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第一章:JKのドラゴン生活
第一話:JKは転生したらドラゴンになっていた件
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それからどのくらい時間が経っただろう。目を覚ますと中は真っ暗で、まるで硬い物の中に閉じ込められてるような感覚があった。狭いし動きづらいから、この硬い入れ物を破って出ようとしていた。バキバキと音を鳴らしながら、穴が開いて光が差し込んだ。眩い光に目が慣れて周りが見えてきた。だが上を見上げるとそこには信じられないものが映っていた。
ど・・・・ドラゴン!?私は2頭のドラゴンと遭遇してしまったのだ。って何でドラゴンが!?もしかして私異世界に飛ばされた!?いや死んでるから異世界転生!?てか何でそんな事に!?しかもドラゴンに囲まれてるとか死亡フラグなんだけど!?だがドラゴンは襲ってくる気配がない。それどころか私の顔を見て真っ青になっていた?
「なっ・・・・なんだこの醜い生き物はァァァァ!!」
「いやァァァァ!!何でこんな事に!!」
何だろ?人間を見るのは初めてなのかな?二人とも慌てふためいてるけど?
「体が黒い。何と不吉な事か!」
え?私の体黒いの!?てか黒猫見た時の反応されても困るんだけど!?
「貴方!直ぐに捨てましょう!!」
「そうだな!産まれなかった事にしよう!!」
は?何言ってんだ!?いきなり育児放棄!?すると一頭のドラゴンが私を持って飛び出した。あっ!これ本気で捨てに行くつもりだ!空から周りを見るとそこは火山の吹き荒れる場所だった。通りで暑い訳だよ。火山地帯から更に谷を超えて、森が広がる大森林にまで来てしまった。今は夜なのか外は暗くなっていた。途中で湖を見つけたのか、その近くに私を下ろした。
「悪く思うな。黒い龍など我が一族の恥なのだ。産まれた自分の不幸を呪うのだな。」
そう言ってドラゴンは去ってしまった。え?何?私ドラゴンなの!?てかあの二頭のドラゴンって私のパパンとママン!?しかも産まれて直ぐに捨てられた!?何がどうなってるんだぁぁぁ!!
一通り騒いだ後、落ち着きを取り戻した私は、湖で自分の姿を確認した。やっぱり黒いドラゴンだった。このまま進化したらアジダハーカとかになりそう。それは嫌だな。
すると突然目の前にステータス画面らしき映像が映し出された。そこは異世界っぽいんだよな。とりあえず確認するか。
個体名
『ベビードラゴンLv.1』
属性
『火』
種族
『ドラゴン』
固有スキル
『翻訳』
スキル:無し
魔法:無し
武技:無し
レベル1で固有スキルが『翻訳』ってショボ!?何かチートスキル無いわけ!?大賢者とか千里眼とか!!それが無いならとんだ糞ゲーだわ!!てか翻訳ってあれだろ!この世界の言葉訳してくれるんだろ!それが固有スキルってどんなんだよ!!通常攻撃しか出来ない状態でモンスターに遭遇したらヤバい。そんなフラグを立てながら後ろを振り返ると、見事にモンスターらしき化け物が今にも襲いかかって来そうな態勢でいた。オオカミの姿をした黒い靄みたいなものだった。
「ヤバ!?」
そしていきなり襲いかかって来た。向こうは私を殺気でいるらしい。けど私だってそう簡単に殺られる訳にはいかない!!私も黒いオオカミのモンスターと交戦した。かろうじて交わしながら、やれツメで引っ掻いたり、殴ったり、噛み付いたり、更には頭突きまでお見舞いした。時間は過ぎていき、倒した頃にはいつの間にか夜が明けていた。
「勝った。異世界転生して初の勝利だ。」
初勝利の歓喜に沸いてると、ステータス画面が再び表示された。どうやらレベルが上がった様だ。
[ベビードラゴンがLv.16になりました。]
って!?それだけ!?何か覚えろよ!!レベルとステータスが上がっただけで終わりかよ!!でもレベルがこれだけ上がるから、あのオオカミって相当強いモンスターだったんだな。
さて、これからどうしますかな。とりあえず朝御飯を探しに、私は森を散策する事にした。見渡す限り木々ばっかりで、モンスターはおろか人の気配すら感じない。おかしい。何かしらイベントが発生してもいい頃だけど?私は森を進むが、木の実を見つけてよじ登って取って食べるだけで、それ以外は何も無い。でも動物や虫もいないってのはおかしいな?何かしらイベントが起きてくれないと困るのだが?
「ん?煙?」
向こうで煙が上がっているのが見えた。騒いでいる声?いや悲鳴か!誰かが助けを呼んでいる!!此処が何処でどうなってるか何も知らん!!これが夢か現か何もわからん!!だったら私は!突っ走る事しかしらん!!
と面白半分でその小さな足で全力ダッシュしたはいいものの、着いた先は戦場で、甲冑を着けた兵士達が弓を持ったエルフ達と交戦状態だった。ただ何か様子がおかしい。エルフ側が一方的にやられている。しかも、武器を持たない女性や子供まで追いかけ回されている。これじゃ戦争じゃなくて殲滅じゃないか!!
でも助けに行きたくても私はまだ弱いし、かと言ってこのままじゃエルフがやられちゃうし、どうしたらいいんだ!
「エルフ共を皆殺しにしろ!生きて返すな!!」
すると兵士達は、あるエルフの姉妹達に目を付け、斬りかかろうとしていた。間に合ってくれ!!
「イリヤ!逃げて!!」
「お姉ちゃん!!」
兵士が剣を振り下ろそうとした時だった。私は間一髪で背後から兵士の首にかぶり付いた。英雄は未熟な頃からある逸話を残している。「考えるより先に体が動いていた。」的な感じで私はいつの間にか飛び出していたのだ!兵士はふらつきながらも、噛み付いている私を振り落とそうとしていたが、私は体を回転させて兵士の首を引きちぎろうとした。そして首をへし折りそのまま引きちぎった。
「もう大丈夫!私が来たぁ!!」
と姉妹は唖然としていたけど、私は二人の前で笑顔で格好つけて登場した。そんな時、ステータス画面が表示された。レベルが上がった様だった。
[ベビードラゴンがLv.20になりました。]
[武技『引っ掻くLv.1』『噛み付くLv.1』『頭突きLv.1』の獲得に成功しました。]
って技覚えてくれるのは有難いけどショボッ!!けどそんな贅沢言ってられない!兵士達に向かって武技!引っ掻く!!
「ぐはぁ!?」
え?あっさり首落としちゃったけど!?弱!?引っ掻いただけで首引き裂けるの!?この兵士達弱!!だが驚いている暇も無かった。兵士の数人があの姉妹に迫っていた。彼女達は動けない状態、なんとかしなきゃと辺りを見渡したら、倒れているエルフの持っていた弓と矢を拝借して姉妹の所に向かい、兵士達を引っ掻き倒しながら持っていってあげた。悪いけど、自分の身は自分で守ってもらうよ!
「これ使って!」
「無理です!私弓はやった事が無くて!」
「大丈夫!貴女なら出来るよ!無理なら良いおまじないを教えてあげる!」
と私は彼女の耳元であるセリフを教えてあげた。これで私も兵士に集中できる!と言ってる側から早速おいでなすった!!
「私とイリヤの絆は!誰にも引き裂けない!!ステラァァァァ!!」
彼女の放った弓は見事に命中した。私の教えたおまじないが効いた様だ。まあ漫画やゲームのセリフだけどね。撃った本人が一番驚いていた。本当に初めてだったんだな。
「ドラゴン?まだ赤ん坊では無いか!こんなのにいつまで手こずってる気だ!!」
あれってもしかして隊長か?ならチャンスだ。指揮官を叩けば兵士は撤退するはず!ならば行動あるのみだ!!
「おい!お前大将だな?大将首だろ!首置いてけ!!」
「喋っただと!?しかしこの首!早々貴様にくれてやるか!!」
「ならお前の首はいらん!!命だけ置いてけ!!」
「何だこいつ・・・・言ってる事めちゃくちゃだぞ。」
すかさず隊長の首にかぶり付きさっきの兵隊みたいに体を回転させて噛みちぎった。落ちた生首を見た他の兵士達の顔は青ざめ、退却を余儀なくせざる終えなかった。
「に・・・・逃げろぉぉぉ!!」
「化け物だぁぁぁ!!」
兵士達が全員逃げて行ったのを見てこれでひと段落かと思いきやその爪痕は悲惨だった。兵士達の死体よりもエルフの死体が、特に女性や子供ばかりだった。さっきの姉妹達は尻餅をついたままその光景に怯えていた。
「お姉ちゃん・・・・もうやだよ。」
特に妹の方ははだいぶ怯えきっていた。無理も無い。同族の死体の山などただの地獄絵図だ。目を背けたくなるのもわかる。ドラゴンになった私にはただ寄り添う事しかなかった。
「貴女は?」
「ただのベビードラゴンだよ。たまたま此処に立ち寄ったら、こんな事になってたからさ。見て見ぬ振り出来なかった。」
「ありがとう。私はサーヤ。こっちは妹のイリヤ。」
お姉ちゃんがサーヤで、妹はイリヤって言うのか。エルフにもちゃんとした名前があるんだな。私なんて産まれて直ぐに捨てられたからな。名前なんてつけられて無いし、別にいいかなっと思っていた。
「貴女一人なの?行く所が無いなら私達の所に来る!」
サーヤからの誘いに私は了承した。エルフ達の集落に行けば今置かれている状況がわかるかもしれないし、この世界の情勢がどうなっているか知る必要がある。今は情報を集めるべきだ。
私はサーヤに案内されながら?と言うよりイリヤに抱かれたまま村に向かったのだ。私の大きさって人形ぐらいだからな。子犬を抱いている様な感じだ。
途中で色々聞かされた。先ずは姉妹の歳だが、100歳と80歳だそうだ。人間の歳で考えたら10歳と8歳って事になる。エルフは長命と言う話は聞いていたが、人間の10倍は長生きするそうだ。
それと、この森についてだが正式な名前がある。なんでも『アタランテの森』と呼ばれているそうだ。此処には昔、エルフだけではなく、ダークエルフやドワーフ、オーク何かも住んでいたそうだが、今ではその人口も減って来ていると言う話だ。
ドワーフは先程の兵士達とはまた別部隊が奴隷として鉱山で働かされていると言うし、オークは森林の減少で森を出て今は隣の魔族領にいるらしいが、魔族領も貧困の格差でかなり苦しいらしい。
そしてこの森に残っているのは、エルフとダークエルフ、そして『アタランテの森』を守るドライアドだけだそうだ。こりゃ、此処だけじゃなくて魔族領も似た様な感じだろうな。もう人間側の独裁支配が酷い感じで見えている。
色々聞き終えた時には集落らしきものが見えた。サーヤによると、そこがエルフ達の住む村らしい。そこには、戦の準備をしようとしてたのか、装備を整えた村人達が集まっていた。騒ぎを聞きつけて出陣の準備をしていた様だ。向こうも私達に気付いたのか、大慌てで駆け寄ってきた。
「サーヤ!イリヤ!」
最初に駆けつけたのは、中年男性のエルフだった。父親なのか娘を心配する様に抱きついていた。
「村長!!」
ってお父さんじゃないんかい!!アタシは変な感動の再会を想像してしまったぞ!?
「他の者達は。」
「兵士達に殺されました。クロムもスズカお姉ちゃんもリック叔父さんもみんなみんな死んでしまったの。」
エルフの中で助かったのは、サーヤとイリヤだけで、私が駆けつけ守れたのもこの二人だけだった。そうか。死んだ人達の中にはこの子達の知り合いも入っていたんだ。
「イリヤ?その黒い生き物は何だ?」
「この子が助けてくれたの!ドラゴンなんだって!」
「ドラゴン!?黒いドラゴンだと!?」
やっぱり黒いドラゴンってこっちじゃ珍しいのかな?それとも曰く付き?やだよしてよ!私ただの可愛らしい爬虫類なのよ!
「もしや『ランドロス帝国』のドラゴンでは無いか。だが何故こんな森に。」
ランドロス?それって私が産まれた故郷なのかな?何か周りを見渡すと皆んな不穏な顔で見ているな。
「とりあえず家に入ってなさい。話はそれからだ。」
そう言われて二人はエルフの住まいに向かった。村長さんとそれ以外の人達は、亡くなった遺体を回収にし向かったそうだ。戦争跡って皆んなこうなのかな。
「サーヤ!イリヤ!」
すると一人の女の子が私達の所にやって来た。周りのエルフと違ってやけに肌黒いな。あの子ダークエルフか!!
「スレイン!」
「よかった!サーヤとイリヤも人間に殺されたんじゃないかってヒヤヒヤしたよ!てかなんだそのぬいぐるみ?」
失礼だな!!立派なドラゴンだよ!!まだ赤ちゃんだけど!!
「この子が私達を助けてくれたんだよ!」
スレインはマジマジと私を見ていた。どうも黒いドラゴンが珍しいのか不思議な顔をしていた。そういや私さっきから何も喋ってないな。自己紹介するか。
「やあ!私ベビードラゴン!!」
「うお!?赤ん坊なのに喋ってる!?」
ナイスリアクションありがとうございます!!それからスレインとも仲良くなって、更に詳しい話を聞いていた。
『アタランテの森』は徐々に森林伐採が進んでいるらしい。原因は人間の国家『ブリタニア共和国』が、領土を広げようとしているからだ。奴等は明け渡しを要求しているが、この森にそんな余裕はない。村長達は断固拒否していたが、ブリタニア軍の拠点にしている居城がある。奴等はそこからやって来てエルフ達に一方的に要求を突き付けるだけだった。断り続けたエルフ達に痺れを切らしたのか、彼等は武力行使に出てエルフ達を蹂躙して来たのだ。何万といたエルフの人口は僅か100未満だそうだ。ほぼ絶滅危惧種じゃないか!!
サーヤとイリヤの両親も戦いに巻き込まれて既に他界していて、今はドライアドが面倒を見ているが、基本は自分達で自給自足の生活を送っているらしい。スレイン達ダークエルフも、親を殺されて今は生き残ったダークエルフと共に生活していた。だが、まともに食事が出来ない状態だった様だ。
「失礼するわ。」
すると一人の女性が入って来た。緑の髪に黄緑色のドレス・・・もしかしてドライアドか!?
