封印魔法の活用方法 ~スキルで自由に生きていく~

アイギス山本

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第40話 生還

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 ーーー???ーーー



「あちゃー……あのおっさん、殺られちゃったかー…」

「あ?あー…ジコルとかいう奴か。ハッ、最初から実験でやってみたんだ、ダメで元々さ」

「…だが、なかなか興味深い結果が出たから成功ともいえる」


 黒ずくめの男達3人は、とある部屋で自分達が魔物に変えたジコルが倒されたことを察知して、今後の方針を話し合った。


「レベルは50を…超えてたんだよな?それでも戻らなかったということは人間の死体じゃダメってことか?"魔封石"が馴染むのは早かったけど…」

「…次回、生きた人間を使ったとしても失敗する可能性が高いな」

「うわぁ~…どうする?じゃあまた魔物で試してく?」

「…いや…それよりも、上手くコントロールが出来なかったのは、思念が強かった為じゃないか…?失敗してる魔物も進化すると知能が高くなるし………だから、自我が少ない子供や…洗脳した人間を使ってみるのはどうだ?」

「おぉ!それ良いじゃん!試してみようぜ!」

「うーん…そうだな~、ここでもう2回もしてるし~…次の所へ行ってからの方が良いかな?」

「…そうだな…その方がいいな」

「ちぇっ、お預けか…まぁしゃーないか。んじゃ、さっさと退散すっぞ」


 3人は人がいた痕跡の全てを無くすと、誰にも気付かれることなく町から姿を消したのだった。




   *****




「………うーん…ん…ここは……?」

「あ!イリーナ!良かった…目が覚めたんだね」

「康介…?、ッ!そ、その腕どうし━━イタッ!痛たたたっ!頭が………ハッ!アイツは!?康介、ジコルはどうなったの!?」


 頭の痛みで気絶する前の事を思い出したイリーナ。俺の右肩から腕にかけて巻かれた包帯やらで、気が動転しているのを落ち着かせ………気絶した後のジコルとの戦闘と、その後の話を聞かせてあげた。



   ~~~~~



 ━━━ジコルと決着がついたすぐ後………昂っていた鼓動も落ち着いてくると、負傷した右肩を中心に激痛が戻ってきて、その場で膝をついてしまった。


『こ、康介様!?大丈夫ですか!?』

「がっ…くっ…!かなり、キツイ……イタイよ~…」

「これは…完全に折れてますね。おそらく二の腕の方も………これぐらいで泣くとは男として情けないですよ?泣き虫勇者」

「うぐぅ……い、イタイ…」


 痛い…体もだけど、心も痛い……うぅぅ…

 そんな痛みに悶える俺と心配するアリアを余所に、ユリアさんは黒ずみ、ボロボロと崩れ始めたジコルの左腕の方へ向かい………再生の原因だった魔石の回収をしだした。

 最終的に左腕からは大小様々な魔石が50個以上に、現金が96,308クルドになった。………ジョーが逃げるのに使ったお金かな?後で返そう。

 ユリアさんに罵られつつ【アイテムボックス】に仕舞い、折れた骨の応急処置で添え木代わりにの枝を使い【操糸術:Lv.1】で動かないよう固定した。……さらに激痛が走ったけど、この【操糸術】かなり便利だな。戦闘には強度が足りないが…スキルポイントに余裕が出来たらレベルを上げてみたいな…あの糸を使うキャラみたいなことが出来るんじゃないかな?イタタタッ
 すると上層から誰かが降りてくるのに気づいた。しばらく待ってると、ギルドでよく見かける冒険者と鎧を着た兵士の計18名がこちらに来た。


「君たち無事か!?」


 話を聞くと、どうやら彼らはギルドマスターが領主に頼んだ兵士達とヘレナさんが集めた冒険者の一団で、グールの変異種の話を聞いて急いで駆けつけてくれたようだ。ジョーとイリーナも保護してくれて既に地上に向かってくれたらしい。
 よかった…なら俺も早くイリーナの元に向かわなきゃ。
 彼らは変異種が存在した証拠として、ボロボロになった左腕の一部を回収すると俺たちを連れて地上へと送ってくれたのだった━━━



   ~~~~~



