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第55話 人類の裁定者
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王都三番街の地下工事は女王の勅命もあって急ピッチで進められていた。そこには旧世界において最も繁栄していた企業、日ノ本エレクトロニクス社の研究所や工場が埋没しており、ここに破棄されたとされる魔道艦を是が非でも手に入れたいと女王が考えたためである。
そして、作業員達の不眠不休の尽力の末、遂に最下層まで到達することができた。
「資料に間違いはなかった…これが、私の求めていた魔道艦……」
女王の代理として動くアレクシアは、最下層の建造ドックに鎮座する威容を見上げて小さく微笑む。彼女達が発見した旧世界に関する資料を元にして作業が続けられていて、そこに記載された内容は正確であったようだ。
「ほぼ完全な保管状態だわ。これなら起動可能な調整をするのに時間はかからないわね」
魔道艦は宇宙空間での長年の運用も視野に入れて設計されているため、通常の機械に比べても頑丈な造りになっている。腐食もしにくいし、過酷な環境下でも崩壊することはない。以前マリカと訪れた魔道艦ターミナートルは戦闘で破壊されていたことから劣化が進んでいたが、こうしてキチンとした保全が行われていれば建造当時並みの状態を保つことができるのだ。
「アレクシア様、早速と魔道艦を動かしていただきたいのですが?」
共に視察に訪れた王宮の職員が急かすが、アレクシアは首を振って魔道艦の表面装甲を優しく撫でる。まるで愛撫のような淫靡な手つきで、アンドロイドの精密な動作を無駄に遺憾なく発揮していた。
「慌てないで。まずは内部の状態も確認し、回収した魔道推進機関を設置するわ。それとマリカ・コノエをココに呼んだほうがいいわね」
「噂のリペアスキル持ちの魔導士ですな?」
「ええ。もし破損した箇所があっても彼女なら直すことができる。私がフリーデブルクに行ってくるわ」
「しかしワッドとかいう機械を操れるのはアレクシア様だけです。そのワッドで魔道推進機関を移送してもらう必要があるのですから、フリーデブルクには別の使者を向かわせましょう」
「ふん……ならシェリー・ヴィン・カイネハインを向かわせて。あの騎士ならマリカ・コノエとも面識があるから事がスムーズに運ぶわ」
返事を待たずしてアレクシアは魔道艦の中に入る。内部に搭載されている兵器工場や武器類を確認しておきたかったのだ。
「艦載工場も問題なく、機材類も材料も揃っている……わざわざ私のためにイロイロと揃えたまま放置してくれてありがとう。存分に使わせて頂くわ」
別に旧世界の人間はアレクシアのために魔道艦や機材を用意していたわけではないだろう。
だが、当のアレクシアは自信過剰な支配者のようにそう呟き、望むべき時は静かに、確かに近づいていることを実感していた。
「ティーナ様、待っていてくださいね……」
それはアレクシアの主観として遥か昔の事である。
後に旧世界と呼ばれる高度文明がまだ栄えていた時代に誕生したアレクシアは、自らを創造した神であるティーナという研究者と主従関係にあった。
「ティーナ様、次期アンドロイド計画の進捗はいかがですか?」
「計画は順調に滞りなく。現在設計しているAS-06型メイドタイプも量産体制が整った。後続機種の仕様書も提出したし、少しは休めるな」
「さすがティーナ様。お仕事が早いですね」
「時間外労働も休日出勤もしたくない主義者が私だ。仕事は手早く、そして無駄を省くものさ」
日ノ本エレクトロニクス本社の研究室の一角、くたびれた白衣に身を包んだ老齢の女性が眼鏡を取ってテーブルに置く。彼女こそがアンドロイドの生みの親のティーナであり、アレクシアから手渡されたタオルで目を覆って一息ついた。
「しかし会社の要求に応えるというのも苦行だな」
「ティーナ様の才能は世界……いや宇宙で最も優れております。ココで飼い殺しにされるような人材でないと思いますが?」
「とはいえ私個人で出来る事など、たかが知れている。だから巨大組織を利用するほうが利口だと思わんか? これほどの資産や機材を用意できるのも日ノ本エレクトロニクスだからだ」
いくら天才でも組織力を利用しなければ製品の一つを作ることさえ苦労する。特に最先端技術の結晶であるアンドロイドなど個人に製作できるものではない。だからティーナは労働を嫌いつつも会社に籍を置いているのだ。
「唐突に訊かせてもらうが、アレクシアは人類の未来についてどう考える?」
「人類の未来、ですか? 私には想像の範疇を超えていますが」
「私はね、このままでは人は滅び去ると思っている。何故なら人類は学習しない生き物だからだ。歴史を習うにも限らず、同じ愚かな過ちを繰り返す。挙句には覇権主義に囚われて同族すら殺すのだよ」
「魔物という脅威を克服した矢先、人類は再び同族同士の討ち合いを行い、自らが世界の覇者たる存在になろうと躍起になっていますものね。それは日ノ本エレクトロニクスとて同じですが……」