「よかった。二人共無事だったのね。」
「ナターシャさん!」
どうやらナターシャさんと言うらしい。すると彼女は私の方を見て何やら顔を曇らせていた。
「そのドラゴンは?」
「この子が助けてくれたの!!」
「この子が?でもまだ子供でしょ?とても戦える様には見えないわ。」
え?そうなの?そりゃ産まれたばかりの赤ん坊が戦うなんて普通に考えたら無理だもんな。
「でもありがとう。貴女のお陰で二人が無事だったわ。」
「いえいえどう致しまして。」
「ッ!?」
あれ?ナターシャさんの表情がいきなり険しくなったぞ?普通に返事しちゃったけど・・・・これやっちゃったパターンか!?
「ちょっとごめんなさい!」
私に近づいたナターシャさんはいきなり目を光らせて私を観察する様に見回していた。あっ!これ魔眼か千里眼でステータス見られてるな!キャーやめて!プライバシーの侵害よ!
「驚いたわ。もうここまでレベルをあげていたなんて。」
「そんなに珍しいの?」
「当たり前よ。本来なら物心が付いてからレベルを上げるものなのよ。いきなり戦闘に駆り出すなんて無謀過ぎるわ。」
ですよね。産まれたばかりの赤ん坊にいきなり喋って歩くなんて無いもんね。
「それにしても黒いドラゴン・・・まさかね。」
おや?何か隠したぞ。まさか黒いドラゴンに逸話がある話じゃないだろうね?アタシは曰く付きの物件じゃないんだよ!!
「あの、黒いドラゴンに何か良くない噂でも。」
「そうね。貴女には話した方が良さそうね。これは大昔から伝わる話よ。今から5000年前、貴女と同じように黒いドラゴンがいて、この地を支配していた時代があったの。」
今から5000年前、この大陸はある黒いドラゴンが支配していた。そのドラゴンの名は『第六天魔竜王アジダハーカ』と言う。ん?何その織田信長みたいな異名は?アジダハーカってそんな風に呼ばれてたっけ?まあそれはさて置いて、そのドラゴンが君臨していたのか、今とは真逆で魔族が支配していたとされる。
これを重く見た人間達は、ある禁断魔法を使って異世界転生召喚を行った。その召喚された人物は『アルトリア・ペンドラゴン』と名乗り、後の勇者王としてこの大陸に希望と平和の象徴として君臨するのだった。てかアルトリアってアーサー王だよね!?絶対アーサー王だよね!?まさか異世界転生してたの!?異世界でも英雄として語り継がれているんかい!!
彼はその後人間達の国を建国した。それが今のブリタニアである。だが建国後彼は姿を消し、彼の行方を知るものは誰もいない。ただ彼は去り際に「私は英雄でもなければ救世主でも無い。ただの罪人だ。」と言い残している。最後のは謎めいたままでいなくなってるけど、もしかしてどこがで今でも生きてるとか?そんなわけないか!5000年前の話だし・・・・・いや不老不死のスキルさえあれば問題ないか。ナターシャさんから語られた物語はこれでおしまいだ。
いろいろツッコミたい事は山ほどあるけど、何故ナターシャさんからこの話をされたかと言うと、私がアジダハーカの様な道を歩むんじゃ無いかと心配していると言うより警戒されているのだ。でもそれ偏見だよね!!私なんの理由も無く異世界に飛ばされたんだよ!?しかも産まれて直ぐに捨てられるから訳わかんないし!!しかも原因が信長みたいな異名持った邪竜と疑ってるし!全くとんだとばっちりだよ!!
「これはナターシャ様もお出でにになられてましたか。」
「ブルド。」
さっきの村長さんが戻って来たようだ。名前は『ブルド』と言うらしい。どうやらエルフ達の遺体を回収終えて戻って来たようだ。これから墓地に埋葬すべく、私達は一旦お墓がある所に向かった。そこには横たわったエルフの遺体が並んでいた。何ともまあ見るに耐えぬ光景だった。イリヤが男の子の遺体に駆け寄り大泣きしていた。彼女だけではなく、他の遺族や友人も悲しみに暮れながら、埋葬を行い黙祷を捧げた。しばらく悲しみに暮れた後、私達は再びあの家に戻り、ブルドさんも一緒になってこの世界の現状を説明してくれた。
「そうか。この世界に伝わる伝承まで説明したか。」
「はい。」
「なら自分の産まれた国はわかるかな。」
「いいえ。産まれて直ぐに捨てられましたから。」
「わかった。なら説明しよう。」
私が産まれた国『ランドロス帝国』は、遥か昔から住むドラゴンの国である。ワイバーンやリザードマン、ドラゴニュートなど、様々な種族のドラゴン族が暮らしている。因みにここに住むドラゴン達もエルフと同じくらい長生きである。それ等を統括しているのが、『炎竜王バハムート』である。
その『ランドロス帝国』は巨大な火山を中心に周りが谷になっている地形で、通称『ランドロス火山』と呼ばれている。マグマになっている火山地帯は、炎のドラゴンにとっては住みやすい環境な為子育てに最適な場所になっている。更に『ランドロス帝国』の地下は洞窟になっている。『ランドロス洞窟』と呼ばれているそうだ、。
そんなドラゴンの大帝国に産まれた私が何故捨てられたのか。原因はアジダハーカの伝説と言う名の悪評だろう。黒いドラゴンの話を聞けば誰もがその噂に怯え、更には世界を敵に回すかもしれないのだ。だが隠して育てればいいと思うし、同じ歴史が起こらないよう教育すればいいだけの話だ。捨てる必要なんかあったのか?いくら赤ん坊でもドラゴンだぞ?他のモンスターやさっきの人間に殺して貰えば済む話だと思ったのかな?いや無理だろ?現に私今も生き延びてるもん。野放しにする方がまずいんじゃ無いかな?そんな疑問を解決してくれる話をブルドさんはしてくれた。
どうやら『ランドロス帝国』と『ブリタニア共和国』は伝承からの古い付き合いで、アーサーと共に戦ったドラゴン達の末裔だったのだ。つまりブリタニアと同盟関係なのだ。そりゃそんな国が世界の元凶を生み出したとあれば自分達も抹消されるターゲットになってもおかしくありませんからな。何でパパンとママンが青ざめた顔をしていたのかようやく理解出来たよ。
これでこの話はお終いのようだ。概ねの状況は理解できた。エルフ達を含め、多くの種族が人間共の身勝手な圧政で苦しめられている事、過去の伝承が私の存在をより世界に脅威を与えている事。けどそんな事知った事か!人間達が好き勝手やるなら、私等も全力で抵抗してやる!!風評被害なんざ私が跳ね除けてやる!!私はこの世界に来て夢が叶った異世界物語!!その冒険が始まるのダァ!!
「一つ聞いてもいいかしら。」
ナターシャさんは真剣な表情で私に聞いて来た。何?今度は私について?そんな語れる話ないよ?
「さっき千里眼で貴女のステータスを拝見させて貰ったわ。これと言った特別な力は持っていなかった。」
そりゃ今日からレベル上げ始めたばかりですからな。しょぼい技しかありませんよ。だから、アンタが警戒するような事でもないんだって!
