JKドラゴンの異世界転生物語

アポカリス

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第一章:JKのドラゴン生活

第二話:JKは新たな力を手に入れた。

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 あれから50年の月日が流れた。いやいきなり時間飛んだな。あれか?早く続き語りたいからその間の話飛ばしたか作者神様?まあこの50年間特に何も無かったけどね。毎日食料の木の実の採取や魚、ジビエ肉の狩猟、農園の手伝い、森の巡回でのモンスター討伐と繰り返しそんな日々だ。それを語り出したらキリが無い。その50年もの間、私のレベルも大分上がっていた。上限はレベル100って言ってたけど今のステータスはこの様になっております。





個体名
『ベビードラゴンLv.70』


属性
『火』


種族
『ドラゴン』


固有スキル
『翻訳』


スキル:無し


魔法:無し


武技
『引っ掻くLv.3』『噛み付くLv.2』『頭突きLv.2』




 ちょっと待てぇぇぇぇ!!レベル70でこれは酷いぞ!!レベルが上がる一方で何も変わっとらんし!!これがゲームならクレーム出してたよ!?ホント現実はやっぱり糞ゲーだ!!てかあと30でカンスト何だけど!?これで100まで行って何も起きなかったらこの話し終わるぞ!!


 と愚痴はここまでにして話を戻すが、あれからブリタニアは襲って来る事は無かった。ナターシャさんがブリタニア宛に手紙を何通も送っているがその返事もまだ来ていない。あの一件でもう戦う気力を無くしたのか、このまま平和な時が続いてもいいかもと思っていた。


「ベビードラゴン!サボってないで手伝って!!」


 金髪のポニーテールに白い肌で少し大人びた女性が私に声を掛けて来た。なんと彼女はあのサーヤなのだ。今は150才と随分と成長したな。すっかり大人の女性だよ。昔は無かった胸もこんなにでっかく・・・・Eはあるな!


「ドラちゃん!サマーピーチいっぱい取れたよ!!こっち来て食べようよ!!」



 そんでこちらの金髪のロングヘアーの少女はイリヤです!こちらも随分と大きくなりましたな。まだ胸は成長盛りですかね。てかドラちゃんって!?何処ぞのネコ型ロボットじゃあるまいし!!


「ごめん!遅くなった!!」


 後から遅れてやって来た白い短髪に褐色の肌はスレインだ。サーヤと同い年の150歳だ。前よりかは落ち着いたが、やんちゃな所は相変わらずらしい。


「またお昼寝してたでしょ!仕事サボりすぎよ!!」


「だからごめんって!仮眠とるつもりがつい爆睡しちゃって!」


 因みに3人のステータスはこんな感じになっております。




呼称
『サーヤ』


個体名
『ハイエルフLv.45』


属性
『風』『光』


種族
『亞人』


固有スキル
『絶対音感』『動体視力』『超直感』


スキル
『自己再生Lv.3』『千里眼』『百発百中Lv.5』『超加速Lv.5』『サーチLv.4』


魔法
『ホーミングアローLv.5』『ストライクアローLv.5』『超魔法 フェニックスアローLv.MAX』『超魔法 ポイポスカストロフLv.MAX』『ヒールLv.5』『フェアリーライトLv.4』『プロテクションLv.5』


武技
『加速向上Lv.5』『超加速向上Lv.5』『一撃必殺Lv.5』『手刀Lv.3』





 何か私よりスキルや魔法多くない!?





呼称
『イリヤ』


個体名
『ハイエルフLv.38』


属性
『風』『光』


種族
『亞人』


固有スキル
『絶対音感』『超直感』


スキル
『加速Lv.5』『自己再生Lv.3』『サーチLv.2』


魔法
『マグナムアローLv.5』『アローLv.5』『ストームアローLv.2』『ヒールLv.5』『プロテクションLv.5』


武技
『加速向上Lv.5』『超加速向上Lv.5』





 イリヤも多いな!!何なのこの差!?唯一勝ってるのレベルだけだよ!?





