ケモ耳女性達とハーレムライフ

錏陀羅龍

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第二章 王都の人々と国の事情

王都の街と冒険者ランク

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 取った宿屋は朝食と夕食付きだったが、宿屋に入った時間が遅かった為、今日はもう終わってしまっていたので外で食う事にした。
 光る魔石が所々キラキラした夜の王都の街を飯屋を探して歩く。何時くらいかわからないが、結構遅いからか飯屋は閉まってるようで、酒を飲むような店しか営業していない。

 仕方なくその内の一軒に入ると、腰に剣を下げた冒険者風の人間や、頭に角の生えた魔族、ハーフエルフなどが居たが、獣人の姿はなかった。
 1人なのでカウンターの端に座ると、店の店員の魔族の男が注文を聞いてきた。メニューを見てもわからないので、

「酒はいらないから、お薦めの食い物を1人分頼む」

「畏まりました。では今日のお薦めをお持ちいたします。パンはご自由にお食べください」

 目の前のバスケットにあるパンは食い放題らしい。しばらくして、店のお薦めの料理が2皿運ばれてきた。何かの魔物の肉の串焼き盛り合わせと、山菜のサラダだった。酒のつまみのような感じだな。
 食べてみると普通だったが、この世界に来てから、ユナの料理を食べ慣れているからそう感じるだけかも知れない。ちょっとユナの料理が恋しくなった。

 パンと一緒に串焼きを食べていると、隣に誰か座った。チラッと見ると、スキンヘッドのデカイ人間のおっさんだった。少し酔ってるようだが、嬉しそうにしている。なんだ?

「こんばんは。見ない顔だなぁ、1人かい?」

「ああ、王都には今日来たばかりなんだ」

「おお、そうなのかい。俺はジェニーだ。冒険者をしている。王都へは何しに?」

「俺はタカシだ。王都のギルドに用事があって来たんだ。観光も兼ねてしばらく滞在するつもりだ」

 バニーと同じで、見た目は悪いがいいヤツそうだな。

「タカシさんも冒険者なのか。冒険者同士、仲良くしてくれ」

「いいよ。俺も王都に知り合いがいないから、わからない事だらけだし。タカシでいいよ。俺もジェニーって呼ぶから」

 俺はジェニーと握手した。別に害はないヤツだろう。王都の事を調べる為には、まず知り合いを作らなければ始まらない。
 ジェニーが俺の串焼きを物欲しそうに見るので、もう1皿注文してやると凄く喜んでいた。金あんまり持ってないのかな? それから酒のボトルも1本注文して、串焼きを食べながら王都の事をいろいろ聞いた。

 王都は治安が良い場所と治安が悪い場所があり、東区の方は治安が悪いので近づかない方がいいらしい。王都は王城を中心に東西南北に地区が別れており、貧乏人や荒くれ者は東区、大商人などは西区、一般人や冒険者は南区、貴族や富裕層は北区と別れて住んでいるという。今俺達が居る場所は南区になる。

 この酒場に獣人がなぜいないのか聞くと、獣人は夜に酒場に来る事はあまりないという。理由を聞いたが、ここでは詳しく話せないと言われた。あまり酒場では話せない訳がありそうだ。

 飯屋は外が暗くなると、閉まるか酒場に変わるらしい。他の街から来たなら南区に居たらいいという。王城にはあまり人は近付かないらしい。

 ギルドは南区にあり、武器屋や防具屋、薬屋、娼館なんかもあるという。娼館に興味が沸いた俺が詳しく聞くと、種族ごとに店が別れており、人間やハーフエルフ、魔族の女性の娼婦が働いていて、獣人の女性の娼館はないという。獣人の女性の店に誰も行かないだろうと言われた。
 俺はなんで?と思ったが、この世界の常識として、人間の男性は獣人の女性やハーフエルフの女性の欲情を嫌がるし、耳や尻尾を可愛いとは思わない。獣人の男性は獣人の女性と交尾はしてもエッチはしない。ハーフエルフの女性の娼館には、ハーフエルフの男性が通うらしい。だから人間の俺なら、人間の女性の娼館に行くのが普通になるのか。どこまでも獣人に厳しい世界だな。
 人間が魔族の女性の娼館に行くのは、度胸試しで行くくらいだという。俺なら魔族の女性でも、可愛ければ問題ないのだが⋯。男同士だから娼館の話で盛り上がってしまった。

 ジェニーがボトルを1本空けて酔ってきたので、そろそろ帰る事にした。明日はギルドまで案内してくれるらしい。いいヤツだ。何となくバニーの事を思い出した。
 店を出ると、酔って陽気になっていたジェニーが、急に黙り込んで嫌な物を見たような顔をしていた。吐きそうなのか?
 ジェニー目線の先を見ると、冒険者らしき男が4人居て、ジェニーをニヤニヤと見ていた。暗くてよくわからないので「鑑定」を使うと、魔族が2人に人間が2人だった。その中の大剣を背負った魔族の男が、ジェニーに向かって、

「誰かと思ったらジェニーじゃねーか。酒場で酒盛りとは、貧乏冒険者のお前にしては珍しいな。そいつは誰だ? 見ない顔だな」

「こいつは関係ない。何か用があるなら俺だけにしてくれ」

「誰だと聞いてるんだよ! また殴られたいのか? おいお前、ジェニーの知り合いか?」

 なんだこいつ。ジェニーは殴られてるのか? どう見ても調子に乗った冒険者って感じだな。ジェニーが悔しそうに俯いている。

「そうだ。俺は今日王都に来たばかりの冒険者でな、ジェニーとはこの酒場で仲良くなった」

「そうかい。王都に来たばかりの冒険者なら、俺に酒を奢るのが決まりだ」

 なんだその決まり。付き合ってられん。

「俺とジェニーはもう帰るんだ。飲みたきゃ勝手に飲んでくれ。ジェニー、帰ろう」

「ちょっと待て! 貴様、俺を誰だと思ってやがる」

 王都に来たばかりの俺が知る訳ないだろうが。めんどくさいヤツに絡まれたなぁ。

「王都に来たばかりの俺が知る訳ないし、別に知りたくもないわ!」

「生意気なヤツだ。王都の常識を教えてやるから付いてこい!」

 初日からトラブルに巻き込まれるとは⋯。しかしジェニーを殴ってるようなヤツだ。ちょっと相手してやるか。俺が付いて行こうとすると、ジェニーに肩を掴まれた。

「逃げろタカシ。ここは俺が何とかする。あいつはAランクの冒険者だし、目を付けられたら厄介だ」

「ああ、俺の事は心配ない。ジェニーは先に帰ってくれ。明日はよろしくな」

 俺は心配するジェニーを振り切り、4人の後に付いて行きながら収納から仕込み刀を出した。酒場の隣の道を行き真っ暗な場所に出ると、人間の男が光る魔石を取り出して辺りを照らした。

「王都の冒険者として、来たばかり冒険者のお前に、誰が偉いか身体に教えてやるよ」

「帰りたいからさっさと教えてくれ」

 すると他の3人が俺に掴みかかってきたので、力任せに吹っ飛ばした。女神の身体強化のせいで、軽く腕を振っただけで相手が吹っ飛ぶな。絡んで来てた魔族の男が、唖然としていたが、すぐに我に帰り吹っ飛ばされた奴等に叫ぶ。

「おいっ! お前ら何をふざけている。こんな男1人、3人なら簡単に押さえ付けられるだろう!」

 吹っ飛ばされた3人は、意識はあるが立てないみたいだ。

「お前は命令するだけか? かかって来いよ。背中の剣は飾りか?」

「なんだと! 命だけは助けてやろうと思ったが、俺の剣を飾り呼ばわりするとは⋯⋯許せんな。この大剣は、お前が買えるような物ではないぞ! この剣の斬れ味をお前の身体で知るがいい!」 

 魔族の男が大剣を抜き、俺に振り下ろして来たので「遅延」と念じ、大剣を仕込み刀で斬った。大剣は、斬った勢いで刃の部分が根元から斬れ飛んだ。俺が「遅延」を解除すると、刃の部分がない大剣を俺に振り下ろす、間抜けな魔族の男がいた。
 何が起こったのか理解できない魔族の男が、自分の大剣を見た瞬間、泣きそうになっている。

「おいっ! 今度俺かジェニーに何かしたら、お前がその大剣のようになるからな。わかったか!」

「剣が! 俺の大剣がぁぁ!⋯ううっ」

 自慢の大剣が使い物にならなくなって、泣き始めた魔族の男を置いて、俺が宿屋に帰るため元の酒場の前に行くとジェニーが心配そうに待っていた。

「タカシ、大丈夫だったか? 怪我してないか?」

「大丈夫大丈夫。話せばわかってくれたよ」

「ほ、本当か? 話してわかるようなヤツじゃないんだが⋯⋯。まあ無事なら良かった」

「ああ、心配してくれてありがとな。じゃぁまた明日」

「ああ、明日な」

 俺はジェニーと別れ宿屋に帰ってきた。宿屋には1階に風呂があるので風呂に入りに行く。風呂は大浴場になっていて、ユナの家の風呂にあったお湯の出る魔道具が付いていた。風呂にはいろんな種族がいて、中には獣人もいたので下半身のイチモツを見てみると、ユナが言ってた通り俺の小指くらいの大きさだったが、物は人間と同じようだった。
 風呂から上がり部屋のベッドの上で横になっていると、ユナから念話が飛んで来た。

『タカシさん、まだ起きてますか?』

『起きてるよ。どうかした?』

『タカシさんが居ない夜が寂しくなってしまって⋯⋯ごめんなさい』

『いいよ。俺のせいで寂しい思いさせてしまってるんだから』

『今日の最後に⋯⋯おやすみなさい、タカシさん♡』

『おやすみ、ユナ』

 ユナ、大丈夫かな? ミーシャ達が家に行ったはずだが、夜に1人で寝るのは寂しいんだろう。毎日セックスしてから抱き合って寝てたしな⋯。そんな事を考えながら眠りについた。


 翌朝、待ち合わせの広場に行くと、ジェニーがすでに来ていた。

「おはよう、ジェニー」

「おはよう、タカシ。さっそくギルドに行こうか」

 2人でギルドに行くと、ジェニーは依頼書の所へ行ったので、俺は指名依頼完了の報告をする為にカウンターへ向かった。アイリスの話では、この国にあるギルドには、連絡が取れる魔道具があり、昨日すぐに王都に報告をすると言っていたので大丈夫なはずた。
 カウンターにはハーフエルフの職員がいた。

「指名依頼の討伐報告にきた」

「ギルドカードを見せてもらえますか?」

 ギルドカードを見せると、カウンターの職員が驚いた顔をした。

「コレットのギルドから聞いております。では討伐対象の確認の為、剥ぎ取り場までお願いします」

 そうしてギルド裏の剥ぎ取り場に職員と2人で向かった。王都のギルドだけあってかなり大きな剥ぎ取り場だったので、ここなら大丈夫だろう。俺はプラチナドラゴンの死体を収納から出した。

「これだ。依頼完了でいいか?」

「は、はい。確認いたしました。では中で少々お待ちください」

 ギルドの中へ戻りジェニーの所へ行くと、依頼を受けたので行ってくると言うので、頑張れよと送り出した。
 ついでに掲示板の依頼書を見てみると、王都周辺の森での依頼や、他の街の魔物討伐などがあった。しばらく暇を潰していると、カウンターの職員に呼ばれた。

「討伐ありがとうございました。特別処置により、貴方の冒険者ランクはSSランクになりました。おめでとうございます」

 SSと書かれたギルドカードが帰ってきた。最高クラスまで上がるとは⋯。でもSランクの冒険者が全員断ったんだから当然か。

「依頼達成報酬の王金貨2枚です。それと⋯⋯タカシさんでよろしいですか? 少々お話がございますので、応接室に来て貰えますか?」

「ああ、タカシでいい。わかった、行こう」

 応接室に案内され、よくわからない赤い飲み物を出されたが、一応何が入っているかわからないので飲まなかった。

「あの⋯⋯プラチナドラゴンの討伐方法を教えてもらえませんか?」

「それは答えられない。自分の手の内を明かすのは、冒険者として失格なのでな」

「そ、そうですか⋯。あの⋯⋯王都の軍隊に興味はありませんか?」

 来たか⋯。悪い噂しか無いのに、こんな誘い方で受けるヤツがいるんだろうか?

「いや、全く興味ない」

「王都の軍隊に入れば冒険者より収入も安定しますし、いろいろ優遇処置もございますがいかがでしょう?」

「優遇処置とは?」

「軍隊に入っていただければ、住む家も与えられ、王都での身分が保証されますし、酒場や武器屋、飲食店などの割引が受けられます。もちろん娼館も⋯⋯♡ いかがでしょうか?」

「いや、金には困ってないのでな。それに冒険者を辞める気はない」

「そ、そうですか⋯⋯。わかりました」

 話はそれ以上無いみたいなので、退室してギルドを出た。一応「探索魔法」で追跡者がいないか探してみると、ギルドから付いて来ているヤツが1人いるようなので、「遅延」と念じ街中へ走って逃げた。やはり何かしらの行動を起こしてきたか⋯。そのうち手荒な事をしてきそうだな。

 街の魔法屋へ入り、魔法書をいろいろ見てみると、王都の魔法屋だけあって大量の魔法書があった。何冊か気になるタイトルの魔法書を持ってカウンターに行くと、エルフの魔法使いに不思議がられ、本当に大丈夫か?と念押しされながら会計してもらった。会計は金貨57枚だった。やはり魔法書は高いな。

 それから王金貨なんて使うのに困るので、両替してくれる銀行みたいな場所を探してみたが、よくわからない。仕方なく街を歩いている人間の男に聞いてみると、両替所の場所を教えてくれた。やはり知り合いを増やさないと行動しにくいな。
 両替所に行き、王金貨を出して白金貨15枚と金貨500枚に両替してもらい、収納を付与した財布に金貨だけ入れて、白金貨は普通に収納した。財布ごと落としたら大変だ。

 それから武器屋に行ったり、防具屋に行ったりしてみたが、あまり興味を引くような物はなかった。王都の地理を理解する為、「探索魔法」を使いながらブラブラしてみる。商店がある所と居住区で別れているようだ。
 獣人がたくさんいる南区と東区の間の方へ行ってみる。途中、娼館らしき店がたくさんある所があり、そこを抜けると東区が治安の悪い貧民街な事もあり、東区に近付くほど寂れてきた。獣人の冒険者らしき男性や女性がたくさんいた。獣人はこの辺りに住んでいるようだ。
 南区の街より少し寂れているが、飯屋や服屋などもあり生活するには困らなそうだった。気のせいか獣人の女性が俺の方を見ている気がする。

 獣人の多くいる所を抜け、更に東区に近付くとスラム街のような所へ出た。「探索魔法」で見ると、もう東区に入っているようだ。少し嫌な匂いもする。道端で何かわからない怪しげな物を売っている獣人や、半裸の人間の女性、ハーフエルフの男が焚き火の周りに集まって暖を取っていたりした。完全にスラム街だな。
 そのままうろうろしていると、木を組み合わせただけの掘っ建て小屋がたくさん密集している場所に出た。居住地のようだな。あまりこれ以上は居ても収穫がなさそうなので、南区に帰ろうと歩き出すと、急に獣人の女性に声をかけられた。

「人間の男がこんな所で何してんだい?」

 見ると、茶色の長い髪をポニーテールにし、頭から垂れた犬耳が生え、服装は例の民族衣装がボロくなって、所々肌が見えてしまっている獣人女性だった。「鑑定」を使うと、
『アイネ 犬族の獣人 ♀ 18歳 魔法種無し』と出た。やはり犬族の獣人女性か。垂れ耳も可愛いな。胸もなかなか大きい。獣人の女性は巨乳が多い気がするな。

「ああ、俺は昨日王都に来たばっかりで、いろいろ見て回ってる所だ」

「ここは余所者が観光するような場所じゃないよ。それにあんたみたいな人間の男が1人でフラフラしてたら、獣人やハーフエルフの女に襲われちまうよ。嫌な目に会わないうちに南区の方へ帰りな」

 獣人やハーフエルフの女性に逆レイプされるのか。ちょっとされてみたい気もするが、ややこしい事になりそうだ。

「ああ、わかった。忠告してくれてありがとう」

 俺は南区の方へ歩きだした。しばらく行くと路地の方から、何か揉めている声が聞こえてきた。なんだ?

「暴れるんじゃねぇ! 大人しくその魔石を渡しな」

「いやっ! それは母の形見なの。それだけは許してください!」

 崩れた建物の影から見ると、ハーフエルフの男2人が、黒髪の猫っぽい耳の獣人女性から透明な魔石を奪い、足にすがり付く獣人女性を蹴っていた。獣人女性の民族衣装が乱れ、胸が片方出てしまっている。助けないとダメだな。

「おいっ! そのくらいにしておけ!」

ハーフエルフの男2人が俺を睨む。

「なんだお前! 人間の男が何言ってやがる。南区の人間だな。有り金全部渡したら見逃してやるよ」

 俺は「拘束」と念じ、ハーフエルフの男2人を指定して動けなくした。2人から魔石を取り上げ、「拘束」を解除すると、魔法で動けなくされた事がよっぽど怖かったらしく、走って逃げて行った。

「大丈夫か? ほら、魔石」

「⋯⋯は、はい。あの⋯ありがとうございました。まさか人間の男性に助けて頂けるなんて⋯」

 獣人女性は少し怪我をしていたので、手を翳し「治癒」と念じ、「目の前の獣人女性」を指定して怪我を治してあげた。獣人女性は何が起こったのかしばらく理解できない様子だったが、身体の痛みが無くなった事で、ようやく何となく理解したようだった。

「あ、あの⋯ち、治癒魔法ですか? そんな魔法を私のような者に⋯⋯ありがとうございます」

「ああ、気にしないでいいよ」

 獣人女性の服が乱れたままで、片乳が出ているので目のやり場に困る。

「それより乱れた服を直した方がいい。その⋯⋯目のやり場に困る」

「ああっ!⋯⋯失礼いたしました。人間の男性にこのような物を見せてしまって、申し訳ありません」

 いや眼福だったが⋯。俺は獣人女性を「鑑定」してみた。
『リタ 猫族の獣人 ♀ 23歳 魔法種無し』
 リタというのか。

「あの⋯私はリタと申します。助けて頂いたのに、私⋯貧乏なので、お礼も何もできません」

「俺はタカシという。俺が勝手に助けただけだから、お礼なんて気にしなくていい。気をつけてな」

俺がその場を去ろうとすると、リタさんに腕を掴まれた。

「あの⋯⋯治癒魔法が使える貴方様に、是非お願いがあります。私の知り合いの娘を助けて頂けないでしょうか? お礼はこの魔石を売ってお支払いしますので」

「どういう事だ?」

「私の知り合いの娘が長い間病気で寝込んでまして、この魔石を売って薬を買おうとしていたのです。その薬でも治るかどうかわからないので、治癒魔法が使える貴方様なら治せるのではないかと⋯⋯。助けて頂いた上にこんなお願いをして、本当に申し訳ごさまいません。どうか⋯どうかお願いいたします。」

 病気か⋯。しかし母の形見の魔石を売ってしまって良いのか? まあ人の命には代えられんだろうが⋯。

「わかった。治せるかどうかわからないが、その娘さんの所へ案内してくれ。診てみよう」

「あ⋯ああっ⋯⋯ありがとうございます。ありがとうございます」

 リタさんが土下座をしてお礼を言ってきた。ケモ耳女性に土下座されると、何とも言えない気持ちになってしまう。

「わかったから、土下座は止めてくれ。獣人女性に土下座されると悲しくなる。それより早く案内してくれ」

「え? ああ、すみません。では付いて来てください」

 俺はリタさんの後に付いて、先程の居住区方へ一緒に行った。
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