48 / 58
配送履歴#6 配達物『兵隊』
第42話 包囲された山賊の悪あがき
しおりを挟む
山賊討伐に向かう兵隊達一行は、静かに山小屋に向かっていた。
とは言っても二十名を超える大人数の武装集団であり、完全に無音で迫ることはできない。
そのことは領主含めて理解しており、できるだけ悟られずに接近できれば御の字といった作戦である。
周囲に兵隊を展開して離れたところから包囲し、徐々に包囲の輪を縮める。
その時、突然山小屋の周りにいるゴブリンがぐぎゃぐぎゃと叫び出した。
そして、一匹、また一匹と同調するように叫び出し、段々とゴブリン達の声が大きくなっていった。
「気づかれたか」
隊長は呟くと、すぐさま兵士達に隠密行動をやめて堂々と進むように指示。
気づかれていなければ隠密行動には価値があるが、気づかれているのであれば逆に姿を見せて威圧した方がいいと言う判断で、事前の打ち合わせ通りの行動である。
兵士達は隠密行動をやめて、直線的に山小屋を目指して進んでいく。
その間にも、山小屋側から聞こえるぐぎゃぐぎゃという声は、一層大きくうるさくなってきている。
兵士達もそろそろゴブリンと接触するか、といったところで緊張が高まってきた時、唐突にゴブリン達の声が聞こえなくなった。
「一旦停止」
急に静まった森の中。
隊長は状況の変化に反応して、兵士達の前進を一旦止め、後にいるユウヒに声をかけた。
「ゴブリン達がどうなったかわかるか」
「デモン、どう?」
「ゴブリン、イナクナッタ」
「召喚解除したみたいだね」
「そうか、しかし、なぜ」
「うるさかったんじゃないかな」
襲撃を受けた側の心理としては、少しでも戦力を保持しておきたいはずだ。
戦闘のプロとして、うるさいという理由でゴブリン達を召喚解除するのは納得いかない隊長。
「何か、他に理由があるのでは」
「ゴブリンを呼んでたら他の子を呼べないからかな」
「何、それはどういうことだ?」
ユウヒの発言に隊長は確認する。
ユウヒは召喚士の立場から見解を述べた。
「召喚士は召喚する時に魔力を使うんだけど、あんまりいっぱい同時には喚べないんだ」
「他の召喚獣を呼ぶために解除したと言うことか」
「うん、そうかも」
真の理由はユウヒが最初に指摘した、山賊の頭が五月蝿かったという理由である。
しかし、こちらの理由の方が納得できるので食いつく隊長。
「ということは、まさか、ムーンウルフが出てくるということか」
「あ、なるほど。出てくるかも」
「それは、結構まずいんじゃないか」
「どうかなあ、大丈夫だと思うよ」
銀月狼を見たことがない隊長にとっては脅威がわからないが、巨大な狼という時点で厄介な相手であることは容易に想像できる。
そして、この召喚士がいう大丈夫が信用ならないということは、短い付き合いでも理解できている。
隊長は顔をしかめてユウヒに問いただす。
「なぜ大丈夫なのか教えてくれないか?」
「出てきても襲ってこないから、大丈夫」
「だからなぜ襲ってこないのかを知りたくてだな」
引き続き問いただそうとする隊長だが、兵士達の指示を仰ぐ声が遮った。
「隊長、急いだ方がいいのでは?」
「逃げられてしまうかもしれません」
「ぐ、すまん。前進する!ただし、慎重にいくぞ!」
「了解」
「了解」
事態は一刻を争う状況で、ユウヒとしゃべっている暇はないと判断。
不安は抱えたままの隊長は、慎重に前進するように兵士達に指示を出した。
隊長の不安に反し、特段なんの抵抗もなく山小屋を視認できる位置に到着した兵士達。
山小屋の外には数名の山賊が武器を構えているが、兵士達を見て怖気付いているように見える。
ゆっくりと包囲したところで、隊長が大声で山小屋に向かって呼びかけた。
「山賊共、お前らは完全に包囲されている!大人しく投降しろ!」
どうしたら良いか困惑する見張り達に対して、窓を開けた中から応答する指名手配中の薬商人。
「投降したところで、我々が助かる保証はないでしょう! 抵抗させていただきますよ!」
「警告は無駄のようだな。全員、かかれ!」
隊長の号令に従って、兵士達が山小屋に殺到しようとしたその時。
梟がユウヒに向かって警告を発した。
「マリョクデカイ、ナニカイル」
「ん、どこ?」
「コヤノ、シタ」
「下?」
ユウヒが首を傾げる。
同時に、山小屋のすぐ隣の地面が爆発音と共に噴き上がった。
とは言っても二十名を超える大人数の武装集団であり、完全に無音で迫ることはできない。
そのことは領主含めて理解しており、できるだけ悟られずに接近できれば御の字といった作戦である。
周囲に兵隊を展開して離れたところから包囲し、徐々に包囲の輪を縮める。
その時、突然山小屋の周りにいるゴブリンがぐぎゃぐぎゃと叫び出した。
そして、一匹、また一匹と同調するように叫び出し、段々とゴブリン達の声が大きくなっていった。
「気づかれたか」
隊長は呟くと、すぐさま兵士達に隠密行動をやめて堂々と進むように指示。
気づかれていなければ隠密行動には価値があるが、気づかれているのであれば逆に姿を見せて威圧した方がいいと言う判断で、事前の打ち合わせ通りの行動である。
兵士達は隠密行動をやめて、直線的に山小屋を目指して進んでいく。
その間にも、山小屋側から聞こえるぐぎゃぐぎゃという声は、一層大きくうるさくなってきている。
兵士達もそろそろゴブリンと接触するか、といったところで緊張が高まってきた時、唐突にゴブリン達の声が聞こえなくなった。
「一旦停止」
急に静まった森の中。
隊長は状況の変化に反応して、兵士達の前進を一旦止め、後にいるユウヒに声をかけた。
「ゴブリン達がどうなったかわかるか」
「デモン、どう?」
「ゴブリン、イナクナッタ」
「召喚解除したみたいだね」
「そうか、しかし、なぜ」
「うるさかったんじゃないかな」
襲撃を受けた側の心理としては、少しでも戦力を保持しておきたいはずだ。
戦闘のプロとして、うるさいという理由でゴブリン達を召喚解除するのは納得いかない隊長。
「何か、他に理由があるのでは」
「ゴブリンを呼んでたら他の子を呼べないからかな」
「何、それはどういうことだ?」
ユウヒの発言に隊長は確認する。
ユウヒは召喚士の立場から見解を述べた。
「召喚士は召喚する時に魔力を使うんだけど、あんまりいっぱい同時には喚べないんだ」
「他の召喚獣を呼ぶために解除したと言うことか」
「うん、そうかも」
真の理由はユウヒが最初に指摘した、山賊の頭が五月蝿かったという理由である。
しかし、こちらの理由の方が納得できるので食いつく隊長。
「ということは、まさか、ムーンウルフが出てくるということか」
「あ、なるほど。出てくるかも」
「それは、結構まずいんじゃないか」
「どうかなあ、大丈夫だと思うよ」
銀月狼を見たことがない隊長にとっては脅威がわからないが、巨大な狼という時点で厄介な相手であることは容易に想像できる。
そして、この召喚士がいう大丈夫が信用ならないということは、短い付き合いでも理解できている。
隊長は顔をしかめてユウヒに問いただす。
「なぜ大丈夫なのか教えてくれないか?」
「出てきても襲ってこないから、大丈夫」
「だからなぜ襲ってこないのかを知りたくてだな」
引き続き問いただそうとする隊長だが、兵士達の指示を仰ぐ声が遮った。
「隊長、急いだ方がいいのでは?」
「逃げられてしまうかもしれません」
「ぐ、すまん。前進する!ただし、慎重にいくぞ!」
「了解」
「了解」
事態は一刻を争う状況で、ユウヒとしゃべっている暇はないと判断。
不安は抱えたままの隊長は、慎重に前進するように兵士達に指示を出した。
隊長の不安に反し、特段なんの抵抗もなく山小屋を視認できる位置に到着した兵士達。
山小屋の外には数名の山賊が武器を構えているが、兵士達を見て怖気付いているように見える。
ゆっくりと包囲したところで、隊長が大声で山小屋に向かって呼びかけた。
「山賊共、お前らは完全に包囲されている!大人しく投降しろ!」
どうしたら良いか困惑する見張り達に対して、窓を開けた中から応答する指名手配中の薬商人。
「投降したところで、我々が助かる保証はないでしょう! 抵抗させていただきますよ!」
「警告は無駄のようだな。全員、かかれ!」
隊長の号令に従って、兵士達が山小屋に殺到しようとしたその時。
梟がユウヒに向かって警告を発した。
「マリョクデカイ、ナニカイル」
「ん、どこ?」
「コヤノ、シタ」
「下?」
ユウヒが首を傾げる。
同時に、山小屋のすぐ隣の地面が爆発音と共に噴き上がった。
76
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。
まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」
ええよく言われますわ…。
でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。
この国では、13歳になると学校へ入学する。
そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。
☆この国での世界観です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─
石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」
貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。
「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」
かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。
ときどき舞い込んでくるトラブル。
慌ててミーナを探しているルカ。
果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。
甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。
*サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる