23 / 179
第二章 動き出した人生
男性陣①
しおりを挟む
光と莉緒を見送って、店に残ったのは男性陣だけとなった。
色々と必要なものはあるだろうし、そもそも女の買い物は長い。
ある程度ここで時間をつぶすという唯志の計画だ。
その唯志はここぞとばかりに酒を飲んでいた。
「ありがと。正直助かった。」
拓哉が素直に礼を言った。唯志に対してだろう。
唯志も察して返事をする。
「良いよ別に。結構面白い話も聞けた。」
唯志の答えはあっさりしていた。
今日だけで結構な大金を使ったはずだが、何の後悔もないらしい。
(あ、そうか。お金の話も・・・)
そう思って拓哉が話を切り出した。
「俺も金出すよ。俺の個人的なトラブルに巻き込んだ形だし。とりあえず半分くらいは・・・」
「いや、俺は要らねー。」
拓哉が話し終わるより早く唯志が答えた。
「ノムさんは俺が巻き込んだ形で金出させたから、そっちには補填したって。」
「え?俺も要らないよ?」
野村も即答だった。
「でもそういうわけには・・・」
拓哉は若干の後ろめたさを感じていた。本来なら自分がやるべきことをこの二人(主に唯志)にやらせたのだ。
金まで出させて。
「いや、お前はこの後の事に金をとっておけ。」
そう言って唯志は紙を差し出してきた。
「なにこれ?」
「とりあえず近日中に必要になりそうな物ピックアップしといた。お前疎いだろ?」
そのメモを見ると、枕やらタオル、箸などの必需品や、化粧水、乳液なども書いてあった。
「それと、こっちはあのスマホ関連。とりあえず捨てアドとか俺のアカウントで補ってるから。」
こちらにはあのスマホを使えるようにした際の諸設定が書いてあった。
準備が色々って言ってたけど、ここまでのことを昨日のうちに全部やってんのか。
拓哉は素直に凄いなと思った。
こんなだからモテるんだろうか。
いや、それはなんか違う気がする。
もっと違う部分で根本的に何かが違う、そう思う。
「ひかりん、この時代には不慣れだろうから、お前が色々助けてやれ。」
「・・・そのつもり。」
拓哉はぼそっと答えたが、この言葉には力も入れていた。
これだけ色々とやってもらっておいてなんだが、なんだかんだで保護者は俺だって自負もあった。
改めて決意して2人を見たら、唯志はビールを飲んでるし野村は肉食ってるし・・・
ビールを飲み終わり、次の注文を済ませた頃に唐突に唯志が聞いてきた。
「で、これ重要なんだけど、お前はどうしたいの?」
お前ってのは拓哉のことだろう。
(お前って不適切らしいぞって突っ込みは無しだよなぁ)
と拓哉は思った。
女性陣がいなくなって若干余裕があるらしい。
「とりあえず、光ちゃんの未来に帰る方法を探す・・・」
「それで良いのか?」
言い終わるより早く唯志が問いかけた。
拓哉は少し考えて、
「良いも何も、本人が希望してるし。」
「俺はひかりんの方の希望聞いてねーよ。お前の希望聞いてんの。」
「俺の希望って・・・例えば?」
「質問に質問で返すなよ・・・」
唯志が苦笑したところでちょうどビールが来たので、唯志はビールを飲んでいた。
(何言ってんだこいつ?)
そんなこと考えてたら野村が口を開いた。
「タクさー、光ちゃん好きじゃん?帰していいの?」
野村がとんでもないことを言い出した。
(いや、確かに好意を持ってる。というかこの1日ですごく好きにはなってきている。でもだからって・・・)
と脳内でめっちゃ早口で考えていたら唯志も追撃してきた。
「つかさ、見てたらわかるぞ。わかりやす過ぎ。それでも帰すの手伝うんかって話してんだ。」
ぐうの音も出ない正論だが、拓哉は何とか反論をしようと思考を巡らせた。
人が人に好意を持つことは恥ずかしいことじゃない。
反論なんてする必要はないのだが、恋愛経験の少ない拓哉の思考回路は中学生レベルまで落ちていた。
「つか、否定する必要ないからな。帰していいのかYES、NO。二択だぞ。」
唯志がしびれを切らせて先手を打ってきた。
拓哉はしばらく考え、無理やり口を開いた。
「でも本人は帰りたがってるし、俺個人の意見で・・・」
「だから、お前に聞いてるんだって。ひかりんの意見聞いてねーよ?」
唯志は煮え切らない拓哉に若干イライラしだしていた。
答えは出てるはずなのに答えない。
こういうタイプは唯志が一番嫌いな人種だった。
(そんなこと言われたって・・・)
拓哉は迷っていた。
内心では帰ってほしくないというのが本音だ。
でも帰るための協力をすると言った以上、協力はしないといけない。
だが、じゃあ具体的に何が出来るかと言われたら
(俺だって何をどうしたらいいかわかんない。)
未来へ帰るのを協力するなどとカッコいいことは言ったものの、特に考えも計画もない。
何年かかるかもわからないのにその間ずっと養う必要性まで考えて言ったわけじゃなかった。
かといって残ってほしいことと好意を伝える勇気もない。
残ってもらったとしてもどれだけ大変な事か想像もできない。
拓哉は何にしても中途半端で覚悟が足りていなかった。
具体的に何を協力するのかさえ、自分でわからずに言っているのだ。
ネットでちょちょいと調べて、協力した感を出して好感度アップ。
拓哉の考えは別として、やっていることはそれと同じレベルだ。
そんな拓哉にどうしたいのかなんて具体的に聞いて、まともな答えが返ってくるはずが無かった。