魔物という共通の敵がいたからこそ、表面的には人類は一丸となって戦った。共通の敵を作るというのは、古来より人心をまとめる手段として活用されてきたものであるが、その敵がいなくなれば同族を蹴落とす事しか考えなくなる。これは人に限らず社会的動物の習性だが、なまじ高度な頭脳を持つ人類種は苛烈であった。
「ならば人類を次のステージへと進化させるしかない。より高次元なモノの捉え方と思考をして、種族全体の調和と繁栄を第一に考えられるような段階へとな……しかし、もはや進化の袋小路に陥って自力での発展は望めない」
「進化を促せるのはティーナ様だけです」
「そのために創ったのがアンドロイドなのだ。人と機械の特性が融合を果たした、まさに新人類……この計画に人類の未来を託そうと思う。そしてアレクシア、君には人類の裁定者としての役割を果たしてもらいたい」
「私がですか?」
意外そうな瞳でアレクシアは訊き返す。自分はあくまで試作型のアンドロイドであり、ティーナの目指す新人類たる存在はもっと高性能なアンドロイドが務めるだろうと思ったからだ。
「残念だが人類がアンドロイド化して進化を果たす前に私は死を迎える。だから、私の遺志を継ぐ者が必要なのだ。それが君だ。私と時間を過ごして理念に触れ、私を最も理解した君にこそ出来ることである」
ティーナは全ての人類がアンドロイドボディを得て、生身の体を捨てることで次の段階に移行できると考えた。現在進めている計画はそのための序章に過ぎず、様々な状況下に対応可能なアンドロイドを作ることでデータ収集を行っているのである。
やがては、それらのデータを元にした高度なアンドロイドボディを作り出し、人の記憶や個体パーソナルを移植することで完全なる機械化を画策したのだ。これこそがティーナの言う新人類とやらの正体である。
「それがティーナ様の願いなのならば、私は全身全霊をもって取り組みます。しかし、人類は愚かです。あなたの言う進化を理解できずに破滅へ向かう可能性が高い……」
「だから裁定者なのだよ。君が人類に絶望したのなら、その時は……」
ティーナの耳打ちにアレクシアは頷く。
この時に受けた指令はアレクシアの中で最重要カテゴリーに登録され、今の彼女の行動指針となっている。
艦内を散策するアレクシアは過去の記憶データへと自然とアクセスし、短い回想を終えてフッと小さく口角を上げる。
「あなたが生きていたとしたら、現代の人々に対してどんな感想を抱くのでしょうね……私と同じか、あるいは……」
想像したところでティーナからの答えは無い。今はただ人類の裁定者としての役割を全うするだけだ。
「けれどマリカ・コノエを捨ておくのは勿体ないわね。彼女のスキルは私にとっても有益だもの、傍に居てもらうのが一番だけれど……きっとカティアというメイドアンドロイドが許さないわよね」
カティアのマリカへの忠誠心や独占欲などは、まるで過去の自分自身のようだと重ね合わせる。だからこそカティアの行動は予測可能で、恐らくはアレクシアから遠ざけようとするだろう。
「まあいいわ。全ては魔道艦を稼働させてから始まる。それまでは沈黙を続けるのみ……」
ひとまず、魔道推進機関を設置するべくワッドへと戻り、マリカの到着を心待ちにしながら作業に勤しむのであった。
そして、作業員達の不眠不休の尽力の末、遂に最下層まで到達することができた。
「資料に間違いはなかった…これが、私の求めていた魔道艦……」
女王の代理として動くアレクシアは、最下層の建造ドックに鎮座する威容を見上げて小さく微笑む。彼女達が発見した旧世界に関する資料を元にして作業が続けられていて、そこに記載された内容は正確であったようだ。
「ほぼ完全な保管状態だわ。これなら起動可能な調整をするのに時間はかからないわね」
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「アレクシア様、早速と魔道艦を動かしていただきたいのですが?」
共に視察に訪れた王宮の職員が急かすが、アレクシアは首を振って魔道艦の表面装甲を優しく撫でる。まるで愛撫のような淫靡な手つきで、アンドロイドの精密な動作を無駄に遺憾なく発揮していた。
「慌てないで。まずは内部の状態も確認し、回収した魔道推進機関を設置するわ。それとマリカ・コノエをココに呼んだほうがいいわね」
「噂のリペアスキル持ちの魔導士ですな?」
「ええ。もし破損した箇所があっても彼女なら直すことができる。私がフリーデブルクに行ってくるわ」
「しかしワッドとかいう機械を操れるのはアレクシア様だけです。そのワッドで魔道推進機関を移送してもらう必要があるのですから、フリーデブルクには別の使者を向かわせましょう」
「ふん……ならシェリー・ヴィン・カイネハインを向かわせて。あの騎士ならマリカ・コノエとも面識があるから事がスムーズに運ぶわ」
返事を待たずしてアレクシアは魔道艦の中に入る。内部に搭載されている兵器工場や武器類を確認しておきたかったのだ。
「艦載工場も問題なく、機材類も材料も揃っている……わざわざ私のためにイロイロと揃えたまま放置してくれてありがとう。存分に使わせて頂くわ」
別に旧世界の人間はアレクシアのために魔道艦や機材を用意していたわけではないだろう。
だが、当のアレクシアは自信過剰な支配者のようにそう呟き、望むべき時は静かに、確かに近づいていることを実感していた。
