封印魔法の活用方法 ~スキルで自由に生きていく~

アイギス山本

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第29話 カラブの木

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 向かう先が娼館ということで、イリーナとリンには残ってもらい、ギルドへ行ってもらった
。━━ヘレナさんがルートニスさんの住所を調べると言ってくれてたから、もし判っていれば二人にはそちらに向かってもらう手筈だ。

 そして今、ジョーを先頭に『カラブの木』を目指して夜の町を駆けていた。店の場所をジョーとバンしか知らないってのもあるが………この世界は日本と比べて街灯がほとんど無く、ジョーが持ってるランタン以外全くと言っていい程暗くて見えなかった。

 これ、俺だったらランタン持ってても迷いそうだ……

 しばらく進んでいると、一際明るくなった通りへとたどり着いた。どの建物からも明かりが漏れ、深夜だというのにかなりの人が通りを歩いており……その歩行者を呼び止める際どい服を着た女の人が何人も……

 ブッ…!?あ、あの女の人、下着ほとんど見えてるじゃん…!!あ、あっちは手で押さえてるけど、完全に胸元はだけてんじゃん!!!や、ヤバい……!!!助けるのに夢中で失念していた……!なんて……なんて………なんて素晴らしいんだ!!!!!

 は、は、初めてこういうところに来たんだけど……日本でもこんなエロいのかな…?あ、でも、日本だと法律厳しそうだし………やっぱり異世界ならではか!?


「コウスケ……行きたい気持ちは判るが、今は我慢してくれ………また今度、あの2人には内緒で一緒に連れてってやるから、な?」

「えっ!!?いや、そんな……べ、別に俺は……」

「まぁまぁ、遠慮すんな!いい店教えてやるよ。さ、それより今は先に進むぞ!」


 そ、そりゃあ~……興味無い訳じゃないけど…けど……や、やっぱり初めては好きな人と………い、イリーナと…あんな"こと"や、そんな"こと"が出来たら━━い、いや、イリーナはまだ幼いし無理だ…!せめて16才の結婚できる年齢にならないと………イリーナが大人に……スゲー…美人だろうな…………


「オイ!コウスケ!置いてくぞ!」

「ハッ…!?ご、ゴメン!」


 い、いかん、いかん…!今は妹さんを助けるんだ…!!気にしちゃダメだ…!!!



   *****



 しばらく行くと目の前に、他と比べて一回り大きい建物が見えてきた。そこだけ呼び込みの女の子はいなくて、代わりにボディーガードみたいな黒い鎧を着た人が、入り口の脇に立っていた。

 ジョーは慣れた感じで話しかけ、ジコルに会いに来た旨を伝えたところ、懐から黒っぽい石を取り出し何事か呟いたと思ったら、中からメイドさんが現れて………メイドさんが現れて!(大事な事なんで2回言いました。リアル美人メイドです)中へ招き入れてもらった。

 中に入るとまるでホテルみたいで、吹き抜けのロビーにフロントまであった……スゲー、豪華………

 メイドさんの案内の傍ら、バンに気になったことを聞いてみた。

「さっき門番が呟いてたあの石って……?」

「コウスケは始めて見たのかい?あれは『念話石』って言って、魔力を込めて話しかけると、対になった方に声を届ける魔道具だよ。魔石に『念話』の魔方陣を刻むだけだから比較的安くて便利だよ?ただ魔石の大きさで距離と回数が変わる消耗品だから、考えて買わないといけないかな?」

「なるほど……」


 便利だな……いくらか分かんないけど、安かったら後でイリーナと買いに行こう。

 そうこうしてるうちに3階の一室へと案内された。そこにはデップりと肥えた男が、長いテーブルの奥にふんぞり返って座っていた。


「フシュー……これは、これは、ジョーさん。今日も借金の肩代わりですか?」

「だから、いつも言ってるだろ?肩代わりじゃなく、あくまで手助けをしてるだけだって」

「フッフッ、お人好しですね~。そう言ってこないだも『白い梟』の女主人の借金払ってたじゃないですか?」

「あそこはツケがあったからその分を払っただけさ」

「フッフッ、まぁ、そう言う事にしときますよ?」


 ……なんか、ジョーの隠れた一面を見てしまった気がする……だいぶ予想外の話をしてたんで、小声でバンに確認したところ……リンには内緒で困ってる人をちょくちょく助けてたらしい。すごい…!ただの酒好きのスケベだと思ってたに……見直した!

