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38頁 遺 音
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『ゴ~ン・・・』
一発の鈍(ニブイ)い爆発音が聞こえました。
私達は立ち止まり振り返りました。
すると、立て続けに数発の爆発音が聞こえて来ます。
「ゴン、ゴ~ン、ゴン・・・」
緒方軍医長は病院に残したて来た沢山の英霊達に肩をつぼめて「合掌」しています。
私も、深く深く合掌しました。
そしてその後、兵隊(患者)サン達全員が不動の姿勢をとって先に逝った兵隊(患者)サン達に『敬礼』をしました。
鈍い爆発音は長く、とても長く続いていました。
心を揺さぶる音です。
私はこの時から、「生と死」に対する考え方が全く変わりました。
『虚しい』と云う言葉が手榴弾の爆破音と共に現れては消えて行くのです。
残された患者サンの誰があの机の上の「手榴弾」を配って行ったのでしょう。
私の後ろの兵隊(患者)サンは、爆破音が鳴る度に終始、震えて居ました。
前を歩く兵隊(患者)サンは、まるで無夢病者の様に一点を見詰めフラフラと進んで行きます。
『赤十字の旗』は隣りの日本軍陣地、『フィンシハーヘン』に向かって進んで行きました。
つづく
一発の鈍(ニブイ)い爆発音が聞こえました。
私達は立ち止まり振り返りました。
すると、立て続けに数発の爆発音が聞こえて来ます。
「ゴン、ゴ~ン、ゴン・・・」
緒方軍医長は病院に残したて来た沢山の英霊達に肩をつぼめて「合掌」しています。
私も、深く深く合掌しました。
そしてその後、兵隊(患者)サン達全員が不動の姿勢をとって先に逝った兵隊(患者)サン達に『敬礼』をしました。
鈍い爆発音は長く、とても長く続いていました。
心を揺さぶる音です。
私はこの時から、「生と死」に対する考え方が全く変わりました。
『虚しい』と云う言葉が手榴弾の爆破音と共に現れては消えて行くのです。
残された患者サンの誰があの机の上の「手榴弾」を配って行ったのでしょう。
私の後ろの兵隊(患者)サンは、爆破音が鳴る度に終始、震えて居ました。
前を歩く兵隊(患者)サンは、まるで無夢病者の様に一点を見詰めフラフラと進んで行きます。
『赤十字の旗』は隣りの日本軍陣地、『フィンシハーヘン』に向かって進んで行きました。
つづく
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