【第2章完】過労死した俺、今度は異世界で影の力を駆使して死なない程度に頑張ります。

疾風

文字の大きさ
14 / 34
第2章 過労死した俺、リリアが顔を隠してる理由に迫る。

第14話

しおりを挟む
 二人は無言のまま、リリーナの家に向かって歩き続けた。森の静寂が再び戻ったものの、悠斗の胸の中は複雑な思いで揺れ動いていた。「裏切り者」という言葉が、悠斗の頭から離れない。

 リリーナの家が見えてきたところで、悠斗は思い切って声をかけた。

「リリア、君は一体……何者なんだ?」

 リリアは立ち止まり、一瞬だけため息をついたように見えた。しかし、彼女は振り向かず、ただ静かに言った。

「悠斗……今はまだ言えないわ。でも、いつかちゃんと話す時が来る。その時まで……信じていてくれる?」

 その言葉には、どこか切実な響きが込められていた。悠斗はリリアの背中を見つめながら、彼女の決意を感じ取った。そして、自分もそれに応えるべきだと感じた。

「わかった。信じるよ。けど、君が危険に巻き込まれてるなら俺は君を助ける。頼りないかもしれないけど……」

 リリアはその言葉に少し微笑み、再び歩き出した。

「ありがとう、悠斗。でも、これは自分で解決しなくちゃ…あなたを巻き込みたくないわ」

 リリアの言葉に少し心が痛んだが、悠斗はそれ以上追求せず、彼女の後を歩き続けた。

 リリーナの家に戻ると、玄関の扉が軽く開いた。リリーナが心配そうな顔を覗かせていた。

「ユウト、リリアちゃん、大丈夫?ふと目が覚めたら2人ともいなかったから心配したんだよ?」

 悠斗は苦笑いを浮かべ、リリーナの言葉に答えた。

「ちょっと、外を散歩してたら……少し厄介なことに巻き込まれたんだ。でも、無事だよ」

 リリーナは安堵の表情を浮かべ、二人を家の中へと招き入れた。

「そっか……それならよかった。さあ、中に入って」

 家の中に戻ると、暖かな空気とスープの香りが二人を包み込んだ。リリアは静かに椅子に座り、フードを深く被ったまま何も言わない。悠斗も席に着き、リリーナが作ってくれたスープを飲みながら、今日の出来事を振り返っていた。

 リリーナは二人が疲れている様子を見て、特に深くは追及せず、静かに食卓を整えた。

「今日はゆっくり休んでね」

 リリーナの優しい声が、緊張していた空気を少しだけ和らげた。悠斗は彼女に感謝しながら、リリアが何を抱えているのか、そして自分がどう彼女を助けられるのかを改めて考えていた。

 スープを飲み終える頃には、疲れが一気に押し寄せてきた。悠斗は椅子に体を預け、深い息をついた。

「リリアさん、俺は君を信じるよ」

 リリアは少し驚いた表情で悠斗を見たが、すぐに穏やかな微笑を浮かべ、そっと目を閉じた。

「ありがとう、悠斗。今は……それだけ言葉だけで十分」

 その言葉を聞いた悠斗は、リリアの隠された何かが大きな問題であることを改めて感じつつも、今はその「いつか」を待つしかないと心を決めた。

 その夜、静かに過ぎていった。翌朝には新たな戦いが待っているかもしれないが、今はこの瞬間だけを大切にしようと、悠斗は眠りにつく。

 そして、リリアもまた、心の奥底で何かを決意しながら、静かに目を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

処理中です...