカバで二人が近づくと、木の影に隠れていた人が街道に出てきた。
轢かないようにカバを減速するユウヒ。
速度が落ちた様子を見て、その人物はユウヒに声をかけた。
「お嬢さん、困ると言ったんですがね」
「お仕事だからね」
「ん? 誰か後ろに人が乗っているのですかね」
年配の兵士は揺れる視界をなんとか収めてその人物を視認する。
「お前は、薬を納めていた商人じゃないか!」
「!? なんで、兵士がカバに乗っているんです? くっ」
そこにいた人物は、領主夫人に対して旧来の薬を納品し続け、新薬を飲ませないためにメイドに毒薬を渡した人物である。
領主の令によって指名手配されており、兵士からすると捕まえなければならない容疑者だ。
しかし、指名手配されている商人は舌打ちすると身を翻して森の中に去っていく。
兵士が追いかけるため、固定している紐を外そうとするとユウヒが声をかけた。
「うーんと、とりあえず配達続けてもいいかな?」
「いや、あいつは捕まえなければならんのだ」
当然の責務として捕縛に向かおうとする兵士。
ユウヒは淡々と運び屋としての責務を告げる。
「ボクは配達しないといけないんだ」
「……く、そうだな。山賊がいるところに1人でいくわけにもいかん。報告を優先しよう」
ユウヒを巻き込むわけにもいかず、また重要参考人を領主邸宅につれていくと言う任務もある。
追跡を断念する兵士の発言を聞いて、ユウヒはほっと胸を撫で下ろした。
「よかった、置いてっちゃおうかと思ったよ」
「置いていく?」
「だって、おじさんは配達物じゃないから、置いて行っても問題ないしね」
「それは、確かに。そうだな」
ユウヒの発言に、年配の兵士は苦笑を浮かべるしか無かった。
短く話がまとまると、ユウヒは停止していたカバを再スタート。
十分ほど走ったところで、ユウヒはカバを止める。
「あんまり街に近づくとまた怒られちゃうから、ここからは歩いていくよ」
「ああ、ここまでくれば問題ないな。ここからは私が護衛しよう」
「お、やった。お願いします」
さっと降りるユウヒと、なんとか降りた兵士。
多少ふらつきがあったものの、日頃の鍛錬の成果も出て五体満足でカバから降りる偉業を達成する。
ユウヒはカバを召喚解除すると、兵士に連れられてテクテクと街に向かうのであった。
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