巨骸山脈

n_tsutamoto

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第三章 調査

15. 研究棟

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監督官の後を歩いていると、気が付いたら工場区まで来ていた。
これから尋問でも始まるのだろうか、とあれこれ考えて憂鬱になる。
工場棟に入ったかと思うと、入口のすぐ近くにある階段から2階に上がっていく。
工場棟には初めて入ったが、独特の雰囲気がある。
階段を上がってからはすれ違う人が研究員ばかりなので、2階は研究エリアなのかもしれない。
しばらく進むと、監督官がある部屋の前で止まり、扉をノックしてから開ける。
少し息を整えて覚悟を決めてから、僕も部屋に入っていった。

「お疲れ様です。シャルさんをお連れしました。」
「ありがとうございます!あとはこちらで話しておくから、大丈夫です!」
「それでは、あとはお任せします。」
そう言うと、監督官は部屋を出ていった。
がらんとした部屋の中には机と椅子がある程度で、角の方に荷物が雑にまとめられている。
机の向こうではニコニコしながら研究員が僕を見つめていた。

「久しぶりだね!覚えてる?」
そう言われて、記憶が蘇る。
以前、僕に名前を聞いてきた研究員だ。
「はい、覚えています。」
「よかったよかった!いきなりなんだけど......僕の調査団に入ってくれないかな?」
まさかだった。
こんなチャンス、逃すわけにはいかない。
「まぁ、すぐにじゃなくても明日くらいには答えを聞かせてもらえると嬉し......」
「入ります!お願いします。」
思わず反射的に返事をしていた。
研究員が驚いた顔でこちらを見る。
「説明もまだ聞いてないのにいいのかい?てっきり、調査団って何なのか~とか、何するんだ~とか質問が来ると思ってたんだけど......」
「はい、入りますけど、説明は聞きたいです。」
「最高だ!よし、説明しよう!」
研究員は笑いながら、僕に椅子に座るように促した。

「調査団っていうのは、研究員が自分たちの研究のために、助手とか採掘作業員とかを集めて結成するもので、研究員の名前が頭に付くんだ。僕の名前はハットだから、君はハット調査団の一員になるというわけ!」
どうだ、という顔でこちらを見てきたが、どんな反応をしたらいいかわからないので固まっていると、さらに説明を続ける。
「君はハット調査団の採掘作業員だから、僕がここに行きたい、ここを掘ってくれ!とお願いしたら、採掘してくれればいい。今までと違うのは採掘する場所が変わることかな。そんなに頻繁に変わるわけじゃないけど、調査したいことが終わったら、次の場所に移動して採掘して、また次って感じで、僕の好奇心の赴くままに採掘してほしいんだ!」
大きな身ぶり手ぶりで楽しそうに話す。
「ちなみに、僕の研究テーマは深層の構造についてだから、より深層を目指していく危険な作業になると思うけど、大丈夫かな?ま、もう入るって聞いちゃってるからね!取り消しできないけどね!」
大きな声で笑いながらこちらを見てきたが、僕が笑っていないのを見て不安になったのか、慌てて説明に戻った。
「で、でも、そんな危険なことはしないから!深層に向かって採掘するだけで、危ないと思ったらすぐに引き返すつもりだよ。もしかして、考えが変わっちゃった......?」
採掘場の色々な場所に行けるだけなく、深層にいけるなんて願ったり叶ったりだ。
「いえ、大丈夫です。入ります。」
「よかったよ!やはり僕の目に狂いはなかったなぁ!」
不安そうな顔が一瞬で晴れる。
その後もあれやこれやと寄り道をしながらの説明を聞いて、お互いの自己紹介などを簡単に行った。
ハットは28歳の研究員の卵で、今回初めて調査団を作るとのことだ。
最後に質問はないかを聞かれたので、明日からはどうやって動くのかを聞いてみた。
「そうだったそうだった!明日は採掘場の様子を見たいから、今いる研究棟の入口でいいかな?採掘区までの道もすぐそこだし!」
今いるここが研究棟というのを初めて知った。
僕がうなずくと、ハットが右手を差し出す。
「それじゃ、また明日よろしくね!」
「はい、お願いします。」
僕はハットの右手を強く握ってから、部屋を後にした。
部屋を出てからは浮ついた気持ちを抑えられず、跳ねるように採掘作業場に戻っていった。

早速、その夜はパラヤに報告会を行った。
「というわけで、調査団に入ることになったよ!」
「......やるじゃん。一歩前進だね。でも、どんなことやるの?」
「調査のための採掘だって言ってたよ。明日は採掘場を見て回るみたい。」
「......そうなんだ。なんか自由でいいね。」
「いまのところはね!パラヤも入れてもらえないか、相談してみるよ。」
パラヤは悔しそうな嬉しそうな顔で、ありがとう、とつぶやいた。
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