「固有スキルは『翻訳』と呼ばれるものだけ。見た事ないスキルだけど問題はそこじゃないの。」
「何が知りたいのでしょう。」
え?何?ナターシャさん何か怖い。何を探ってるの!?
「さっきのレベルの話もそうだけど、ドラゴンに限らず全ての生き物は赤ん坊の頃から知的に言葉を発する事はまず無いの。」
ん?私が転生してどれくらいたった?よし!これまでの経緯を振り返ってみよう!
先ず、産まれて直ぐパパンドラゴンに捨てられて、突如出会した狼のモンスターと一晩「あは~ん♡いや~ん♡ばか~ん♡」して私が勝って、その後森を「歩こう♪歩こう♪私は元気♪」と進んだら、目の前に「ハハハ!!我が世の春が来たぁ!!」とブリタニアの兵士が調子こいてエルフを皆殺しに掛かろうとしたので、イラッとした私は「調子乗んなぁぁぁ!!」って言いながら兵士に「SMASH!!」を打ちかまし、エルフの姉妹も「ゲートオブバビロン!!」などなど色んな矢を放ちまくり、負けじと私も「ドラゴンの呼吸一ノ型 噛み付く。」をお見舞いして勝利し、家に着くなり「ドライアドの部屋」状態で今に至る。これまでの間に起きた出来事を計算し「私の脳内CPUが弾き出した時間は・・・・一日!!」うん!赤ん坊が喋るなんて絶対無理だ!!
ってこれやっちゃったぁぁぁ!!ナターシャさんに感づかれた以上異世界転生した事話さなきゃいけないじゃない!!てか話した所で信じてもらえるの!?かと言って向こうの世界で「いじめられて死にました。」なんてそんな恥ずかしい事言えないし!!
「答えて。貴女何者なの。」
はぁ・・・・アンタの様な勘のいいおばさんは嫌いだよ。って格好付けてる場合じゃない。もう話そう。何もかも話そう。いじめられてた所はカットして話そう。
「実は私、異世界転生者なんです。」
潔く諦めて正直に話す事にした。勿論、いじめを受けていた事は隠して全て話した。まあ、流石に信じてもらえなかったな。
「魔法もスキルもない世界で空を飛ぶ乗り物だと!?」
ブルドさんでもこのリアクションだ。
「まるで夢の国みたい!」
「イリヤ。私から見たらこっちが夢の国だからね。」
イリヤは目を輝かせていたけど、サーヤとスレインは頭にハテナが浮かび上がるくらい理解に追いついてなかった。
「『念話』無しで交信できる板に、魔法を使わなくても映像を映し出す技術。更には勝手に動く乗り物なんて信じられないわ。」
ドライアドのナターシャさんですらこの反応である。
「だがこの子を召喚した召喚者が不明と言うのもいささか気になる。」
「それに彼女の父親が捨てたとなれば、国王である炎竜王バハムートの『ドランバルト』が許さない筈よ。」
これに関しては、やはりランドロスでは竜の子であろうと許可無く国外に出す事は許されないのだ。獰猛な竜が国を出て他の領地に現れる事は住民に混乱を招く可能性があるからだ。だから向こうから慌てて迎えに来る筈だが、それすら無いと言う事は私は捨てられた事に違いは無い。
「それで、貴女これからどうするの。」
当然ナターシャさんからこれからの事を聞かれた。これからどうするか明確に決まってない。
「もしよかったらここにいてもいいのよ。」
「ですが『ランドロス帝国』が何と言うか!?」
「それは問題ないでしょう。向こうが聞いてきたら保護した事にしとけばいいのだし。」
ナターシャさんはそう言ってくれたけど、ブルドさんの指摘も確かに気になる。ドラゴンを野に放った彼等が見逃す筈がない。必ず捕獲する為に動く筈だ。それにここに住むなら一つこの森に住む皆んな聞いておきたい事がある。
「その前に一つお伺いしたい事があります。」
「何かしら?」
「今この森はブリタニアの軍から侵略を受けているんですよね。」
「確かにそうね。侵略を受けていると言うよりは同盟を結んでいるとでも言ったほうがいいかしら。この森はブリタニアの傘下で入っているようなものよ。でもこれ以上は彼等の好きにさせるつもりは無いわ。だから安心していいのよ。」
「戦おうとは思わなかったのですか。」
私のその一言でナターシャさん達の顔は一気に強張った。多分、一番恐れてた事だと思う。何で彼等との戦いを拒むのかはわからないが、この少人数でも一週間弓の鍛錬を積めば勝てる。だってドラゴンの赤ん坊にすら負ける弱っちい連中だよ!?エルフにダークエルフ、更にはドライアドがいれば全然行けるっしょ!?人間なんざ悪知恵しか働かないチキン種族だぞ!?そんな集まりの連中に何を恐れている!!
「それは出来ないわ。もしそれでブリタニアと戦争になれば・・・・。」
体を震わせながらナターシャさんは答えた。皆んなが恐れているのは人間じゃない。
「ドラゴンが私達を滅ぼしに来るからよ。」
背後にいるドラゴンの存在だった。昔の伝承から勇者とドラゴンは共に戦い友好な関係を5000年掛けて築き上げてきた。もし戦争になればランドロスも黙ってない。でも戦わなくともわかる。この森は滅ぶ運命にあると。
「なら・・・私がそのドラゴン達と戦います。」
「何を言っているの!?貴女赤ん坊じゃない!?」
冷静さを失っているナターシャさんを宥める気はなかった。私はただ自分の気持ちや考えを素直に伝えた。
「もし私がこの森に住むなら、この強いられた現状を変えたい。だから私は戦います。それに・・・弱い者いじめは良くない!」
もう受け身でいるのは終わりだ。戦わなきゃ!生きる為に!
「ブルドさん!ナターシャさん!戦おうよ!」
「私達もお手伝いするから!」
「アタシ等ダークエルフも戦うから!」
サーヤ、イリヤ、スレインも戦う意志を見せていた。後はナターシャさんとブルドさんだけだ。でも納得してくれないだろうな。
「わかった。ただその代わり条件がある。」
ブルドさんは了承してくれたようだが、条件付きで決まった。まあ・・・・相手が相手だから無茶振りだけど仕方ないよね。
「君がドラゴンの軍勢と戦ってくれ。」
無理もない。ドラゴンが出てきたらエルフ達では太刀打ち出来ないし、元より私もそうするつもりでいた。だから問題無い。
「わかりました。それで構いません。」
これで話が決まったが、ナターシャさんは嫌々賛同していた。そんな彼女からから提案をだされた。
「ただし戦うのは防衛だけにしてちょうだい。先ずは、ブリタニア共和国国王の『ラインハルト・エルダロッタ』に申し出の手紙を送るわ。向こうの出方次第では戦うのはその後!」
それが条件だったが、この行いが間違いだったと知らずに私はこの不安定な国の戦争に巻き込まれるのであった。
この世界に転生してからドラゴンの親子に捨てられ、森で彷徨っていた所をエルフの村に救われ、共存する為に戦おうとしていた。異世界ファンタジーものなら定番な展開だな。でこの後はドラゴンと人間達と戦争して勝って同盟組んで、世界は平和になった途端、噂を聞きつれて別の国から新たな敵キャラ登場だろ?もうわかってんだよこの後の展開がな!と、私は最初の頃はこんな展開を予想していたが、人生甘くは無くその後は苦労の連続であった。そうとは知らず、私の異世界生活が幕を開けようとしていた。
ど・・・・ドラゴン!?私は2頭のドラゴンと遭遇してしまったのだ。って何でドラゴンが!?もしかして私異世界に飛ばされた!?いや死んでるから異世界転生!?てか何でそんな事に!?しかもドラゴンに囲まれてるとか死亡フラグなんだけど!?だがドラゴンは襲ってくる気配がない。それどころか私の顔を見て真っ青になっていた?
「なっ・・・・なんだこの醜い生き物はァァァァ!!」
「いやァァァァ!!何でこんな事に!!」
何だろ?人間を見るのは初めてなのかな?二人とも慌てふためいてるけど?
「体が黒い。何と不吉な事か!」
え?私の体黒いの!?てか黒猫見た時の反応されても困るんだけど!?
「貴方!直ぐに捨てましょう!!」
「そうだな!産まれなかった事にしよう!!」
は?何言ってんだ!?いきなり育児放棄!?すると一頭のドラゴンが私を持って飛び出した。あっ!これ本気で捨てに行くつもりだ!空から周りを見るとそこは火山の吹き荒れる場所だった。通りで暑い訳だよ。火山地帯から更に谷を超えて、森が広がる大森林にまで来てしまった。今は夜なのか外は暗くなっていた。途中で湖を見つけたのか、その近くに私を下ろした。
「悪く思うな。黒い龍など我が一族の恥なのだ。産まれた自分の不幸を呪うのだな。」
そう言ってドラゴンは去ってしまった。え?何?私ドラゴンなの!?てかあの二頭のドラゴンって私のパパンとママン!?しかも産まれて直ぐに捨てられた!?何がどうなってるんだぁぁぁ!!
一通り騒いだ後、落ち着きを取り戻した私は、湖で自分の姿を確認した。やっぱり黒いドラゴンだった。このまま進化したらアジダハーカとかになりそう。それは嫌だな。
すると突然目の前にステータス画面らしき映像が映し出された。そこは異世界っぽいんだよな。とりあえず確認するか。
個体名
『ベビードラゴンLv.1』
属性
『火』
種族
『ドラゴン』
固有スキル
『翻訳』
スキル:無し
魔法:無し
武技:無し
レベル1で固有スキルが『翻訳』ってショボ!?何かチートスキル無いわけ!?大賢者とか千里眼とか!!それが無いならとんだ糞ゲーだわ!!てか翻訳ってあれだろ!この世界の言葉訳してくれるんだろ!それが固有スキルってどんなんだよ!!通常攻撃しか出来ない状態でモンスターに遭遇したらヤバい。そんなフラグを立てながら後ろを振り返ると、見事にモンスターらしき化け物が今にも襲いかかって来そうな態勢でいた。オオカミの姿をした黒い靄みたいなものだった。
「ヤバ!?」
そしていきなり襲いかかって来た。向こうは私を殺気でいるらしい。けど私だってそう簡単に殺られる訳にはいかない!!私も黒いオオカミのモンスターと交戦した。かろうじて交わしながら、やれツメで引っ掻いたり、殴ったり、噛み付いたり、更には頭突きまでお見舞いした。時間は過ぎていき、倒した頃にはいつの間にか夜が明けていた。
「勝った。異世界転生して初の勝利だ。」
初勝利の歓喜に沸いてると、ステータス画面が再び表示された。どうやらレベルが上がった様だ。
[ベビードラゴンがLv.16になりました。]
って!?それだけ!?何か覚えろよ!!レベルとステータスが上がっただけで終わりかよ!!でもレベルがこれだけ上がるから、あのオオカミって相当強いモンスターだったんだな。
さて、これからどうしますかな。とりあえず朝御飯を探しに、私は森を散策する事にした。見渡す限り木々ばっかりで、モンスターはおろか人の気配すら感じない。おかしい。何かしらイベントが発生してもいい頃だけど?私は森を進むが、木の実を見つけてよじ登って取って食べるだけで、それ以外は何も無い。でも動物や虫もいないってのはおかしいな?何かしらイベントが起きてくれないと困るのだが?
「ん?煙?」
向こうで煙が上がっているのが見えた。騒いでいる声?いや悲鳴か!誰かが助けを呼んでいる!!此処が何処でどうなってるか何も知らん!!これが夢か現か何もわからん!!だったら私は!突っ走る事しかしらん!!
と面白半分でその小さな足で全力ダッシュしたはいいものの、着いた先は戦場で、甲冑を着けた兵士達が弓を持ったエルフ達と交戦状態だった。ただ何か様子がおかしい。エルフ側が一方的にやられている。しかも、武器を持たない女性や子供まで追いかけ回されている。これじゃ戦争じゃなくて殲滅じゃないか!!
でも助けに行きたくても私はまだ弱いし、かと言ってこのままじゃエルフがやられちゃうし、どうしたらいいんだ!
「エルフ共を皆殺しにしろ!生きて返すな!!」
すると兵士達は、あるエルフの姉妹達に目を付け、斬りかかろうとしていた。間に合ってくれ!!
「イリヤ!逃げて!!」
「お姉ちゃん!!」
兵士が剣を振り下ろそうとした時だった。私は間一髪で背後から兵士の首にかぶり付いた。英雄は未熟な頃からある逸話を残している。「考えるより先に体が動いていた。」的な感じで私はいつの間にか飛び出していたのだ!兵士はふらつきながらも、噛み付いている私を振り落とそうとしていたが、私は体を回転させて兵士の首を引きちぎろうとした。そして首をへし折りそのまま引きちぎった。
「もう大丈夫!私が来たぁ!!」
と姉妹は唖然としていたけど、私は二人の前で笑顔で格好つけて登場した。そんな時、ステータス画面が表示された。レベルが上がった様だった。
[ベビードラゴンがLv.20になりました。]
[武技『引っ掻くLv.1』『噛み付くLv.1』『頭突きLv.1』の獲得に成功しました。]
って技覚えてくれるのは有難いけどショボッ!!けどそんな贅沢言ってられない!兵士達に向かって武技!引っ掻く!!
「ぐはぁ!?」
え?あっさり首落としちゃったけど!?弱!?引っ掻いただけで首引き裂けるの!?この兵士達弱!!だが驚いている暇も無かった。兵士の数人があの姉妹に迫っていた。彼女達は動けない状態、なんとかしなきゃと辺りを見渡したら、倒れているエルフの持っていた弓と矢を拝借して姉妹の所に向かい、兵士達を引っ掻き倒しながら持っていってあげた。悪いけど、自分の身は自分で守ってもらうよ!
「これ使って!」
「無理です!私弓はやった事が無くて!」
「大丈夫!貴女なら出来るよ!無理なら良いおまじないを教えてあげる!」
と私は彼女の耳元であるセリフを教えてあげた。これで私も兵士に集中できる!と言ってる側から早速おいでなすった!!
