紫陽花高校生徒会!!!!

kaniya1192

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紫陽花高校生徒会

生徒会と生徒総会(本番)②

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「何の部活代表で出るんだ?」


新田がそう尋ねると河井は鼻を鳴らし、舞台袖の垂れ幕をマント替わりに見立て、左手を顔に当て、右手を斜め前方に伸ばした。

その様子はまるで演技者のようで、普段の外面の使い分けなどから、新田は1つの部活動が頭を過った。


「分かったかしら……?」


「ああ」


質問に対して質問で返して来る河井。

新田の答えは1つだった。


「そうよ……。
帰宅部代表よ!!!」


「演劇部であれ」


ある意味期待を裏切らない河井に、新田は肩を落とす。


「私が部活に入るとでも?」


「いや、入ってくれれば俺の生徒会での負担が減るのにと、思っただけだ」


「因みに私が本当に部活に入ったら、貴方も道連れよ?
部活動しながら生徒会やるつもり?」


「河井が部活動に入っていない事に感謝……!!」


思わず心の声が、力強く口から漏れ出す。


「いいのよ、いいのよ、そんなに感謝しなくて」


「いやまあ、普通に考えたら全部お前の所為だわ。
感謝するのおかしいわ」


「感謝無いなら部活入る」


「河井様にマジ感謝」


「わかればよろしい!」


納得はいかないが、背に腹はかえられない新田に、何故か得意げな河井。


「因みに帰宅部代表は絶対に駄目だからな」


「いじわる」


「なんとでも言え。
お前が声明すると大半が帰宅部になりかねない」


「ちぇ、分かったわよ……」


河井はつまらなそうに頬を膨らませる。

面白そうな事に目がない河井なら、本当にやりかねないと判断した新田は、念の為釘を刺す。

実際、普通の人の声明なら面白い程度で済むだろうが、河井には謎の説得力やカリスマ性がある為、絶対に行わせてはいけないと新田は理解していた。


「それで、最後に締めて終わりよね」


「そうだ。
念の為、勘違いがないか言ってみろ」


「ただ締めるだけでしょ?」


河井は「簡単よ」と言い、一度口を閉じると、咳払いをしてから唇を動かす。


「以上で第64万回、生徒総会を終了致します」


「いや、氷河期。
この学校は氷河期からあるのか。
というか、お前はボケなきゃ気が済まないのか」


「何言ってるの?
私からボケを取ったら何が残るっていうの」


「ボケを取ったら……?」


新田は顎に手を当てて少し考える。


「いや、どう考えても良いとこだけ残るな。
寧ろボケが全てを駄目にしてるだろ」


「そんな事ないわよ。
それに私がボケを辞めたら、貴方もツッコミ出来ないけど?」


「好きでツッコミをしてる訳じゃない。
それとも、俺の取り柄がツッコミしかないって事か?」


「えっと…………」


「うそじゃん」


無表情で絶望を述べる新田の肩に、そっと手を乗せ、憐れみの表情を向ける河井。


「きっと、いい事あるわよ……」


「全部お前の所為な?」


「ちょっとよく分からないわね」


「わかれ」


少し食い気味でそう言い放つ新田。

そんなやり取りをしていると、裏手の方から生徒会の責任者である太夫先生がひょっこりと顔を出してきた。


「河井さん、新田くん、そろそろお願い」


「分かりました」


「ああ」


2人は太夫先生に返答をすると、舞台袖の垂れ幕の裏に立ち並ぶ。


「さっきまでのは冗談なのは分かってるが、本番でふざけたら頭を引っ叩くからな」


「分かってるわよ。
さあ、行くわよ」


「おう」


2人は並んで、視線集まる舞台へとゆっくりと歩みを進める。

舞台の中心にある、マイクが置いてある木製の台の目の前に立つと、2人で一礼を行う。


「ただ今から、第64回紫陽花高校、生徒総会を始めます」



間違える事もなく、ふざける事もなく、美しく、丁寧に進行を始める河井。

この所作、声色が天使たる由縁なんだろうと、心の中で新田は理解する。


「それでは……」


そこまで言うと、河井は落ち着く為か、一呼吸入れる。

そして、少し前方を見回すと、新田より少し前に出て、マイクを手に持つ。


「ええい頭が高い!!全員こうべを垂れろ!!」


「何言ってんだお前!」


腰に手を当てふんぞり返る河井に対し、有言実行で後頭部を叩く新田。

そして、そんな様子を唖然と眺める生徒と教師一同。

言わずもがな、このあと、河井は生徒指導の教師にこっ酷く叱られ、反省文を書かされたのであった。

なお、反省文は新田も巻き込まれた。
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