呼称
『スレイン』


個体名
『ダークエルフLv.48』


属性
『風』『闇』


種族
『魔人』


固有スキル
『絶対音感』『動体視力』『超直感』『危機感知』『暗殺』


スキル
『超加速Lv.5』『サーチLv.5』『魔眼Lv.5』『隠密Lv.5』


魔法
『煙幕Lv.5』『影分身Lv.5』『超魔法 多重影分身Lv.MAX』『霧隠れLv.5』『万華鏡の邪眼Lv.5』


武技
『加速向上Lv.5』『超加速向上Lv.5』『音速Lv.MAX』『無音Lv.5』『末脚Lv.5』『奥義 全身全霊Lv.MAX』『逃亡Lv.5』『切り裂きジャックLv.5』『奥義 ジャック・ザ・リッパーLv.MAX』





 もう・・・・泣きたい。何か3人共凄い技身につけてる。何この差は?メッチャショックなんですけど?


「ベビードラゴン?さっきから元気無いけどどうしたの?」


「悪いもんでも食ったか?」


 心配してくれてるのは有難いけど、お前等が元凶だよ!!何だこのステータスの格差社会は!?異世界転生でこれはないだろ!!自分の未熟差に腹が立つ。


「ドラちゃん大丈夫?」


「大丈夫。自分の無能差に腹が立ってるだけだから。」


「でもナターシャさんも言ってたけど種族で個体差が出るらしいからな。まあ黒いドラゴンは例外らしいけど。」


「こらっ!ベビードラゴンだって頑張ってレベル上げしてるのよ!そんな言い方やめなさい!!」


 慰めありがとうサーヤ。でもスレインの言う通りこれは流石に論外だ。レベル70なのに未だに初期レベルの技しか無いのもまずい。こうなったらカンストするしかないか!!


「試しに100目指してみてどうなるか見てみるよ。」


「その方がいいかもな!今更ウジウジ考えても仕方ないし、やるだけやってみようぜ!!」


 スレインの言う通り落ち込んでも仕方ない。前向きに進もう。そう決意した。


 そんな私達をブリタニアは許さなかった。アタランテの森の入口とも言うべき場所から見える位置に奴等の拠点となる城が立っていたからだ。彼等は兵を集めて何かをしようとしていた。


「王都からの援軍ただ今到着しました!」


「では直ちに全軍で進撃を開始。エルフとダークエルフ、そしてチビドラゴンも纏めて殲滅しろ。一人たりとも生きて帰すな。」


「ですが、そのドラゴンが『ランドロス帝国』のドラゴンでしたら問題があるのでは?」


「その点に関しては問題ない。ドランバルト国王から許可を貰っている。始末しろ。」


 ブリタニア兵が動き出そうとしていた。その一報は私達の所にも伝わっていた。手紙を見た時のナターシャさんの顔は青ざめていた。


「やられたわ。今まで動きを見せなかったのも、手紙の返事が来なかったのも、全ては戦に備えて準備していたのね。」


「では。」


「ええ。戦いましょう。」


 手紙の内容は『アタランテの森』との同盟破棄と無抵抗宣告だった。私を含めて全員戦う覚悟はしていた。それにしても連絡無視とかマジ無いわ。時間稼ぎしといて戦の準備をしていたんだから。でもその割に50年は長すぎないか?


 その疑念は正解だった。王都ではとんでもない計画が進行していた。しかも、既に始まろうとしていたのだから。


「『アタランテの森』に1万、『アドルフ帝国』に2万、計3万の兵の準備が整いました。」


「異世界召喚の儀式はどうなっておる。」


「現在、魔導士隊が準備をしております。召喚に成功次第、直ぐに鍛錬の準備を進める方向です。」


「異世界召喚者の準備が整い次第、作戦を遂行する。これでこの大陸からようやく魔物共が消えてくれる。」


 ブリタニアの支配侵攻が動き出そうとしていた。しかも異世界人を戦力に加えようとしていた。そうとは知らず私達もまた、ブリタニアの侵攻作戦に対抗するため準備をしていた。


 そして私は長きに渡る修練の末レベル75になった。刮目せよ!これが今の私の実力だ!!