「私とイリヤの絆は!誰にも引き裂けない!!ステラァァァァ!!」
彼女の放った弓は見事に命中した。私の教えたおまじないが効いた様だ。まあ漫画やゲームのセリフだけどね。撃った本人が一番驚いていた。本当に初めてだったんだな。
「ドラゴン?まだ赤ん坊では無いか!こんなのにいつまで手こずってる気だ!!」
あれってもしかして隊長か?ならチャンスだ。指揮官を叩けば兵士は撤退するはず!ならば行動あるのみだ!!
「おい!お前大将だな?大将首だろ!首置いてけ!!」
「喋っただと!?しかしこの首!早々貴様にくれてやるか!!」
「ならお前の首はいらん!!命だけ置いてけ!!」
「何だこいつ・・・・言ってる事めちゃくちゃだぞ。」
すかさず隊長の首にかぶり付きさっきの兵隊みたいに体を回転させて噛みちぎった。落ちた生首を見た他の兵士達の顔は青ざめ、退却を余儀なくせざる終えなかった。
「に・・・・逃げろぉぉぉ!!」
「化け物だぁぁぁ!!」
兵士達が全員逃げて行ったのを見てこれでひと段落かと思いきやその爪痕は悲惨だった。兵士達の死体よりもエルフの死体が、特に女性や子供ばかりだった。さっきの姉妹達は尻餅をついたままその光景に怯えていた。
「お姉ちゃん・・・・もうやだよ。」
特に妹の方ははだいぶ怯えきっていた。無理も無い。同族の死体の山などただの地獄絵図だ。目を背けたくなるのもわかる。ドラゴンになった私にはただ寄り添う事しかなかった。
「貴女は?」
「ただのベビードラゴンだよ。たまたま此処に立ち寄ったら、こんな事になってたからさ。見て見ぬ振り出来なかった。」
「ありがとう。私はサーヤ。こっちは妹のイリヤ。」
お姉ちゃんがサーヤで、妹はイリヤって言うのか。エルフにもちゃんとした名前があるんだな。私なんて産まれて直ぐに捨てられたからな。名前なんてつけられて無いし、別にいいかなっと思っていた。
「貴女一人なの?行く所が無いなら私達の所に来る!」
サーヤからの誘いに私は了承した。エルフ達の集落に行けば今置かれている状況がわかるかもしれないし、この世界の情勢がどうなっているか知る必要がある。今は情報を集めるべきだ。
私はサーヤに案内されながら?と言うよりイリヤに抱かれたまま村に向かったのだ。私の大きさって人形ぐらいだからな。子犬を抱いている様な感じだ。
途中で色々聞かされた。先ずは姉妹の歳だが、100歳と80歳だそうだ。人間の歳で考えたら10歳と8歳って事になる。エルフは長命と言う話は聞いていたが、人間の10倍は長生きするそうだ。
それと、この森についてだが正式な名前がある。なんでも『アタランテの森』と呼ばれているそうだ。此処には昔、エルフだけではなく、ダークエルフやドワーフ、オーク何かも住んでいたそうだが、今ではその人口も減って来ていると言う話だ。
ドワーフは先程の兵士達とはまた別部隊が奴隷として鉱山で働かされていると言うし、オークは森林の減少で森を出て今は隣の魔族領にいるらしいが、魔族領も貧困の格差でかなり苦しいらしい。
そしてこの森に残っているのは、エルフとダークエルフ、そして『アタランテの森』を守るドライアドだけだそうだ。こりゃ、此処だけじゃなくて魔族領も似た様な感じだろうな。もう人間側の独裁支配が酷い感じで見えている。
色々聞き終えた時には集落らしきものが見えた。サーヤによると、そこがエルフ達の住む村らしい。そこには、戦の準備をしようとしてたのか、装備を整えた村人達が集まっていた。騒ぎを聞きつけて出陣の準備をしていた様だ。向こうも私達に気付いたのか、大慌てで駆け寄ってきた。
「サーヤ!イリヤ!」
最初に駆けつけたのは、中年男性のエルフだった。父親なのか娘を心配する様に抱きついていた。
「村長!!」
ってお父さんじゃないんかい!!アタシは変な感動の再会を想像してしまったぞ!?
「他の者達は。」
「兵士達に殺されました。クロムもスズカお姉ちゃんもリック叔父さんもみんなみんな死んでしまったの。」
エルフの中で助かったのは、サーヤとイリヤだけで、私が駆けつけ守れたのもこの二人だけだった。そうか。死んだ人達の中にはこの子達の知り合いも入っていたんだ。
「イリヤ?その黒い生き物は何だ?」
「この子が助けてくれたの!ドラゴンなんだって!」
「ドラゴン!?黒いドラゴンだと!?」
やっぱり黒いドラゴンってこっちじゃ珍しいのかな?それとも曰く付き?やだよしてよ!私ただの可愛らしい爬虫類なのよ!
「もしや『ランドロス帝国』のドラゴンでは無いか。だが何故こんな森に。」
ランドロス?それって私が産まれた故郷なのかな?何か周りを見渡すと皆んな不穏な顔で見ているな。
「とりあえず家に入ってなさい。話はそれからだ。」
そう言われて二人はエルフの住まいに向かった。村長さんとそれ以外の人達は、亡くなった遺体を回収にし向かったそうだ。戦争跡って皆んなこうなのかな。
「サーヤ!イリヤ!」
すると一人の女の子が私達の所にやって来た。周りのエルフと違ってやけに肌黒いな。あの子ダークエルフか!!
「スレイン!」
「よかった!サーヤとイリヤも人間に殺されたんじゃないかってヒヤヒヤしたよ!てかなんだそのぬいぐるみ?」
失礼だな!!立派なドラゴンだよ!!まだ赤ちゃんだけど!!
「この子が私達を助けてくれたんだよ!」
スレインはマジマジと私を見ていた。どうも黒いドラゴンが珍しいのか不思議な顔をしていた。そういや私さっきから何も喋ってないな。自己紹介するか。
「やあ!私ベビードラゴン!!」
「うお!?赤ん坊なのに喋ってる!?」
ナイスリアクションありがとうございます!!それからスレインとも仲良くなって、更に詳しい話を聞いていた。
『アタランテの森』は徐々に森林伐採が進んでいるらしい。原因は人間の国家『ブリタニア共和国』が、領土を広げようとしているからだ。奴等は明け渡しを要求しているが、この森にそんな余裕はない。村長達は断固拒否していたが、ブリタニア軍の拠点にしている居城がある。奴等はそこからやって来てエルフ達に一方的に要求を突き付けるだけだった。断り続けたエルフ達に痺れを切らしたのか、彼等は武力行使に出てエルフ達を蹂躙して来たのだ。何万といたエルフの人口は僅か100未満だそうだ。ほぼ絶滅危惧種じゃないか!!
サーヤとイリヤの両親も戦いに巻き込まれて既に他界していて、今はドライアドが面倒を見ているが、基本は自分達で自給自足の生活を送っているらしい。スレイン達ダークエルフも、親を殺されて今は生き残ったダークエルフと共に生活していた。だが、まともに食事が出来ない状態だった様だ。
「失礼するわ。」
すると一人の女性が入って来た。緑の髪に黄緑色のドレス・・・もしかしてドライアドか!?
「よかった。二人共無事だったのね。」
「ナターシャさん!」
どうやらナターシャさんと言うらしい。すると彼女は私の方を見て何やら顔を曇らせていた。
「そのドラゴンは?」
「この子が助けてくれたの!!」
「この子が?でもまだ子供でしょ?とても戦える様には見えないわ。」
え?そうなの?そりゃ産まれたばかりの赤ん坊が戦うなんて普通に考えたら無理だもんな。
「でもありがとう。貴女のお陰で二人が無事だったわ。」
「いえいえどう致しまして。」
「ッ!?」
あれ?ナターシャさんの表情がいきなり険しくなったぞ?普通に返事しちゃったけど・・・・これやっちゃったパターンか!?
「ちょっとごめんなさい!」
私に近づいたナターシャさんはいきなり目を光らせて私を観察する様に見回していた。あっ!これ魔眼か千里眼でステータス見られてるな!キャーやめて!プライバシーの侵害よ!
「驚いたわ。もうここまでレベルをあげていたなんて。」
「そんなに珍しいの?」
「当たり前よ。本来なら物心が付いてからレベルを上げるものなのよ。いきなり戦闘に駆り出すなんて無謀過ぎるわ。」
ですよね。産まれたばかりの赤ん坊にいきなり喋って歩くなんて無いもんね。
「それにしても黒いドラゴン・・・まさかね。」
おや?何か隠したぞ。まさか黒いドラゴンに逸話がある話じゃないだろうね?アタシは曰く付きの物件じゃないんだよ!!
「あの、黒いドラゴンに何か良くない噂でも。」
「そうね。貴女には話した方が良さそうね。これは大昔から伝わる話よ。今から5000年前、貴女と同じように黒いドラゴンがいて、この地を支配していた時代があったの。」
今から5000年前、この大陸はある黒いドラゴンが支配していた。そのドラゴンの名は『第六天魔竜王アジダハーカ』と言う。ん?何その織田信長みたいな異名は?アジダハーカってそんな風に呼ばれてたっけ?まあそれはさて置いて、そのドラゴンが君臨していたのか、今とは真逆で魔族が支配していたとされる。
これを重く見た人間達は、ある禁断魔法を使って異世界転生召喚を行った。その召喚された人物は『アルトリア・ペンドラゴン』と名乗り、後の勇者王としてこの大陸に希望と平和の象徴として君臨するのだった。てかアルトリアってアーサー王だよね!?絶対アーサー王だよね!?まさか異世界転生してたの!?異世界でも英雄として語り継がれているんかい!!
彼はその後人間達の国を建国した。それが今のブリタニアである。だが建国後彼は姿を消し、彼の行方を知るものは誰もいない。ただ彼は去り際に「私は英雄でもなければ救世主でも無い。ただの罪人だ。」と言い残している。最後のは謎めいたままでいなくなってるけど、もしかしてどこがで今でも生きてるとか?そんなわけないか!5000年前の話だし・・・・・いや不老不死のスキルさえあれば問題ないか。ナターシャさんから語られた物語はこれでおしまいだ。
いろいろツッコミたい事は山ほどあるけど、何故ナターシャさんからこの話をされたかと言うと、私がアジダハーカの様な道を歩むんじゃ無いかと心配していると言うより警戒されているのだ。でもそれ偏見だよね!!私なんの理由も無く異世界に飛ばされたんだよ!?しかも産まれて直ぐに捨てられるから訳わかんないし!!しかも原因が信長みたいな異名持った邪竜と疑ってるし!全くとんだとばっちりだよ!!
「これはナターシャ様もお出でにになられてましたか。」
「ブルド。」
さっきの村長さんが戻って来たようだ。名前は『ブルド』と言うらしい。どうやらエルフ達の遺体を回収終えて戻って来たようだ。これから墓地に埋葬すべく、私達は一旦お墓がある所に向かった。そこには横たわったエルフの遺体が並んでいた。何ともまあ見るに耐えぬ光景だった。イリヤが男の子の遺体に駆け寄り大泣きしていた。彼女だけではなく、他の遺族や友人も悲しみに暮れながら、埋葬を行い黙祷を捧げた。しばらく悲しみに暮れた後、私達は再びあの家に戻り、ブルドさんも一緒になってこの世界の現状を説明してくれた。
「そうか。この世界に伝わる伝承まで説明したか。」
「はい。」
「なら自分の産まれた国はわかるかな。」
「いいえ。産まれて直ぐに捨てられましたから。」
「わかった。なら説明しよう。」
私が産まれた国『ランドロス帝国』は、遥か昔から住むドラゴンの国である。ワイバーンやリザードマン、ドラゴニュートなど、様々な種族のドラゴン族が暮らしている。因みにここに住むドラゴン達もエルフと同じくらい長生きである。それ等を統括しているのが、『炎竜王バハムート』である。
その『ランドロス帝国』は巨大な火山を中心に周りが谷になっている地形で、通称『ランドロス火山』と呼ばれている。マグマになっている火山地帯は、炎のドラゴンにとっては住みやすい環境な為子育てに最適な場所になっている。更に『ランドロス帝国』の地下は洞窟になっている。『ランドロス洞窟』と呼ばれているそうだ、。
そんなドラゴンの大帝国に産まれた私が何故捨てられたのか。原因はアジダハーカの伝説と言う名の悪評だろう。黒いドラゴンの話を聞けば誰もがその噂に怯え、更には世界を敵に回すかもしれないのだ。だが隠して育てればいいと思うし、同じ歴史が起こらないよう教育すればいいだけの話だ。捨てる必要なんかあったのか?いくら赤ん坊でもドラゴンだぞ?他のモンスターやさっきの人間に殺して貰えば済む話だと思ったのかな?いや無理だろ?現に私今も生き延びてるもん。野放しにする方がまずいんじゃ無いかな?そんな疑問を解決してくれる話をブルドさんはしてくれた。
どうやら『ランドロス帝国』と『ブリタニア共和国』は伝承からの古い付き合いで、アーサーと共に戦ったドラゴン達の末裔だったのだ。つまりブリタニアと同盟関係なのだ。そりゃそんな国が世界の元凶を生み出したとあれば自分達も抹消されるターゲットになってもおかしくありませんからな。何でパパンとママンが青ざめた顔をしていたのかようやく理解出来たよ。
これでこの話はお終いのようだ。概ねの状況は理解できた。エルフ達を含め、多くの種族が人間共の身勝手な圧政で苦しめられている事、過去の伝承が私の存在をより世界に脅威を与えている事。けどそんな事知った事か!人間達が好き勝手やるなら、私等も全力で抵抗してやる!!風評被害なんざ私が跳ね除けてやる!!私はこの世界に来て夢が叶った異世界物語!!その冒険が始まるのダァ!!
「一つ聞いてもいいかしら。」
ナターシャさんは真剣な表情で私に聞いて来た。何?今度は私について?そんな語れる話ないよ?
「さっき千里眼で貴女のステータスを拝見させて貰ったわ。これと言った特別な力は持っていなかった。」
そりゃ今日からレベル上げ始めたばかりですからな。しょぼい技しかありませんよ。だから、アンタが警戒するような事でもないんだって!
「固有スキルは『翻訳』と呼ばれるものだけ。見た事ないスキルだけど問題はそこじゃないの。」
「何が知りたいのでしょう。」
え?何?ナターシャさん何か怖い。何を探ってるの!?
