114 / 179
第四章 それぞれの選択
サプライズ
しおりを挟む
八月二十八日。
昼前頃。
拓哉と光は電車で移動していた。
「唯志君から遊びの誘いって珍しいね~。いつも何かの用事ばっかりだったし。」
そう言う光はニコニコしていた。
今日は唯志に呼び出されて、唯志宅で遊ぶ・・・という体になっている。
もちろん莉緒もいるし、拓哉も一緒にと。
何して遊ぶかまでは知らないものの、光は単純に楽しみで嬉しかった様だ。
拓哉はと言うと・・・。
「う、うん。そうだね。何するんだろね。」
と言いつつ、ぎこちない乾いた笑いを絞り出していた。
(サプライズの誕生パーティーってばれないようにしないと・・・!)
拓哉はボロを出さない様に必死だった。
今日は光の誕生日。
そして今日は、唯志の家で光の誕生パーティーをする。
折角だしサプライズにしようと言うことになった。
今のところはバレていない様子だが、いつボロが出るかわからない。
だから拓哉はバレない様に口数は少なく、常に緊張していた。
ハラハラしながら光と会話をしつつ、何とか唯志宅を目指していた。
----
「ひかりん誕生日おめでとー!!」
唯志宅のリビングでは大声の祝福と、爆音のクラッカーで歓迎された。
「え?え?」
光は状況がわからずキョロキョロしていた。
「ほい、ひかりん。誕生日おめでとう。」
そう言って唯志が光の頭に『HAPPY BIRTHDAY』と書かれた帽子を乗せた。
ついでに『本日の主役』とか書かれた襷もかけられてる。
「え?あの・・・?」
光はまだ状況が呑み込めずきょとんとしている。
「今日光ちゃんの誕生日でしょ?サプライズパーティーだって。」
拓哉が説明した。
リビングでこうなる事は拓哉も知らなかったから、一緒に驚いた。
と言うかびっくりした。
「え?なんで?私の誕生日・・・。」
「就籍の書類作ったの誰だ?」
「あ、唯志君だ・・・。」
「ま、そう言うこと。ほらボケーっとしてんな、今日の主役。」
周りのガヤが「そうだ、そうだ」とはやし立てていた。
拓哉も知らなかったが、野村に恵までいる。
てっきり四人でやるものだと思っていたが・・・。
「お前に教えとくとバレそうじゃん?」
と唯志に突き放された。
(正論だけどさ!!)
食卓・・・とは言っても小さなテーブルだが、そこには豪華な食事が並んでいた。
「うわぁ。凄い!これみんなで用意してくれたの!?」
光はあまりの量に、喜びよりも驚きが先行している様子だった。
「まぁな!」
「うちらにかかればこんなもんよ!」
莉緒と恵がドヤ顔で答えた。
「まぁ作ったのは、『全部』岡村君だけどね~。」
野村があっさりと暴露してしまったが。
「私たちも皿並べたりしたし!」
「気持ちは込めたし!」
女性陣がギャーギャー言っている。
「唯志君、ごめん、大変だったでしょ?」
光は慌てて唯志に謝罪した。
「いや、暇だったし。別に作るのは苦じゃない。」
暇なわけがない。
唯志がいつも忙しくしているのは光でも知っている。
「唯志君・・・。」
光は申し訳なさそうにしていた。
「気にすんなって。それと、ごめんよりありがとうの方が嬉しいな。」
「そうだぞひかりんー!」
何故か莉緒が煽る。
いつものパターンだ。
「そうそう。誕生日くらい遠慮しなくて良いと思うよ。はい、ひかりん、誕生日おめでとう。」
そう言って恵がプレゼントを差し出した。
「え、プレゼントまで用意してくれたの!?」
「引っ越すって聞いてたから、ルームウェアとブランケット。」
そう言って光に手渡した。
光と恵はまだ交流が少ない。
それでもプレゼントまで用意して祝ってくれた恵。
光は嬉しくて思わず笑顔になっていた。
「ありがとう、めぐみん。」
「ちょ、ひかりんまでめぐみんは止めてよ!」
口ではそう言っていたが、恵も笑顔だった。
「はい、これは俺から。」
そう言って横から野村が小さな包みを渡した。
「え、ノムさんまで?」
「うん。つっても俺は欲しい物わからないから現金ね。」
どうやら野村は祝い金を用意したようだ。
「ありがとう、ノムさん!」
「え、現金ってノムさん・・・。」
拓哉は若干引いていたが、「かさばらないし、変なもの貰うよりずっといいんじゃね?」と唯志がフォローした。
実際のところ、光としてもこれは非常にありがたいプレゼントでもあった。
「じゃー次は私と唯志からね。」
そう言って莉緒が渡したものは、結構大き目のラッピングされた袋だった。
「私からは秋物の洋服―。これから入用だろうし!」
「んで、俺からはスニーカー。靴も替えがあった方が良いだろ?」
どうやら唯志と莉緒はこれからの生活で必要そうなものを選んできたようだ。
「わぁ。すごく助かるー。莉緒ちゃんも唯志君もありがとね!」
光は満面の笑みで感謝した。
「あ、それと・・・。ほら。」
そう言って唯志は小さく包装された袋を渡した。
「えっと・・・。これも貰っていいの?」
「うん。それ、この前なんばでひかりんが欲しがってたストラップ。」
「え?」
包装紙をあけると、中には最近流行りの小さくてかわいいキャラクターのラバーストラップが入っていた。
「唯志君、気づいてたんだ・・・。それに覚えててくれたんだね。」
光の目は少し潤んでいた。
「まぁ、ついこないだの話だしな。最後は吉田だぞ。ちゃんと用意してきたんだろ?」
そう言って唯志は拓哉にプレゼントを出すように促した。
昼前頃。
拓哉と光は電車で移動していた。
「唯志君から遊びの誘いって珍しいね~。いつも何かの用事ばっかりだったし。」
そう言う光はニコニコしていた。
今日は唯志に呼び出されて、唯志宅で遊ぶ・・・という体になっている。
もちろん莉緒もいるし、拓哉も一緒にと。
何して遊ぶかまでは知らないものの、光は単純に楽しみで嬉しかった様だ。
拓哉はと言うと・・・。
「う、うん。そうだね。何するんだろね。」
と言いつつ、ぎこちない乾いた笑いを絞り出していた。
(サプライズの誕生パーティーってばれないようにしないと・・・!)
拓哉はボロを出さない様に必死だった。
今日は光の誕生日。
そして今日は、唯志の家で光の誕生パーティーをする。
折角だしサプライズにしようと言うことになった。
今のところはバレていない様子だが、いつボロが出るかわからない。
だから拓哉はバレない様に口数は少なく、常に緊張していた。
ハラハラしながら光と会話をしつつ、何とか唯志宅を目指していた。
----
「ひかりん誕生日おめでとー!!」
唯志宅のリビングでは大声の祝福と、爆音のクラッカーで歓迎された。
「え?え?」
光は状況がわからずキョロキョロしていた。
「ほい、ひかりん。誕生日おめでとう。」
そう言って唯志が光の頭に『HAPPY BIRTHDAY』と書かれた帽子を乗せた。
ついでに『本日の主役』とか書かれた襷もかけられてる。
「え?あの・・・?」
光はまだ状況が呑み込めずきょとんとしている。
「今日光ちゃんの誕生日でしょ?サプライズパーティーだって。」
拓哉が説明した。
リビングでこうなる事は拓哉も知らなかったから、一緒に驚いた。
と言うかびっくりした。
「え?なんで?私の誕生日・・・。」
「就籍の書類作ったの誰だ?」
「あ、唯志君だ・・・。」
「ま、そう言うこと。ほらボケーっとしてんな、今日の主役。」
周りのガヤが「そうだ、そうだ」とはやし立てていた。
拓哉も知らなかったが、野村に恵までいる。
てっきり四人でやるものだと思っていたが・・・。
「お前に教えとくとバレそうじゃん?」
と唯志に突き放された。
(正論だけどさ!!)
食卓・・・とは言っても小さなテーブルだが、そこには豪華な食事が並んでいた。
「うわぁ。凄い!これみんなで用意してくれたの!?」
光はあまりの量に、喜びよりも驚きが先行している様子だった。
「まぁな!」
「うちらにかかればこんなもんよ!」
莉緒と恵がドヤ顔で答えた。
「まぁ作ったのは、『全部』岡村君だけどね~。」
野村があっさりと暴露してしまったが。
「私たちも皿並べたりしたし!」
「気持ちは込めたし!」
女性陣がギャーギャー言っている。
「唯志君、ごめん、大変だったでしょ?」
光は慌てて唯志に謝罪した。
「いや、暇だったし。別に作るのは苦じゃない。」
暇なわけがない。
唯志がいつも忙しくしているのは光でも知っている。
「唯志君・・・。」
光は申し訳なさそうにしていた。
「気にすんなって。それと、ごめんよりありがとうの方が嬉しいな。」
「そうだぞひかりんー!」
何故か莉緒が煽る。
いつものパターンだ。
「そうそう。誕生日くらい遠慮しなくて良いと思うよ。はい、ひかりん、誕生日おめでとう。」
そう言って恵がプレゼントを差し出した。
「え、プレゼントまで用意してくれたの!?」
「引っ越すって聞いてたから、ルームウェアとブランケット。」
そう言って光に手渡した。
光と恵はまだ交流が少ない。
それでもプレゼントまで用意して祝ってくれた恵。
光は嬉しくて思わず笑顔になっていた。
「ありがとう、めぐみん。」
「ちょ、ひかりんまでめぐみんは止めてよ!」
口ではそう言っていたが、恵も笑顔だった。
「はい、これは俺から。」
そう言って横から野村が小さな包みを渡した。
「え、ノムさんまで?」
「うん。つっても俺は欲しい物わからないから現金ね。」
どうやら野村は祝い金を用意したようだ。
「ありがとう、ノムさん!」
「え、現金ってノムさん・・・。」
拓哉は若干引いていたが、「かさばらないし、変なもの貰うよりずっといいんじゃね?」と唯志がフォローした。
実際のところ、光としてもこれは非常にありがたいプレゼントでもあった。
「じゃー次は私と唯志からね。」
そう言って莉緒が渡したものは、結構大き目のラッピングされた袋だった。
「私からは秋物の洋服―。これから入用だろうし!」
「んで、俺からはスニーカー。靴も替えがあった方が良いだろ?」
どうやら唯志と莉緒はこれからの生活で必要そうなものを選んできたようだ。
「わぁ。すごく助かるー。莉緒ちゃんも唯志君もありがとね!」
光は満面の笑みで感謝した。
「あ、それと・・・。ほら。」
そう言って唯志は小さく包装された袋を渡した。
「えっと・・・。これも貰っていいの?」
「うん。それ、この前なんばでひかりんが欲しがってたストラップ。」
「え?」
包装紙をあけると、中には最近流行りの小さくてかわいいキャラクターのラバーストラップが入っていた。
「唯志君、気づいてたんだ・・・。それに覚えててくれたんだね。」
光の目は少し潤んでいた。
「まぁ、ついこないだの話だしな。最後は吉田だぞ。ちゃんと用意してきたんだろ?」
そう言って唯志は拓哉にプレゼントを出すように促した。
0
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる