異世界旅はハンマーと共に

月輪林檎

文字の大きさ
59 / 152
異世界旅始め

アリサのステータス

しおりを挟む
 翌日。朝のルーティンをしていたら、一ヶ月ぶりにミナお姉さんのところに向かう事が出来た。ミナお姉さんの世界は、更なる進化を遂げていた。無の空間のようだった単色の世界ではなく、自然が出来ていた。
 そこ一軒家が建っている。その一軒家の周りには、テーブルと椅子が置かれていて、自然豊かな場所でお茶が出来るようになっている。さらに、その近くには大きな木が生えていて、ブランコがあった。

「えぇ~……どういう事……?」
「姫奈様」

 ミナお姉さんが後ろからやって来たので、振り返って抱きつく。ミナお姉さんは私を受け止めて、頭を撫でてくれた。ここ最近はずっとお預けだったので、存分に甘えたい気持ちが強い。でも、その前にミナお姉さんと話したいことがあった。

「ミナお姉さんに訊きたい事があるんですが良いですか?」
「はい。では、家に入りましょう」

 ミナお姉さんに背中を押されながら家に入ると、その充実した家具に驚かされた。本当にここに住んでいるかのような感じだった。家具も綺麗なもので、私の好みな感じだ。そこのソファに座って、ミナお姉さんに寄り掛かりながら話す。

「実は人をドラゴンにする呪いによって、身体にドラゴンの要素が残ったままになっている子がいるんです」
「はい。見ていましたので存じております」
「ミナお姉さんは、何か知りませんか?」

 神様であるミナお姉さんなら何か知っていてもおかしくはないと思って訊いてみた。

「呪いに関して言えば、私には分かりません。ですが、前にも申し上げた通り、姫奈様の【竜の血】からその呪いに自然発展するという事はありません。その呪いは人為的に作られたものと考えるべきでしょう。もしかすると、アーティファクトによるものとも考えられます」
「アーティファクト……ケーリュケイオンは関係ないですよね?」
「あの杖ですね。はい。あれは、回復と修復の機能を兼ね備えた杖のようです。仮に封印を解いていったとしても竜に繋がる事はないでしょう」
「なるほど……」

 ここで原因が分かれば嬉しかったのだけど、さすがにミナお姉さんもこの世の全てを知っているわけじゃない。それに観察対象は私限定だ。これは仕方ないと諦めよう。

「それと姫奈様にその類いの呪いは通用しませんので、ご安心ください」
「ミナお姉さんの力が守ってくれるんですか?」
「はい。私の繋がりにより、その呪いは弾かれるはずです」
「嬉しいです」

 アリサをどうにかする方法をミナお姉さんが知らない以上、他に訊かないといけない事はない。いや、この家の事が気になるけど、今はそれ以上にミナお姉さんと久しぶりの時間を過ごしたい。
 最初に話した後、二時間ほぼ丸々ミナお姉さんとイチャイチャしながら過ごして、現実に戻ってくる。すると、目の前にアリサの顔があった。本当に間近にいるから、ちょっと驚いた。

「どうしたの?」
「昨日も今日も祈っているなと思って」
「うん。習慣だからね。アリサは、何か習慣だった事とかないの?」
「何だろう……覚えてない」
「そっか」

 こうした些細な事でも何かのきっかけで思い出す事もあり得るので、時折訊くようにしている。例えば好きな食べ物とか、嫌いな食べ物とか、好きな匂いとか、お風呂は好きかとか。食べ物や匂いは分からなかったけど、お風呂は好きという事が分かった。ドラゴン時代にも入っていた記憶が朧気にあるらしい。

「さてと、今日はアリサはお留守番ね。ミモザさんが一緒にいてくれるから。文字の練習をしておいてね。ギルドとかでは使う事になるから」
「うん。分かった」

 まだアリサの事を知らせる事は出来ていないと思うので、私は一人でお金を稼ぎに出る。アリサの旅支度で大きな出費になるので、お金はどんどんと稼がないといけない。アリサが一緒に来られるようになったら、もっと沢山稼げるだろうから、その内安定すると思うけど。
 それからアリサが一緒に来られるようになるまで、一週間掛かった。でも、おかげで、アリサの事は周知されてギルドでの登録もスムーズに行う事が出来た。アリサの保護者には、イヴナイアさんがなってくれた。
 アリサもイヴナイアさんに心を開いているみたいだから丁度良かった。検査結果では、現状問題は無い。
 ここからは戦闘して何か変化がないかを確認する事になる。そこで、まずはアリサのステータスを確認する事にした。

────────────────────

アリサ Lv98『賢杖ケーリュケイオン』
職業:竜魔導師Lv1
MP:67170/67170(100)『1000』 21970+45200
筋力:96020(50) 38920+57100
耐久:105490(50)58390+47100
敏捷:54778(50)『1000』32678+22100
魔力:69155(100)『2500』 48985+20170
器用:20387『500』
運:980
SP:1220
スキル:【杖術Lv56】【長杖術Lv39】
【火魔法Lv8】【水魔法Lv7】【風魔法Lv8】【土魔法Lv7】【雷魔法Lv8】【光魔法Lv3】【闇魔法Lv4】【竜魔法Lv10】【竜王魔法Lv8】
【MPタンクLv100】【至大至剛Lv100】【金剛不壊Lv100】【輿馬風馳Lv100】【聡明叡智Lv100】【五感強化Lv89】
【MP回復量超上昇Lv100】【MP貯蔵庫Lv67】【重撃Lv100】【強靭Lv100】【跳躍Lv100】【軟着陸Lv100】【見極めLv100】【暗視Lv100】【隠密Lv100】【気配察知Lv10】
【火耐性Lv10】【火炎耐性Lv10】【水耐性Lv10】【氷耐性Lv8】【風耐性Lv10】【暴風耐性Lv10】【土耐性Lv10】【金属耐性Lv10】【雷耐性Lv10】【雷電耐性Lv10】【光耐性Lv10】【光熱耐性Lv10】【闇耐性Lv10】【暗黒耐性Lv3】【魔法耐性Lv10】【斬撃耐性Lv10】【刺突耐性Lv10】【打撃耐性Lv10】【物理耐性Lv10】【痛覚耐性Lv10】【苦痛耐性Lv10】【激痛耐性Lv10】【精神耐性Lv10】
【高速再生Lv100】【竜の血Lv100】
【竜の心臓】【竜鱗】【竜翼】【不死】

 職業控え欄:魔法使いLv78 貴族Lv67

────────────────────

 思ったよりも異常だった。ドラゴン時代の生活で沢山戦ってきたのだと思う。ただアリサがずっと戦っていたかは分からない。大人しくしていた時代の方が長かったりするかもしれないから、レベルから生きていた年月を考えるのは難しいかな。
 加えて、私が持っている【不死】を持っている。理由は明確だ。そういうドラゴンだったから。ただ【不死】は特別なスキルのはずだけど、ミナお姉さんが話していた通りアーティファクトが関係しているのかな。あの技術は普通のものではないだろうし。
 後はドラゴンらしいスキルも持っていた。これは普通の人では取れないようなスキルだと思う。私の【女神との謁見】と似たような扱いかな。
 そして、もう一つ気になる事があった。

「貴族?」
「貴族。私、貴族?」
「ええ……私に訊かれても……でも、職業にあるって事は、貴族だったんじゃない? 何か思い付くような事はない?」
「う~ん……分からない」

 これで何か思い出してくれればと思ったけど、アリサは貴族と聞いても何も知らないらしい。一応ミモザさんに伝えて、ハヤトさん経由に貴族の行方不明者の中にアリサの名前がないか確認してもらう事にした。あまり期待しない方が良いだろうけど。
 そんなこんなで初依頼を行う。私とパーティーを組んでいるので、一応アリサを連れたままEランクのマッチョボアの討伐依頼を受けられる。
 準備を整えて、アリサと一緒にヌートリアから外に出た。

