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14.不平等

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魔法が成功しリンはやったー!と声には出たものの、とある疑問が浮かび上がった。

なぜ炎は手のひら程度なんだろう。その答えはすぐにでてきた。

それは魔力の差。

やはり魔力の差は自分に現実を突きつける。悲しくなるほどに。

こんなに小さい炎がなんの役に立つというんだ。
レイル先生は初めに得意、不得意はあるとは言っていたもののこれは酷すぎる。

そんな事を1人で考えていると
「リンちゃ~んカナちゃ~ん!」と半泣きのシノが呼んでいる

リンはニコッと笑って駆けつけた。

このモヤモヤは一旦忘れることにしたリン。

シノーラ「リンちゃ~ん!どうやってテスト合格したのー」

リン「んーっとね。なんかねー。なんというか。言葉に表すのは難しいんだけど頭に火の形をインプットする感じで…。この火を出そう。って強く思ったかなー。」

シノーラ「インプット…インプット…。」

カナリア「そんな焦っても何もできないよ!?まずはリラックス!」

シノーラ「リラックス…リラックス…。」

天然なのか不器用なのか…そんな様子をみてリンとカナは微笑む。

リン「とりあえず手を出してここから火が出てくるのをイメージしてから火を出す!そんな感じにやってみて!」

言われたようにシノは手を握り締めゆっくり開く…
凄い小さな炎が手のひらで燃えている。

シノーラ「出来た!出来たよ!リンちゃん!カナちゃん!」

まるで子供が喜んでるみたいにはしゃぐ。

「レイル先生!できました!」と手のひらに火を持ちながら小走りで走っていった。

「シノーラか。よし合格だ。しかし火を持ちながらだったら危ないだろ?次はちゃんと消して目の前で見せることだな。」

「はい!ありがとうございます!!」

おもちゃを貰った子供のように喜んでいたその姿はリンの心を癒してくれた。

「今日の授業はこれまでだ!皆、明日に備えるように!!」その一声で解散する。

この授業、本来の目的が分からないものは火の魔法を使えることなく授業が終わった。

「この授業なんの意味があったんだ?カナリア様に教えてもらっていた2人は出来ていたみたいだけど先生なにも言ってくれねーし、あいつらだけずるくねー?」

「きっとカナリア様と仲良くなれたからって図々しく教えて欲しいって頼んだのよ!」

「なによそれ!調子乗りすぎ。」

様々な噂が流れリンとシノは貴族に気に入られる為に媚びを売った。と学年で騒がれていた。

それを知った会長が全校集会でこう言う。

会長「誰が誰と友達になろうが他の生徒には関係ないはずです。あの人は誰とつるむべきだとか何故他人に決められなければならないのかが私には理解が出来ません。貴族には家の名前があり、名誉だと称えられていたとしても王族からみれば民間人と一緒なのですよ。上などないのです。皆平等なはずなのです。それをしっかり理解し、魔法を勉強していってください。以上です。」

どれほど憧れる、信じている会長にそう言われても誰だって考える。「会長に噂の話を話したのではないかと…。」より一層噂は広まった。
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