 …でも何でリンに内緒にしてるのかと思ってバンに聞いたら………主に酒場や娼館で知り合った女の人ばかりだからだそうだ………うん、訂正。見直して損した!下心満載じゃねぇか!


「……それで?本日はどういったご用件で?」

「あぁ、今回俺は仲介役さ、あんたに用があるのはこっち…」

「あ、はじめまして、山本 康介やまもと こうすけと言います」

「おぉ!あなたがあの勇者ですか、噂はこちらまで届いてますよ?」

「あ、あはは……ありがとうございます……。それでですね、今日伺ったのはルートニスさんのお金の返済の件で、金貨10枚を支払いに来たんです」


 俺はそう言うと、金貨に入った袋を『アナザーワールド』から取り出し、机の上に置いた。


「…………そうですか━━━ですが申し訳ない、トラブルがあったら困るのでルートニスさん本人でないと受け取れないんですよ」

「なっ!?そこをお願いします!ルートニスさんは……おそらくダンジョンで亡くなってるんです」

「おや?そうなのですか?でしたらなぜ貴方は彼の返済をするのですか?」

「……彼のカバンを拾ったんです。その中に借用書があって、妹さんが奴隷になると書かれていて…せめて彼女を助けれたら、彼も浮かばれると思うんです…!」

「………気持ちはわかりましたが、すみませんがお引き取りください」

「そんな……!」


 このデブっ…!椅子に座ったままふんぞり返って、何が『すみません』っだ!全くこれっぽっちも思ってねぇじゃねーか…!!

 俺が怒りで文句を言おうと口を開きかけた時……隣にいたジョーが先にぶちギレて、ジコルに怒鳴った!


「オイッ!!!ジコル、こっちには借用書があるんだ!!それでなくても、本人しか返済したらダメなんてあり得ないだろ!!それが公になれば、あんたもただじゃ済まないはずだ!!!」

「チッ………これだから半端に知識がある奴は困るんだ……残念だが、いくら言おうと応じる気はない」

「………何故そこまで━━まさか…!」


 ジョーがジコルの対応に思い当たることがあったのか、驚愕すると……まるで答え合わせをするかのようにジコルが歪んだ笑みで自慢げに話した。


「そう!そのまさかだ!彼女はすでに売却先が決まってる」

「テメェ……!!!」


 すごい形相でジョーが睨んでいたが、俺はジョーの怒りが解らず……後ろにいたバンに説明を求めた。まぁ、バンも苦虫を噛み潰した顔をしていたが……


「奴隷になってない者を先に購入するという事は……強制的に奴隷にするという事━━━つまり彼女が奴隷にされそうなのは、全部仕組まれた事だったという事だ…!」

「なっ…!!?」

「フッフッ………酷い言いがかりですねぇ~?証拠もないのに勝手に決めつけないでもらえますか?」

「ふざけるな!こっちには借用書があるんだ!これを騎士にでも持っていって調べてもらえば、不正が明らかになるはずだ!」

「フッフッ、させると思うんですか?」


 ジコルはそう言って指を鳴らすと、背後の入ってきたドアからガラの悪いの集団がなだれ込んできて、俺たちに剣を向けて取り囲んでしまった。その数ざっと10人以上………


「……おぃおぃ、テメェ本気か…?」

「えぇ、その借用書さえ無くなれば、後はどうとでも言い訳が立ちますからねぇ~?………さぁ、痛い目を見ないうちにさっさと渡せ」


 くっ…!ど、どうする…!?どうすればいい!?このままじゃ…!
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