巨骸山脈

n_tsutamoto

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第三章 調査

13. 出会い

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「消えたって......どういうこと?」
「いや、なんというか、言い方が悪かったな......病院なんだ。たぶん。」
たぶんとはどういうことだ。
「ある日、急に来なくなったんだよ、採掘現場に。監督官に聞いたら、体調がすぐれないから医務室で休んでるって言うんだ。だから、採掘が終わった後、みんなで医務室に様子を見に行ったんだ。そしたら......」
医務室にトマの姿はなく、医務室の医師に聞いたら外の病院に搬送されたそうだ。
「いきなりきれいさっぱり消えちまったんだ。前日までめちゃくちゃ元気にしてたのにな......」
「そんなに元気だったの?」
「そりゃもう!やる気がみなぎってる感じで、採掘も疲れ知らずさ。元気すぎたのか、ちょっと荒れてるときもあったけど、体調は悪そうには見えなかったぜ。」
荒れてるとはどういうことだろうか。
明るいトマの性格を考えるとあまり想像ができない。
「ちょっとのことで怒ったりしてたな、機嫌が悪かっただけだと思うが。怒りを採掘に向けてて、そのおかげかそりゃもうめちゃくちゃに採れてたよ。」
放心状態の僕を元気づけるようにロハンが肩に手を置く。
「俺がわかるのはここまでだ、すまんな......」
またな、と離れていくロハンに、うん、と返事をするので精一杯だった。
まったく頭が整理できないまま、夕飯に戻る。
まずは情報を整理しないといけない。
僕は夕飯を急いでかきこんだあと、すぐに医務室へ向かった。

医務室で受付の人に尋ねてみたが、冷たい声でロハンから聞いた内容がそのまま返ってきた。
「体調を崩したので、採掘場の外の病院に搬送されました。」
どんな症状だったのか、どこの病院に搬送されたのか、あれこれ尋ねてみたが、守秘義務により教えられません、の一点張りだった。
この調子だと、監督官に聞きに行っても同じ状態だろう。
パラヤに知らせなくてはと思い、急いで宿舎に向かった。

パラヤの部屋をノックすると、ちょうど部屋にいたようですぐに出てきた。
事情を説明すると、さすがのパラヤも動揺したようでしばらく下を向いていた。
「どういうことなんだろう......前日まで元気でそんなすぐに体調を崩すことなんてあるのかな......」
「......わからないけど、ここならありえるかも。」
「ちょっと、調べてみようと思う。今の班の人たちにも聞いてみるよ。僕たちもいつ倒れるかわからないなんて、怖すぎる。」
「......僕も聞いてみる。トマに会いたいし。」
「できるだけ毎日連絡が取れるようにしよう。20時には部屋にいる?」
「......うん。いまの作業時間なら。もし変わったら部屋の扉にメモ貼っとく。」
また明日、とパラヤと別れて自分の部屋に戻った後も、頭の中を色々な考えが駆け巡り、ほとんど寝られずに次の朝を迎えた。

翌日の採掘作業は寝不足の影響か、全然うまくいかなかった。
そんな僕の様子を心配して、リーダーのレンドが声をかけてきた。
「どうした、調子悪いな~。体調悪いのか?」
「実は......」
トマがいなくなってしまったことを伝えると、ちょっとあっちで座ろう、と少し広い休憩できるところに連れていかれた。
「実は、俺が前にいた班の連中も何人かそうなっちゃってなぁ。急にいなくなっちゃったんだ。こう言ったらなんだけど、ここじゃ珍しくないことだと思うぞ?」
「そんな......でも、前の班の人に聞いたら、前日まで元気にしてたって......」
「俺のときもそうだったなぁ。元気すぎるくらいだったけど、急にいなくなっちゃったんだよ。」
元気な人が急にいなくなるなんて普通じゃない。
僕が何も答えないでいると、ちょっとおいで、とレンドが立ち上がって歩いていく。
後をついていくと、作業員たちに過去に同じようなことがなかったか一緒に聞いてくれた。
驚いたことにみな経験があるようで、しかも、状況までまったく同じだった。
「みんな乗り越えてきてるんだ。時間はかかると思うけどなぁ。まぁ、元気出せよ~」
レンドが僕の背中をポンと叩いてから持ち場に戻っていった。

何も進展がないまま数週間が過ぎた。
定期的にパラヤと情報交換をしているが、完全に行き詰まっている。
何も進まないイラつきを採掘に当てているおかげか、気が付けばここに来た時よりもだいぶ速く採掘ができるようになっていた。
何かきっかけがあればと思うが、何も変わらない日々が続いている。
今日もどうせ進展はないだろうと思いながら鬱々とした気持ちで採掘を進めていると、数人の集団が近くを通り過ぎた。

作業員と一緒に、見たことのない服装の人たちが何人か歩いている。
「あれは何なんですか?」
近くで作業をしていた班のメンバーに声をかける。
「あぁ、あれは調査団だな。巨骸の様子を見て回ってるんだ。」
これはチャンスだ、と直感した。
この停滞している状況を何とかできるんじゃないか、という期待感が膨れ上がる。
僕は気が付いたら調査団に向かって歩き始めていた。
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