個体名
『ベビードラゴンLv.75』


属性
『火』


種族
『ドラゴン』


固有スキル
『翻訳』


スキル:無し


魔法:無し


武技
『引っ掻くLv.4』『噛み付くLv.3』『頭突きLv.5』『殴るLv.1』




 変わってねぇじゃねぇかァァァァ!!何だよ『殴る』って!?そこ『パンチ』じゃねえのかよ!!てかもうこれ武技じゃなくてただの暴力!!攻撃と一緒だから!!


「こらこら落ち着いて!!」


「なあサーヤ。このまま行ったらベビードラゴンが暴れるだけの可愛いドラゴンになっちまうぞ。」


「わかってるなら止めるの手伝って!!」


 レベルだけ上がる一方で、何も覚えられない現状にストレスを感じていた私はただの暴れっ子になっていた。


 そんな中、『ランドロス帝国』にも多少変化があった。私の存在らしき話がブリタニアからランドロスにまで来ていたらしい。


「まずい・・・・まずい事になったぞ!!」


 この国は火山地帯よりさらに奥に、ドラゴンが住むと言うより、人間が住みそうな民家が多く並んでいる。そこにはファンタジー世界に出て来そうな城が聳え立っていた。そこに、ブリタニア宛から届いた手紙を見て青ざめているおっさんがいた。彼が『ランドロス帝国』の国王にして『炎竜王 バハムート』そして私を捨てた張本人つまり私のパパンだった人、ドランバルトがそこにいた。


「どうしますのあなた!!」


 こちらの青ざめているご婦人はドランバルトの妻『エラノール』。私のママンだった人だ。


「元はと言えばお前が「捨てましょう!!」などと言うからこうなったのだぞ!!」


「あなただって「産まれなかった事にしよう!!」と納得したじゃありませんか!!」


 とまあ、王様女王様に有るまじき言い争いもと言い責任の擦り合いが始まった。見苦しいにも程がある!


「大変な事になった。我が子を捨てただけでは無く、伝承にあったアジダハーカの再来の黒い竜が産まれたとあれば、この地位にも危うい!」


「じゃあどうするの!?」


「無かった事にする!!そして公害するな!民にもにもだ!!」


 余談になりますが、私が国王夫妻の娘、つまり妹と戦う事になろうとは誰も想像していませんでした。勿論、私自身も彼女のライバルみたいな関係になるとは思っても見ませんでした。


 そして、いよいよブリタニア兵が『アタランテの森』に侵入して来た。だが私達は入口手前で彼等を食い止めていた。戦力的にはこちらが不利なのに何故押されてないのか。その答えはこちらをどうぞ!!


「報告します!!第三突撃部隊全滅!!ドラゴンの赤ん坊に阻止されています!!」


「ふざけているのか貴様ぁ!!」


 そう!私が一人で部隊を全滅させているからです。撃ち漏らしたらサーヤ達に迎撃を頼んでいるから問題ナッシング!!


「あれどう見てもストレス解消にしか見えないんだよな。」


「わかってるなら口で言わないの。何はともあれ、出だしからいい調子じゃない!」


 はい。そうです。糞作者神様がこんな訳のわからん設定にしなければ、イライラする事も無かったのよ!お前等全員私のサンドバッグだぁ!!


「第四、第五突撃部隊!進めぇ!!」


 敵指揮官の合図で今度は二手に分かれて前進して来た。だが私には通用しない!!


「私はアタランテの守護竜!ベビードラゴン!!ここにいる者は誰も生かさない!!心を燃やせぇぇぇぇ!!」


「き・・・・来たァァァァ!!」


 兵士達は殲滅した部隊の有様を見て既に士気がガタ落ちしていた。だが私は容赦はせず無双状態のまま集団の兵士達に突っ込んで行った。これがまた、吹っ飛び方がギャグアニメみたいな感じだった。


「レッツ・パーリィー!!」


 やってて自分でも楽しくなっていた。


[ベビードラゴンのレベルが80になりました。]


 おっと私のステータス画面にレベルが上がったとの知らせが入った。やっぱり人間相手だとレベル上がるの早いな。これはいい経験値稼ぎだ。


[魔法・・・・。]


 おっ!遂に魔法を覚えるか!ここまでレベルが上がっているならやっぱり『ドラゴンブレス』とか『竜の息吹』とかだよね!!