「さっきのレベルの話もそうだけど、ドラゴンに限らず全ての生き物は赤ん坊の頃から知的に言葉を発する事はまず無いの。」
ん?私が転生してどれくらいたった?よし!これまでの経緯を振り返ってみよう!
先ず、産まれて直ぐパパンドラゴンに捨てられて、突如出会した狼のモンスターと一晩「あは~ん♡いや~ん♡ばか~ん♡」して私が勝って、その後森を「歩こう♪歩こう♪私は元気♪」と進んだら、目の前に「ハハハ!!我が世の春が来たぁ!!」とブリタニアの兵士が調子こいてエルフを皆殺しに掛かろうとしたので、イラッとした私は「調子乗んなぁぁぁ!!」って言いながら兵士に「SMASH!!」を打ちかまし、エルフの姉妹も「ゲートオブバビロン!!」などなど色んな矢を放ちまくり、負けじと私も「ドラゴンの呼吸一ノ型 噛み付く。」をお見舞いして勝利し、家に着くなり「ドライアドの部屋」状態で今に至る。これまでの間に起きた出来事を計算し「私の脳内CPUが弾き出した時間は・・・・一日!!」うん!赤ん坊が喋るなんて絶対無理だ!!
ってこれやっちゃったぁぁぁ!!ナターシャさんに感づかれた以上異世界転生した事話さなきゃいけないじゃない!!てか話した所で信じてもらえるの!?かと言って向こうの世界で「いじめられて死にました。」なんてそんな恥ずかしい事言えないし!!
「答えて。貴女何者なの。」
はぁ・・・・アンタの様な勘のいいおばさんは嫌いだよ。って格好付けてる場合じゃない。もう話そう。何もかも話そう。いじめられてた所はカットして話そう。
「実は私、異世界転生者なんです。」
潔く諦めて正直に話す事にした。勿論、いじめを受けていた事は隠して全て話した。まあ、流石に信じてもらえなかったな。
「魔法もスキルもない世界で空を飛ぶ乗り物だと!?」
ブルドさんでもこのリアクションだ。
「まるで夢の国みたい!」
「イリヤ。私から見たらこっちが夢の国だからね。」
イリヤは目を輝かせていたけど、サーヤとスレインは頭にハテナが浮かび上がるくらい理解に追いついてなかった。
「『念話』無しで交信できる板に、魔法を使わなくても映像を映し出す技術。更には勝手に動く乗り物なんて信じられないわ。」
ドライアドのナターシャさんですらこの反応である。
「だがこの子を召喚した召喚者が不明と言うのもいささか気になる。」
「それに彼女の父親が捨てたとなれば、国王である炎竜王バハムートの『ドランバルト』が許さない筈よ。」
これに関しては、やはりランドロスでは竜の子であろうと許可無く国外に出す事は許されないのだ。獰猛な竜が国を出て他の領地に現れる事は住民に混乱を招く可能性があるからだ。だから向こうから慌てて迎えに来る筈だが、それすら無いと言う事は私は捨てられた事に違いは無い。
「それで、貴女これからどうするの。」
当然ナターシャさんからこれからの事を聞かれた。これからどうするか明確に決まってない。
「もしよかったらここにいてもいいのよ。」
「ですが『ランドロス帝国』が何と言うか!?」
「それは問題ないでしょう。向こうが聞いてきたら保護した事にしとけばいいのだし。」
ナターシャさんはそう言ってくれたけど、ブルドさんの指摘も確かに気になる。ドラゴンを野に放った彼等が見逃す筈がない。必ず捕獲する為に動く筈だ。それにここに住むなら一つこの森に住む皆んな聞いておきたい事がある。
「その前に一つお伺いしたい事があります。」
「何かしら?」
「今この森はブリタニアの軍から侵略を受けているんですよね。」
「確かにそうね。侵略を受けていると言うよりは同盟を結んでいるとでも言ったほうがいいかしら。この森はブリタニアの傘下で入っているようなものよ。でもこれ以上は彼等の好きにさせるつもりは無いわ。だから安心していいのよ。」
「戦おうとは思わなかったのですか。」
私のその一言でナターシャさん達の顔は一気に強張った。多分、一番恐れてた事だと思う。何で彼等との戦いを拒むのかはわからないが、この少人数でも一週間弓の鍛錬を積めば勝てる。だってドラゴンの赤ん坊にすら負ける弱っちい連中だよ!?エルフにダークエルフ、更にはドライアドがいれば全然行けるっしょ!?人間なんざ悪知恵しか働かないチキン種族だぞ!?そんな集まりの連中に何を恐れている!!
「それは出来ないわ。もしそれでブリタニアと戦争になれば・・・・。」
体を震わせながらナターシャさんは答えた。皆んなが恐れているのは人間じゃない。
「ドラゴンが私達を滅ぼしに来るからよ。」
背後にいるドラゴンの存在だった。昔の伝承から勇者とドラゴンは共に戦い友好な関係を5000年掛けて築き上げてきた。もし戦争になればランドロスも黙ってない。でも戦わなくともわかる。この森は滅ぶ運命にあると。
「なら・・・私がそのドラゴン達と戦います。」
「何を言っているの!?貴女赤ん坊じゃない!?」
冷静さを失っているナターシャさんを宥める気はなかった。私はただ自分の気持ちや考えを素直に伝えた。
「もし私がこの森に住むなら、この強いられた現状を変えたい。だから私は戦います。それに・・・弱い者いじめは良くない!」
もう受け身でいるのは終わりだ。戦わなきゃ!生きる為に!
「ブルドさん!ナターシャさん!戦おうよ!」
「私達もお手伝いするから!」
「アタシ等ダークエルフも戦うから!」
サーヤ、イリヤ、スレインも戦う意志を見せていた。後はナターシャさんとブルドさんだけだ。でも納得してくれないだろうな。
「わかった。ただその代わり条件がある。」
ブルドさんは了承してくれたようだが、条件付きで決まった。まあ・・・・相手が相手だから無茶振りだけど仕方ないよね。
「君がドラゴンの軍勢と戦ってくれ。」
無理もない。ドラゴンが出てきたらエルフ達では太刀打ち出来ないし、元より私もそうするつもりでいた。だから問題無い。
「わかりました。それで構いません。」
これで話が決まったが、ナターシャさんは嫌々賛同していた。そんな彼女からから提案をだされた。
「ただし戦うのは防衛だけにしてちょうだい。先ずは、ブリタニア共和国国王の『ラインハルト・エルダロッタ』に申し出の手紙を送るわ。向こうの出方次第では戦うのはその後!」
それが条件だったが、この行いが間違いだったと知らずに私はこの不安定な国の戦争に巻き込まれるのであった。
この世界に転生してからドラゴンの親子に捨てられ、森で彷徨っていた所をエルフの村に救われ、共存する為に戦おうとしていた。異世界ファンタジーものなら定番な展開だな。でこの後はドラゴンと人間達と戦争して勝って同盟組んで、世界は平和になった途端、噂を聞きつれて別の国から新たな敵キャラ登場だろ?もうわかってんだよこの後の展開がな!と、私は最初の頃はこんな展開を予想していたが、人生甘くは無くその後は苦労の連続であった。そうとは知らず、私の異世界生活が幕を開けようとしていた。
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