僕の初恋を返せ

鹿音二号

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イフ、アナザー・ブラック~エピローグ~

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ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。
前ページにもある通り、こちらはさらにおまけというか、必要ないレベルのお遊びになります。読む人を選びそうです。
なんでも楽しめる方向け。

※注意!!!せっかくの大団円をぶん投げるパターン。

本編後だいぶ経った後の話となりますが、正規の世界線ではない、最悪のルートを通った後のエピローグとなります。受ちゃんが虐め抜かれたあと…ということで。

(以前別名義のクロスフォリオにアップしていましたが、こちらに移動しました。)

X◆X◆X◆X◆


ドリザンド王国には、秘密がある。
それはただの噂だというものもいるし、脚色された物語が一人歩きしてるのだと馬鹿にする者も。女子供が好みそうな与太話、あるいは果敢な英雄譚、真実であるとも、または真実を覆い隠すための戯曲であるとも。
それは広く領民も知っている話だが、どれひとつとしてまともな形になっていない、長い間人から人へと口の端に上るだけで、証拠や記録などはひとつもない。
これは、王族に関わる醜聞、あるいは隠された崇高な機密。
どちらともとれるため、記そうとすると厳しく罰せられるのだという噂もある。
そんなあやふやな『秘密』は、根も葉もない噂かというとそうでもないらしい。

15年前、国の存亡をかけた戦争があった。
その戦争の、救国の英雄。
彼は当時王太子だった現国王にかたく忠誠を誓い、その持てる力で国を救ったのだという。
名前は伝わっていない。どのような人物かも。
戦争終結後、その英雄は姿を消した。
生きているとも死んでいるともはっきりしない。
ただ、彼にドリザンドは救われたのだと、やれ大将軍が、宰相が、王弟が、前王である元老が、国王が――どなたが言ったかはっきりしないが、当時からおわす殿上人の名が一緒に挙がる。
その英雄も、突き詰めれば実在したのかどうか。
けれども、ここまで広まった噂だ、もとになった何かがあるのだろうとは思っている。

そんなことをエリシナが考えているのは、まさにその噂に関わる人物の目の前にいるからだ。
エリシナは、先月17歳になったばかりの文官の端くれである。やや小柄で細く、茶色の髪を長くしてひとつに括り、眠そうとよく言われる緑の瞳。性格は活発な方ではないが、その分落ち着いていることが多い。
一応男爵家の娘だが、貴族の端に位置する家柄であるため庶民と大して変わらない。
半年前に文官として城に登用が決まったときは、家族全員で狂喜した。立派な職だ一人前だ、とエリシナを褒めてくれる両親へ、今まで育ててくれた恩を返しに日々努力している。
ふと、風向きが変わったのは3カ月前。
ひょんなことから宰相閣下の直属の部下になったのだ。
ただの配置換えでぽっと紛れ込んでしまったと驚いたが、ちゃんと宰相には部下を選ぶ基準があるらしく、それをエリシナは満たしているとか。一般書記という下っ端だが、宰相のメイルズ侯爵には顔を覚えられている。
そして今、その宰相閣下に呼び出され、執務室の彼の前に立っているのだ。

レイリー・メイルズ侯爵。30代で宰相の座に上り詰めた国王の腹心中の腹心。
彼が有名なのは、その類まれな手腕もだが、自身の美貌もである。
美しい。すっと通った鼻筋や顎は整い、銀髪に怜悧な青い瞳。冴え冴えとしていて絵画の美神のようだ。
惜しまれるのは……その美しい頬に、傷跡があることだ。15年前の戦争で、負傷したものらしい。ひどい傷を負いながらもその頭脳を生かし、功績を立てたとか。
今は40代らしいが、そうは見えない。表情も固く、冷たい印象だが意外と人情に厚いのだと、先輩文官たちから聞いている。
何故、末端のエリシナが呼ばれたのか、理由は分からなかったが……どうやら、用事を頼まれるようだ。

「夕豊(ゆうほう)の宮へ、こちらを届けてください」

手渡されるずっしりとした紙束と、その無感動な言葉に――思い出したのが、救国の英雄の噂。
宰相も渦中の人だった。
その英雄が、彼の弟だという。
ずいぶん前から公に姿を見せないメイルズ侯爵の末弟は、元は隣国の貴族で縁あってメイルズ家の養子になったとか。
たしか15年前の戦争には従軍していたはずなのだが、その後ぱったりと見かけなくなった。
そして、兄の宰相はもとより、面識のあった陛下や重臣たちも、彼の話を今ではまったくしなくなったとか。
もしも亡くなったなら秘密でも何でもないが、何ひとつ話が聞こえないのは……救国の英雄と一緒だと。
あくまで噂の一つだ。
そうして、もうひとつの噂。
城の内郭の外れに、立ち入り禁止の離宮がある。
誰も入ることができないその離宮の名は、夕豊の宮。
この離宮が立ち入りを禁止されたのも、15年前からだという。
幾つも噂があって……中には国王陛下への侮辱ともとれるものもある。
けれどほとんど共通するのは、その離宮に救国の英雄がいるということ。

「夕豊の宮ですか……?」

エリシナは恐る恐る聞き返すと、宰相はあっさりと頷く。

「知っているかと思いますが、通常は立ち入り禁止です。ですが、今回は貴方に行ってもらいたい」
「は、はい」
「仕事は簡単です。その書類を宮にいる人に渡してください。そして返信をもらってくること。これだけです。ですが……」

ふと、宰相は真剣な目をする。

「そこで見聞きしたものは他言無用。これは命令です」
「……了解です」

敬礼をすれば、宰相の表情はもとに戻った。

「それさえ守っていただければ、あとは貴方に何度か頼んだ上級官への連絡伝達と変わりありません。何かあればその紙の一番上の紋章、それを近衛か上級官に確認してもらってください。護衛にひとり、近衛兵がつきます。馬車が資料棟エントランスに用意してあるので使いなさい。以上です」
「分かりました。失礼します」

内心どきどきしながら、エリシナは退室した。

「……」

持たされた書類の上、1枚目には宰相の名で命令が書かれていて、さらには証明となる紋章が描かれている……が、その紙の半分近くを占める紋章は、見たことのないものだった。

(なんだかすごいことになりそう)

ぼんやりと思いながら、エリシナは資料棟を目指した。



城郭内とはいえ、夕豊の宮へは色々な意味で遠い。
王宮から馬車で30分以上かかるし、その宮以外に周囲に何もない。そしてその離宮は立ち入り禁止だ。
もちろん行ったことはなかったが、物々しい警備がされているとか。
たまに噂を確かめようと、近くまで入り込むものもいるらしいが、近衛兵にもれなく見つかり門のへりすら拝めない。そして重罰を受けるらしい……まるで王族の警備みたいだと、配置図を見た知り合いが言っていた。

実際、そのとおりだった。
敷地に入るやいなや、2人組の近衛兵に馬車を止められ、護衛の語る説明と合わせて自身の身分を言いながら紙の紋章を見せると、やっと通してもらえた。
門前でももう一度説明を繰り返し、そして、その向こうの離宮への道には警邏に何人もの兵が立っているのだ。
緊張する。
エリシナの背中に汗が伝う。

美しい門のアーチに、自然の森のような庭。ポーチに入り、馬車を降りた。

「私はここまでです。お待ちしております」

敬礼する護衛に見送られながら、エリシナは足をゆっくり進める。
黒檀に金飾の扉があり、その前に立って、大きく息をする。目の前に下がった真鍮のノッカーを叩く。
ややあって、扉が開いた。
現れたのは、黒髪の美女だった。

「どちらさま?」

え、と口に出しかけて、慌ててエリシナは敬礼した。

「……メイルズ宰相より、文書の配達、およびその返信をいただきに上がりました」
「ああ、あなたが」

エリシナの頭から爪先を見て、ふうん、と軽い調子で頷く彼女は、有名な貴族だった。
ダーニャ・オラエルト夫人。
彼女も、噂に登場する人物だ。
夫人の髪色が、この大陸ではドリザンド王家ロタニンズ家門の血筋と同じなため、彼女が実は王家の血を引いているのでは、というのはずっと噂されていることだ。
それはいつかに違うと否定されているらしいが、彼女の噂はそれ以外もある。
救国の英雄と、きょうだい、あるいは恋人であったという。
また心臓が音を立て始めた。
けれど、夫人はエリシナになんの興味もなさそうに、

「レイリー様から預かっている紋章があるわね?見せてちょうだい」
「はい……」

差し出された手に紙を渡すと、ざっと目を通して返された。

「本物ね。どうぞ、こちらへ」
「は、はい」

……どうやら、彼女が目的の人物ではないらしい。
緊張で喉が渇く。
ゆっくりと歩くダーニャのあとについて入った離宮は、美しいがこざっぱりした内装だった。
廊下は落ち着いた青い絨毯が引かれ、壁はクリーム色の無地。たまにある飾りや調度は、上品で控えめな小物ばかりだ。
普通離宮というのは、大きな置物や絵画や、ぴかぴかした柱などがずらりと並んでいるものではないだろうか。
物珍しさに眺めていて、ダーニャの、ねえ、という呼びかけに一拍返事が遅れてしまった。

「なんでしょう」
「レイリー様から聞いていると思うけど、あたしからも言うわ」

随分砕けた口調で、けれどダーニャは有無を言わさないはっきりとした声だった。

「ここで見たもの聞いたものは絶対に言いふらさないこと。これは王命と一緒よ」
「は、はい」

王命と一緒。
ぞっとした。
破ればどうなるか、想像ができない。

「それと、レイリー様は言えなかったと思うけど……」

そういえば、彼女は宰相を名前で呼ぶ。
関係性を思えば、当たり前かもしれない。

ダーニャ・オラエルト夫人の実家は、レイリー・メイルズ侯爵の夫人エティレアの実家コペルーア伯爵家だ。
つまり、宰相は彼女の義兄ということ。

ダーニャは養子であり、コペルーア令嬢として国王の重臣ヒルジット・オラエルト伯爵令息と婚姻。社交界では仲のいい夫婦として有名で、2人の子供がいる。
だから、彼女が救国の英雄の恋人というのはさすがに眉唾なのではという人も多い。
けれど、何かしら深い関係があるのだという説も多く……

ダーニャは少し声のトーンを落として、

「この宮で、『救国の英雄』の名前は言わないで」

聞いて、エリシナは、やはりと思った。

(いるんだ、英雄が)

噂の人物がここに。
けれど、高揚感よりも、不安が勝ってくる。
誰も知らない救国の英雄の正体。
立ち入り禁止の離宮、厳重な警備……
口にできない、彼の人のすべて。

噂が飛び交っている。
実は目にするのもおぞましい醜い容貌で、恩義があるため王家がかくまっているのだとか。
あるいは戦争で怪我を負い、療養しているだとか。
あるいは、王家の重大な秘密を知ってしまった英雄は、閉じ込められているのだとか。
――実は英雄は女性で、陛下に囲われているだとか。
どれもこれも、一介の文官には重い秘密だろう。

(……仕事だ)

どうしてエリシナが離宮を訪ねる役を仰せつかったのか不思議だが、ともかくこなさなければ。
それに、秘密を漏らすなという以外に、難しい手順や内容のものではない。
ようはちゃんとお渡しし、返事をもらえばいいのだ。

(よし、落ち着こう)

整理すれば、何でもないように思えた。

「肝に銘じます」
「……ふうん」

ダーニャが一度こちらを振り返ったが、結局何も言わなかった。
長いようで短いような廊下を行く。途中で使用人らしい数人と行き違ったが、ほとんど王城と変わらない様子で軽く挨拶される程度。おかしなところはないように見えた。
様子を見るに、ダーニャはこの宮に馴染んでいるようだった。
庭らしいところに出た。
雲も少なく晴れていて、今は青空が広がっていた。広い庭で、整えられた草原と小路、はるか向こうは林のように木々が植わっていた。
たまに吹く微風が、ダーニャの黒髪を揺らす。
それを目印についていくと。
小川が流れていて、その小さな橋の向こうに東屋があった。
白い屋根と細い6本の柱。その下に、白いテーブルとチェアが揃えてある。
誰かが、腰掛けていた。
ダーニャが高貴な人らしからぬぱたぱたと駆け足で東屋に近づき。

「デイル」

早足でダーニャを追ったエリシナに、東屋の人はふと顔を向けた。

「お客さん?」

柔らかで、細い男性の声。
少年のような人だった。
線が細くて、風が吹けば飛んでいきそうだ。
詰め襟のシャツにローブを羽織り、文官の正装に似た格好だ。
年齢はよく分からない。エリシナと同じくらいにも見えるし、自分と年の離れた兄くらいにも――あり得ないが、父と同じくらいにも見える。
麦わら色の髪をゆるく編んで肩に垂らしている。温和そうな赤茶の明るい瞳は、ダーニャを見て笑みの形になり、それから、こちらを向いた。
にっこりと、彼は笑った。

「兄上のお使いかな」
「……私、メイルズ宰相付きの書記官、エリシナ・ハドウィンと申します。本日は、こちらの文書のお渡しと、その返信をいただきに参りました」

紙束を差し出すと、ダーニャが受け取った。彼女はそれをそのまま彼に渡し、彼はすっと書面に目を滑らせる。

「……そうなんだね。じゃあ、ちょっと時間をくれるかな」

やはり柔らかな、男の人にしては高めの声でそう言って、彼はふと手を差し出し、向かいの椅子を示した。

「その間、お茶でもどう」
「は、あの……恐れ多いです」
「いいからいいから」

気さくにエリシナにそう言って、彼は傍らのダーニャににこりと笑いかける。
ダーニャは肩をすくめて、それからふと建物のほうを見た。

「さっすがマーリー」
「あ、ほんとだ」

彼らの驚いたような視線の先、メイドのお仕着せを来た女性がこちらに向かってきていた。背の高い、楚々とした雰囲気のやや年嵩の使用人だ。その腕には大きなバスケットが下がっている。

「お客様が来たって聞いたからね」

そのメイドはさばさばとそう言って、手つきはていねいにバスケットから色んな物を出した。
お湯の入ったポットに、カップとソーサー。焼き菓子やパンが入った籠に、ジャムの瓶。

「座って」

ダーニャがそう言い、開いた席に座る。
しかたなく、エリシナは先ほど示された、彼の前の席に座った。
メイドは茶をみっつのカップに注ぎ、それぞれに出すとまた呼びな、と簡単に言って去ってしまった。

「うーん、マーリーの紅茶はホントにおいしい」
「うん、そうだね」

ふたりはさっそくお茶会を始めてしまう。
口をつけなければ駄目な気がして、そっとカップを持ったエリシナ。……おいしかった。

「遠慮は要らないからね。あんまりカチコチにされるとこっちが息が詰まっちゃう」

夫人はマナーもなんのその、お茶のスプーンを振り回しながら言った。
まるで、庶民のような仕草に、エリシナがびっくりしていると、今度は彼から声がかかった。

「兄上……レイリー様は、お元気?」

書類に目を落としながら、なんでもなさそうに。
……聞き間違えじゃなかった。
彼はメイルズ宰相を、兄と呼んだ。
ダーニャが読めない目でじっとこちらを見ている。

「……はい、お元気でいらっしゃいます」

嘘は言うつもりはなかったし、余計な詮索もすべきでない。
ただ、事実だけを言うと、ほっと彼は息をついた。

「……そうか」

それきり、彼は黙って文書を読み始めた。
風が、ふわりと東屋の中を通る。

「……あなたのことを聞いていい?」

ダーニャが焼き菓子をつまみながらエリシナに言った。

「レイリー様の部下でしょ?若いね、いつ頃から?」
「えっと……半年前に、文官の試験を受かりまして……」

ただの世間話だな、と思いながら、自分のことを聞かれたぶん答えた。何も隠すことはない、ちょっと実家の爵位が低いことが、伯爵家のダーニャへは恥ずかしいが……

「ふうん、将来有望なのね」

あらかたしゃべると、なんだか感心したようにダーニャが言った。

「レイリー様がここに寄越して来たのはやっぱりそういうことなんだし」
「……あの?どういったことでしょうか……」
「いーえ?あなた自信持っていいわよ」
「……ええと」

話がどうつながっているのか、エリシナにはよくわからなかった。
ただダーニャはにこにこと上機嫌に菓子をぱくついている。

「あと、あたしには、ここでは貴族のマナーとかいらないからね。元庶民なの、本当は堅苦しいのは嫌いなの」
「え、……え!?」
「あは、やっぱりあたしが誰か知ってたね」
「その、お城では粗相があってはいけないと……」
「だーから堅苦しいのやだって!知ってるわよ、あたしの噂くらい全部」
「……え、えーと」
「正直でよろしい」

ダーニャはにやりと笑って、ジャムをパンに山ほどつけた。

「気にしないわ。髪のことも、出自のことも、デイルとのこともね。よっぽど悪質なのは、国王陛下にも関わってしまうから誰かが潰してくれるし」

やはり、この離宮にはとんでもない秘密が隠されていた。
宰相を兄と呼ぶ人物。伯爵家の夫人は元庶民だといい、礼儀を求めない。
……ふたりは、どんな関係なのか。
国王陛下とも。
けれど、これは聞いてはいけない気がした。
ダーニャは手拭きで指先を拭った。

「知りたいことがあったらレイリー様に聞いて」

まるで、見透かされているようでどきりとした。

「あたしは言ってもいいことの判別つかないし。レイリー様は、」
「ダーニャ」

ふと、彼が夫人を呼んだ。
話を聞いていなかったのか、唐突で、そして気安かった。
既婚の貴族の夫人へではなく、友人か兄弟のような……

「なぁに?」

気にすることなく、ダーニャは椅子の上ですぐに彼に向き合った。

「取ってきてほしいものがあるんだ」
「わかった。どれ?」
「8の棚の7の4の、黄色の札の」
「うん。ついでにペンとインクと印入りかな?」
「頼むよ」
「りょーかい」

優しく、やはり気安くダーニャは返事して、立ち上がった。
彼のそばに一歩近づいて……頬に唇を寄せた。

「行ってくるね。何かあったら呼ぶんだよ」
「わかってるよ」

ちゅ、とリップ音。
一瞬、何を見ているのか分からず、エリシナは目を丸くして固まった。
これは……浮気の現場だろうか。
だが、堂々としすぎていて、これはむしろ……

「ダーニャと僕は、兄妹みたいなものだから」

いつの間にか、夫人の姿はなかった。
彼は相変わらず穏やかな表情で、書類を指先で1枚ずつ弾いている。

「彼女はあれで、ヒルジットが大好きだから」
「……申し訳ありません」
「いいよ。ただ、誤解させたままは嫌なんだ」

その彼の、椅子の近くに杖が立てかけてあるのをついさっき発見した。
ダーニャのような夫人が彼に言われて席を立ったのは、そういうことなのだろう。
彼は面白くなさそうに眉尻を下げた。

「マーリーもだけど、過保護が過ぎるんだ。一応僕は成人男性なんだけど、子供を見るみたいでさ」
「……悪いことではないのではないでしょうか?」
「ん?」
「その、おふたりは、本当に兄妹のようでしたから」
「……そう?」

ちょっと嬉しげに、彼は目元を緩めた。
しばらく沈黙が続いたが、気まずくなる前に賑やかになった。

「よお、悪いな、出立前に挨拶しようと思ってな」

さっきのメイドに案内されてやってきたのは、50歳くらいの粗野な雰囲気の男性だった。身分を表す紋章が、2つも首から下がっている。
エリシナは静かに驚いた。ドリザンドの国章と隣国カディラルの紋章だったからだ。
彼はエリシナと違って本当のお客のようだ。

「カッシュはまたカディラルなんだ?」
「ああ、人手が足りないらしくてな。レイリー様に問答無用でこれ渡された」

カディラルの紋章の方を指に引っ掛けて、男性はため息をついた。

「娘の誕生日も祝えやしねえ」
「ええ、かわいそうだなあ」
「だろ?」

それだけ言いたかったらしい。
出されたお茶を飲み干す前に、ダーニャが戻ってきた。彼女も旧知らしく、同じく男性の不幸を嘆き、それから挨拶を交わして男性は去っていった。

「これでいい?」
「ありがとう」

ダーニャに手渡された古い羊皮紙を、そっとめくりながら彼はものすごい速さで紙にペンを走らせる。
やがて、彼は5枚の書類を書き上げた。
エリシナは驚いた。
正式な書類に使われる宰相の印が、2種類あるのは知っていた。紙に特殊なインクで入れられたそれは、直筆のサインがなくても各所に有効なものだった。
よく似たもので、どうして2つもあるのだろうと疑問に思っていた。
そのひとつを、この離宮で見ることになるとは。
動揺を隠し、インクが乾いたのを見て文箱に入れる。
これを持ち帰れば、エリシナの仕事は終わる。
終わる、はずだった。

エリシナが離れる前にこの夕豊の離宮に、また来客があった。
いや、真の主かもしれない。
国王グレオル・ディオス・ロタニンズ。
エリシナにとっての最大の試練だった。
国王陛下への拝謁なんて、下っ端には機会がなかった。式典で、遠目にその姿を見ただけで、お会いしたときの礼儀などはまったく教えられていない。
国王陛下は、大変な美丈夫だった。
威風堂々とした体躯と、均整な顔立ち。つややかな黒髪を撫でつけ、黒い瞳は意志の強さの表れか光り輝いているようだった。
かの方がこの東屋の近くに現れたとき、エリシナは椅子にまだ座っていたのを、立ち上がるだけで精一杯だった。反射的に敬礼の形を思い出したけれど、きっと違う。
ただ、国王は、エリシナのことなど目に入っていなかった。

「デイル」

ゆったりと低い声が、優しく彼を呼んだ。

「レオ様!」

がたん、と音を立てて、彼は立ち上がる。
ばたばたと、ローブの裾をひるがえし、走ろうと、しているのだろう。けれど、足取りはやっと歩くことを覚えた子供のように拙かった。
ダーニャが、慌てて彼に追いつこうとして――やめた。
国王陛下が、彼に向かって走り出し、彼がつまずく前にその体を、抱きしめていた。

「危ないだろう」
「レオ様、レオさま」

――エリシナは最初は、それに気づかなかった。
ダーニャと彼は、その間には親愛しかなかったからだろう。
彼が国王に親しげに見えても、きっと友愛や敬愛の類だろうと。
だが――そうそうに、その予想は裏切られた。

「レオ様……」

うっとりとつぶやき、彼の顔が国王の肩に擦り付けられる。
それを愛おしげに見下ろし、手袋を外した手で、彼の顔に触れた国王。
掬うように彼の顎が持ち上げられ、国王の顔が、それに重なる。
完全に固まったエリシナの視線の先で、国王と彼は何度も唇を重ねている。

「レオ、さま……っ」

小さな彼の声が、しっとりと濡れている。
ようやく――
エリシナは、硬直から戻って顔を背けた。
ばくばくと心臓が嫌な音を立てていた。
宰相の言葉が、頭の中をぐるぐると回る。
他言無用。絶対に。
冷や汗が止まらない。

