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学園中等部
七歳のセレーネ
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それから月日が流れていき、セレーネは七歳となった。身長も伸び、順調に成長している。
この国では、七歳から学園に入る事が義務付けられている。学園は国に複数存在するが、セレーネが通う学園は王都にある学園となっている。
そのため、セレーネは王都にあるクリムソン邸に戻る事になっていた。そんな中で、セレーネは一つ気になっている事があった。それは家庭教師をしてくれているレイアーがどうなるのかだ。
「私は王都に戻るの。先生は?」
「私も同じく王都に戻りますね。セレーネ様が通う学園で准教授として働く事が決まったので」
「そうなの!? じゃあ、また教えて貰える!?」
セレーネは期待の眼差しでレイアーを見る。そんな眼差しを受けたレイアーは、少し気まずそうな表情をする。
「いえ、基本的には講義などの手助けと教授の助手的な事をする事になりますので、セレーネ様が通っている時に教えられるかは分かりません」
「え~……私、先生が良い」
「私などよりも凄い教授が多いですから、セレーネ様にとっても学びになると思いますよ。それに、セレーネ様は恐らく飛び級されると思いますから」
「ふふん! 先生が良いからね!」
熱心にカノンとレイアー、キリルによる授業を受けていたおかげで、セレーネの学力などは、これから入学する小等部の域を超えていた。あの事件があってから、あまり外出をしなくなったというのも大きかった。
セレーネのトラウマになったわけではなく、再び被害に遭わないように外出頻度を落とした方が良いとセレーネから提案した事によるものだ。ミレーユは、それを了承した。ミレーユとしても、まだ街が安全と言えなかったからだ。
人身売買組織に関しては、まだ完全な取り締まりが出来ていなかった。セレーネの一件から、犯人達の身元を確かめて家捜しをした結果、芋づる式に検挙出来たものの、それでも組織の一部に過ぎない。そして、それらは蜥蜴の尻尾切りのようにされたのではと考えられていた。
「王都では、衛兵の数が多くなりますので、誘拐事件は起こりにくいと思いますが、十分にお気を付け下さい。まぁ、今のセレーネ様なら自衛くらいは問題ないと思いますが……」
「ふふん!」
セレーネは誇らしげに胸を張る。
「ですが、戦闘魔術を使う際には」
「ちゃんと相手を確かめてからでしょ。分かってる」
「はい。下手に使って、味方や無害な方を傷つける事はないように」
「は~い」
「では、今日の授業はここまでです。次に会う時は、王都の学園ですね」
「うん。またね、先生」
今日がレイアーの最後の授業だった。だが、セレーネは何でもないように手を振ってレイアーを見送る。すぐに学園で会うことが出来ると分かったからだ。いずれ再会出来る別れなら、泣くよりも笑って別れたいというのがセレーネの考えだった。
レイアーを見送った後、入れ替るようにカノンが戻って来た。授業の間に、ちょっとした買い物に行っていたのだ。カノンもセレーネ同様に成長していた。より綺麗になったカノンだが、その中身までは変わっていない。
「ただいま戻りました」
「おかえり、カノン」
セレーネは椅子から降りると、カノンに飛びついた。カノンは蹌踉ける事なく受け止める。
「今日は最後の授業でしたが、どうでしたか?」
「そうだ! 先生もね! 王都に来るんだって! 学園で……准教授?っていうのになるらしいよ!」
「それでしたら、向こうでも会えますね」
「うん! でも、もう教えてもらうのは無理っぽい……」
「そうですね。お嬢様は、飛び級されると思いますし、講義を受けるのは厳しいかもしれませんね」
「むぅ……」
「仕方ありませんよ。それに、講義を受けるにしても今のような状態では無く複数人対して行いますので、お嬢様の理想通りにはならないと思います」
「えぇ~!? はぁ……」
セレーネがショックを受けていると、クロがやって来て、腰辺りに顔を擦り付ける。
「クロ~……やっぱり寂しいよね?」
「にゃ~」
「そればかりは仕方ないと言っていますね」
「クロって、割と現実主義な部分あるよね……」
そう言いながらも、セレーネはクロの身体を大きく撫でていく。クロはあまり成長していないので、変わらず二メートル程の大きさだ。成長したセレーネでも、やはり大きいと思ってしまう大きさである。成長したセレーネでも背中に乗せて移動出来るので、外で遊ぶ際などはよく乗っていた。
「そういえば、私って別邸に住むんだよね?」
「そうですね。クリムソン侯爵家が所有する屋敷にはなりますが、本邸からは少し離れています。その分学園には近いですが」
「よくお父様が許してくれたよね」
「奥様がおっしゃるには、旦那様は、奥様に土下座までして本邸に住んで貰おうしていたらしいですね」
「まぁ、クロを飼うなら本邸は難しいって話だから仕方ないよね。人が来た時に驚かせちゃうかもしれないし」
セレーネ達は、クリムソン邸に住むが、同じ王都にある別邸に住む事になっていた。飼い猫としてクロがいる事は問題ないものの本邸には人が多くいるため、クロには狭いというのが理由となっている。セレーネとしても、クロが廊下を歩いていたら、普通に驚く人が多いだろうと思い、別邸で良いという風に考えていた。
「そのために別邸の改装もされた訳ですので、使わない訳にもいきませんしね。旦那様が通うようになるだろうと奥様がおしゃっていました」
「う~ん……仕事で忙しいと思うけど……私としては、お姉様に会いたいな」
父親よりも姉に会いたいというセレーネに、カノンは苦笑いする。
(旦那様が聞いたら、本気で落ち込みそうだなぁ)
セレーネが誘拐されたという報告を受けて、父親であるラングリドは、すぐにセレーネの元まで来た。その際に、カノンも面識を得たが、その時の一回会っただけでそう考えてしまうくらいには、娘を溺愛している父親という印象が強かった。
「そういえば、お姉様からの手紙に、アカデミーに通うって書いてたんだけど、アカデミーって学園と近い?」
アカデミーとは、学園とは違い、より専門的な分野を学ぶための場所である。
魔術や科学などの研究者、衛兵などとして街の治安を守る騎士や魔術師、建築や鍛冶などをする職人を養成するための学校で、最低でも四年間通って学ぶ事になっている。尚、研究などが中心となるため、学費が高めになっている。
「どうでしょう? 私は、最初からアカデミーに行く気はありませんでしたから、あまり調べていないのです」
「そういえば、学園卒業して、すぐにメイドになったんだっけ?」
「はい。私の家は、裕福とは言えないので、奨学金を使って高等部に通っていました。弟妹達を学園の高等部まで通わせるには、私も働いて奨学金を返しつつ仕送りするしかないと考えて、卒業してすぐに働く事にしたのです。幸い、すぐに奥様が雇って下さいましたので助かりました」
「ふ~ん……奨学金って何?」
「家庭が裕福ではない生徒に対して、学校に通えるように援助するためのお金です。お嬢様には、あまり関係ないものですね」
「ふ~ん……カノンは、返し終わったの?」
「そうですね。奨学金自体は、クリムソン侯爵家に肩代わりして貰いました。なので、今はクリムソン侯爵家に返している状態ですね。私の給料から住み込み分の光熱費などと一緒に一定額を引かれています。それでも良い給料を頂いていますが」
侯爵令嬢の専属メイドという事もあり、カノンの給料はその辺で働くよりも高い。そこから屋敷で住んでいる間に使う費用などと一緒に奨学金の返済分が引かれる。ただ、それでもカノンの給料は高い。カノンは、そこから家族への仕送りをし、セレーネのために色々な物を買っていた。
治癒薬もその一つである。この治癒薬の購入費に関しては、後々に給料分にプラスされて戻って来た。個人的にセレーネのために買ったものだが、かなり高価な物という事もあり、ミレーユが払う事にした。その後、そういった品に関しては、自腹を切らずに相談するようにと強くいわれていた。
「へぇ~……後々には、私がカノンの給料を出さないといけないのかな?」
「お嬢様のお世話をする費用だけ頂ければ、給料は要りませんよ?」
「う~ん……まぁ、その時になったら考えれば良いや」
「そうですね」
「にゃ~」
年月が経ち、眷属となった後でも、セレーネとカノンの仲は変わる事はなかった。
この国では、七歳から学園に入る事が義務付けられている。学園は国に複数存在するが、セレーネが通う学園は王都にある学園となっている。
そのため、セレーネは王都にあるクリムソン邸に戻る事になっていた。そんな中で、セレーネは一つ気になっている事があった。それは家庭教師をしてくれているレイアーがどうなるのかだ。
「私は王都に戻るの。先生は?」
「私も同じく王都に戻りますね。セレーネ様が通う学園で准教授として働く事が決まったので」
「そうなの!? じゃあ、また教えて貰える!?」
セレーネは期待の眼差しでレイアーを見る。そんな眼差しを受けたレイアーは、少し気まずそうな表情をする。
「いえ、基本的には講義などの手助けと教授の助手的な事をする事になりますので、セレーネ様が通っている時に教えられるかは分かりません」
「え~……私、先生が良い」
「私などよりも凄い教授が多いですから、セレーネ様にとっても学びになると思いますよ。それに、セレーネ様は恐らく飛び級されると思いますから」
「ふふん! 先生が良いからね!」
熱心にカノンとレイアー、キリルによる授業を受けていたおかげで、セレーネの学力などは、これから入学する小等部の域を超えていた。あの事件があってから、あまり外出をしなくなったというのも大きかった。
セレーネのトラウマになったわけではなく、再び被害に遭わないように外出頻度を落とした方が良いとセレーネから提案した事によるものだ。ミレーユは、それを了承した。ミレーユとしても、まだ街が安全と言えなかったからだ。
人身売買組織に関しては、まだ完全な取り締まりが出来ていなかった。セレーネの一件から、犯人達の身元を確かめて家捜しをした結果、芋づる式に検挙出来たものの、それでも組織の一部に過ぎない。そして、それらは蜥蜴の尻尾切りのようにされたのではと考えられていた。
「王都では、衛兵の数が多くなりますので、誘拐事件は起こりにくいと思いますが、十分にお気を付け下さい。まぁ、今のセレーネ様なら自衛くらいは問題ないと思いますが……」
「ふふん!」
セレーネは誇らしげに胸を張る。
「ですが、戦闘魔術を使う際には」
「ちゃんと相手を確かめてからでしょ。分かってる」
「はい。下手に使って、味方や無害な方を傷つける事はないように」
「は~い」
「では、今日の授業はここまでです。次に会う時は、王都の学園ですね」
「うん。またね、先生」
今日がレイアーの最後の授業だった。だが、セレーネは何でもないように手を振ってレイアーを見送る。すぐに学園で会うことが出来ると分かったからだ。いずれ再会出来る別れなら、泣くよりも笑って別れたいというのがセレーネの考えだった。
レイアーを見送った後、入れ替るようにカノンが戻って来た。授業の間に、ちょっとした買い物に行っていたのだ。カノンもセレーネ同様に成長していた。より綺麗になったカノンだが、その中身までは変わっていない。
「ただいま戻りました」
「おかえり、カノン」
セレーネは椅子から降りると、カノンに飛びついた。カノンは蹌踉ける事なく受け止める。
「今日は最後の授業でしたが、どうでしたか?」
「そうだ! 先生もね! 王都に来るんだって! 学園で……准教授?っていうのになるらしいよ!」
「それでしたら、向こうでも会えますね」
「うん! でも、もう教えてもらうのは無理っぽい……」
「そうですね。お嬢様は、飛び級されると思いますし、講義を受けるのは厳しいかもしれませんね」
「むぅ……」
「仕方ありませんよ。それに、講義を受けるにしても今のような状態では無く複数人対して行いますので、お嬢様の理想通りにはならないと思います」
「えぇ~!? はぁ……」
セレーネがショックを受けていると、クロがやって来て、腰辺りに顔を擦り付ける。
「クロ~……やっぱり寂しいよね?」
「にゃ~」
「そればかりは仕方ないと言っていますね」
「クロって、割と現実主義な部分あるよね……」
そう言いながらも、セレーネはクロの身体を大きく撫でていく。クロはあまり成長していないので、変わらず二メートル程の大きさだ。成長したセレーネでも、やはり大きいと思ってしまう大きさである。成長したセレーネでも背中に乗せて移動出来るので、外で遊ぶ際などはよく乗っていた。
「そういえば、私って別邸に住むんだよね?」
「そうですね。クリムソン侯爵家が所有する屋敷にはなりますが、本邸からは少し離れています。その分学園には近いですが」
「よくお父様が許してくれたよね」
「奥様がおっしゃるには、旦那様は、奥様に土下座までして本邸に住んで貰おうしていたらしいですね」
「まぁ、クロを飼うなら本邸は難しいって話だから仕方ないよね。人が来た時に驚かせちゃうかもしれないし」
セレーネ達は、クリムソン邸に住むが、同じ王都にある別邸に住む事になっていた。飼い猫としてクロがいる事は問題ないものの本邸には人が多くいるため、クロには狭いというのが理由となっている。セレーネとしても、クロが廊下を歩いていたら、普通に驚く人が多いだろうと思い、別邸で良いという風に考えていた。
「そのために別邸の改装もされた訳ですので、使わない訳にもいきませんしね。旦那様が通うようになるだろうと奥様がおしゃっていました」
「う~ん……仕事で忙しいと思うけど……私としては、お姉様に会いたいな」
父親よりも姉に会いたいというセレーネに、カノンは苦笑いする。
(旦那様が聞いたら、本気で落ち込みそうだなぁ)
セレーネが誘拐されたという報告を受けて、父親であるラングリドは、すぐにセレーネの元まで来た。その際に、カノンも面識を得たが、その時の一回会っただけでそう考えてしまうくらいには、娘を溺愛している父親という印象が強かった。
「そういえば、お姉様からの手紙に、アカデミーに通うって書いてたんだけど、アカデミーって学園と近い?」
アカデミーとは、学園とは違い、より専門的な分野を学ぶための場所である。
魔術や科学などの研究者、衛兵などとして街の治安を守る騎士や魔術師、建築や鍛冶などをする職人を養成するための学校で、最低でも四年間通って学ぶ事になっている。尚、研究などが中心となるため、学費が高めになっている。
「どうでしょう? 私は、最初からアカデミーに行く気はありませんでしたから、あまり調べていないのです」
「そういえば、学園卒業して、すぐにメイドになったんだっけ?」
「はい。私の家は、裕福とは言えないので、奨学金を使って高等部に通っていました。弟妹達を学園の高等部まで通わせるには、私も働いて奨学金を返しつつ仕送りするしかないと考えて、卒業してすぐに働く事にしたのです。幸い、すぐに奥様が雇って下さいましたので助かりました」
「ふ~ん……奨学金って何?」
「家庭が裕福ではない生徒に対して、学校に通えるように援助するためのお金です。お嬢様には、あまり関係ないものですね」
「ふ~ん……カノンは、返し終わったの?」
「そうですね。奨学金自体は、クリムソン侯爵家に肩代わりして貰いました。なので、今はクリムソン侯爵家に返している状態ですね。私の給料から住み込み分の光熱費などと一緒に一定額を引かれています。それでも良い給料を頂いていますが」
侯爵令嬢の専属メイドという事もあり、カノンの給料はその辺で働くよりも高い。そこから屋敷で住んでいる間に使う費用などと一緒に奨学金の返済分が引かれる。ただ、それでもカノンの給料は高い。カノンは、そこから家族への仕送りをし、セレーネのために色々な物を買っていた。
治癒薬もその一つである。この治癒薬の購入費に関しては、後々に給料分にプラスされて戻って来た。個人的にセレーネのために買ったものだが、かなり高価な物という事もあり、ミレーユが払う事にした。その後、そういった品に関しては、自腹を切らずに相談するようにと強くいわれていた。
「へぇ~……後々には、私がカノンの給料を出さないといけないのかな?」
「お嬢様のお世話をする費用だけ頂ければ、給料は要りませんよ?」
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