「アリサは、魔法で戦うんだよね?」
「うん。昔は……そうしてた? でも、スキルにあるから」
「まぁ、よく分からない魔法もあるしね。ドラゴンも魔法を使うのかな?」
「分からない。使いそうな魔法はスキルにあるけど……でも、叩く方が早いよ」

 確かに、あのドラゴンの状態だったら殴った方が早いかもしれない。あの巨体から繰り出される拳とか正直怖いし。

「そっか。まぁ、割と質量はあったしね。基本的には攻撃してくるモンスターを倒す感じだけど、なるべく綺麗に倒して。綺麗倒せば、その分だけお金を貰えるから」
「綺麗に……魔法で出来るかな?」
「分からないから、色々と試してみよう。そこから使える魔法を見つけられれば良いよ。それと綺麗に倒すって方針は自分達よりも弱い相手だけね。強い相手には全力で掛かって良いから」
「うん。分かった」

 結論から言うと、アリサは物理の方が遙かに強かった。アリサの蹴りが、マッチョボアの巨体を空高く飛ばすのを見た時、私はアリサを怒らせないようにしようと心に誓ったものだ。
 因みに、魔法に関しても威力は異常だった。グリフォンなんて目じゃない。身体が傷だらけで弱体化していなかったら、あの男や改造人間達相手でも圧倒していたと思われる。
 初成果は、マッチョボアが百体分になった。これでも絶滅していないのだから、モンスターの繁殖力は恐ろしい。
 ついでに言えば、人型になったアリサには、他のモンスターを怯えさせるだけの威圧感はないらしい。あれは竜の姿があるからこそ起こっていた現象なのだろうと、イヴナイアさんは言っていた。
 アリサも一緒に戦い始めてから、どんどんとお金が貯まっていく。出費で大分引かれているけど、それでも日々の暮らしや、唐突な出費に耐えられるくらいには貯まるだろう。
 そして、ハヤトさん経由で調べた貴族についての話は分からないとの事だった。取り敢えず、現状の行方不明者の中にアリサの名前も特徴もないらしい。そう都合良くは分からないという事だろう。
 だから、これからの旅で何か分かると良いな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『三度目の滅びを阻止せよ ―サラリーマン係長の異世界再建記―』

KAORUwithAI
ファンタジー
45歳、胃薬が手放せない大手総合商社営業部係長・佐藤悠真。 ある日、横断歩道で子供を助け、トラックに轢かれて死んでしまう。 目を覚ますと、目の前に現れたのは“おじさんっぽい神”。 「この世界を何とかしてほしい」と頼まれるが、悠真は「ただのサラリーマンに何ができる」と拒否。 しかし神は、「ならこの世界は三度目の滅びで終わりだな」と冷徹に突き放す。 結局、悠真は渋々承諾。 与えられたのは“現実知識”と“ワールドサーチ”――地球の知識すら検索できる探索魔法。 さらに肉体は20歳に若返り、滅びかけの異世界に送り込まれた。 衛生観念もなく、食糧も乏しく、二度の滅びで人々は絶望の淵にある。 だが、係長として培った経験と知識を武器に、悠真は人々をまとめ、再び世界を立て直そうと奮闘する。 ――これは、“三度目の滅び”を阻止するために挑む、ひとりの中年係長の異世界再建記である。

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

World of Fantasia(ワールド・オブ・ファンタジア)

緋色牡丹
ファンタジー
生きる意味を見出せない三十二歳の男・山田緋色。 夏の夜、光の渦に呑まれ、彼が目を覚ましたのは――幻想の森だった。 壊れた愛車、知らない空、そして湖に浮かぶ青髪の少女。 異世界での出会いが、“止まった人生”を再び動かしていく。 異世界叙情ファンタジー、開幕── ※この小説は、小説家になろう、カクヨムにも同時掲載しています。 挿絵はAIイラストを使ったイメージ画像です。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...