吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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出会いを楽しむ吸血少女

久しぶりのラングさん

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 スノウ達のおかげで半分くらいの探索を終えてログアウトした。ご飯とお風呂を終えてログインすると、ラングさんからメッセージが届いていたので、ファーストタウンのラングさんのお店に向かった。

「こんばんは」
「おお、嬢ちゃん。急に悪いな」

 久しぶりにラングさんと会ったけど、ラングさんは特に変わっていない。私の噂も聞いている気がするけど、特にそれを感じさせない。

「いえいえ、全然気にしないでください。本当に用事があったら来てませんから」
「まぁ、だろうな。メッセでも書いた通り、血刀の強化をしたい。まだ使っているか?」
「基本は双剣か神殺しですけど、二刀流で戦う時とかイベントとかで使いますよ」
「そうか。神の知り合いも神器の隠れ里の知り合いも出来ているだろうから、もう使ってないかと思っていたが」
「そもそも最近は自分で戦闘する事がめっきり減りましたからね」

 探索に出ていないというのもあるけど、基本的に戦闘は周りの皆がやってくれている。だから、そもそも武器を使う機会が減っているという事は大きい。

「そういえば、掲示板にもあったな。神と悪魔と妖怪が襲ってきたと」
「今では天使や騎士もいますよ」
「はは……またプレイヤーから外れた事をしているみたいだな」

 私の中で、一般プレイヤー代表と言っても良いラングさんからそう言われてしまうと苦笑いしか出来ない。でも、私がプレイヤーから外れた事をしている理由の一端は、私以外のところにもある。

「害悪プレイヤーが馬鹿な事ばかりするからですよ。おかげで、妖都からも皆が引っ越す事になりましたし」
「ああ、そういえば、妖都から妖怪が消えた問題は出ていたな。てか、妖怪達も嬢ちゃんのところに行っているのか……それについては、掲示板でも連日騒がれている。運営に問い合わせた奴もいたらしいぞ」

 運営に問い合わせているというのは初耳だ。それでどういう結果が出たのか気になる。

「それは知りませんでした。どうなったんですか?」
「プレイヤーの行動が影響している事だから、正常な結果だと。妖都はこれからプレイヤーが発展させていく都市に切り替わるという風に言われたそうだ。実際、妖都に向かうとそういう旨のメッセージが出て来る」
「へぇ~……プレイヤー全員で作るギルドエリアみたいですね」
「ギルドエリアか? 特に発展があるという話は聞かないが」
「え? ああ、まぁ、普通は気付かないですよね。一応、ギルドエリアにも発展度とかがあるんです。だから、ちゃんと発展させると色々と出来る事が増えるんですよ。住人が必要ですけど」
「大分無理がないか? 住人なんてどうやったら増えるんだ?」
「う~ん……私の場合神様が住んだりしていますし、色々な土地神さんの街が統合されているので、最初の増やし方は分からないですね」

 エルフの里とかそういうところで勧誘するとかはあるけど、ギルドエリアの住人としてしっかりと勧誘する方法を訊かれるとどうすれば良いのだろうと思ってしまう。まぁ、普通に勧誘するしかない気がする。成功するのかよく分からないけど。

「…………掲示板で騒がれている事の半分以上は嬢ちゃんが関連していそうだな」
「おかげでしばらく探索に出られませんでしたよ」
「ああ、襲撃するみたいなスレが立っていたな。すぐに通報されていたみたいだが。一時期掲示板も大荒れしていた時、嬢ちゃんを庇う投稿も多かったぞ」
「そうなんですか?」
「ああ。そもそもチートならイベントで使った時点で処分の対象になるとか、結局はただの嫉妬でしかないとか、害悪プレイヤーの責任であって嬢ちゃんの責任ではないとかな」
「へぇ~、やっぱりまともな人はいるんですね」
「人は良い行いよりも悪い行いの方に目が向くからな。注目度もそっちの方が高くなる。そういや新しい街には行ったか?」
「新しい街?」

 新しいエリアに街はなかったので、首を傾げてしまう。だけど、すぐに一つの答えに気付いた。

「もしかして街から転移で行ける場所ですか?」
「ああ。良い素材や家具や見た目の良い服なんかが売っている場所で、少しでも悪さをすると追放されるらしい」
「私のギルドエリアの一つですね」

 私がそう言うと、ラングさんは固まった表情でこっちを見てきた。その目は何とも言えないという感じがする。私の言っている事を上手く理解出来ていないという感じだ。

「ギルドエリア?」
「はい。三つのギルドエリアを持てるようになって、そのうちの一つにある街に作った商店街のみを開放してるんです。あの商品はアカリがアカリエで取り扱うのに作りすぎたものとかを置いています。後は、うちの住人が作っているものですね。追放は私が出禁リストに放り込んでるだけです。迷惑行為をしなければ誰でも利用出来ますよ」
「何というか、一人だけ別ゲーだな……」
「まぁ、自由度は凄いですよね。ラングさんもうちを利用してるんですか?」
「何か良さげなものがないかは見ているな。まぁ、俺は自分で武器を作るからな。後は、鍛冶屋を飾り付けるのに利用している」

 そう言われて周囲を見回すと、タペストリーとかが飾られているのが分かる。そのデザインには見覚えがある。多分アラクネ達の作品だ。綺麗というよりも格好いいが勝るようなデザインをしているから、鍛冶屋の雰囲気に合っている。

「オーダーメイドはしてないのか?」
「家具ですか? してませんね。そもそも店員は機械人形の皆ですし、皆が練習で作ったものとかを売り出しているような感じですから。アカリエでも服のオーダーメイドならまだしも、家具とかになるとオーダーメイドはしてないと思います」
「そうか。大きさを指定出来れば場所に合わせられると思ったんだが」
「う~ん……皆に自由に作って貰っているだけなので、オーダーメイドで指定するのはちょっと」

 そのままだと倉庫に置かれるだけになるものを売り出しているだけなので、商品にしようとして作っている訳では無い。本当に練習で作ったものや工場生産のものなども多いので、オーダーメイドは合わない。

「なら仕方ないな。オーダーメイドだと金を取れるが、今の状態でも十分に儲かっていそうだしな」
「そうですね。材料はほとんどギルドエリアで取れますから、材料費はほぼないですし、利益はかなり出てますね。うちの悪魔が金貨のお風呂で喜んでました」
「おぉ……悪魔らしいな」

 マモンも七つの大罪を司る悪魔だから悪魔の代表格と言っても良いのかな。マモンは私から許可を貰って金貨の一部を使い、自分の家で金貨風呂に入っている。ただただ痛いだけではと思ったけど、金貨に浸かっているマモンは嬉しそうだった。

「まぁ、話はそんな感じだ。血刀の特徴を残しながら、少し改良しておく。また明日来てくれ」
「はい。ありがとうございます。あっ、そうだ。ラングさんが使ってるハンマーとかってあります?」
「ハンマー? 鍛冶用のか?」
「はい」

 私が頷くと、奥に向かったラングさんがハンマーを持って戻ってくる。

「これだ」
「お世話になったお礼にハンマーを強化して良いですか?」
「ん? あ、ああ」

 私が強化するという話で、ラングさんは困惑していたけどハンマーを渡してくれた。そのハンマーを血液で覆って神気を纏った鉄を入れる。そして祈りを捧げる事で奇跡を確定で引き出して強化した。
 そうして真っ赤に染まったハンマーが出来上がる。

「どうぞ」
「お、おお……どうやってっていうのは聞かない方が良いか?」
「いえ、ラングさんなら構いません。これは、私のスキルと奇跡を使った強化です。これによって、ラングさんの鍛冶でも奇跡が起こるようになります。低確率ですが。奇跡と言うのは、本当にあり得ないような変化とかですね」
「なるほどな……低確率を確定で引き出しているように見えたが」
「私はスキルのおかげで祈りを捧げれば最低限の奇跡を起こせます」
「おぉ……そうなのか。まぁ、有り難く頂く。ありがとう」
「いえ、これまでのお礼も込めてますので」

 私はそう言って、ラングさんに血刀を預けた。武器も防具もアクセサリーも改良していくから、また少し強くなれるかな。これ以上強くなってどうするのかという話ではあるけど。
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