「ティーナ様、待っていてくださいね……」
それはアレクシアの主観として遥か昔の事である。
後に旧世界と呼ばれる高度文明がまだ栄えていた時代に誕生したアレクシアは、自らを創造した神であるティーナという研究者と主従関係にあった。
「ティーナ様、次期アンドロイド計画の進捗はいかがですか?」
「計画は順調に滞りなく。現在設計しているAS-06型メイドタイプも量産体制が整った。後続機種の仕様書も提出したし、少しは休めるな」
「さすがティーナ様。お仕事が早いですね」
「時間外労働も休日出勤もしたくない主義者が私だ。仕事は手早く、そして無駄を省くものさ」
日ノ本エレクトロニクス本社の研究室の一角、くたびれた白衣に身を包んだ老齢の女性が眼鏡を取ってテーブルに置く。彼女こそがアンドロイドの生みの親のティーナであり、アレクシアから手渡されたタオルで目を覆って一息ついた。
「しかし会社の要求に応えるというのも苦行だな」
「ティーナ様の才能は世界……いや宇宙で最も優れております。ココで飼い殺しにされるような人材でないと思いますが?」
「とはいえ私個人で出来る事など、たかが知れている。だから巨大組織を利用するほうが利口だと思わんか? これほどの資産や機材を用意できるのも日ノ本エレクトロニクスだからだ」
いくら天才でも組織力を利用しなければ製品の一つを作ることさえ苦労する。特に最先端技術の結晶であるアンドロイドなど個人に製作できるものではない。だからティーナは労働を嫌いつつも会社に籍を置いているのだ。
「唐突に訊かせてもらうが、アレクシアは人類の未来についてどう考える?」
「人類の未来、ですか? 私には想像の範疇を超えていますが」
「私はね、このままでは人は滅び去ると思っている。何故なら人類は学習しない生き物だからだ。歴史を習うにも限らず、同じ愚かな過ちを繰り返す。挙句には覇権主義に囚われて同族すら殺すのだよ」
「魔物という脅威を克服した矢先、人類は再び同族同士の討ち合いを行い、自らが世界の覇者たる存在になろうと躍起になっていますものね。それは日ノ本エレクトロニクスとて同じですが……」
魔物という共通の敵がいたからこそ、表面的には人類は一丸となって戦った。共通の敵を作るというのは、古来より人心をまとめる手段として活用されてきたものであるが、その敵がいなくなれば同族を蹴落とす事しか考えなくなる。これは人に限らず社会的動物の習性だが、なまじ高度な頭脳を持つ人類種は苛烈であった。
「ならば人類を次のステージへと進化させるしかない。より高次元なモノの捉え方と思考をして、種族全体の調和と繁栄を第一に考えられるような段階へとな……しかし、もはや進化の袋小路に陥って自力での発展は望めない」
「進化を促せるのはティーナ様だけです」
「そのために創ったのがアンドロイドなのだ。人と機械の特性が融合を果たした、まさに新人類……この計画に人類の未来を託そうと思う。そしてアレクシア、君には人類の裁定者としての役割を果たしてもらいたい」
「私がですか?」
意外そうな瞳でアレクシアは訊き返す。自分はあくまで試作型のアンドロイドであり、ティーナの目指す新人類たる存在はもっと高性能なアンドロイドが務めるだろうと思ったからだ。
「残念だが人類がアンドロイド化して進化を果たす前に私は死を迎える。だから、私の遺志を継ぐ者が必要なのだ。それが君だ。私と時間を過ごして理念に触れ、私を最も理解した君にこそ出来ることである」
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やがては、それらのデータを元にした高度なアンドロイドボディを作り出し、人の記憶や個体パーソナルを移植することで完全なる機械化を画策したのだ。これこそがティーナの言う新人類とやらの正体である。
「それがティーナ様の願いなのならば、私は全身全霊をもって取り組みます。しかし、人類は愚かです。あなたの言う進化を理解できずに破滅へ向かう可能性が高い……」
「だから裁定者なのだよ。君が人類に絶望したのなら、その時は……」
ティーナの耳打ちにアレクシアは頷く。
この時に受けた指令はアレクシアの中で最重要カテゴリーに登録され、今の彼女の行動指針となっている。
艦内を散策するアレクシアは過去の記憶データへと自然とアクセスし、短い回想を終えてフッと小さく口角を上げる。
「あなたが生きていたとしたら、現代の人々に対してどんな感想を抱くのでしょうね……私と同じか、あるいは……」
想像したところでティーナからの答えは無い。今はただ人類の裁定者としての役割を全うするだけだ。
「けれどマリカ・コノエを捨ておくのは勿体ないわね。彼女のスキルは私にとっても有益だもの、傍に居てもらうのが一番だけれど……きっとカティアというメイドアンドロイドが許さないわよね」
カティアのマリカへの忠誠心や独占欲などは、まるで過去の自分自身のようだと重ね合わせる。だからこそカティアの行動は予測可能で、恐らくはアレクシアから遠ざけようとするだろう。
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