「――エリシナ」

近くにダーニャが立っていた。かたわらに、見覚えのある騎士服の男性がいる。たしか彼女の夫のオラエルト伯爵令息だったか。彼は苦笑していた――国王の側近だ、何でも知っているのだろう。

「……失礼させていただきます」

彼女たちに敬礼し、見ないようにうつむきながら、国王陛下にも。

「エリシナ・ハドウィン」

朗々とした声が、自分を呼んだ。
おそるおそる顔を上げると、国王はうっすらと笑いながらエリシナを見ていた。その片腕に、彼を抱いて。
彼は、どこかおかしかった。表情は俯いていてよく見えないが、体の力が抜けているようで、完全に国王へと体を預けてしまっている。

「……レイリーの言うことをよく聞くように」
「はい……心に、刻みます」

なんと言えば良いのかわからない。国王の言葉の意図が、読めないせいもある。
ただ、国王は一度頷いた。
エリシナが真っ青になりながら庭から出ていこうとするとき、ちらりと見えた光景は――国王に隠すように抱きかかえられた彼と、それを取り囲むダーニャたちの姿。
ひたひたと足元から上がってくるような寒気を振り払って、エリシナは離宮から離れた。



「陛下が離宮を訪ねたようですね」

宰相はエリシナが持ち帰った書類を眺めながら、どこかおかしそうに微笑する。

「何があったか、聞いても?」

想像がつきますが、と宰相に促され、エリシナは迷いながら口を開こうとして――舌の動きが止まった。
何かがおかしい、と、本能に近いところで叫んでいる。

「……他言無用……」
「素晴らしいですね、予想以上です」

宰相は安堵したように、笑みを浮かべていた。

「そうです、他言無用です。あの離宮で見聞きしたことは、誰にも、言ってはなりません。誰にもです」
「……そういう、ことですか」

どっと力が抜けて、少しふらつく。
たとえ、離宮へ行けと命を下した宰相へも、それは言ってはならないことだった。

「意地の悪いことをしました。けれど、これも必要なことだということは分かったでしょう」
「はい……」

座りましょう、と促され、備え付けのソファーに腰を下ろしたときは心底ほっとした。このまま立っていられる、自信がなかったので。

「ですが、初回ですので、私には質問を許しましょう。何か聞きたいことは?」
「……私に、この仕事を任せられた理由というのは……」

何よりも、それが疑問だった。
国の、秘密だった。
事情はよく分からないが、すこしのぞいただけでも分かる――ドリザンドの禁忌だ。

「……ちゃんと私の言う事を聞ける、彼の心身に害を及ぼさない人材だと睨んだからです」

宰相は笑みを消して淡々としている。

「宰相印にも気づいたでしょう。私と彼のやりとりの間を、信頼できる人間に任せたい。貴方は……やってくれると思っていました」

エリシナは頭を抱えたくなった。
信頼してくれているのだろう。
けれど、荷が重すぎる。こんな、末端の小娘に任せる仕事ではないだろう。

「今後やることは、今日と変わりはないでしょう。貴方はやりきった。何か他に聞きたいことがあるなら、いくらでもどうぞ」
「かの方の、お名前を」
「デイル・メイルズ」

宰相はひそやかに答えた。

「私の義弟です」
「……『救国の英雄』?」
「ええ、あまり、うれしくはない名ですがね」

宰相は、深々とため息をついて、背もたれに体を預けた。

「噂の中には正解のものもあります。けれど、あえて公表しません。あの当時を知るものは、全員口をつぐむでしょう……それが、我々が彼にできる最善です」
「どういう、ことですか」

いくつも不名誉な噂がある。それを、わざと野放しにしているという。
宰相は小さく笑う。寂しげで、何もかもに失望したような。

「……それは、言えません。ですが……」

宰相は、顔を両手で覆う。

「もう、デイルにはこれ以上傷ついてほしくないのです」

それは、明らかな嘆きだった。
ふと、エリシナが離宮で最後に見た光景を思い出す。
デイルを抱き、囲み――あれは彼を逃さないようにしているのだと、そんな気がしていた。
けれど、勘違いだったのかもしれない。
彼を愛する者たちが彼を守ろうと、必死になっていたのではないか。

「……国王陛下は、彼を愛していらっしゃるのですか」
「はい」

ともすれば、失うのはエリシナの命だけではすまないような言葉も、宰相は間髪入れず肯定した。

「かの方は、国王陛下を愛していますか」
「……ええ。きっと」

宰相は、肩を落として膝に手をつく。

「それが、彼にとっていいことか分かりませんが。グレオル様を、愛しているがために、彼は……楽になれない」

その宰相の言葉は、まだエリシナには早かった。数年後、その意味を知って、彼を思って泣いた。

国王陛下には、伴侶がいない。
公式にはそうなっている。
王妃がいないのだ。当然、世継ぎとなる御子もいない。
実のところ、後継者はもう決まっているのだ……王弟ペジネル、御年24歳の末の弟君だ。
これは元老院を仕切る前王、そして直系王族が非公式に定めたもので、国王グレオルに今後御子が生まれようと、覆されない。
なぜ、このような決めつけのような取り決めがあるのか――

もし、国王に、心に決めた者がいたとしたら。
それが、何らかの理由で王妃になれず、国王が正妃だろうが側妃だろうが、他のものを伴侶に迎える気がないのなら……
そして、それを王族が認めずにはいられない理由。
グレオル王の求めた伴侶が、救国の英雄だったとしたら。
それを、デイル・メイルズ――救国の英雄が、望むのなら。
国を救ったものを、蔑ろにできない。国王含め実直な性格のロタニンズ家だ、どうにでもなる後継者の問題なら、国王の願いを許したのではないだろうか。
そうなると、あの夕豊の宮は、デイルへの約束のようなものではないだろうか。
非公式の国王の伴侶。それを王家が認めるなら、離宮は彼の終の棲家だ。

「かの方は、どこかお悪いのですか」

立てかけられた杖、ろくに歩けない足、あの国王への尋常じゃない様子。
エリシナとダーニャと話していたときは感じなかった不穏さ。

「はい。デイルは……あの戦争で、心身共に壊れました」

宰相は、うなだれて顔を片手で覆う。

「何故彼だったのか……どうして、あの時、私ではなかったのか」

それは、エリシナには到底知り得ないことなのだろう。
そして……あのデイルの言葉を思い出した。
兄は元気かと、聞いてきたのだ。
きっと、エリシナごときが口を挟んでいい問題じゃない。
けれど……あの穏やかな離宮で、彼は何を考えて、愛した彼らを待っているのだろうか。

「私にも兄がいます」

気づいたら、口を開いていた。

「もし、兄が会えないような遠いところへ行ったら、とても心配すると思います。……きっと」

余計なことだったと、エリシナは反省した。けれど、言ったことは戻せない。
そっと宰相をうかがうと、虚を突かれたように目を丸くして、こちらを見ていた。

「すみません……」
「いえ……」

許してもらえるらしい。
宰相は、ぽつりと、そうなのでしょうか、と呟いた。



すべてを知る必要はなく、結局エリシナにとって重要なのは、いついかなる時も、夕豊の宮で見ること聞くことに動じず、それを人に言わない冷静さと節度だった。
とは言っても、初回といくつかの時が心臓に悪かっただけで、そうそう難しいことでもなかった。

「レオ様やめてぇえ……」
「ははは、よいではないか」

今日は、ギリギリのところを攻められているな、とエリシナは思ったが、最近覚えたアルカイックスマイルとかいう表情でレイリーから渡されたものを、おふたりに渡す。
彼らが出てこないと、メイドのマーリーは遠慮なくエリシナを寝室に通した。
大きなベッドの上で、明らかにさっきまで何かやらかしていた様子の国王とデイルは、仲良く寄り添い、薄衣を羽織っているが乱れた襟や袂から見える身体に跡がいくつも残っている。
デイルは真っ赤になって顔を手で覆い、それを国王はとろけるような笑みで抱いて離さない。
いちおう、うら若き乙女なのだが、エリシナは。

