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同棲
ep.85
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「お疲れ」
『ごめん、遅くなって…』
蒼ちゃんのマンションに辿りつくと、彼はオートロックを解除して部屋へ招き入れてくれた。
部屋着だろうか。
ラフな格好をしていて、銀縁の眼鏡をかけている。
珍しい。
「疲れた顔してる」
『色々あって…
巡回日だったし』
「寛いでていいよ。今ご飯作ってるから」
『……ありがと。何作ってるの?』
「ハンバーグ」
『……手伝おうか?』
「いや、いい。一人で作る」
私が知る限り、蒼ちゃんはあまり料理は得意ではない筈。
作り慣れた数品は美味しいのだが、レパートリーが少ない。
手のかかるハンバーグはそのレパートリーには入っていない筈。
大丈夫だろうか。
少し心配だが、一人で作ると言っているのだから任せよう。
「明日も仕事?」
『ううん、休み』
「……泊まってく?」
『でも蒼ちゃん明日仕事でしょ?』
「まぁ…」
『じゃあ、いい。帰るよ』
「送るからね」
『…ん。ありがと』
私はリビングのソファに腰を降ろし、背もたれに身を預けた。
ふと目の前の小さなテーブルに視線をやると、ひとつの鍵がポツンと置かれている。
キーホルダーも何もついていない。
多分、どこかの部屋の鍵だろう。
『蒼ちゃん、これ…』
「ん?
ああ…美愛、持ってていいよ」
『?』
「ここの鍵」
『!
いいの…?』
「当たり前じゃん。一緒に暮らしてくれるんでしょ?」
『うん。ありがと…』
一緒に暮らすことは承諾したが、まだ何も進めていない。
こうやって鍵を渡されると実感が湧いてくる。
蒼ちゃんと一緒に暮らすんだな、と。
「出来たよ」
『ありがと…』
「見た目悪いのは勘弁して」
キッチンとリビングで会話をしながらも蒼ちゃんは手元を動かしていたらしい。
思ったよりすぐ食事にありつけるようだ。
食欲を誘うような美味しいそうな匂いを漂わせてテーブルにそれは並べられた。
少し形は不恰好だが、美味しいそう。
デミグラスソースがかかった定番のハンバーグ。
きっと一生懸命に作ってくれたのだろう。
「食べよう」
『いただきます』
「いただきます」
私は軽く手を合わせて目の前のハンバーグを口にした。
味の濃いデミグラスソースと肉の旨味が合わさって美味しい。
悪いのは見た目だけだった。
「………。
…どう?」
『美味しいよ。ありがとう、作ってくれて』
「よかった。ハンバーグなんて初めて作ったよ」
『蒼ちゃん料理、あんまり得意じゃないもんね』
「前よりはレパートリー増えたよ。美愛には敵わないけど」
『別に私もそんな得意じゃないよ。定番のしか作れないし』
お菓子作りは得意だが、食事系の料理は人並みだ。
どうも人に振る舞う機会が少ないものは作る意欲が湧かない。
結局、私がお菓子を作ったりするのは喜んでくれる人がいるから。
食べてくれる人がいなければ作らない。
一緒に住めばそれも少しは変わるのかな。
『ごめん、遅くなって…』
蒼ちゃんのマンションに辿りつくと、彼はオートロックを解除して部屋へ招き入れてくれた。
部屋着だろうか。
ラフな格好をしていて、銀縁の眼鏡をかけている。
珍しい。
「疲れた顔してる」
『色々あって…
巡回日だったし』
「寛いでていいよ。今ご飯作ってるから」
『……ありがと。何作ってるの?』
「ハンバーグ」
『……手伝おうか?』
「いや、いい。一人で作る」
私が知る限り、蒼ちゃんはあまり料理は得意ではない筈。
作り慣れた数品は美味しいのだが、レパートリーが少ない。
手のかかるハンバーグはそのレパートリーには入っていない筈。
大丈夫だろうか。
少し心配だが、一人で作ると言っているのだから任せよう。
「明日も仕事?」
『ううん、休み』
「……泊まってく?」
『でも蒼ちゃん明日仕事でしょ?』
「まぁ…」
『じゃあ、いい。帰るよ』
「送るからね」
『…ん。ありがと』
私はリビングのソファに腰を降ろし、背もたれに身を預けた。
ふと目の前の小さなテーブルに視線をやると、ひとつの鍵がポツンと置かれている。
キーホルダーも何もついていない。
多分、どこかの部屋の鍵だろう。
『蒼ちゃん、これ…』
「ん?
ああ…美愛、持ってていいよ」
『?』
「ここの鍵」
『!
いいの…?』
「当たり前じゃん。一緒に暮らしてくれるんでしょ?」
『うん。ありがと…』
一緒に暮らすことは承諾したが、まだ何も進めていない。
こうやって鍵を渡されると実感が湧いてくる。
蒼ちゃんと一緒に暮らすんだな、と。
「出来たよ」
『ありがと…』
「見た目悪いのは勘弁して」
キッチンとリビングで会話をしながらも蒼ちゃんは手元を動かしていたらしい。
思ったよりすぐ食事にありつけるようだ。
食欲を誘うような美味しいそうな匂いを漂わせてテーブルにそれは並べられた。
少し形は不恰好だが、美味しいそう。
デミグラスソースがかかった定番のハンバーグ。
きっと一生懸命に作ってくれたのだろう。
「食べよう」
『いただきます』
「いただきます」
私は軽く手を合わせて目の前のハンバーグを口にした。
味の濃いデミグラスソースと肉の旨味が合わさって美味しい。
悪いのは見た目だけだった。
「………。
…どう?」
『美味しいよ。ありがとう、作ってくれて』
「よかった。ハンバーグなんて初めて作ったよ」
『蒼ちゃん料理、あんまり得意じゃないもんね』
「前よりはレパートリー増えたよ。美愛には敵わないけど」
『別に私もそんな得意じゃないよ。定番のしか作れないし』
お菓子作りは得意だが、食事系の料理は人並みだ。
どうも人に振る舞う機会が少ないものは作る意欲が湧かない。
結局、私がお菓子を作ったりするのは喜んでくれる人がいるから。
食べてくれる人がいなければ作らない。
一緒に住めばそれも少しは変わるのかな。
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