[『火の粉Lv.1』の獲得に成功しました。]


 それを聞いた時、私の中で何かが壊れる音がした。目の前が真っ暗になりその後の記憶は覚えていない。てか何だ『火の粉』って!!高レベルで今更そんな技覚える!?ポケットなモンスターでも流石に序盤から覚えるわ!!


「全部隊撤退!!体制を立て直す!!」


 雲行きが怪しくなった兵隊達が撤退を開始した。だが私は素早く彼等の後ろに周り退路を塞いだ。


「隊長!!退路を絶たれました!!」


「待ってくれ!!私達に戦う意思は無い!!だから見逃してくれ!!」


 隊長らしき兵士は私に見逃すよう交渉をしようとしたが、その台詞を聞いた時点で私はあのセリフを息を吐くようにはっきり言った。


「だが断る。」


「何故だ!?」


「このベビードラゴンの最も好きな事の一つは、生殺与奪の権を私に握らせる奴にNOと断ってやる事だ。」


 翻訳すると「やだ殺す。」の一択しか残されてないのよね。私の言葉に困惑する兵士達は如何にも襲いかかって来る勢いだった。


「この中に仲間やられてるのに逃げ出そうとしている奴いる!!」


「え?」


「この中に仲間やられてるのに赤ん坊のドラゴンに日和ってる奴いる!!いねぇよなぁ!!」


 この時この場にいる兵士は全員こう思った。「あっ・・・・これ立ち向かわなきゃ行けない気がして来た。」だそうです。


「全員掛かって来いやぁ!!オモチャの兵隊みたいによぉ!!」


「それェェェ!!突撃ィィィィィ!!」


 隊長らしき兵士の合図と共に泣きながら突撃して来た。私はそんな兵士達を容赦なく一掃したらしい。それを見ていたサーヤ達は唖然としていた。


「ああ。こりゃ出番無いな。」


「でもこれでひと段落ね。あの子のおかげで助かった。」


 その後、私が倒した兵士はざっと500くらいはいたらしい。通りで死体の山が出来上がる訳だ。


「ハッハッ!見よ!人がゴミのようだ!!」


 そして私は死体の山の上でゲスな台詞を吐き散らしていた。当然だろう。もうどうでも良くなって来た。


 それから私達も撤退した。その後ナターシャさんから「やり過ぎ。」と怒られてしまったけど、その日の夜は、戦勝会みたいな感じで盛り上がった。これで流石に兵士達もしばらくは襲ってこないだろうと思っていた。だが数日経って今度は300人くらい連れてまた来たのだ。


「こいつ等もしつこいな!あれだけやられてるのにまだ戦うつもりかよ!」


「いいんじゃないの!念願の出番だし、派手に暴れよう!!」


 今回はスレインとイリヤが前線に参加してくれて大分楽になった。


「撤退!撤退だ!!」


どうやら撤退を開始したようだ。だが逃がさない!!あれを試してみますか!


「イリヤ!あれ行くよ!」


「わかったよ!ドラちゃん!!」


 そう。ヒーロー戦隊が怪人に止めを刺す合体技だ!!


「ベビードラゴン!トランスフォーム!!」


「合体!!」


 私は背筋ピンと伸ばして、イリヤは私の胴体を抱え、飛べない羽根をグリップ代わりにして構えていた。さながらドラゴンガンの様な感じで構えていた。


「ハイエルフイリヤ!ドラゴンモード!!」


 ん?今戦闘中なのに何してるのかって?この前覚えた『火の粉』でちょっと試したい事があってね。


「月に代わって!お仕置きだぁ!!」


 イリヤが構えた瞬間、火の粉を連射した。そう!さながら火の粉をマシンガン代わりに連射してぶっ放すと言うエルフのサポート的な能力に目覚めてしまったのだよ。見よ!!兵士達が海外映画の様にマシンガンを喰らっている光景が目に映るであろう!!


「何だそれ!?私もやりてぇ!!」


 と言うわけで、スレインにも持たせてあげた。


「ハハハッ!!汚物は消毒だぁ!!」


 二人はすっかり私の火の粉ドラゴンマシンガンにどハマりしていた。が・・・・流石にやり過ぎた。


「何やってるの三馬鹿!!」


 サーヤはまだ口うるさいから良かったけど、一番怒らせては行けない人を、この後怒らせてしまったのだ。


「何で呼ばれたかわかるわよね?」


 ナターシャさんでした。前回忠告したにも関わらず破ってしまった事に腹を立ててる様だ。そう、私達はナターシャさんとの面談と言う名のお説教を受けているのだ。


「「仏の顔も三度まで。」って知ってるかしら?あれだけチャンスを上げたのにこうもあっさり破るなんていい度胸してるじゃない。」


 いや破ったのまだ一度何だけど?


「「いや破ったのまだ一度何だけど?」なに?言いたい事があるならハッキリ言いなさい。」


 思考が読まれている!?マズイ!!


「何がマズイの?言ってみなさい。」


 あれ?これお説教じゃなくて・・・・パワハラ会議!?


「イリヤ。貴女さっきからモゾモゾして落ち着かない様子ね。もしかしてお手洗いを口実にして私から逃げ出したいとか考えてるのかしら?」


 言われてみればイリヤが落ち着かない様子だけど何してるのかな。


「いいえ思っておりません!!私は命を掛けて全身全霊でナターシャさんのお説教を受ける覚悟です!!」


 イリヤそれパワハラ会議フラグぅぅぅ!!


「スレイン。普段騒がしい貴女が今は大人しいわね。」


 今度はスレインに標的を定めたか。てかこいつこのまま黙り決め込む気か!!


「三つ数える間に発言しないと『ファイヤーボール』を打ちます。はいイーチ!」


 一数えただけでぶっ放した!?もうパワハラ会議どころじゃなくなってるけど!!


「二と三はぁ!?」


「バカね。女は一だけ覚えてれば生きていけるのよ。」


 いやそんな訳ねえだろぉ!!


「正直貴女達三人が、村守るためにモンスターを撃退したなら大目を見たわ。モンスターなら知能は低いし復讐心なんて考えないからまだ安全なの。だが人間は違う!!奴等の知能は私達よりも高いし、復讐心も持てる!オマケに命を簡単に捨てらる危険な考えまで持ってるクレイジーな生き物なの!!奴等を甘くみてると痛い目を見るのはこっちなのよ!!」


 ヤバい!ナターシャさん完全にブチ切れてるし!!しかもパワハラ会議に混ざって某侍と馬の漫画のネタ紛れてるし!これ以上色々ヤバい!!


「人間を無礼なめるなよ。」


 無礼と書いて舐めるなよって読めちゃったけど?