色々と必要なものはあるだろうし、そもそも女の買い物は長い。
ある程度ここで時間をつぶすという唯志の計画だ。
その唯志はここぞとばかりに酒を飲んでいた。
「ありがと。正直助かった。」
拓哉が素直に礼を言った。唯志に対してだろう。
唯志も察して返事をする。
「良いよ別に。結構面白い話も聞けた。」
唯志の答えはあっさりしていた。
今日だけで結構な大金を使ったはずだが、何の後悔もないらしい。
(あ、そうか。お金の話も・・・)
そう思って拓哉が話を切り出した。
「俺も金出すよ。俺の個人的なトラブルに巻き込んだ形だし。とりあえず半分くらいは・・・」
「いや、俺は要らねー。」
拓哉が話し終わるより早く唯志が答えた。
「ノムさんは俺が巻き込んだ形で金出させたから、そっちには補填したって。」
「え?俺も要らないよ?」
野村も即答だった。
「でもそういうわけには・・・」
拓哉は若干の後ろめたさを感じていた。本来なら自分がやるべきことをこの二人(主に唯志)にやらせたのだ。
金まで出させて。
「いや、お前はこの後の事に金をとっておけ。」
そう言って唯志は紙を差し出してきた。
「なにこれ?」
「とりあえず近日中に必要になりそうな物ピックアップしといた。お前疎いだろ?」
そのメモを見ると、枕やらタオル、箸などの必需品や、化粧水、乳液なども書いてあった。
「それと、こっちはあのスマホ関連。とりあえず捨てアドとか俺のアカウントで補ってるから。」
こちらにはあのスマホを使えるようにした際の諸設定が書いてあった。
準備が色々って言ってたけど、ここまでのことを昨日のうちに全部やってんのか。
拓哉は素直に凄いなと思った。
こんなだからモテるんだろうか。
いや、それはなんか違う気がする。
もっと違う部分で根本的に何かが違う、そう思う。
「ひかりん、この時代には不慣れだろうから、お前が色々助けてやれ。」
「・・・そのつもり。」
拓哉はぼそっと答えたが、この言葉には力も入れていた。
これだけ色々とやってもらっておいてなんだが、なんだかんだで保護者は俺だって自負もあった。
改めて決意して2人を見たら、唯志はビールを飲んでるし野村は肉食ってるし・・・
ビールを飲み終わり、次の注文を済ませた頃に唐突に唯志が聞いてきた。
「で、これ重要なんだけど、お前はどうしたいの?」
お前ってのは拓哉のことだろう。
(お前って不適切らしいぞって突っ込みは無しだよなぁ)
と拓哉は思った。
女性陣がいなくなって若干余裕があるらしい。
「とりあえず、光ちゃんの未来に帰る方法を探す・・・」
「それで良いのか?」
言い終わるより早く唯志が問いかけた。
拓哉は少し考えて、
「良いも何も、本人が希望してるし。」
「俺はひかりんの方の希望聞いてねーよ。お前の希望聞いてんの。」
「俺の希望って・・・例えば?」
「質問に質問で返すなよ・・・」
唯志が苦笑したところでちょうどビールが来たので、唯志はビールを飲んでいた。
(何言ってんだこいつ?)
そんなこと考えてたら野村が口を開いた。
「タクさー、光ちゃん好きじゃん?帰していいの?」
野村がとんでもないことを言い出した。
(いや、確かに好意を持ってる。というかこの1日ですごく好きにはなってきている。でもだからって・・・)
と脳内でめっちゃ早口で考えていたら唯志も追撃してきた。
「つかさ、見てたらわかるぞ。わかりやす過ぎ。それでも帰すの手伝うんかって話してんだ。」
ぐうの音も出ない正論だが、拓哉は何とか反論をしようと思考を巡らせた。
人が人に好意を持つことは恥ずかしいことじゃない。
反論なんてする必要はないのだが、恋愛経験の少ない拓哉の思考回路は中学生レベルまで落ちていた。
「つか、否定する必要ないからな。帰していいのかYES、NO。二択だぞ。」
唯志がしびれを切らせて先手を打ってきた。
拓哉はしばらく考え、無理やり口を開いた。
「でも本人は帰りたがってるし、俺個人の意見で・・・」
「だから、お前に聞いてるんだって。ひかりんの意見聞いてねーよ?」
唯志は煮え切らない拓哉に若干イライラしだしていた。
答えは出てるはずなのに答えない。
こういうタイプは唯志が一番嫌いな人種だった。
(そんなこと言われたって・・・)
拓哉は迷っていた。
内心では帰ってほしくないというのが本音だ。
でも帰るための協力をすると言った以上、協力はしないといけない。
だが、じゃあ具体的に何が出来るかと言われたら
(俺だって何をどうしたらいいかわかんない。)
未来へ帰るのを協力するなどとカッコいいことは言ったものの、特に考えも計画もない。
何年かかるかもわからないのにその間ずっと養う必要性まで考えて言ったわけじゃなかった。
かといって残ってほしいことと好意を伝える勇気もない。
残ってもらったとしてもどれだけ大変な事か想像もできない。
拓哉は何にしても中途半端で覚悟が足りていなかった。
具体的に何を協力するのかさえ、自分でわからずに言っているのだ。
ネットでちょちょいと調べて、協力した感を出して好感度アップ。
拓哉の考えは別として、やっていることはそれと同じレベルだ。
そんな拓哉にどうしたいのかなんて具体的に聞いて、まともな答えが返ってくるはずが無かった。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる