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紫陽花高校生徒会
生徒会と初めてのお・し・ご・と
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「題名ダメな風に聞こえる」
「それはあなたがもう駄目なのよ」
「否定はしない」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……なあ、少しは手伝えよ」
「嫌よ」
此処は部活棟の3階の端にある生徒会室。
長机が2つ繋げられ、その両端にそれぞれパイプ椅子を置き、座っていた。
黙々と書類の処理をする新田の前には、山のような書類が。
それに比べ、河井の前には書類も何も1枚も置いていない。
「あーー暇ねー……」
河井は上へと両手を伸ばし、伸びをすると、そのまま机に顎を乗せた。
「暇なら手伝え」
「嫌よ。私忙しいの」
「ほんの数秒前に暇って言ったろ」
「暇で忙しいの」
「社会に出てそんな事言ってみ?
上司にキン肉バスターされるから」
新田は話しながらも着々と書類を終わらせてゆく。
それを眺めながら、河井は不思議そうに口を開いた。
「それ楽しい?」
「楽しいと思うか?」
自分で投げておいて、この言い様である。
ここで新田は感じていた疑問を投げ掛けた。
「そもそも、なんで転入したばかりのお前が生徒会長なんだ?
元々の3年の生徒会長はどうした?
そもそも他の役員は?」
「……知りたい?」
河井はニヤリと口角を上げる。
「ああ」
「そんなに知りたい?」
「まあな」
「そんなにそんなに知りたい?」
「そうだ」
「そんなにそんなにそんなに……」
「しつこい」
「仕方ない……」
河井は身体を起こすと椅子から立ち上がり、切なげに窓から外を眺めると、ポツリポツリと意味ありげに語り始めた。
「あれは……永く激しい闘いだった……。
この地に降り立った私は、まず魔王の情報を得るべく、隠されたもう1人の私を酷使し、人々に話しをかけた……」
「魔王て」
「しかし……!!
これと言った情報は掴めず、途方に暮れていたところ、聖域にて人語の話せるオークに出逢った……」
「聖域(職員室)ね」
「そいつに魔王について聞いたところ、この地の魔王は、“漆黒の刀”が弱点だという事を聞いた」
河井は手を後ろで組むと、コツリコツリと、長机の周りを歩き始めた。
「ついでに魔王の右腕について尋ねてみると、なんと右腕はいないと言う。
それは私にとって嬉しい誤算だった……。
それから私は魔王を唯一倒せるアイテム、“漆黒の刀”を求め、各地を回った……。
そして、遂に私は念願の“漆黒の刀”を手に入れたのだ!!」
河井は力強く拳を天へと突き上げる。
「漆黒の刀て」
「その後、オークの案内の元、魔王の寝城に辿り着いた私は、油断していた魔王に漆黒の刀を突き出し、そして見事勝利を手にしたのだ!!!。
それと、そのあとから知ったのだが、どうやらオークは魔王の家来だったらしい……」
河井は誇らしげに胸の前で腕を組み、「うんうん」と数度頷く。
「うん。で、簡潔に言うと?」
「生徒会長に欲しがっていた漆黒の刀をプレゼントして生徒会長の座を譲って貰った」
「漆黒の刀実在してるんかい」
新田は無感情のツッコミを入れたあと、走らせていたペンを止める。
「副会長の役職は作ったって事だろ?
他に書記とか、会計とかもあるだろ?
その人達は?」
新田がそう尋ねると、河井は片手で顔を覆う。
「クックック……何故かって?」
「簡潔に」
「外面モードを使って帰ってもらった」
「お前……」
新田は呆れて深いため息を吐いた。
河井は一度咳払いをすると、喉を調整し、当時の状況を繰り返した。
「先輩方いつもお疲れ様ですぅ。
今回から私と副会長で書類は終わらせますので、大丈夫ですぅ。
今まで遊べなかった分を、青春を是非是非取り戻して下さぁい。
……とか言ってニッコリ笑ってやったら、速攻帰って行ったわよ」
ドヤ顔を見せ付ける河井。
「怖いわー外面モード怖いわー」
「そんな喋ってる時間あったら書類やりなさい!
早く帰りたいんだから!!」
「早く帰りたいなら手伝えよ。
あと、もう終わった」
新田はカチッとボールペンを鳴らすと、机の上に置く。
「わお、流石ね!
伊達に6年間私の右腕やってないわね!」
「まあな」
「褒めてないわよ」
「うそじゃん」
まさかの返答に、唖然とする新田。
「おーい、終わったかー」
新田と河井が話しをしていると、突然扉が開き、坊主で太った150センチの男の教師が入って来た。
新田が職員室で話した教師だ。
「はい、オーk……太夫先生。
もしかしたら間違えてる箇所があるかも知れないですが……」
河井はいつの間にか机の上の書類を持っていて、あたかも自分がメインでやったかのように、太夫先生に手渡す。
「まさか終わるとは……。
他の役員2人帰らせた時はどうなるかと思ったが、流石河井さんだね。
よっ生徒会長!」
太夫先生が河井を褒めて持ち上げる。
「えへへ」と言わんばかりに髪に触れる河井。
「そんな、よしてくださいよ先生。
私1人じゃ無理でしたよ。
新田君がいたから出来たんですよぉ」
河井は、満面の笑みを太夫先生へと向ける。
すると、太夫先生は頬を赤く染め、そっぽを向く。
「これが外面効果か」
新田は聞こえないくらいの声量でぼそりと呟く。
「ま、まあ、とりあえずお疲れ様。
戸締まりは先生がしておくから帰っていいぞ」
太夫先生はクルリと回り、後ろを向くと、鼻歌を奏でながら生徒会室をあとにする。
「よし!太……オークの許可貰ったし帰るわよ」
「言い直すな」
新田は椅子から立ち上がり、帰り支度を始める。
印鑑やボールペン、利用した書類等を片付けてると、学校指定の手持ちバックを持ち、部屋のドアに手を掛ける。
「ところで新田。
何も聞かなくていいの?」
新田の背後から河井の声が掛かる。
普段のようにおちゃらけた声色だが、芯があるように聞こえる。
「……別に、河井が言いたくなったら言えばいい」
「そっか……」
河井は密かに「ふふっ」っと笑うと、廊下に出た新田を追った。
「さ、一緒に帰るわよ!」
「は?」
「こんなか弱い女の子を1人で帰すの…?」
「……は?」
「題名ダメな風に聞こえる」
「それはあなたがもう駄目なのよ」
「否定はしない」
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「……なあ、少しは手伝えよ」
「嫌よ」
此処は部活棟の3階の端にある生徒会室。
長机が2つ繋げられ、その両端にそれぞれパイプ椅子を置き、座っていた。
黙々と書類の処理をする新田の前には、山のような書類が。
それに比べ、河井の前には書類も何も1枚も置いていない。
「あーー暇ねー……」
河井は上へと両手を伸ばし、伸びをすると、そのまま机に顎を乗せた。
「暇なら手伝え」
「嫌よ。私忙しいの」
「ほんの数秒前に暇って言ったろ」
「暇で忙しいの」
「社会に出てそんな事言ってみ?
上司にキン肉バスターされるから」
新田は話しながらも着々と書類を終わらせてゆく。
それを眺めながら、河井は不思議そうに口を開いた。
「それ楽しい?」
「楽しいと思うか?」
自分で投げておいて、この言い様である。
ここで新田は感じていた疑問を投げ掛けた。
「そもそも、なんで転入したばかりのお前が生徒会長なんだ?
元々の3年の生徒会長はどうした?
そもそも他の役員は?」
「……知りたい?」
河井はニヤリと口角を上げる。
「ああ」
「そんなに知りたい?」
「まあな」
「そんなにそんなに知りたい?」
「そうだ」
「そんなにそんなにそんなに……」
「しつこい」
「仕方ない……」
河井は身体を起こすと椅子から立ち上がり、切なげに窓から外を眺めると、ポツリポツリと意味ありげに語り始めた。
「あれは……永く激しい闘いだった……。
この地に降り立った私は、まず魔王の情報を得るべく、隠されたもう1人の私を酷使し、人々に話しをかけた……」
「魔王て」
「しかし……!!
これと言った情報は掴めず、途方に暮れていたところ、聖域にて人語の話せるオークに出逢った……」
「聖域(職員室)ね」
「そいつに魔王について聞いたところ、この地の魔王は、“漆黒の刀”が弱点だという事を聞いた」
河井は手を後ろで組むと、コツリコツリと、長机の周りを歩き始めた。
「ついでに魔王の右腕について尋ねてみると、なんと右腕はいないと言う。
それは私にとって嬉しい誤算だった……。
それから私は魔王を唯一倒せるアイテム、“漆黒の刀”を求め、各地を回った……。
そして、遂に私は念願の“漆黒の刀”を手に入れたのだ!!」
河井は力強く拳を天へと突き上げる。
「漆黒の刀て」
「その後、オークの案内の元、魔王の寝城に辿り着いた私は、油断していた魔王に漆黒の刀を突き出し、そして見事勝利を手にしたのだ!!!。
それと、そのあとから知ったのだが、どうやらオークは魔王の家来だったらしい……」
河井は誇らしげに胸の前で腕を組み、「うんうん」と数度頷く。
「うん。で、簡潔に言うと?」
「生徒会長に欲しがっていた漆黒の刀をプレゼントして生徒会長の座を譲って貰った」
「漆黒の刀実在してるんかい」
新田は無感情のツッコミを入れたあと、走らせていたペンを止める。
「副会長の役職は作ったって事だろ?
他に書記とか、会計とかもあるだろ?
その人達は?」
新田がそう尋ねると、河井は片手で顔を覆う。
「クックック……何故かって?」
「簡潔に」
「外面モードを使って帰ってもらった」
「お前……」
新田は呆れて深いため息を吐いた。
河井は一度咳払いをすると、喉を調整し、当時の状況を繰り返した。
「先輩方いつもお疲れ様ですぅ。
今回から私と副会長で書類は終わらせますので、大丈夫ですぅ。
今まで遊べなかった分を、青春を是非是非取り戻して下さぁい。
……とか言ってニッコリ笑ってやったら、速攻帰って行ったわよ」
ドヤ顔を見せ付ける河井。
「怖いわー外面モード怖いわー」
「そんな喋ってる時間あったら書類やりなさい!
早く帰りたいんだから!!」
「早く帰りたいなら手伝えよ。
あと、もう終わった」
新田はカチッとボールペンを鳴らすと、机の上に置く。
「わお、流石ね!
伊達に6年間私の右腕やってないわね!」
「まあな」
「褒めてないわよ」
「うそじゃん」
まさかの返答に、唖然とする新田。
「おーい、終わったかー」
新田と河井が話しをしていると、突然扉が開き、坊主で太った150センチの男の教師が入って来た。
新田が職員室で話した教師だ。
「はい、オーk……太夫先生。
もしかしたら間違えてる箇所があるかも知れないですが……」
河井はいつの間にか机の上の書類を持っていて、あたかも自分がメインでやったかのように、太夫先生に手渡す。
「まさか終わるとは……。
他の役員2人帰らせた時はどうなるかと思ったが、流石河井さんだね。
よっ生徒会長!」
太夫先生が河井を褒めて持ち上げる。
「えへへ」と言わんばかりに髪に触れる河井。
「そんな、よしてくださいよ先生。
私1人じゃ無理でしたよ。
新田君がいたから出来たんですよぉ」
河井は、満面の笑みを太夫先生へと向ける。
すると、太夫先生は頬を赤く染め、そっぽを向く。
「これが外面効果か」
新田は聞こえないくらいの声量でぼそりと呟く。
「ま、まあ、とりあえずお疲れ様。
戸締まりは先生がしておくから帰っていいぞ」
太夫先生はクルリと回り、後ろを向くと、鼻歌を奏でながら生徒会室をあとにする。
「よし!太……オークの許可貰ったし帰るわよ」
「言い直すな」
新田は椅子から立ち上がり、帰り支度を始める。
印鑑やボールペン、利用した書類等を片付けてると、学校指定の手持ちバックを持ち、部屋のドアに手を掛ける。
「ところで新田。
何も聞かなくていいの?」
新田の背後から河井の声が掛かる。
普段のようにおちゃらけた声色だが、芯があるように聞こえる。
「……別に、河井が言いたくなったら言えばいい」
「そっか……」
河井は密かに「ふふっ」っと笑うと、廊下に出た新田を追った。
「さ、一緒に帰るわよ!」
「は?」
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「……は?」
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