「あの私・・・・お手洗い行ってきます!!」


「私も!!」


 ナターシャさんのパワハラ会議にもう我慢出来なくなったのか、イリヤを先頭にスレインまでもがトイレを口実に逃げ出そうとしていた。


「ちょっと待てェェェ!!」


 逃さず。私は透かさずスレインの片足に抱きつき、さらにスレインはイリヤの腕を掴んだ。


「ベビードラゴンどいうつもりだ!!」


「嫌だ!!一人でパワハラ受けるのはやだ!!」


「「私に任せて先に行って!!」とか言えないのかお前は!!」


「私に構わず、逝って二人とも!!」


「いい加減にしろよイリヤ!!お前も道連れだ!!」


 と私達がグダグダなコントをしている内に、ナターシャさんの堪忍袋の尾が切れた。


「貴女達・・・・今夜は外で頭を冷やしてきなさァァァァァァいィ!!」


 こうして私達三人は外に追い出されたのでした。チャン♪チャン♪


「はぁ・・・全くあの子達は。」


「苦労が絶えないっすね。ナターシャさん。」


「まるで昔の貴方を見ているようだわ。」


 ナターシャさんと気楽に話す一人の男性がいた。彼はダークエルフの『ライド』で、私達防衛隊の隊長だ。私達の兄貴分として昔からお世話になっている。


「でもこれで『ドラ子』の思惑通り、ドラゴンが出てきますね。」


「そうね。面倒事は早く済ませる。それがあの子が望んだ事かもしれない。それも、この村で平穏に暮らすためにね。」


「ドラ子はそれを強く望んでいる。俺達村の住民よりもな。なら俺達がそれに答えてやらないとな。」


 いや~。本当に世話好きなお兄ちゃんだよ。そんな私達は外で他のダークエルフの男の子達に揶揄われていた。


「バカだよなお前等!」


 バカ呼ばわりして来たのは『ラグネスト』って奴で、お調子者のダークエルフだ。けど身軽さが売りだ。


「全く、戦ってる風には思えなかったぞ!」


 呆れて私達を見ているのは『バーネラス』で、地味で普通のハイエルフだ。几帳面な所がある。


「遊んでる様にしか見えなかったな。」


 正論をぶっちゃけるのは『イグリット』で、真面目な委員長的なハイエルフだ。だが正論過ぎて女性に嫌われてるのが難点だ。


「けどこっちの思惑通りに行ってくれるといいけど。」


「いや、向こうはドラゴンを出して来るはず。何故なら奴等の戦力は風前の灯だからね。」


 ラグネストは心配してたけど、間違い無くドラゴンを差し向けて来るはずだ。ブリタニア側はこれ以上の無駄な戦力消費は考えていないだろう。さらに数週間後、ブリタニアが再び侵攻した時ドラゴンの姿があった。


「カァー!!ミーはバジリスクの『ケンタッキー』ざんす!!アタランテのチビドラゴン、ミーの三時のおやつにしてやるから出て来るざんす!!」


 ただ現れたのは2、3メートルくらいはニワトリだった。おいおいランドロス明らかにザコを寄越したな。しかもニワトリなのにカラスの鳴き声してるし、てかその名前はアウトだろ!?何だこいつは!?


「はいはーい。私がそのチビドラゴンでーす。」


 こんな奴に乗り気はしなかったけどスタスタと出て行った。そしたらこいつ笑いながら私の事をジロジロ見てきた。なんか腹立つな。


「ユーの父ちゃん母ちゃんはホントお馬鹿ざんしょね!アジダハーカの再来を生み出しただけで無く、ドラゴンを野に放つとはしかも育児放棄!!あっ!因みにランドロスでは育児放棄は法律違反ざんす!愚かとしか言いようがないざんすね!!」


「へーそれで?」


「ユーとミーの実力は天変地異の差とも言っていいざんす。ユーには大人しく死んで人生をやり直して、ミーは出世街道まっしぐら!!どうざんしょ、お互い悪くない取り引きざんす。」


 スキル使わなくてもわかる。こいつ弱い。そして特大ブーメランだ。まだ兵士相手にしてた方がマシだわぁ。適当に終わらそう。


「うん。じゃあいいよ。それで。」


「え?」


「さあ打ってきなさいよ。何もしないから打ってきなさい。」


「カァーカッカッ!!何とお馬鹿ざんしょ!!親が親なら子供も愚かざんす!!自分から殺して下さいと自殺志願者か何かざんしょ!!もう笑いが止まらないざんす!!」


「そう。それは良かったね。」


「何なら遺言がてら聞いてやるざんす!最後に言い残す事は?」


「え?いらないでしょ?それ最後に死ぬやつのセリフだよ?」


「なっ・・・・何を言っているのやら。それはユーの事ざんす!!」


「え?いや無理でしょ?だって君・・・・弱いもん!」


 何かグダグダお喋りが好きなチキン野郎だから挑発してやったけどどう動く。


「カァァァァァァ!!ミーを馬鹿にするのも大概にするざんす!!お望み通り灰にしてやるざんしょ!!喰らえデスファイヤー!!」


 と私は普通にニワトリの攻撃を受けていた。でめ何ともないんだよね。やっぱり弱かった。


「あれ!?」


「どうしたの?さあ打ってきなさいよ!」


「バカな!?デスファイヤーで即死した筈ざんす!?」


 あの炎がデスファイヤー?全然効いてないんだけど?


