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成長する王女
間一髪
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ザリウスの剣がマリーを襲う直前、ダメージ変換の結界がいきなり消え去った。
「えっ!?」
「なっ!?」
マリー達も結界が消えた事に気が付いたが、攻撃を止めることも、今から当たらないように避けることも不可能だ。このままでは、マリーが大怪我をしてしまう。いや、ほぼ確実に死んでしまうだろう。
「マリー!!」
コハクが、悲鳴に近い叫びを漏らす。その隣では、リンが闘技場に飛び込もうと腰を上げている。リリー、セレナ、アイリは、衝撃が強すぎて身体を動かせない。
誰もが、マリーの死を予感していた。ほどんどの観客は目を背けている。
マリーは、真っ直ぐにザリウスの剣を見ていた。確率がゼロに等しいとしても、どこかに助かる道があるかもしれないからだ。
(動きがゆっくりに見える……死ぬ直前にそうなることがあるって言うけど、本当の事だったんだ。もう剣は目前に迫っている。躱すことは無理。魔法による緊急回避は間に合わないし、剣はもっと無理。結界も靴も間に合わない。他に起死回生の魔道具なんてないし……)
そう考えている間にも、剣はマリーに迫っている。
(これも国王の作戦かな? いや、ザリウス先輩は、完全に利用されただけだと思うけど。お母さん、ぶち切れないと良いな)
マリーは、半ば死を覚悟しながらも、ほんの少し身体を動かして避けようとしている。だが、もう無理だろう。ザリウスの剣は、止まることなくマリーを両断する……かのように見えた。
マリーの目の前、文字通り目に触れるか触れないかの地点で、ザリウスの剣が不自然に跳ね上がった。マリーは、直前まで迫っていた死の恐怖に膝から崩れ落ちる。頭の中では冷静でも、身体は正直だった。
観客席が響めく。マリーが助かったということもあるが、闘技場にマリーとザリウス以外にもう一人いたからだ。
「マリー! 大丈夫か!?」
マリーは声がした方、命の恩人がいる方向に顔を向ける。光の加減のせいで、少し顔が見にくいが、マリーにはそれが誰かすぐに分かった。
「アルくん……?」
「ああ、間に合って良かった。怪我は無いな?」
「うん、ありがとう」
アルに支えられてマリーが立ち上がる。
「すまない! 俺が剣を止めなければならかった!」
マリーと入れ替わるように、ザリウスが、地面に膝を付けて頭を下げていた。いわゆる土下座の状態だ。
「先輩! 頭を上げてください! あそこまで勢いづいていたんです。先輩でも、攻撃をすぐに止めるなんて出来ないでしょうし、結界が消えるなんて誰も予想して……」
マリーは、そこで言葉を切って、アルの方を見た。
「何で、アルくんは間に合ったの?」
結界が消えるなんて事は、誰も予想していなかった。だが、アルは、マリーに迫る危機を止めてくれた。結界がなくなると知っていないと間に合わないはずだった。
「ああ、これだ」
アルはそう言って、耳を指さした。それだけで、マリーは、アルが何を言わんとしているか理解した。
「でも、どこを?」
アルは、自分の身体で隠しながら上の方を指した。
「ああ……」
アルが間に合った理由は、国王達の話を盗聴器で聞いていたからだった。本当なら結界の破壊自体を止められれば良かったのだが、結界を張っている魔法陣が、どこにあるかを知らなかったので、マリーを守ることにしたのだった。
「二人とも大丈夫か!?」
審判役の先生が、闘技場内に降りてきた。
「はい。アルくんが助けてくれたので」
「そうでしたか。アルゲートくん、本当にありがとうございます」
先生は、アルに対して頭を下げる。
「何故、結界が消えたんですか?」
今の今までマリーに土下座していたザリウスが立ち上がって、先生に訊く。
「今、原因を確かめている最中。取り敢えず、最後の一撃が決まったと仮定して、勝者は、ザリウスくんになるから。私は、結界の消失の原因を確かめに行ってくる」
先生はそう言うと、一度息を吸い込む。
『魔武闘大会優勝者は、六年生ザリウス・ガルガニア!! 表彰式は明日行います。この後は、エキシビションとして、騎士団と魔物の討伐戦を行うはずでしたが、ただいま、非常事態のため、少々お待ちください!』
先生は、会場に向かってそうアナウンスすると、闘技場内から駆けだして行く。
「エキシビションなんてあるんだね」
「ああ、毎年、選ばれた騎士団と高ランクの魔物との戦いを見世物にするんだ。そのためには、結界の設定を弄って、観客席にダメ-ジ変換結界を張って、闘技場内を解除する事になっている」
観客に被害が出るのはまずいので、選手に対して行っていたダメージ変換を観客に対してだけ行う。闘技場内に結界を残しておくと、魔物の討伐は出来ないから、闘技場の結界は解除しておくのだ。
「まぁ、その後にマリー達が、その騎士団と戦うんだがな」
「えっ!?」
「優勝者六人と騎士団から出された六人で団体戦を行うんだ。まぁ、明日になるかもしれないが」
先生は、その説明を忘れていた。思いもよらぬ事態が起こっているので仕方が無いといえば仕方が無い。
「取り敢えず、俺達も観客席に移動しておこう」
ザリウスは、このまま闘技場内にいるよりも、観客席の方が休まるだろうと思い、そう提案した。
「そうですね。行きましょう」
アルも同様の意見を持っていたので、すぐに頷く。
「先生、大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。結界消失の原因については、今、父上も動いているからな」
アルは、昼食の後、グラスフリートに会ったときに、考えられる範囲、教えられる範囲で何が起ころうとしているかを説明していた。そのため、グラスフリートの騎士団が、中心となって結界消失の原因を探っている最中なのだった。
────────────────────────
国王の観客席で瓶が割れる大きな音がする。
「あのタイミングで邪魔入りだと!?」
「カストル家の末っ子ですね」
「ちっ! グラスフリートのところのか! 次男は、馬鹿なのに、長男と末っ子は察しが良いと来た。全く邪魔な奴らだ!」
国王は、苛立たしげにテーブルを叩く。
「こうなれば、当初の予定通りにしろ!」
「はっ! かしこまりました」
カイトは部下と連絡をとり、何か指示をした。その声は小さく、国王の耳にも入ってこない。
────────────────────────
「何を言っているんだ? 当初の予定?」
国王達の会話を盗聴していたアルは、首を傾げる。カイトの声が小さすぎて、盗聴器で拾うことが出来なかったのだ。
「マリー、警戒しておけ。まだ、何か起こる」
「嘘……何か情報は?」
「ない。何が起こるかは、起こってからじゃないと分からない」
「そう……」
マリーとアルはザリウスと別れて、コハク達の元に向かっていた。だが、その歩みも途中で止まることになる。
「何だ!? あれは!?」
観客の一人が会場内に響き渡るような大声で叫んだ。観客達は、その人に注目してから、指を指している方向を見る。そこは、選手の入場口にもなっている通路だった。そこから、魔物が顔を出していた。
その魔物は、トカゲのような顔をしていた。だが、特徴的なのは、そこではない。その身体の一番の特徴は、身体中から火が噴き出している事だった。
「火蜥蜴……サラマンダー……」
アルが、その特徴から魔物の名前を言う。
会場に現れたサラマンダーが咆哮する。すると、固まっていた観客の顔が、強張っていった。
「大丈夫だ。ここには結界が……」
「今、結界って機能していないんじゃ……」
観客席の一部で、そんな会話が聞こえてくる。その声は、周りの観客にも伝播していき、やがて、パニックが起こり出す。
「きゃああああああああああああああ!!」
「に、逃げろ!!!!!!」
「死にたくない! 死にたくない!」
観客達が我先に逃げだそうと、出入り口に殺到する。
「まずい! 避難が遅れるな。時間を稼ぐ!」
アルは、サラマンダーに向かって駆け出す。
「アルくん!? 相手はキマイラよりも強い魔物だよ!」
「だが、やるしかないだろ!」
観客達はパニックになっていて、スムーズな避難が出来ていない。このままでは、観客の何人かは、サラマンダーに食われてしまう。
「もう! じゃあ、私も協力する!」
「危険だ」
「アルくんもでしょ!」
今の闘技場には、先生達はいない。騎士団も結界消失の原因探しでいない。戦えるのは、観戦に来ていた生徒達や選手しかいないのだ。
様子見をしていたサラマンダーが、とうとう動き出した。より人が集まっている場所に向けて駆け出す。
────────────────────────
「サラマンダーか。良く捕まえられたものだ」
「良い人材が交渉に乗ってくれましたので」
「ふむ、まぁ、あれならマリーナリアも屠ることが出来よう。キマイラよりも遙かに強いからな! はっはっはっはっ!!」
国王は、暗い笑みで笑い続けていた。
「陛下、我々も避難致しましょう。万が一ということもありますので」
「うむ。そうだな」
国王が立ち上がるのを見て、カイトは一度闘技場を見下ろす。
(マリー様、リリー様、どうかご無事で……)
国王は、カイトの先導に従って、闘技場から避難していった。
「えっ!?」
「なっ!?」
マリー達も結界が消えた事に気が付いたが、攻撃を止めることも、今から当たらないように避けることも不可能だ。このままでは、マリーが大怪我をしてしまう。いや、ほぼ確実に死んでしまうだろう。
「マリー!!」
コハクが、悲鳴に近い叫びを漏らす。その隣では、リンが闘技場に飛び込もうと腰を上げている。リリー、セレナ、アイリは、衝撃が強すぎて身体を動かせない。
誰もが、マリーの死を予感していた。ほどんどの観客は目を背けている。
マリーは、真っ直ぐにザリウスの剣を見ていた。確率がゼロに等しいとしても、どこかに助かる道があるかもしれないからだ。
(動きがゆっくりに見える……死ぬ直前にそうなることがあるって言うけど、本当の事だったんだ。もう剣は目前に迫っている。躱すことは無理。魔法による緊急回避は間に合わないし、剣はもっと無理。結界も靴も間に合わない。他に起死回生の魔道具なんてないし……)
そう考えている間にも、剣はマリーに迫っている。
(これも国王の作戦かな? いや、ザリウス先輩は、完全に利用されただけだと思うけど。お母さん、ぶち切れないと良いな)
マリーは、半ば死を覚悟しながらも、ほんの少し身体を動かして避けようとしている。だが、もう無理だろう。ザリウスの剣は、止まることなくマリーを両断する……かのように見えた。
マリーの目の前、文字通り目に触れるか触れないかの地点で、ザリウスの剣が不自然に跳ね上がった。マリーは、直前まで迫っていた死の恐怖に膝から崩れ落ちる。頭の中では冷静でも、身体は正直だった。
観客席が響めく。マリーが助かったということもあるが、闘技場にマリーとザリウス以外にもう一人いたからだ。
「マリー! 大丈夫か!?」
マリーは声がした方、命の恩人がいる方向に顔を向ける。光の加減のせいで、少し顔が見にくいが、マリーにはそれが誰かすぐに分かった。
「アルくん……?」
「ああ、間に合って良かった。怪我は無いな?」
「うん、ありがとう」
アルに支えられてマリーが立ち上がる。
「すまない! 俺が剣を止めなければならかった!」
マリーと入れ替わるように、ザリウスが、地面に膝を付けて頭を下げていた。いわゆる土下座の状態だ。
「先輩! 頭を上げてください! あそこまで勢いづいていたんです。先輩でも、攻撃をすぐに止めるなんて出来ないでしょうし、結界が消えるなんて誰も予想して……」
マリーは、そこで言葉を切って、アルの方を見た。
「何で、アルくんは間に合ったの?」
結界が消えるなんて事は、誰も予想していなかった。だが、アルは、マリーに迫る危機を止めてくれた。結界がなくなると知っていないと間に合わないはずだった。
「ああ、これだ」
アルはそう言って、耳を指さした。それだけで、マリーは、アルが何を言わんとしているか理解した。
「でも、どこを?」
アルは、自分の身体で隠しながら上の方を指した。
「ああ……」
アルが間に合った理由は、国王達の話を盗聴器で聞いていたからだった。本当なら結界の破壊自体を止められれば良かったのだが、結界を張っている魔法陣が、どこにあるかを知らなかったので、マリーを守ることにしたのだった。
「二人とも大丈夫か!?」
審判役の先生が、闘技場内に降りてきた。
「はい。アルくんが助けてくれたので」
「そうでしたか。アルゲートくん、本当にありがとうございます」
先生は、アルに対して頭を下げる。
「何故、結界が消えたんですか?」
今の今までマリーに土下座していたザリウスが立ち上がって、先生に訊く。
「今、原因を確かめている最中。取り敢えず、最後の一撃が決まったと仮定して、勝者は、ザリウスくんになるから。私は、結界の消失の原因を確かめに行ってくる」
先生はそう言うと、一度息を吸い込む。
『魔武闘大会優勝者は、六年生ザリウス・ガルガニア!! 表彰式は明日行います。この後は、エキシビションとして、騎士団と魔物の討伐戦を行うはずでしたが、ただいま、非常事態のため、少々お待ちください!』
先生は、会場に向かってそうアナウンスすると、闘技場内から駆けだして行く。
「エキシビションなんてあるんだね」
「ああ、毎年、選ばれた騎士団と高ランクの魔物との戦いを見世物にするんだ。そのためには、結界の設定を弄って、観客席にダメ-ジ変換結界を張って、闘技場内を解除する事になっている」
観客に被害が出るのはまずいので、選手に対して行っていたダメージ変換を観客に対してだけ行う。闘技場内に結界を残しておくと、魔物の討伐は出来ないから、闘技場の結界は解除しておくのだ。
「まぁ、その後にマリー達が、その騎士団と戦うんだがな」
「えっ!?」
「優勝者六人と騎士団から出された六人で団体戦を行うんだ。まぁ、明日になるかもしれないが」
先生は、その説明を忘れていた。思いもよらぬ事態が起こっているので仕方が無いといえば仕方が無い。
「取り敢えず、俺達も観客席に移動しておこう」
ザリウスは、このまま闘技場内にいるよりも、観客席の方が休まるだろうと思い、そう提案した。
「そうですね。行きましょう」
アルも同様の意見を持っていたので、すぐに頷く。
「先生、大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。結界消失の原因については、今、父上も動いているからな」
アルは、昼食の後、グラスフリートに会ったときに、考えられる範囲、教えられる範囲で何が起ころうとしているかを説明していた。そのため、グラスフリートの騎士団が、中心となって結界消失の原因を探っている最中なのだった。
────────────────────────
国王の観客席で瓶が割れる大きな音がする。
「あのタイミングで邪魔入りだと!?」
「カストル家の末っ子ですね」
「ちっ! グラスフリートのところのか! 次男は、馬鹿なのに、長男と末っ子は察しが良いと来た。全く邪魔な奴らだ!」
国王は、苛立たしげにテーブルを叩く。
「こうなれば、当初の予定通りにしろ!」
「はっ! かしこまりました」
カイトは部下と連絡をとり、何か指示をした。その声は小さく、国王の耳にも入ってこない。
────────────────────────
「何を言っているんだ? 当初の予定?」
国王達の会話を盗聴していたアルは、首を傾げる。カイトの声が小さすぎて、盗聴器で拾うことが出来なかったのだ。
「マリー、警戒しておけ。まだ、何か起こる」
「嘘……何か情報は?」
「ない。何が起こるかは、起こってからじゃないと分からない」
「そう……」
マリーとアルはザリウスと別れて、コハク達の元に向かっていた。だが、その歩みも途中で止まることになる。
「何だ!? あれは!?」
観客の一人が会場内に響き渡るような大声で叫んだ。観客達は、その人に注目してから、指を指している方向を見る。そこは、選手の入場口にもなっている通路だった。そこから、魔物が顔を出していた。
その魔物は、トカゲのような顔をしていた。だが、特徴的なのは、そこではない。その身体の一番の特徴は、身体中から火が噴き出している事だった。
「火蜥蜴……サラマンダー……」
アルが、その特徴から魔物の名前を言う。
会場に現れたサラマンダーが咆哮する。すると、固まっていた観客の顔が、強張っていった。
「大丈夫だ。ここには結界が……」
「今、結界って機能していないんじゃ……」
観客席の一部で、そんな会話が聞こえてくる。その声は、周りの観客にも伝播していき、やがて、パニックが起こり出す。
「きゃああああああああああああああ!!」
「に、逃げろ!!!!!!」
「死にたくない! 死にたくない!」
観客達が我先に逃げだそうと、出入り口に殺到する。
「まずい! 避難が遅れるな。時間を稼ぐ!」
アルは、サラマンダーに向かって駆け出す。
「アルくん!? 相手はキマイラよりも強い魔物だよ!」
「だが、やるしかないだろ!」
観客達はパニックになっていて、スムーズな避難が出来ていない。このままでは、観客の何人かは、サラマンダーに食われてしまう。
「もう! じゃあ、私も協力する!」
「危険だ」
「アルくんもでしょ!」
今の闘技場には、先生達はいない。騎士団も結界消失の原因探しでいない。戦えるのは、観戦に来ていた生徒達や選手しかいないのだ。
様子見をしていたサラマンダーが、とうとう動き出した。より人が集まっている場所に向けて駆け出す。
────────────────────────
「サラマンダーか。良く捕まえられたものだ」
「良い人材が交渉に乗ってくれましたので」
「ふむ、まぁ、あれならマリーナリアも屠ることが出来よう。キマイラよりも遙かに強いからな! はっはっはっはっ!!」
国王は、暗い笑みで笑い続けていた。
「陛下、我々も避難致しましょう。万が一ということもありますので」
「うむ。そうだな」
国王が立ち上がるのを見て、カイトは一度闘技場を見下ろす。
(マリー様、リリー様、どうかご無事で……)
国王は、カイトの先導に従って、闘技場から避難していった。
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