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第37話 急ぎ10階層へ…!
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「━━━はい、依頼の達成を確認しました。流石ですね、僅か二日で依頼を達成したのはこうすけさんが始めてですよ」
「いや~…運が良かっただけですよ~。あ、そうだ…ダンジョンから戻ってくる時、行きよりも魔物の数が増えてる感じでしたよ?」
「本当ですか!?情報ありがとうございます。…これで深部の調査に向かったパーティーからの報告に異常がなければもう安心ですね…」
ダンジョンから戻った俺たちは、早速冒険者ギルドへと赴き、ヘレナさんに報告すると…少し肩の荷が降りたような表情を浮かべた。
「そうなんですか…えっと…結局どうして魔物が減ってたんですか?」
「それはですね…十中八九外から魔物がダンジョンに入ってきた為ですね。そして深部に異常がなければ、入ってきたと思われる魔物は途中で力尽きたと判断できるんですが………」
「じゃあ………もし異常があれば……?」
「…高レベルの魔物になって地上に出てくる可能性があります………最悪、この町にはCランクの冒険者ばかりなので、王都に救援を頼むかもしれません…」
おぉぅ…高レベルの魔物が地上にか………うん?それってギルマスが言ってた内容と同じじゃないか?あー…でも今回は外の魔物がダンジョンに入ってきたから違うか…?
…いや…こないだのキングゴブリンの件もあるし、誰かが故意にした可能性もある…!
「ヘレナさん!ギルマスは今いますか!?」
「え?えっと…ギルマスでしたら領主様の所へ行っています……確か、『魔物が外に出た場合の為に、事前に兵を借りておく』…と仰っていたので、しばらくは戻らないかと…」
「あ、そうなんですか…なら大丈夫です」
…ギルマスも怪しいと思ったのかな…?なら後は報告を待つだけかな?
「━━━ちなみに深部まで行っているパーティーは、いつ頃戻ってくるか分かりますか?」
「そうですね……おそらく明日か、明後日には戻られると思います」
「わかりました、ありがとうございます」
ヘレナさんにお礼を告げ、ギルドを後にした俺たちは……以前にイリーナの服を買ったお店へと赴き、グラードスパイダーの糸を渡してアリアとユリアさんの服をオーダーメイドしてくれるようお願いした。━━━ちなみにアリアは半袖半ズボンで動きやすい格好を頼み、ユリアさんは………メイド服を頼んでいた………え~っと…こだわりがあるんですかね…?
服の受け取りは10日後とのことなので、俺たちは店を後にして…今日は宿でゆっくりすることとなった。
━━━ただ、夜寝るときにイリーナを意識してしまってなかなか寝付けなかった……
…むぅ…弱った…そりゃイリーナの事は好きだったけど…守ってあげたいって気持ちが強かった筈なのに………いや、それはそれだけイリーナが魅力的だったから仕方ないとして………告白…みたいな事をしてしまった件だ………受け入れてもらって、すごく嬉しかったけど………手を出したらダメじゃん!
おかしい……年下にはあんまり興味が無かった筈なのに………すごく………イリーナが、欲しい………………ハッ!?いやいやいやいや…!告白してしまったようなもんだけど…!だけど………ちゃんと気持ちを…"好き"…とは言えてない訳で…やっぱり…そういうのはキチンと気持ちを伝えてからじゃないとダメだと思うし………とりあえず………どこかの…タイミングで……"好き"…って……言わ……な…く……ちゃ……………ぐー………
*****
翌朝………結局いつ告白するか決められず、モヤモヤしつつ普段通りに振るまって…朝食を食べた後に、冒険者ギルドへと向かった。もしかしたら深部へと向かった冒険者が戻ってきてることを期待して………そしてそれは叶った━━━衝撃の事実と共に………
「━━━えぇっ!?ジョーが足止めに残った!?」
「はい…!私たちを逃がして情報を持ち帰るために…!」
リンが泣きながらその時の話を聞かせてくれた━━━敵はグールの変異種、ブクブクに太った体に……お腹にもう一つ巨大な口がついた姿だったらしい………しかもその図体にも関わらず、素早い動きで巨大な口でフレッドの仲間を喰い千切ったらしい………
休息も無しに魔物が襲ってくる中、駆け抜けてきたんだろう………リン・バン・フレッドの三人はボロボロで…今は白魔法で回復してもらうのに、僧侶を呼んでもらっているところだ……
「コウスケ………お願い…兄さんを………助けて………」
「あぁ!任せてくれ!」
「あっ!待ってください、こうすけさん!今冒険者の皆さんに召集をかけたので、集まってからの方が━━━」
「スイマセン!ヘレナさん!俺たちは先に向かいます!!!」
ヘレナさんの言葉を遮り、ギルドから飛び出していった俺に…イリーナたちは若干あきれながらも笑顔でついてきてくれた。
━━━少しでも早く助けに行こうとしたのは俺だけど………そんな俺についてきてくれる仲間がいる…!それだけで心が高ぶり、力が湧いてくる…!今行くからな…!ジョー…!
ダンジョン[暗き森]へと向かった俺たちは、最短距離でジョーと別れた10階層へと突き進む…!道中、魔物が襲ってくるが…アリアの操るゴーレムで弾き飛ばし、走る速度を緩めること無く通り抜ける。
勿論追撃してくる魔物はいたが…そこは俺とイリーナで足止めできる程度の魔法を使い近づけさせなかった。
途中までは順調だったが……グラードスパイダーが出始めると糸に絡まってしまい走り抜けるのが厳しくなってしまった………
……この糸は本体を倒すか火が無いとくっついて離れなくなるから、急いでるときは非常に厄介だった。
くそっ!トレントの蔦なら事前に察知したり、剣で切り払うことも出来るのに…!こんなことなら昨日の時点で[火魔法]を覚えるんだった…!
後悔先に立たずと言うが━━━しかし、悪いことばかりでは無かった。…それは俺が糸に引っ掛かった際の事だった…
《スキル【操糸術:Lv.1】を覚えました》
おぉっ!?マジか!?なるほど……あえて敵の攻撃を受けてスキルを覚えるって手もあるのか………そういえば重力魔法もキングゴブリンの攻撃で覚えたんだっけか……
まだレベルが低くいが…それでも絡んだ糸を外したり、張り巡らされた糸を退かす事が出来たので…比較的早く駆け抜けることが出来た。また、副次効果で糸の存在が分かるようになったのも大きかった。
そして………いよいよ10階層へと辿り着いた。
「ここが……10階層………ユリアさん、ジョーがいるとしたらこの階層だと言ってたけど………本当に…?」
「…ドM勇者に答えるのは避けたいですが仕方ありません………9階層へと続く階段は一直線です。明らかに上の存在を足止めするには逃げ回り、生き残ること………なので、今も生きているとすればこの階層にいるはずです。━━さらに付け加えるならば、ここに来るまでに変異種のグールが上ってきた気配が無かったのでまだ生きている可能性は十分あります」
「そっか…!良かった………」
「康介…!あそこ…!」
イリーナが指差す方を見ると遠く…木々の隙間から何かが近づいてきた…!
「…っ!皆、戦闘準備っ!」
「えぇ!」
『任せてっ!』
「…一々言わなくても分かります」
徐々に近づくにつれ…魔物が放つプレッシャーが伝わってくる………そして、ついにその姿を現した…!
「うgyじぇldrぃ………」
その姿は聞いていた通りブヨブヨに太った醜い体だったのだが………
「あ、あれは…!ジコル…!?」
そう…片目が飛び出していたり…頭皮が半分無くなって頭蓋骨が見えていたり…左腕だけ地面を引きずるほど巨大化して、腹に巨大な口がついた化け物だが………確かにそれは"ジコル"だった。
『…あの男…死んだんだ…』
「………まったく…死んでもその醜態を晒すなんて、つくづく最低な男ですね」
「あれが…ジコル…」
イリーナだけ会ったことが無いためピンと来ては無かったが…それでもアリアたちに酷いことをした張本人のため、厳しい表情をしていた。
その時だ…!ジコルの残った目がギョロっ!と動き、こちらを……いや、"俺"を見た…!
「ゆu……じゃ"aaa……!yuる"ざぁaaaNnnnnn!!!」
…!驚いた……あんな姿になっても意識があるのか…?いや……すでに死んでるはずだから残留思念というヤツか…?
こうしてグール変異種……ジコルとの戦いの火蓋が落とされた…!
「いや~…運が良かっただけですよ~。あ、そうだ…ダンジョンから戻ってくる時、行きよりも魔物の数が増えてる感じでしたよ?」
「本当ですか!?情報ありがとうございます。…これで深部の調査に向かったパーティーからの報告に異常がなければもう安心ですね…」
ダンジョンから戻った俺たちは、早速冒険者ギルドへと赴き、ヘレナさんに報告すると…少し肩の荷が降りたような表情を浮かべた。
「そうなんですか…えっと…結局どうして魔物が減ってたんですか?」
「それはですね…十中八九外から魔物がダンジョンに入ってきた為ですね。そして深部に異常がなければ、入ってきたと思われる魔物は途中で力尽きたと判断できるんですが………」
「じゃあ………もし異常があれば……?」
「…高レベルの魔物になって地上に出てくる可能性があります………最悪、この町にはCランクの冒険者ばかりなので、王都に救援を頼むかもしれません…」
おぉぅ…高レベルの魔物が地上にか………うん?それってギルマスが言ってた内容と同じじゃないか?あー…でも今回は外の魔物がダンジョンに入ってきたから違うか…?
…いや…こないだのキングゴブリンの件もあるし、誰かが故意にした可能性もある…!
「ヘレナさん!ギルマスは今いますか!?」
「え?えっと…ギルマスでしたら領主様の所へ行っています……確か、『魔物が外に出た場合の為に、事前に兵を借りておく』…と仰っていたので、しばらくは戻らないかと…」
「あ、そうなんですか…なら大丈夫です」
…ギルマスも怪しいと思ったのかな…?なら後は報告を待つだけかな?
「━━━ちなみに深部まで行っているパーティーは、いつ頃戻ってくるか分かりますか?」
「そうですね……おそらく明日か、明後日には戻られると思います」
「わかりました、ありがとうございます」
ヘレナさんにお礼を告げ、ギルドを後にした俺たちは……以前にイリーナの服を買ったお店へと赴き、グラードスパイダーの糸を渡してアリアとユリアさんの服をオーダーメイドしてくれるようお願いした。━━━ちなみにアリアは半袖半ズボンで動きやすい格好を頼み、ユリアさんは………メイド服を頼んでいた………え~っと…こだわりがあるんですかね…?
服の受け取りは10日後とのことなので、俺たちは店を後にして…今日は宿でゆっくりすることとなった。
━━━ただ、夜寝るときにイリーナを意識してしまってなかなか寝付けなかった……
…むぅ…弱った…そりゃイリーナの事は好きだったけど…守ってあげたいって気持ちが強かった筈なのに………いや、それはそれだけイリーナが魅力的だったから仕方ないとして………告白…みたいな事をしてしまった件だ………受け入れてもらって、すごく嬉しかったけど………手を出したらダメじゃん!
おかしい……年下にはあんまり興味が無かった筈なのに………すごく………イリーナが、欲しい………………ハッ!?いやいやいやいや…!告白してしまったようなもんだけど…!だけど………ちゃんと気持ちを…"好き"…とは言えてない訳で…やっぱり…そういうのはキチンと気持ちを伝えてからじゃないとダメだと思うし………とりあえず………どこかの…タイミングで……"好き"…って……言わ……な…く……ちゃ……………ぐー………
*****
翌朝………結局いつ告白するか決められず、モヤモヤしつつ普段通りに振るまって…朝食を食べた後に、冒険者ギルドへと向かった。もしかしたら深部へと向かった冒険者が戻ってきてることを期待して………そしてそれは叶った━━━衝撃の事実と共に………
「━━━えぇっ!?ジョーが足止めに残った!?」
「はい…!私たちを逃がして情報を持ち帰るために…!」
リンが泣きながらその時の話を聞かせてくれた━━━敵はグールの変異種、ブクブクに太った体に……お腹にもう一つ巨大な口がついた姿だったらしい………しかもその図体にも関わらず、素早い動きで巨大な口でフレッドの仲間を喰い千切ったらしい………
休息も無しに魔物が襲ってくる中、駆け抜けてきたんだろう………リン・バン・フレッドの三人はボロボロで…今は白魔法で回復してもらうのに、僧侶を呼んでもらっているところだ……
「コウスケ………お願い…兄さんを………助けて………」
「あぁ!任せてくれ!」
「あっ!待ってください、こうすけさん!今冒険者の皆さんに召集をかけたので、集まってからの方が━━━」
「スイマセン!ヘレナさん!俺たちは先に向かいます!!!」
ヘレナさんの言葉を遮り、ギルドから飛び出していった俺に…イリーナたちは若干あきれながらも笑顔でついてきてくれた。
━━━少しでも早く助けに行こうとしたのは俺だけど………そんな俺についてきてくれる仲間がいる…!それだけで心が高ぶり、力が湧いてくる…!今行くからな…!ジョー…!
ダンジョン[暗き森]へと向かった俺たちは、最短距離でジョーと別れた10階層へと突き進む…!道中、魔物が襲ってくるが…アリアの操るゴーレムで弾き飛ばし、走る速度を緩めること無く通り抜ける。
勿論追撃してくる魔物はいたが…そこは俺とイリーナで足止めできる程度の魔法を使い近づけさせなかった。
途中までは順調だったが……グラードスパイダーが出始めると糸に絡まってしまい走り抜けるのが厳しくなってしまった………
……この糸は本体を倒すか火が無いとくっついて離れなくなるから、急いでるときは非常に厄介だった。
くそっ!トレントの蔦なら事前に察知したり、剣で切り払うことも出来るのに…!こんなことなら昨日の時点で[火魔法]を覚えるんだった…!
後悔先に立たずと言うが━━━しかし、悪いことばかりでは無かった。…それは俺が糸に引っ掛かった際の事だった…
《スキル【操糸術:Lv.1】を覚えました》
おぉっ!?マジか!?なるほど……あえて敵の攻撃を受けてスキルを覚えるって手もあるのか………そういえば重力魔法もキングゴブリンの攻撃で覚えたんだっけか……
まだレベルが低くいが…それでも絡んだ糸を外したり、張り巡らされた糸を退かす事が出来たので…比較的早く駆け抜けることが出来た。また、副次効果で糸の存在が分かるようになったのも大きかった。
そして………いよいよ10階層へと辿り着いた。
「ここが……10階層………ユリアさん、ジョーがいるとしたらこの階層だと言ってたけど………本当に…?」
「…ドM勇者に答えるのは避けたいですが仕方ありません………9階層へと続く階段は一直線です。明らかに上の存在を足止めするには逃げ回り、生き残ること………なので、今も生きているとすればこの階層にいるはずです。━━さらに付け加えるならば、ここに来るまでに変異種のグールが上ってきた気配が無かったのでまだ生きている可能性は十分あります」
「そっか…!良かった………」
「康介…!あそこ…!」
イリーナが指差す方を見ると遠く…木々の隙間から何かが近づいてきた…!
「…っ!皆、戦闘準備っ!」
「えぇ!」
『任せてっ!』
「…一々言わなくても分かります」
徐々に近づくにつれ…魔物が放つプレッシャーが伝わってくる………そして、ついにその姿を現した…!
「うgyじぇldrぃ………」
その姿は聞いていた通りブヨブヨに太った醜い体だったのだが………
「あ、あれは…!ジコル…!?」
そう…片目が飛び出していたり…頭皮が半分無くなって頭蓋骨が見えていたり…左腕だけ地面を引きずるほど巨大化して、腹に巨大な口がついた化け物だが………確かにそれは"ジコル"だった。
『…あの男…死んだんだ…』
「………まったく…死んでもその醜態を晒すなんて、つくづく最低な男ですね」
「あれが…ジコル…」
イリーナだけ会ったことが無いためピンと来ては無かったが…それでもアリアたちに酷いことをした張本人のため、厳しい表情をしていた。
その時だ…!ジコルの残った目がギョロっ!と動き、こちらを……いや、"俺"を見た…!
「ゆu……じゃ"aaa……!yuる"ざぁaaaNnnnnn!!!」
…!驚いた……あんな姿になっても意識があるのか…?いや……すでに死んでるはずだから残留思念というヤツか…?
こうしてグール変異種……ジコルとの戦いの火蓋が落とされた…!
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