「ん、ありがとう。マーリーが茶を用意しているだろう。休んでいなさい」

国王は受け取った包みを片手に、デイルの額へと唇を落とす。
見せつけているのか、天然なのか。
微妙だ、とエリシナは内心ひとりごちて礼をして寝室を去った。

「マーリーさあああん」

いろんな感情を叫びながら、茶の用意をしているメイドがいる応接間に突進する。

「どうだった?」
「今日は大丈夫でした!ひどいじゃないですか!」

エリシナがぷんぷんと怒って用意された茶菓子に手を付けても、マーリーは苦笑するだけだった。

「私はちょっと、駄目だからねえ……」

彼女もデイルとはずっと親しいらしく、彼を気にかけ、どうにも出来ずにやきもきしていた一人だった。
今日は、デイルは、まともだった。
言い方が失礼すぎるが、そう形容するしかない。
彼の状態には波があるらしく、普通のときはとことん普通であり、普通だった。
けれど、その間にこなす仕事は他の追随を許さない。
実際、彼の兄である宰相のレイリーとほぼ双璧をなすと聞いた……国は、彼らふたりで回っているというのも大げさではなかった。
デイルの状態がひどいときは、本当にひどい、ようだ。
直接様子を見たことがない。面会する前にダーニャやヒルジット、マーリーなどの熟知している人々がエリシナを気にかけてくれた。
ただ、奥の部屋で国王とともにいるはずの彼の、かすかに聞こえた悲鳴と絶叫が、耳に残っている。
それが戦争のせいなら。
たしかに国王らは、彼を英雄と呼びたくないだろう。
国を救ったのは本当だとしても、引き換えに壊された犠牲者でしかない。
今日のデイルは、ちゃんとエリシナを見て赤面し、気まずげにしていたから、まともだ。
一歩手前のときは、国王からベッタリと離れず、かの方しか見えず聞こえず、自我がどこかに消えるようだった。
精神安定を求めて、愛した人にすべてを預けてすがっているのでは、と誰かが言っていた。

「今日は時間をかけずに済みそうかい」

マーリーが少しほっとしたような表情で、お茶を淹れてくれた。

甘い茶葉の香りが漂って、エリシナは口の端を上げる。

「大丈夫だと思います。いくらでも待ちますけど」

エリシナの立場は、この仕事を任せられたときに宰相特別補佐官というとんでもない肩書になった。
その極秘任務だが、することと言えば離宮にレイリーから託された物を持って行って、デイルから返答をもらうだけの簡単な仕事だ。
何時間かけてもいいと、レイリーからは言われている。彼がどんな状態か、分からないからだ。
心がひどく痛むときがある以外は、とんでもなく楽な仕事だった。会う人ほとんどが正体不明なところがある離宮だが、不思議と居心地はいい。

「先日、レイリー様がいらっしゃったよ」
「え?本当に?」
「仕事が終わられたあとでしょうね、夜にね」

疎遠だった彼らが、手紙のやりとりを始めたのは知っていた。運ばさせられるのが主にエリシナなので。
よくよく聞くと、疎遠ではあったものの顔をまったく見ていないということではなかったとか。
ただ、言いたいことが言えなかった、遠慮をしていた――ということだったらしい。
彼ら兄弟の間に何があったのか、それは知らないし、そう簡単に割り切れるものでもないのだろう。けれど、会いたいのに会えないよりマシじゃないかと、エリシナは思うのだ。
マーリーは茶菓子をさらに追加しながら、あきれたようにため息をつく。

「それを変な嫉妬して邪魔する陛下がね……」
「俺が、なんだって?」

タイミングよく、応接間の扉が開いた。デイルと国王がそろって登場だ。杖をついたデイルの片手を引き、腰に手を添えて国王がエスコートしている。
彼らが簡単な服だがちゃんと着込まれていることにほっとしていると、別の意味で焦る事態に。
メイドのマーリーと国王グレオルの口喧嘩である。

「いつまでたってもお子様だぁねって」
「おこさ……し、心配じゃないか、ふたりに何かあったら……」
「どちらもいい大人だよ、なにか?レイリー様が浮かれて何かやらかすとでも」
「……そう昔のことをだな……」

使用人が、国の一番に口答え。しかも優勢。
ぎょっとする光景だが、ここではよく見られる。
まだエリシナは慣れないが――宮のあるじが望んだことだという。
無理をしないで、楽しく過ごして。
……見た感じ、全員が楽しく過ごすと国王陛下の立場が最下層のような気がするが、それでもいいらしい。

「ごねんね、すぐに返事を書くから」

杖をついて立つデイルが、エリシナに申し訳なさそうに声をかけてくる。
この方も、妙に腰が低くて困ってしまう。
同年代のような気すらして、たまに彼が救国の英雄、しかもふたりめの宰相だということを忘れてしまう。
それも、ご本人はむしろ喜んでいそうな気がする。

「いいえ。いつまでもお待ちしていますので。堂々とサボれます」
「はは……たしかに!じゃあ、僕、マーリーのお茶を先に飲んでいい?」
「はいはい、待っててちょうだい」

マーリーがデイルの声を聞きつけ、ぱっと身を翻しお茶の準備にかかった。

「……」

なんと、ほうっておかれた形になった国王陛下である。

「もう、レオ様……立ってないでこっちに来てください」

苦笑してデイルが彼を手招くと、笑顔になる国王。彼はデイルに近づき、その手をとってふたりでソファーに座る。

「マーリーに勝てるわけないじゃないですか。仕方のない人だなあ」
「そうだな……」

デイルがそっと国王の肩にもたれかかり、その細い体をたくましい腕がぐっと抱き寄せる。
傍目には、仲睦まじい恋人同士だ。
レイリーが言っていた。この宮は彼の最後の楽園であり、鳥籠だと。
ただ幸せであってほしいと、作られた箱庭。
歪んでいても、間違っていても、彼の安寧を守る国。
良いも悪いも分からない。エリシナには関係ない。
ただ、ここはとても優しいところだった。
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