俺の物語には主人公だけがいない

モコ

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第四章 それぞれの選択

拓哉のプレゼントは?

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拓哉はプレゼントを出しづらくなっていた。
全員がそれぞれ光の役に立ちそうなものを用意してきている。
恐らく突然用意することになった野村や恵まで。

(ぐっ・・・)

用意はしてきた。
だが、結局何をあげて良いものかわからないまま今日に至っている。
どんなプレゼントが喜ばれるのか、女の子はどんなものを貰ったら喜ばれるのか。
調べに調べたが、逆に混乱してしまった。
そもそも女の子に誕生日プレゼントを渡すなんて初めてなんだ、許してほしい。

今日みんなが渡した様な、それぞれが気を利かせたものなんて用意できてないけど・・・。

「えっと・・・。俺からはこれ・・・。」
拓哉は持っていたカバンから包装された箱を取り出した。

「タク君まで、いつの間に用意してくれたの!?ありがとう!」
光は笑顔でお礼を言っていた。

「あの・・・、みんなみたいに光ちゃんの役に立つものかわからないけど・・・。」
そう言って拓哉は申し訳なさそうな顔をしていた。

「そんな、気持ちだけでも嬉しいんだよ?タク君。」
光はそう言って拓哉に笑顔を見せた。

(マジ天使。)
その笑顔に拓哉は救われた気がした。

「えっと、俺からは・・・。」
光が包装を丁寧に取ると、中には今流行りの据え置き気にも携帯機にもなるゲーム機が入っていた。
いつも莉緒と遊んでるやつだ。

「光ちゃん、前にいつか欲しいって言ってたから。要らなかったらごめん。」
「要らなくないよ!これすごく嬉しいよ。ありがとうタク君。」

(良かった。喜んでくれてる。)
渡す前はドキドキした。
自分だけ娯楽品って思って少し億劫だった。
だが、光が笑顔で喜んでくれたので、拓哉も嬉しかった。

「でも、お前これ・・・。」
唯志がボソッと呟いた。
「?」
幸せな気分に浸っていた拓哉だったが、唯志の言葉で我に返った。
「あー。タク、これ本体だけじゃーん。」
唯志が言い渋っていたことを、野村は空気を読まずに簡単に言い放った。

(しまった!)
拓哉は考えることが精一杯で、その後使うことなど全然考えていなかった。

「ごめん、光ちゃん!そこまで考えてなかった!」
拓哉は必死で謝罪した。
「え、謝らなくていいよ!貰えただけでも嬉しいんだから!」
そう言って、今度は光が必死に謝った。

「あー、まぁほら吉田の家にあるやつ使えるだろ当面は。それに俺のやつもなんぼかは借りてっていいぞ。」
見てられなくなったのか、唯志が助け舟を出した。
「そうそう。好きなの持っていけー!」
相変わらず何故か莉緒が後押しをする。

「う、うん。・・・ありがとう、みんな。私は本当に恵まれてるね。幸せ者だよ。」
光は感極まってしまったのか、涙を拭いながらお礼を述べていた。

(良かった。本当に喜んでくれてるみたいだ。)
拓哉も嬉しくなった。
サプライズパーティー。
最初は不安だったけど、やってよかった。

「まぁ、礼は良いからさ。それより飯食わねーと冷めるぞ?」
唯志は少ししんみりした空気を嫌ったのか、さっさと食事に口をつける様に促した。
「あ、そうだよね!せっかく作ってくれたのに!いただきます!」
そう言うと、光は大慌てで並んだ料理を物色し始め、全員がそれに続いた。

----
唯志の作った料理はどれも美味かった。
彩りも良いのに量も多い。

(こいつ、やっぱこんなだからモテるんだろうなぁ。)
拓哉は珍しく嫉妬心も無く、単純に感心していた。

全員がお酒を飲みつつ、食事を楽しみ、ワイワイとやっていた。
一時間ほど経過しただろうか。
ふと周りが暗くなった。

「え?何?停電?」
光一人が驚いてキョロキョロしていると、唯志がケーキを運んできたところだった。

「ほら、ひかりん。ちょっと早くなって悪いけど、二十一歳おめでとう。」
唯志がそう言って蝋燭が明るく照らすケーキを置く。

「ほら、ひかりん!消して消して!」
莉緒や恵がガヤを入れる。
(そもそも、未来でもろうそくを消す文化あるのか?)
拓哉は単純にそれを疑問に思った。

だが、なかなか光は動かない。

(やっぱり、わからないんじゃ・・・?)

そうではなかった。

「みんな・・・。ありがとね。」
光の声は震えていた。
誰もがなんとなくわかった。
泣いているんだろう、と。

「ひかりん、ろうそく溶けちまうし、まぁ気楽にササっとさ。」
しんみりとした空気に耐え切れなくなったのだろうか。
唯志がそう言って光に声をかけた。

「ぐす・・・、うん、ごめんね。・・・ふー!!」

「「ハッピーバースデー光ちゃん!」」
「「「ハッピーバースデーひかりん!!!」」」
ろうそくの火が消えると同時に全員の声が響き渡った。

--
その後は全員でケーキを食べ、今は四人で対戦する大乱闘ゲームで遊んでいた。
負けた人が抜け、四人で戦う方式で。
(注)六人いるが、唯志が後片付けなどで不参加。
今はちょうど光が負け、恵と入れ替わったところだった。

「あれ?唯志君は?」
光がキョロキョロと周りを見渡した。
「台所で洗い物でもしてない?」
「・・・いないみたいだよ?」
「なら外にたばこでも行ったんじゃない?」

莉緒にそう言われた光は、外に唯志の様子を見に行った。
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