「━━━そっか、ジョーさん…無事だったんだ…良かった…後でお礼言わなくちゃ…」

「そうだね、それからヘレナさんとギルマスにもお礼を言わなきゃね」


 安心したように儚げにイリーナが笑ってくれたが…次の瞬間には悲しげに顔を俯かせた…


「………ゴメンね…康介………私が倒れたばっかりに…怪我させちゃって………」

「い、いや、こんな怪我どうってこと………いぎっ…!」


 これくらい何でも無いところを見せたかったのに、胸を張って軽く叩いただけでその振動が折れたところに響いて思わず声が出てしまった。

 結局、イリーナがさらに落ち込んでしまい………こういう時ってどうしたらいいんだっ!?思い出せッ!こういう時こそオタク知識だろ!?えぇ…と………だ、ダメだ、強がってどうってこと無いアピールが既に失敗してしまってる!ど、どうしたら……

 …かける言葉も見つからず…無言の沈黙が、重たい空気が流れ………様子を見に来たアリアとユリアさんが来るまで続くのだった………

 二人のおかげで重たい空気は幾分なくなり、回復魔法が使える人の話でイリーナは1日もしたら完治するそうで後遺症もないようだ。良かった………ちなみに俺も一週間程度で完治するそうだ。骨折が一週間って………スゴいな、魔法!

 もちろんスキルは覚えさせてもらいました。ありがとうございます。


 《スキル》【回復魔法:LV.1】・擦り傷、切り傷、疲労回復、効果微。


 担当してくれた人はLv.3で、骨折もすぐに治せるのはLv.4で………Lv.1は傷の治りが少し早くなるだけとのこと…ま、まぁ、無いよりはまし…!かな…?




   *****




「━━━では、せーのー…」

「「「かんぱーーーい!」」」


 あれからしばらく経ち…現在、『風の絆』の3人と一緒に、無事に生還・怪我の回復・ランクアップのお祝いを、前回と同じ"金の滴"で行っている。

 今回の一件で、俺達と風の絆はランクCに繰り上げが決まり、俺の骨折も無事に治った事をカモフラージュに……ジョーに助けてもらった感謝を伝えるべく、この会を企画したのだ。

 なにしろジョーがあの時助けてくれなかったらイリーナはこの世にいなかったんだから………俺としては感謝してもしきれないんだよね。
 …なのにジョーは逆に助けられたからと言って、ジコルから回収したお金すら受け取ろうとしないんだよね………だったら、お祝いとして好きなだけ飲み食いしてもらって少しでも恩を返そうと思ったのだ。


「━━━いや~まさか俺達がランクCだとは…もう少し先だと思ってたぜ」

「…というか私たち、兄さんが死んだかもと思ってたんだよ?上がるどころか終了ギリギリじゃない」

「全くだ…心臓に悪い」

「すまんすまん、でも無事だったから良かったじゃねーか」


 反省の色が見えないジョーにバンもリンもあきれた様子で溜め息を吐いた。


「…でも、本当にジョーが無事で良かった…そのおかげで、イリーナを失わずに済んだんだから。だから……ジョー、本当にありがとう」

「私からも。ジョーさん………助けてくれて…ありがとうございました。あなたのおかげで私は今、ここにいることが出来ます。本当に……ありがとうございます」

「よ、よせやい、俺も…助けられたんだから、おあいこだろ…?そんな…改まって言われると………あー………あ~!ほら、あれだ、じゃんじゃん飲もうぜ!なぁ!」


 感謝されるのが苦手なのか、赤くなった顔で照れ隠しをするジョー………いったい誰得だよ?…と思わないでもなかったけど、ちゃんと気持ちが伝わった様で安心した。


「━━━そう言やさ、おめぇたちパーティーの名前あるのか?」

「あー…名前か…考えて無かった」

「決めておいた方がいいぜ?もうランクCになったんだ。いつまでも無名じゃ格好がつかないぞ?」

「そっか…イリーナはどう?」

「…え?あ、私は…その…何でも良いかな?」

「わたしは、『封印の軌跡』なんてどうですか?」

「…それだと、この情けない勇者が全面に来すぎですね。『礎のゴーレム』とか良いと思いますよ」

「それだとわたしが全面に出てるよ…!?」

「良いじゃないですか。一番目立ってますし」

「そ、そうだけど…でもリーダーは康介様だよ!?」


 …俺が罵られてるのは…まぁ、いつもの事だけど………イリーナがこないだからずっと様子がおかしいんだよね………大丈夫か聞いても大丈夫って言うんだけど…うーん…


「あ、康介…これなんてどうかな…?『━━━━』」
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