「こんな事があり得ないざんす!!デスファイヤー!!」


 こいつはまた同じことをして来たが、私の姿はそこには無かった。


「カァーカッカッ!!今度こそ始末してやったでざんす!!」


「さあ打ってこんかい!!」


 だがわたしは奴の背に乗っていた。もううんざりしたし、そろそろ仕留めるか。


「さあ打ってこんかい!受精卵小僧!!」


「いや!ミーの方が年上!!」


「ドラゴンの・・・・ガトリング!!」


 私の拳は奴に連打を浴びせた。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!オワァタァ!!」


「アベッシッ!!」


 全ての連打を叩き込み、私の完全勝利で幕を閉じた。


「お前は死んではいまいが、もう立てまい。」


「お・・・・お粗末様でした。」


 強烈なパンチを連打したから痛みと痺れでしばらくは動けないはず。その隙に私は縄を持って来て奴の足首に縛り付けた。


「え?ちょっと?何してるざんすか?」


「何ってランドロスに送り返すんだけど?」


「冗談じゃないざんす!!おいお前達!こいつをボコボコにっていない!?」


 ブリタニアの兵士達は、こいつがやられたあと直ぐに撤退した。


「そんじゃ行きますか!!」


 さてと気合入れますか!!ランドロスに送り届けましょう!!


「あとお前に教える事がある。」


「なんざんしょう?」


「ニワトリはな!「カァー!」じゃ無くて「コケコッコー!!」って鳴くんだよ!!」


「いやァァァァァァ!!」


 と叫びながら砲丸投げの様に投げ飛ばした。


「それでは皆さんご機嫌よう!!バイバイキ~ン!!」


 最後に何か言って行ったけどまあいいや!


[ベビードラゴンがレベル90になりました。]


 おっと!?等々ラストスパートに差し掛かったぞ。さてどうなる。


[武技『尻尾Lv.1』の獲得に成功しました。]


 それを聞いた瞬間、何かが壊れた。何だ?尻尾って?尻尾で叩きつけるか?ふ・・・・ふざけるなァァァァ!!


「糞作者神様のバカヤロー!!お前2話のタイトル言ってみろぉ!!お前絶対友達いないだろ!!ニートだろ!!童貞だろ!!いい加減にしろよ糞作者!!テメー切り刻んで豚の餌にしてやるからなぁ!!お前を殺すのはこの私だぁ!!」


 私は天まで届く様に大声で不満を叫んだ。私は・・・・一体いつになったら真面になるんだぁ!!


 その頃、ランドロスでは街中で大騒ぎになっていて、人集りになっていた。あのニワトリが墜落して伸びていたからだ。無事に着いて何よりだ。


「どこが?」


「オイ!ケンタッキー!!しっかりしろ!!誰にやられた!!」


 そこには大型の強そうなドラゴン達が集まっていた。


「どけ!ケンタッキー!!無事か!!」


「姫様。」


 ニワトリがお姫様と呼ぶドラゴンが現れた。彼女は如何やら、ドランバルトの娘の様だ。


「何があった。」


「例のアジダハーカの再来と言われたドラゴンの赤ん坊に接触しました。けど奴はとんでもない強さです。ミーのデスファイヤーが全然効かなかったでざんす。」


「何だと!?」


 どうやらデスファイヤーと言う魔法はかなり上位の魔法らしく、一撃必殺とも言っていい魔法だったらしい。それを平然と受けていたから私ってよっぽど強かったんだな。まあ今更だけど。


「お前はしばらく休んでいろケンタッキー。ナツ!!」


「おうよ!!」


 彼女の呼び掛けに一頭のドラゴンが現れた。


「次はお前だ!ケンタッキーの敵討ち取って来い!!」


「任せろ!!仲間をやった借りは返すぜ!!」


 今度はサラマンダーのナツが私達の前に立ちはだかろうとしていた。私にボコボコにやられるとも知らず、彼はアタランテを目指して出撃した。
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